空想の錬金術師   作:篠原えれの

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 やばいと思ったミシェルは、すぐにドアを元に戻し、アームストロング少佐が突き破った窓も錬成し直した。

 ドアも色々幻覚を使って誤魔化していたとはいえ元に戻すに越したことはない。

 これが大総統だったら誤魔化しようがなかったので逃亡覚悟だったが、今回はどうやら運が良かったみたいである。

 

 「おもいっきり器物破損じゃないですがアームストロング少佐、僕が直さないと宿からすごいクレームがぐへえ」

 「エドワード殿、アルフォンス殿。なにもされてないですな?!」

 「特に何もされてないです。閉じ込められましたけど、まあ。大体は仲直りできました」

 

 腑に落ちない、という表情だがエドワードは正直に少佐に話した。

 ミシェルは少佐によって抑えつけられ身動きができないようにされていた。

 

 「ロス少尉から聞いた時は何事かと思いましたぞ。その様子だと大体落ち着いた様でありますな!エドワード殿が、ミシェル殿が本当の兄かどうか分からないとアルフォンス殿に相談していたところ、ミシェル殿がすごい形相で部屋に入って行って閉じ籠ったと。窓から侵入できたのが幸いでしたな!はっは!騒ぎを大きくしたくなくてミシェル殿が窓までは細工しなかったのがよかったですな!吾輩でも対処できましたぞ!」

 「完全に中からは出られないようにされてたんで、助かりました。」

 「で、実際問題ですが。疑問は解けましたかの」

 

 少佐がミシェルの拘束を解き、今度はエドの方まで急接近する。

 

 「それ、少佐に話す必要あります?――いだだだ!少佐、今の俺女ってこと忘れてねえかあ?!普通にセクハラだからそれ!」

 「少佐、やめてください」

 久しぶりにアルのマジトーンを聞いた気がする。アルの呼びかけに少佐が怯む。

 「う、む。すまない。いつもの癖で」

 「あー……どうせ誤魔化すの無理があるから、喋ってもいいよ。それを聞きに来るってことは、巻き込まれる覚悟があるってことでしょ、少佐。この話ね、全体的にやばいの。変に外に話すと上に消されるかもしれないよ。例えば大総統含む上層部とかね。今だって部外者に聞かれないように幻覚とか防音の錬金術を使って誤魔化してる状態なの。なるべく護ってあげるけど。それでも、聞く?ロス少尉もブロッシュ軍曹も、覚悟があるなら聞いていいよ」

 

 僕の一言が、完全に決め手になった。

 三人とも、僕らが、話したことが気になって仕方なかったようだ。

 

 「俺らもいいんですか」

 「こら、ブロッシュ軍曹。あなたは知らないけど、私はそこまで聞きたい訳じゃないんだから。巻き込まないでよ。」

 「す、すみません」

 「で、ロス少尉はどうなの。巻き込む以上、僕は君達三人ともちゃんと護りきるつもりだよ」

 「なんで貴方はそんなに強気なのよ」

 「それの説明もしなきゃだね。ちょうど弟達にも話そうとしてたところに少佐が乱入しに来てね。そうだな。やっぱりロス少尉も巻き込むことになるや。僕のこと説明するにあたって賢者の石の説明もしないといけなくなったし。死にたくなかったら、僕の警告をちゃんと聞くことだね。」

 「……やっぱりそうなっちゃうんじゃない、はあ。お父さん、お母さん、ごめんなさい……」

 

 半ばあきらめながら、ロス少尉は状況を理解した。これは、知らないフリをするには限度がある。

 こんな得体のしれない者を敵に回すぐらいなら、味方になって貰った方がマシと判断したのだ。

 

 「大丈夫。責任はちゃんととるよ。僕ね、この世界でやりたいことの1つに、僕が護りたいと思った人は全員護り通すってのがあるから」

 

 そうして、ミシェルは様々なことを三人に説明した。

 自分が賢者の石を持っていることや賢者の石の正体、自分が他所の世界から転生した転生者であること、その際に得た幻覚や洗脳について。

 幻覚に関してはロス少尉やブロッシュ軍曹用の説明だ。

 2人はまだ、エルリック兄弟にあってまもない。ミシェルの幻覚についてもよく分かっていなかったので再度説明する。

 幻覚を解くと自分が青髪赤目のエルフになることや、吸血しないと生きることができないこと。

 アルが人体錬成のせいで、現在は人間ではなくて鎧の姿が本当の姿であることも説明する。

 アルが人間の姿をしているのは僕の幻覚によるものとも説明する。

 アルの中身が実話空っぽだっていうことも分かりやすく説明した。

 人体錬成の話とかもよく分かってないだろうから分かりやすく。

 巻き込む以上、色々説明しないと二人も不便すると判断したのだ。

 護りたい故に賢者の石について三人には説明しないと決めていたミシェルだが、色々説明するにあたって賢者の石の材料やミシェル達の秘密について三人が知らないのは無理があると判断したのだった。

 

 「アルフォンス君が、実話こんなに大きな鎧だった………」

 「目立ちますよね。いやぁ、ほんとこの姿に関しては兄に感謝してます。」

 「うう……ほんとに、よかったね……。寝られないのはつらいけど、ご飯食べられて、人の姿にもなれるなんて……」

 

 ブロッシュ軍曹が完全に情報の処理に追いついてない。

 アルにすっかり同情して涙目なあたり、かわいいものだが。

 まぁ、がんばって現実を理解してもらうしかないだろう。

 彼、元々アイデア値はそこまで高くなさそうだしね。

 

 「あの、これらの話はほんと外部には漏らさないでくださいね。賢者の石の材料についてはその、マスタング大佐もまだ知らない内容なので。」

 

 アルの言葉に、ブロッシュ軍曹は泣きながらも思わず真顔になる。

 

 「えっ、そうなんですか」

 「あんな内容伝えられるかよ。賢者の石以外のことなら大佐も大体知ってるけど、兄貴の転生や洗脳云々も俺らだって今知ったんだから教えられるわけないだろ」

 

 当然だろ、と言わんばかりにエドが言う。

 その言葉に三人はおろおろする。

 

 「マスタング大佐にどやされが確定しましたな。」

 「そんなぁ」

 「安心してどやされるの僕とアームストロング少佐だけだから」

 「ミシェルどのぉ~!」

 「なんと薄情な」

 「さすがにそれは、あんまりでは……」

 

 安心するブロッシュ軍曹と目を見開く少佐。

 ロス少尉が客観的に見て少佐が巻き込まれるのは違和感があったのか少佐を擁護する。

 それでも冷や汗かきつつミシェルは少佐も!と押し切る。

 

 「僕らの護衛として二人を巻き込んだの少佐なんだしその辺はさすがにね」

 

 ドヤってるとさすがに少佐が哀れに見えてきたのかエドがフォローする。

 

 「そもそも今回の件、怒られるの兄貴だけでいいんじゃねーか。むしろ少佐たちは被害者だろ」

 「そんな気はしてきたね」

 

 今回の八端は元はと言えばミシェルがエドに腹を割って話すために、部屋に閉じ籠ったのが原因だ。

 全体的に悪いのはミシェルだけだろう。むしろミシェルがアームストロング少佐には感謝しなければならない。

 少佐のおかげで誰にもバレることなく、自分たちだけで解決できたのだから。

 ミシェルはそれでも少佐を頼った。心細かったのである。鬼のように怒り倒したマスタング大佐の餌食になるのは勘弁だったから。

 

 「そういう訳で巻き込まれてね少佐」

 「さすがに吾輩そればっかりはばっくれですぞ。協力は致しますがな!」

 「(さすがに図々しかったか……。)とにかく、少佐には迷惑かけっぱなしで申し訳ないです」

 

 謝罪を入れる。

 

 「しかし今回の件、それなりの理由があるなら、仕方ないですな。それに、話を聞けば聞くほど、国がきな臭いような気がしてきました。むやみやたらに口外するのは避けましょう。吾輩もまだ死にたくないので」

 「あと、単独で調べるのもやめてね。普通に死ぬから。君達三人で調べても一緒。必ずそういうきな臭い案件の時は僕を頼って。死にたくなかったら」

 「心得ましたぞ」

 「エド達もそうだからね。死にたかったら好きにして状態だけど、ほんとマスタング大佐にどやされるところじゃすまなくなりそうだからさ」

 「兄貴の首が飛ぶかもな」

 「やめて。まぁそれぐらいなら別にいいけど。それぐらいのことしちゃってるからね。でも、何回も首が飛ぶのは勘弁だなぁ」

 「いいのかよ。(何回も?2回ぐらいが限界じゃねーのか)」

 「命は1回限りですよ、冗談がお上手で」

 

 ミシェルの蘇生について知らないブロッシュ軍曹が、笑えないブラックジョークだと思って止める。

 

 「あ。これも話した方がいいか。兄貴、1回ぐらいなら自己再生できんの。護衛気取ってるのも、そういうのがあるかもな。まぁ、1回死んだら終わりなのは一緒なんだけどよ。死んだら暴走するし、できれば死んでほしくないし暴走してほしくないんだけど。」

 「スカーの時は大変だったね」

 

 弟達が次々に喋っていく。もうここまでくるとエド達も三人になんでも話す勢いだ。

 僕も止めない。このメンバーなら別に喋っていいと思う。大佐や少佐も知ってる内容だし。

 

 「ほんとな。目の前で死なれた時はどうなることか思ったけど。因みにそれ、少佐もばっちり見てるから」

 「ええ!?そうなんですか?」

 

 ブロッシュ軍曹が驚く。当たり前のようにドヤ顔で少佐が話始める。

 

 「あの時は災難でしたな。エドワード殿もミシェル殿の返り血で血まみれになられて」

 「言うなよな。それのせいでしばらく血の匂いとれなかったのなんの」

 「想像しただけでえげつないわね……」

 「もう驚かないと思ってましたが幻覚に、洗脳に、蘇生まである、となるとここまで偉そうにできるのも納得です」

 「まだ他にあるけどね」

 「あんの」

 

 僕の蘇生のことで盛り上がってると、偉そうにできるのも納得だとか言われたのでまだあるよとついでに暴露していく。

 まだ他にもあると言われてエドもさすがに再度眩暈を覚えたようである。

 いい加減話を戻さないといつまでたってもエドが第五研究所の存在に気付かなさそうだしね。

 それに僕も賢者の石について情報共有して置きたいし。

 僕はおもむろに服を脱いで、胸元の入れ墨をエド達に見せた。

 

 「このウロボロスの入れ墨を持った奴らに気を付けて。そいつら、賢者の石を持った正真正銘のバケモノだから。まぁ、僕もなんだけどね。正式名称はよく分からないけど、奴らは自分のことをホムンクルスだって自覚してるから、ホムンクルスでいいと思う」

 「なんと……」

 「兄貴それ……」

 

 あまりにも驚かれて、その場が鎮まる。これは僕がなんか面白いこと言わないと駄目だな。言えないけど。

 

「この入れ墨ね、賢者の石を取り込んだ時に出てきちゃって☆もれなく僕も奴らのお仲間ってわけ。奴らの力を取り込んだら出る証みたいだよ、これ。でも安心して、乗っ取られてるわけじゃないし、むしろ僕が操り返してるから。僕が洗脳とか得意なの、みんなもう十分理解してるでしょ」

「そりゃそうだけどよ、それがバレたらお前大変なことになるんじゃねえの?」

 

 エドはなんとか状況を理解しようと会話する。

 賢者の石を手に入れたとは聞いた。賢者の石を手に入れてその力を使っているのも理解した。

 それがまさか、明らかにやばそうな連中から強奪して手に入れたものだとは。

 兄の言い方からして、他にも何人か自らをホムンクルスと名乗るバケモノがいるのだろう。

 そいつらも賢者の石をもっている。

 兄があまり無暗やたらに、この件について口外しまくると危険だ、死ぬぞと言ってるのはこういうことなのだろう。

 マルコーの賢者の石も、製造元が、そいつらによるものだとしたら。

 

 「うん。そうならないように僕も今、賢者の石を使って暗躍しまくってるから。この国ね、思ったよりもすべてが真っ黒だから。自分たち以外を敵だと思って行動した方が良いと思うよ。僕みたいに容姿を誤魔化すホムンクルスも平気で居るし。できればまっさきにそいつ処分したいんだよね。そいつ、厄介な性格でさ。なんでも自分がしたことを他人になすりつけるのが得意な奴でさ。でも僕が取り込んだ元々のホムンクルスがそいつと仲いいもんで、中々処分できなくて困ってるんだよね。なんならそいつも僕の一部になればいいのに、って思うんだけどちょっとそこのところで揉めてます。なので勝手なことしないで貰えると助かります。特にエド。君が怪我したらフォローするの僕とそいつ(エンヴィー)だからよろしく」

 「まてまて、話が急展開しすぎだ。兄貴は一体どこまで賢者の石について理解してんだよ。それに国が真っ黒って……まるで、国がホムンクルスを作ったみたいな言い方するじゃんかよ、兄貴」

 

 一同を代表して、エドはミシェルを問い正す。

 ミシェルはしばらく考えて、言った。

 

 「国が賢者の石を作ろうとしてる、とも言えるよね。」

 

 その言葉に、嘘だと青ざめる。

 「嘘だ、そんなこと……」

 

 「生きた人間を使って作成される賢者の石とそれにより作成されるホムンクルスは、個人では容易にできないことなんだ。マルコーさんはどこから逃げてきた?」

 「中央の、錬金術研究機関……」

 「そう。マルコーさんは、医療に関する研究を軍でしていたね。つまり中央の錬金術研究機関は、少なくとも戦時中は真っ黒だったということになる。賢者の石を作ってたんだろうね。犯罪者とかイシュヴァールの民とか使ってさ」

 「なんということだ……」

 

 それであんなにマルコーさんが怯えていたのか、とエドは改めて納得する。

 気分が悪くなった少佐が、吐きそうにしたので錬金術で嘔吐袋を作り、そこで吐いていいよと渡す。

 耐えられないよね。

 あんなに醜い戦争の実態が、実話イシュヴァールの民を使って血の紋を刻み、賢者の石を作るための戦争だったなんて。血の紋については、もう少しあとになったらでいいか。そのうちだれか気付くでしょ。

 

 「国という1つの組織が行うことでその犯罪も正当化されるから。故に、これに気付いた僕達は真実に気付かないフリを徹底しなければいけない。東方司令部とか中央からの左遷組は白かもしれないけどね。ほら、グラマン中将とか変わり者で有名だったから。あの人は白だと思うな、僕。もちろん大佐もね。当然、僕達にとって白と判断できる人たちは逆に軍によって消されるかもしないということを忘れてはいけないよ。例えばこの国の大総統や、中央を中心に居座る上層部の人間達。みんな、永遠の命を欲して計画に、躍起になっていたらどうする?邪魔者が現れたら。こぞって、排除しようと動くよね」

 

 重ねて、僕はエド達に警告した。

 

 「ここに居る僕達以外で中央に居る人間は信用したら駄目だよ。ヒューズ中佐とかシェスカとかも白だけど巻き込だら駄目。あと、僕と一緒で変身できるバケモノが居るから全員が集まってる場所じゃないところでこういう会話をしないこと。これは僕が似たような話をしてきても一緒だよ。そいつは僕にも化けられるから。うーん、どうしようかな。対策がちょっと難しいからあまりにもこいつ怪しいと思ったら殴っていいよ。知ってる話を何回も聞きに来るとかね。多分それだけで彼かなり嫌がると思うから。目立たない場所だったら発砲も許すよ。発砲はさすがに僕限定だけど。悶える以外に「いきなりどうした?!」とか初めてそうな反応してきたらそいつ偽物だから」

 「おいおい。いいのかよ、その条件。それしかなさそうだから別にいいけどよ。兄貴しょっちゅう殴られてるから動じなさそうだしな」

 「そういうことで、よろしく。あ、これね。他のメンバーに対しても一緒。」

 「えっ」

 「基本物理で対処するから。僕と違って他メンバーに対して発砲はダメだけど銃をつきつけるフリぐらいはしてもいいと思うよ」

 「ひええ」

 

 ブロッシュ軍曹はすっかりドン引きしていた。

 弟達も最初こそ納得していたが、自分たちもとなるとさすがに引いた。

 変なことを言えば自分にも銃口をつきつけられる可能性がある。最悪だ。

 でも、これがある意味エンヴィーに対しての特効薬だ。中尉も原作でしてたし。

 

 「マジ。発砲する以外は一緒。常識の範囲内でこいつ怪しいと思ったら殴ってね。それから、もし本当に偽物だったら全力で逃げてね。戦うなんて思わないこと。賢者の石には再生能力があるから。僕と違ってあいつらは結構な回数の蘇生が可能だよ。僕も賢者の石のおかげで彼らと同じぐらい死んでも大丈夫なようになったし。ホムンクルスによって使用する能力も違うし。変身してくる彼は……そうだね。ホムンクルスの中でも相当弱い部類だとは思うけど、追いつめすぎたら本体が結構でかいから踏みつぶされるし、結構グロい。倒したと思っても寄生することができるから油断しないこと。」

 

 エンヴィーの特徴をどんどん共有していく。僕エンヴィー嫌いだからね。彼に関してはどうなってもいいやと思って話している。あわよくば僕の一部になって欲しいけど、彼の処理をするのはあくまでミミだから要相談だし。ミミさえよければそれでいいのになぁ。

 

 「変身して紛れ込んでくるだけでも十分やべえって。それで弱い方なのかよ……」

 

 呆れながら、エドは話を聞く。他にもいるの?と聞きたそうだったのでこの際それも説明していく。

 

 「影を使って攻撃してくる奴とか、手あたり次第なんでも食べようとする奴とか、最強の目を持っててありえないほど剣術が強い奴とか、体がひたすらに硬い奴とかもいるからね。あと、のろまだなって思ったらとんでもなくめんどくさがりなだけで図体でかくて鬼のように強い奴とかもいるから、そうだね。僕が、取り込んだ奴がある意味一番最弱かな。そいつ、最強の矛自称してるけど、ほんとぉ?ってぐらい弱かったから。その次に変身する奴が弱いと思うよ」

「……詳しいんだね」

 

 あまりにも流暢にホムンクルスの説明をしたせいか、アルが僕を疑うように聞いてくる。

 その質問に僕は正直に答えた。

 

 「まぁ、僕、賢者の石とホムンクルスを使って奴らの懐に入り込んでるからね。内部事情結構詳しいよ。あと、転生者補正もあるかな。僕みたいな転生者は、この世界のことに結構詳しいと思うよ。大体の転生者は物語として、この世界を理解してるからね。これから起こることも、大体把握してるの。正史と違うところがないか事実確認してる感じかな」

 

 その言葉に再度その場が静まり返った。

 

 「だから、兄さんは僕達の知らないことを先回りして解決することができたのか。ずっと不思議だったんだよ。いくら洗脳ができるからって、あまりにも兄さんにとって都合よく物事が起き過ぎてるから」

 

 アルが納得したように返事をする。

 

 「物語として俺達のことを理解してたら、これらか起きることも全部分かるってか。なんでもありだな、転生者ってのは」

 

 エドも同じように天を仰ぎながら返事する。疑問が解決したのに、そんなのありかよと言いたげな表情だ。

 

 「うん。なんでもありだと思う。この国がどうなるのかも分かるから、この国が賢者の石を作ろうとしてるなんて早い段階で分かるんだしね。当然、奴らを待ち伏せすることもできる訳で。賢者の石を手に入れることもできた。……僕はこの力を悪いようには使わないよ。これは、約束する。」

 「今更嘘だって兄貴のこと否定しても仕方ないからな。嘘だったら嘘だったでその時また考えればいい。因みによ、本当にこの世界が物語だとして、異世界で本として出版されてるとして、誰が主人公なんだよ?本のタイトルとかも聞きたいぐらいなんだが。俺らも話しに出てくるんだろ?」

 「……どうしても言わないと駄目?」

 「そりゃ聞く権利ぐらいあると思うけど?」

 

 エドの話題にみんな、興味津々だ。

 困ったな。本人を目の前にこれを言うのは。後々エドが羞恥心で死ぬやつだと思うんだが。

 聞かれた以上は仕方ないか。

 僕はみんなに、全てを話すことを決意したんだから。

 

 「タイトルは鋼の錬金術師。主人公はエドワード・エルリック。君が主人公だ。」

 

 そう言われたエドは、予想通り表情が真っ赤になって、叫んだ。

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