「もう、ほんとミシェル兄さん起きなかったらどうしようって思ったんだからね!」
「自分でも起きられたことにびっくりしてる」
「驚くなよクソ兄貴」
あれから昼頃まですぐ寝てしまったミシェルだが、ぱちりと目を覚まして起きたらまだヒューズ邸だったことに驚いて再度びっくりしたのは新鮮だ。『洗脳』を使ったら中々起きられないのは自覚していたから余計だ。グレイシアに弟達の行方を聞いたら主人と一緒に中央司令部まで行ったと聞いて、お礼を行って合流した次第だ。
その時に、昨日の残りがあるから食べて行きなさいと言われてミシェルはありがたくグレイシアの料理を食べることが出来ている。
「え、いいですよ。昨日ろくにお話もできていないのに」
「主人から聞きましたけど、昨晩から何も食べてないでしょう。体壊すわよ。」
「大丈夫ですよ~~!(エドの血液飲んだし、空腹事態は大丈夫)」
「それとも、私の料理がまずいとでも?食べてきなさい!」
「あはは……そんなことないですよ!むしろいいなぁ~~!って寝ながら思ってたぐらいです!起きられなくて申し訳ない……すみません、ほんと。寝床まで用意していただいて、一番の寝坊助なのにご飯まで……」
グレイシアの料理は本当に美味しかった。
「昨日の、妖精さんだ!まだ居たんだ!遊んで~~!」
「(あ、そうか。子供だから僕の幻覚見破れたのか。今は大丈夫っぽいけど、大人にもバレてないから大丈夫かな)」
そのあと少しミシェルはエリシアちゃんともきっちり遊んでいた。
ミシェルは思った。なんとかしてヒューズ中佐も救いたいと。
■
「アイザックが東に向かってセントラルを出たぁ?!行方知らずっておい……」
「そういう訳もあってセントラルの厳戒態勢も明朝を持って解除された。死亡者もあれから出てないからな。報告によればアイザックはどちらかといえば司令部を目指していたらしいがな。東の方に行ってしまったのなら後は東の者に任せる、だそうだ。アイザックはアメストリス全土にて指名手配されることになった。また見かけ次第厳戒態勢で迎え打てだそうだ」
「僕たち、イーストシティに戻ったほうがいいんですか?」
「ウィンリィ達も心配だしなあ」
賢者の石を求め、奇跡の業を齎すと噂のリオールの街に行く予定であったが、凶悪犯が故郷の方へ目的も分からずに逃走となるとさすがにエルリック兄弟も気が気じゃなくなるのである。
「そうだな……私達はイーストシティに戻るが、君達兄弟に関しては特に言われてないな。家族同然の幼馴染が心配なら一旦故郷に戻るのもいいだろう。元の体に戻るための旅に行くなら行っても良いが。それより、空想のはまだ起きてない上、まだ司令部に来てないのか?大総統が探しておられたぞ。どちらにしろ会ってから行動すべきだな」
「ゲ。兄貴またなんかやったのか?……特に心当たりはないけど、朝1回起きたと思ったらまた寝落ちしてしまったし.....ちぃっ。ヒューズ中佐にも迷惑かけてさあいつ。さすがに今晩も起きなかったら別の宿だなとは」
来る気配のない兄にイライラしているエドを見てマスタングは察した。
「……その様子だとまた喧嘩したんだな鋼の」
「アイザックの件で。腹立って3回ぐらい殴ったら2回あたった。先走るなとか色々不満があって……つい」
「殴っても奴の奇行が落ち着く訳ないだろう」
「……」
マスタングの言葉にエドは黙ってしまうが上司の圧を感じて話を続ける。
「……だけど今回は違う。俺たちがアイザックを逃したせいで今度は俺たちの故郷を危険に晒してしまった。なんでアイザックが急に殺しを辞めたのか分からねえけどよ。死人が出てるのは間違いないんだ。ほっとけねぇ」
「そうだな」
その言葉にマスタングは頷いた。
「ロイ!エルリック兄弟も居るか?!ミシェルが大総統と面談するそうだ!」
ばたばたと慌ただしくマスタングの部屋に入り込んで来たのは、ヒューズだった。その言葉にエドは飲み込んだコーヒーを吹き出して、あわわと顔を青ざめた。
「今度はなにしたんだよクソ兄貴――!」