空想の錬金術師   作:篠原えれの

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 あれから数日たったが、エドが本当に口を聞いてくれなくなった。なんなら姿も見せてくれない。賢者の石について理解したのがよっぽどショックだったのだろう。直接喧嘩こそしてないが反応を見てすぐに分かった。

 こうなったエドは頑なになってしまうし、何もしてないのに顔も見たくないと言われたので僕は渋々別室待機中。

 だからってそんなに離れられる訳じゃないのだが。

 アルもモヤモヤしている様子だったが、「今のエドワード兄さんほっとけないから。僕が一緒にいるよ。ミシェル兄さんは離れてて。余計酷くなるでしょ」と我慢してエドのそばにいるようだった。

 こうなったらエドの気持ちが落ち着くまでそっとするしかないのは僕もアルも理解してるから。

 一人だと危ないのはエドも理解している。できれば一人がいいのだろうが、単独行動はしないでいてくれてるようだ。これでアルまでエドと喧嘩したらいよいよって感じだがそうなったら考えようと僕は深く考えるのをやめた。どうせ第五研究所の件で君たち喧嘩するんだしね。っていうか、多分エドは僕の正体に勘付いて不気味がってるんだと思うんだよね。

 アイザックの時にもバレかけて洗脳してるんだけど。もう1回洗脳するべきかなあ。

 そろそろ僕がミシェル・エルリックに成り変わった転生者だって完全にバレてもいいかなあとは思ってるけど、あともう少しだけ誤魔化したさあるよね。バレてもいい。けど、最後まで僕は2人の兄でありたい。どうせ、長くても僕は一年もたないんだ。最後はいくらでも軽蔑して、忘れられても構わないから。それが僕の罪だと思う。

 

 ■

 

 「……兄さん、ご飯食べなよ。あんまり食べてないと大佐が連れ帰るとか言いかねないよ」

 「食欲ねぇんだよ。ほっといてくれ。……今大佐に会いたくねえ。来ても追い返すから。……なぁ、アル。アルはしんどくねぇのか?」

 「しんどいよ。賢者の石の材料があんなのだって知ったら」

 「……俺たち、どうなってしまうんだろうな。少なくとも、元の体に戻るのにあの方法で作られた賢者の石は使いたくねえ。誰かの犠牲の上に戻ったって意味ねえ」

 「そうだね。……ミシェル兄さんも、それが言いたくて嫌がってたのかも」

 

 その言葉を気に、エドはアルにずっと聞けなかったことを話す決心をした。恨まれてもいい。でも、これだけは伝えないと。ミシェルが本物かどうか問い詰めるためにも。聞かないといけないような気がした。もし、ダメだった場合。逃亡経路も確保して、次の目的地も設定してある。空腹だが、できるはずだ。

 

 「なあ、アル。……本当に、色々ごめんな。こんな情けない兄貴でさ。少しでもアルや兄貴を元に戻したくて、頑張ったのに、さ。怒って、疑ったりして、最低だ。……どうしてもずっと聞けなかったことがあるんだけど、聞いてもいい?」

 「今回のことに関しては仕方ないよ。……どうしたのさ。顔色悪いよ、兄さん。やっぱり食べてないのよくないんだよ」

 「こんなこと聞いて、幻滅されたって構わない。俺のこと、もう突き放してもいいからな。ただ、必要なことなんだ。聞いて欲しい。――俺のことさ、恨んでないか。」

 

 今にも泣き出しそうな表情でエドワードは話した。

 言った。一番怖くて聞けなかったこと。喋った。

 全部なにもかも、クソ兄貴のせいだ。

 涙が流れていた。

 

 「恨んでるわけないじゃないか。この体になってしまったことについて?そりゃ眠れないし、不便なことだって多いけど死ぬより絶対いいに決まってる。どうしたのさ、急にそんな話して」

 

 アルが驚いてエドに聞き返す。あまりにも突然だったのでアルも怒るに怒れない状況になってしまった。

 

 「ずっと、考えてたことなんだけどよ。兄貴に問い詰める前にどうしてもアルに聞かなくちゃいけないって俺は考えてて。もう限界なんだ。倒れそうでさ、でも。これだけは信じて欲しくて、言わせてくれ。信じられなかったら、俺を殺したっていい!」

 

 土下座をする勢いでエドワードはアルに謝罪する。突然のエドの行動にアルは困惑するしかできなかった。

 

 「何言ってるんだ、兄さん。落ち着いて」

 「言うって決めたんだ。聞いて欲しい。……アル。お前は絶対にアルフォンス・エルリックだから。間違いなく、俺があっちで命掛けで取り戻した、アルフォンス・エルリックだから!偽物とかじゃなくて、俺が人工的に作り出したとかじゃなくて、絶対にアルフォンスは本当のアルフォンス・エルリックだ!アルは絶対、俺が責任もって元の体に戻すから。俺がこれから言うこと、許して欲しい」

 「兄さん……?!」

 

 土下座をしながらエドワードは告げる。

 

 「軽蔑してくれたって構わない。ただ、これだけは本当に俺はそう思ってるんだ。アルフォンス・エルリックは絶対に本物だけど、ミシェル・エルリックだけは、絶対に偽物だ。兄貴だけ、俺はあの時、救うことができなかったんだ。あんなの絶対に、兄貴じゃない。俺たちが知ってるミシェル・エルリックはもうあの時、母さんを生き返らせなかった日に、死んじまったんだよ。助けることができなかった。俺は見た!消えていく兄貴を、俺は助けることができなかった!アルと同じように、兄貴だって助けようとしたんだ。命懸けで、でも、出来なかった!兄貴はアレを見て、死んだんだ。あの時俺を吸血して生き延びた兄貴は、もうミシェル・エルリックじゃない。ただ、この世界に関する知識が豊富な、俺の血を吸う化け物なんだ!」

 「兄さん、それは言ったら駄目だよ!僕だって気にしてたことだけど、それでも、あの人は悪い人じゃないよ。先読み行動は相変わらずすごいけど、ずっと僕達の味方をしてくれてたじゃん!」

 「でも!それでも、絶対あいつは俺たちに本当のこと喋ってくれねぇじゃんか!あの資料だって、絶対最初から答えが分かってたらからあんなに解くのが早かったんだ。あの兄貴は味方してくれるけど、それが気持ち悪くて、仕方がない」

 

 泣き叫びながらエドワードは叫んだ。




とんでもなく難産になりそう。この部分までは確定なので短いですが投稿です。
これどうしてもやりたい話なんだよね。
毎日更新途切れても許してくれ。なんとか書くぜ
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