両脇を固められ、歩く。
薄暗い道を行く。
どうしてこうなったのか。
考えるまでもない。
百、ヤツのせいだ。
ため息を零しながら左右をヒッソリと見やる。
緊張した面持ちで、私が普段使いしている小道具を持って歩いている彼等。
それだけでなく、私の逃走防止も兼ねた護衛でもある。
「観客はどの程度だ?」
「翌日にも関わらず満員です」
「暇人が多いのだな」
「彼自らの指名なのです。実際に見たいと思うのは人の性でしょう」
「まあ――カイザーコーポレーションの良い宣伝にはなるだろうが」
何か言いたげに。
口が開き掛けたが何事も出ずに閉じた。
名誉だの何だの言いたいのかも知れないが、私としては引き摺り出されたのに変わりない。
「オクトパスバンクもだがな」
カイザーコーポレーションも。
世界大会のスポンサーであった。
要するに、繋がりがあったのだ。
そして繋がりがある以上、それを利用するのが大人の世界。
新しい世界チャンピオンご指名の、カイザー・D・M。
この私を引き摺り出すこと等、赤子の手を捻るよりも簡単な事だったのだろう。
オクトパスバンクの社長室で籠城を決め込んでいた私の目の前で、物理的に取り外される扉の姿に個人の無力を思い知ったモノだ。
「ご準備は」
足元に差し込む光。
あと一歩。
踏み出すだけでその光を全身に浴びることになるだろう。
身嗜みを確認してくる二人に対し、手を振って応える。
「常に」
「それではどうか、ご武運を」
先に進み出た二人。
出てすぐの両脇に立ち、頭を下げた。
確認してからゆっくりと、さながら靴音を鳴らすようにしながら光の下へと出る。
―― !!!!!!!!!
衝撃。
声と認識も出来ない音が、全身を叩く。
だが私は、それを聞いていないようにたた足を進める。
ステージ。
スタジアム。
中央に用意されたそこに立つ、彼の元に向けて。
「 」
何か、言った。
此方に背を向けている彼の声は生憎聞こえない。
恐らく「来たか」辺りであろうか。
ゆっくりと振り向いてくるその刹那。
不敵な表情の中に僅かな不安の色が覗き、消えていた。
不安を覚えるのなら最初から呼ばなければよいものを。
ある種、子供の我儘のような振る舞いに、苛立ちよりも仕方なさを感じる。
付き合ってやろう。
ただ、終わったら一発引っ叩く。
内心でそんなことを考えつつ、表には出さず、足を止める。
すぐ横に小さな丸テーブルと、ビンゴマシンが置かれた。
素早く。
しかし見苦しくない足取りで去って行くのを、収まりつつある歓声の中で感じ取りながら顔を動かす。
「――此度は、この大舞台への招待、感謝する」
「いやいや。お前を呼ぶには小さ過ぎる舞台だ――本当に、申し訳ない」
戯けるように。
大仰に、その手を大きく振りながらその頭を深く下げた。
やはりエンターテイナー。
魅せる仕草に余念がない。
この場合、私は下手に併せるよりも大物然にして、相手に振舞わせる方が上手く回る。
過去の経験談だ。
変に併せようとして失敗したのは苦い過去と言うモノ。
「それで? ――遠路遥々訪れた私に、お前はどんなショーを見せてくれるのかね?」
「ああ! お見せしよう! 最高のデュエルを!」
デュエルディスクが開かれる。
併せて、私もビンゴマシンの上側を叩くように回す。
音を鳴らしながら回転するカゴ。
僅かな沈黙と、しかし存在するどよめき。
私のスタイルを知らない者が居るのか、それを教えている声がする。
「……?」
見る。
ビンゴマシンを。
回り続けるソレから、玉が出てくる様子がない。
普段なら数回転もすれば出るはずのソレが、一向に出ない。
いやむしろ、加速している。
回転を強いている訳でもないのに加速し、網目すら見えなくなるビンゴマシン。
流石にその異様に気付いた観客が何事かと漏らす中、
「っ」
音を立てて、外れた。
回転の割には軽く。
遠くに転がるでもなく、ただ私の足元に落ちた。
完全な静寂。
その中で。
「……………………ククク」
思わず、声を漏らしてしまった。
外れた、ビンゴの丸カゴ。
留め具に繋がっている部分に、かつて書いた、
「番号は………………ゼロ番だ」
ソレを高々と示す。
私の使用するデッキは百個。
しかそれはあくまでも、厳選した数で、百だ。
実のところ、それ以外の番号とデッキも存在する。
百一番から百八番まで。
オーバーハンドレッドナンバーと名付けている、忌番。
【三幻神】。
【三邪神】。
【蛇神】。
【三幻魔】。
【方界】。
【地縛神】。
【時戒神】。
そして、【ヌメロン】。
以上からなる八つ。
十全の力を発揮するためには専用の構築が必要なデッキ。
もしも本当にマズい事態になったとしても此方を使う方が圧倒的にマズいことになりそうなので封印している番号。
でも何かあった時には自主的に出て来て貰えると助かる。
そんな気持ちで割り当てた番号。
具体的には、その番号の玉をチャック式の小銭入れに小さな南京錠を掛けて封印している。
しかし、ゼロ番は違う。
【サイバース族】のデッキだ。
使うことは現状、有り得ない。
だが、遊戯王の世界では何が起こるか分からない。
だからこそ、可能性だけはゼロにならないようにとビンゴマシンの丸カゴの横にマジックで書いておいた番号がゼロ番だった。
それが今、出た。
「少し失礼」
驚いているズァークを尻目に電話を取り出し、掛ける。
コールで五回。
彼が出た。
『いきな』
「単刀直入に言う。監視装置をすぐに起動できますか、赤馬博士?」
挙がるざわめき。
観客の視線の動き。
それを元に、居るであろう場所を向く。
遠目にも電話に出ている赤馬博士の姿が見えた。
会場のモニターの大画面にもその姿が映し出されるのは申し訳ないが、
「いかがなのですか?」
『あ、ああ……出来る。だが一体……』
「ゼロ番は、私が彼等に割り当てていたデッキ番号なのです」
『! 分かった、起動する』
脇に置かれていた小さなバックから小型の電子機器を取り出し、何事かをし始めた。
その姿を眺め、電話を切る。
電源ごと切る。
懐に収めながら、代わりにデッキを取り出し、デュエルディスクに差し込んだ。
小さく響く、エラーの音。
このままではデュエル出来ないことを表しており、それを示すようにデュエルディスクは展開されない。
「…………エラーだぞ?」
「問題ない。そちらの準備を先に進めてくれ」
訝しむズァークだが、今言った所で誰も信じないだろう。
不審を表情に覗かせ、しかし己には関係ないと切り替えたらしい。
彼方は問題なく展開されるデュエルディスク。
何をするつもりなのか。
だが一先ずは、任せるべきだろう。
動きを抑え、ズァークが引き立つよう舞台装置のように控える。
こう言う時、機械の体は微動だにせず居られるから助かる。
「――――お前達」
一言。
それだけで、会場が鎮まる。
私を訝しむ声も。
博士に興味を惹かれる者も。
たった一言。
ズァークが言葉を発しただけで、引きずり込まれた。
「昨日、俺は言ったな? 俺は満足していないと! だが、お前達はどうなんだ! 昨日のデュエルで、満足してしまったのか!?」
沈黙。
「どうなんだ!」
問い。
してない。
してない。
してない。
してない。
してない。
「まだだ! まだ足りない!」
囁き。
もっと。
もっと。
もっと。
もっと。
もっと。
「もっと声を! もっと激しく! もっと強く、その心を揺さぶる程に激しく!」
喋り。
もっと。
もっと。
もっと。
もっと。
もっと。
「もっとだ!」
叫び。
もっと。
もっと。
もっと。
もっと。
もっと。
「もっと!」
喚き。
もっと。
もっと。
もっと。
もっと。
もっと。
「もっと!」
金切り。
もっと。
もっと。
もっと。
もっと。
もっと。
「もっともっともっと!」
怒号が。
もっともっともっと。
もっともっともっと。
もっともっともっと。
もっともっともっと。
もっともっともっと。
「もっともっともっともっともっとその魂を揺さぶれ!」
もっともっと見たい。
もっともっと感じたい。
もっともっと見ていたい。
「お前達が求めるのは、この程度ではないだろうっ!!!」
最早衝撃となった声が周囲から。
四方から。
世界から放たれる。
全身を叩くような振動。
その中で恍惚として立つズァーク。
「――――届く」
不意に零されたその言葉。
誰も。
まるで気付いていないその言葉が、やけに響いて聞こえた。
しかし私は動かない。
動く気はない。
ズァーク。
彼が、見せると言ったのだから。
最高のデュエルを見せてくれると言ったのだから。
デュエルディスクに叩き付けるかのように、その手が動く。
「オッドアイズ!」
二色の眼を持つ赤い竜。
「スターヴ!」
毒々しい色合いの紫竜。
「クリアウィング!」
空のように明るく白い竜。
「リベリオン!」
強大な牙を持った黒竜。
「時を読み――星を読む」
四体の龍が飛ぶ。
「時空を司る魔術師よ!」
四天の龍が舞う。
「《アストログラフ・マジシャン》よ!」
頂点に立つは宙を映した魔術師。
「今こそ束ねよ!」
掲げたる杖。
「彼等が望みを!」
そこへとその姿が吸い込まれて行く。
「我等が望みを!」
会場の空を越えて高く。
「今こそ、一つに!」
広がる青空を越えて髙く。
「我等を一つに――――!」
それ等の姿が遥か高みへと吸い込まれて行く。
いや違う。
空はあれほど蒼くない。
空はあれほど深くない。
空はあれほど遠くない。
あれは。
あれは。
あれは。
宙だ。
宇宙だ。
宇宙がすぐ其処にある。
宇宙がすぐ間近に迫っている。
解ける。
溶ける。
融ける。
四体の龍が。
四方の天が。
時空の中へと、
「――――顕れよ!」
『――――繋がる!』
「――――来るか!」
瞬間。
光が。
来た。
――
誰かの笑い声。
光の奔流。
目を開けることすら辛い中、私の中のデータが書き換わって行く。
新しき常識。
新しき法則。
新しき召喚。
グオォォォォォォォオオオオオン!!!!!
其れは、其の声に消し飛ぶ。
圧倒的な、何か。
微かに視野を開く。
刹那。
しかしそれは既に空から消えていた。
宙、もない。
あれほど近くに感じたソレは既にない。
数秒か。
あるいは数分か。
どれだけの時間が過ぎ去っていたのか分からない。
しかし。
世界はまるで変りなく。
高笑いを続けているズァークだけがそこに居る。
「――ズァーク」
「ハハハ! 構えろ、カイザー! 魅せてやろう、俺が超越して見せた世界を! 全く新しき召喚を!」
「生憎、それは私の方もなのだよ――ズァーク」
表情が消えた。
私をじっと見て来る彼に対し、眼前に拳を構えるように、握る。
同時に。
先程までエラーを吐いていたハズのデュエルディスクが展開。
デュエルが出来ることを証明して見せた。
「――――何を」
「始めようじゃあないか……ズァーク」
「!」
「デュエルを」
「良いだろう!」
両腕を開き、嗤うズァーク。
対し、私はただ悠然と立つ。
「「デュエル!」」
順番は。
私が後攻。
「まずは俺の先行――! 手札より、《おろかな埋葬》を発動!」
出たわね。
「この効果によりデッキから、《覇王眷竜ダークヴルム》を墓地に送る!」
「覇王眷竜……? お前に付き従う竜と言うことか」
親の展開より見た展開。
と言うのを私は知っているが、現状ズァークが初めて使うモンスター。
多少わざとらしく口にしておく。
「《覇王眷竜ダークヴルム》は、俺のフィールドにモンスターが存在しない場合に墓地から特殊召喚することが出来る! 墓地よりその姿を現せ、《覇王眷竜ダークヴルム》!」
「レベル4のドラゴン族か……普通の……いや、何だ……? 何かが違う」
「種明かしをそう急かすなよ! 《ダークヴルム》の効果! このカードが召喚、特殊召喚に成功した場合、デッキから「覇王門」ペンデュラムモンスターを手札に加えることが出来る!」
「ペンデュラムモンスター?」
「急ぐなと言っている! 俺が手札に加えるのは、《覇王門の魔術師》! そしてそのままペンデュラム効果を発動する!」
「なに!? モンスターではないのか!」
「ペンデュラムモンスターは魔法カードとしての効果も持っている! 《覇王門の魔術師》のペンデュラム効果により、自身を破壊してデッキから「覇王門」ペンデュラムモンスターをペンデュラムゾーンに置く! 俺は《覇王門零》をペンデュラムゾーンにセット」
中空に、それは現れた。
何処か不気味に輝く、円型の何か。
「ペンデュラムゾーン……? いや、それよりもなぜ《覇王門の魔術師》が墓地に行かない!?」
「ペンデュラムモンスターが破壊された場合、送られるのは墓地ではなくEXデッキに表側で送られる」
「なん……だと?」
驚き、思わずと言う風に一歩引く。
今までとは一線を画すモンスターに怯んでいるかのように。
実際、驚きの声が上がっているが、それよりも新しい存在への関心の方が大きく見える。
「次いで、俺のフィールドのカードが効果で破壊されたことで」
もう来るのか。
驚いている間にも、時空を割るようにその姿を見せる、
「手札より、《アストログラフ・マジシャン》を特殊召喚する! そしてその効果で選択するのは当然、《覇王門の魔術師》!」
深い、宙を思わす青き《アストログラフ・マジシャン》。
破壊されているのは《覇王門の魔術師》しかいないからそれはそうだろう。
見守っている内にも、《アストログラフ・マジシャン》がその杖で頭上に円を描く。
その内より現れた光が、迷うことなくズァークの元へ、手札へと加わった。
「――そのまま、手札に加えた《覇王門の魔術師》の効果を発動。自分のペンデュラムゾーンにこのモンスター以外の「覇王門」カードが存在する場合、我が四天の龍の一体を手札かEXデッキから墓地に送ることで特殊召喚出来るのだ! 今一時、眠れ《クリアウィング・シンクロ・ドラゴン》よ――そして門より出でよ、《覇王門の魔術師》よ!」
中空に浮かぶ覇王門が光る。
刹那。
飛び出すように、生身を思わすほどに体の浮き出た、白い《覇王門の魔術師》はフィールドに降り立り。
そして、その極光のように青い杖を、覇王門へと向けた。
「そして特殊召喚に成功した場合、魔法使い族以外の《覇王龍ズァーク》のカード名が記されたカードを手札に加えることが出来る」
「覇王、龍……?」
「安心しろ、すぐに見せてやるとも! 手札に加えるのは《覇王門無限》」
空の覇王門から闇が吐き出され、此方もまた、迷うことなくズァークの手札へと加わった。
さて。
ズァークの手札はまだ多い。
使ったのは《おろかな埋葬》と《アストログラフ・マジシャン》。
現状その手札には元々の残りの三枚に、《覇王門無限》が加わって四枚。
にも関わらずそのフィールドには《覇王眷竜ダークヴルム》、《アストログラフ・マジシャン》と《覇王門の魔術師》。
レベル4モンスター一体に、レベル7の魔法使い族が二体。
手札の消耗の割に盤面が良過ぎる。
しかし幸いなのは、《覇王門無限》を使ってペンデュラム召喚を行う場合、フィールドにモンスターが居ないことが条件だ。
だが《覇王門零》と《覇王門無限》。
この二枚がペンデュラムゾーンに揃えば融合系統のサーチが出来てしまう。
通常召喚もまだ行っていない。
故に。
間違いなく、来るだろう。
出来ることは何もないが。
「――レベル7モンスターが二体……」
次の展開を考えているらしいズァーク。
観客を飽きさせないよう、意味深に呟く。
幸い、この言葉の意味を理解出来ないようなのは、観客としてこの場に居ない。
視線が私の呟きから、ズァークへと視線が移る中、その顔を歪めた。
「まあ待て。まだまだこれからだ! 俺は手札の《虹彩の魔術師》をPゾーンにセット!」
これで割れていない残り手札は一枚。
フィールドに赤い剣が突き刺さる。
同時に。
空に浮かぶ《覇王門零》。
「Pスケール0の《覇王門零》とPスケール8の《虹彩の魔術師》。この二つの間に揺れろ!」
その二つに、青白い光の柱が降り立つ。
だけではない。
誰かが指を差す。
誰かが口に出した。
浮かび上がる巨大な数字。
0。
8。
そしてその間に浮かぶ、赤黒い結晶。
「我等が魂!」
揺れ動き、
「魂のペンデュラムよ!」
不気味なアークが描かれ、
「天空に描け、光のアーク!」
そして開かれる。
巨大なる深紅の門。
「ペンデュラム召喚! 出でよ、我が僕のモンスター達よォオオオオオオ!!!」
溢れ出す光。
鮮烈な光に、思わず顔を腕で隠す。
とは言え微かに見える光景の中、現れるのは二体。
八の字を思わす、何処か不気味に輝く何か。
そして青と緑を基調とした、とんでもないスカートを履いた女魔術師。
「ペンデュラム召喚! 今のは一体……!」
「ペンデュラム召喚は、ペンデュラムモンスターの持つPスケール、その二体の間の数字のモンスターを特殊召喚することが出来る召喚法!」
「なんだと! それでは、今で言えば――」
少し大げさに。
未だに残ってくれている青い柱。
その中にある巨大な数字を交互に見遣る。
「――レベル1から7までのモンスターが出したい放題ではないか!」
「説明ご苦労。だが生憎、ペンデュラム召喚は一ターンに一回しか使えず、手札のモンスターはそのまま出せるが、EXデッキの方は工夫が必要なようだがな……」
「工夫?」
どうやらEXモンスターゾーンについて何か分かっているらしい。
私の方で説明したい所だが。
そのような内心を出さず、すっ呆けたまま疑念のように口にする。
しかし、返されたのは振り払うような手の動き。
「今は関係のないことだ――ペンデュラム召喚を行ったのは手札の《覇王門無限》と《白翼の魔術師》。そして《覇王門無限》の効果を発動する」
「フン……無限の名を冠するソレは、どのような効果だ?」
「このカードと自分フィールドのカードを対象に取って発動出来る。このカードと対象に取った――Pゾーンの《虹彩の魔術師》――カードを破壊し、EXデッキからドラゴン族のエクシーズモンスターかPモンスターを特殊召喚出来る! 特殊召喚されたモンスターの攻守は0となり、効果も無効にされるがな」
「大げさなのは名前だけと言うコトか」
「せっかちなのはお前の悪い癖だぜ? EXデッキより《スターヴ・ヴェネミー・ドラゴン》を特殊召喚!」
半身蛇体。
三日月を背負ったような毒々しい竜がその姿を現したが、正直拍子抜けだ。
他にも出す候補は幾らでも居るだろうに。
それはさておき、問題は残りの二枚。
「効果で破壊された《虹彩の魔術師》の効果で、デッキから《星霜のペンデュラムグラフ》を手札に加える。そして、効果で破壊された《覇王門無限》がその効果で、代わりにPゾーンにセットされる」
「スケール13――とは言え、今更Pゾーンに加わって何になる?」
「《星霜のペンデュラムグラフ》を発動し――《覇王門零》のP効果。もう片方のPゾーンに《覇王門無限》が存在する場合、これら二枚の覇王門を破壊することでデッキから「融合」魔法または「フュージョン」魔法カードを手札に加えることが出来る」
「っ、なんだとォ!」
等と言いつつ。
加えられるのは十中八九《ミラクルシンクロフュージョン》だ。
あの使い辛いながらもえげつない効果。
《覇王龍ズァーク》を出すために存在しているような効果なのだから。
迷わず加える。
そう思っていたのだが。
何やら、迷っている。
何故だ。
フィールドに居るのは既に五体。
《覇王眷竜ダークヴルム》、《アストログラフ・マジシャン》、《覇王門の魔術師》、《白翼の魔術師》、《スターヴ・ヴェネミー・ドラゴン》。
墓地には《クリアウィング・シンクロ・ドラゴン》が居る。
一通り揃えられる訳だから、躊躇う理由がないと見えるのだが。
唾を飲むような動作をし、観客に対して時間を稼ぐ。
長い沈黙。
しかし、嗤うズァークがついに破った。
「――――俺が手札に加えるのは、《ペンデュラム・フュージョン》!」
「ほう……!」
「だが、まずは《覇王眷竜ダークヴルム》とチューナーの《白翼の魔術師》でエクシーズ召喚!」
「レベル4が二体……ならば、来るか!」
「漆黒の闇より愚鈍なる力を砕く暴虐の牙! 今、降臨せよ! 《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》!」
歓声が上がる。
来たか。
四天の龍が一角。
下顎から突き出た逆鱗を持つ、龍。
相手モンスターの攻撃力の半分を減らし、その分だけ強化される効果を持つ攻撃的なモンスター。
だが、なぜこのタイミングで。
「そして――――《ペンデュラム・フュージョン》の効果を発動。フィールドの《アストログラフ・マジシャン》――はEXデッキだが――《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》を墓地へと送り」
ここでその二体か。
悩んでいたようだが、それなら《覇王門の魔術師》の方が良かったんじゃあ。
いや。
なるほど、そう言うことか。
《覇王眷竜ダークヴルム》を墓地に送る手段としつつ、エクシーズモンスターのドラゴン族も墓地に送る。
《アストログラフ・マジシャン》に関しては、EXデッキからの回収手段が何かしらあると見れば良いだろう。
追加で言えば。
フィールドにあの龍以外を、攻撃力2500ある《覇王門の魔術師》を残すことで万全の態勢を望んだか。
それに予定では。
P召喚されているためシンクロ召喚時に除外されるハズの《白翼の魔術師》。
それも墓地に送られている。
「融合モンスター《スターヴ・ヴェネミー・ドラゴン》を融合召喚!」
「二体目だと!?」
いやしかし。
なんで二体も《スターヴ・ヴェネミー・ドラゴン》入れてるんだよ。
と突っ込みたい所を驚きでごまかす。
融合モンスターとしては素材が緩くて出し易い方だが、そんなに強い方ではないだろうに。
それよりも《アストログラフ・マジシャン》と《虹彩の魔術師》は今はEXデッキに加わっている。
なので明確に居るのは。
フィールドに、《スターヴ・ヴェネミー・ドラゴン》二体。
墓地には、《白翼の魔術師》、ドラゴン族では《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》と《クリアウィング・シンクロ・ドラゴン》のどちらも。
どの方法で来てもおかしくはない。
いや。
おかしくはなかった。
なかったが、さて。
《アストログラフ・マジシャン》がEXデッキに行っている状況。
そして割れていない手札は一枚だけ。
ならば方法は一つ。
最初から、握っていたと言うことか。
そのカードを。
「さあ――――お前に、神にも等しき覇王を見せてやろう!」
そうなる。
「神」と言う言葉に反応した気がするジャケットの内を、竦むフリをして抑えながら。
それでも足元を踏み固めるように立つ。
気を良くしたように。
あるいは。
気を悪くしたように。
その表情を大きく歪めながら、カードを高々と空に翳した。
「《ミラクルシンクロフュージョン》」
墓地より、二体の四天の龍たる《クリアウィング・シンクロ・ドラゴン》と《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》と。
フィールドより、双璧のように在った《スターヴ・ヴェネミー・ドラゴン》が。
空高くへと呑み込まれて行く。
見送りながら。
「俺のフィールドと墓地より、シンクロモンスターである《クリアウィング・シンクロ・ドラゴン》を含む融合素材を除外し、シンクロモンスターを素材として必要とする融合モンスター一体をEXデッキから融合召喚する――融合素材とするのは、ドラゴン族のペンデュラムモンスター、融合モンスター、シンクロモンスター、エクシーズモンスターの四体」
迎えるように開かれた腕。
併せるように、《覇王門の魔術師》がその杖を天に掲げながら円を描く。
現れる、スタジアムの空を覆い尽くすほどに巨大な魔法陣の元で再び、宙が真上にまで迫る神秘的な光景へと変わり行く。
内心、姿が似ているだけあって似た芸当が出来るのかと驚きつつ。
しかし私は見ていた。
そちらからも、目を離せずにいた。
何が来るか知っているからこその余裕として。
相手を見る、デュエリストとしての心構えもあって。
ながらで空を見つつ、故に、
「四天の龍を統べる究極龍よ! 今こそその覇王足る姿を此の世界に曝すが良い! ――統合召喚」
狂喜に歪んでいる、ズァークの顔を。
「顕現せよ、我が現身! 《覇王龍ズァーク》!!!」
ォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!
《覇王龍ズァーク》
攻撃力4000
守備力4000
ターンエンド。
会場の空に君臨する、覇王。
その絶景を前に誰もが言葉を失う中、ひっそりとズァークがその言葉を口にした。
私のターンが回って来た。
しかし、動けずに居た。
今は、まるで影も形もない。
だが確かにあった。
あの、歪んだ狂喜。
狂気。
「………………」
出来るなら、真意を知っておきたい。
この手の事柄は、遊戯王ではかなり厄ネタになり易い。
あるいは闇堕ちか。
ケア出来るならしておくべき事柄だろう。
等と頭を悩ませている中、
――でも、ペンデュラムって変なのー!
不意に、耳に入る。
――確かに今まで聞いたことないし、変な召喚方法だわなぁ?
――いいのかよ、アレ?
そんな言葉。
まだ小さい。
だが、この手の声はすぐ広がる。
考えたいことは多いが、致し方ない。
「……見事なものだ」
不穏が噴き出す前に、手を叩く。
わざとらしく、大きく。
それだけでも、少なくともズァークに相対していると言う一点からか。
注意が向けられたのを感じた。
「ペンデュラムモンスター。ペンデュラムゾーン! 全く新しいデュエルモンスターズ!!!」
大仰に。
両腕を羽のように開く。
まるで役者だ。
大根役者だが、それでも良い。
今。
この場で、
「認めようとも……いや、認めざるを得ないとも! デュエルディスクが反応し! ペンデュラムモンスターをペンデュラム召喚して見せたのだ!」
この場の者達を納得させるだけの言葉を回せばよい。
とりあえず認められれば良し。
後はなし崩しで認められる。
何せ、デュエルディスクが認めているのだから。
「それを否定する等、デュエルモンスターズに対する反逆! 否。デュエルモンスターズを司る神への否定に等しい――――そうだろう! 諸君!!!」
ハイと言いなさい。
その一心の元、力強く言い放つ。
どうだ。
どうだ。
どうだ。
結果は、
――た、確かに……!
――デュエルディスクが反応してるなら、何の問題もないってことだよな!
――ペンデュラムモンスターか! カッケー!
――あたしにもアレが使えるってことだよね?
アレと言うか《覇王龍ズァーク》は無理だと思うが。
まあ、そこは口にしないで置く。
それよりも重要なのは、ペンデュラムモンスターとペンデュラム召喚が通ったと言うこと。
一つ通った。
ならば、だ
「――――そこで諸君、一つ問いたい。君達は異世界と言うモノを信じるか?」
もう一つ通しても問題あるまい。
突然の言い様。
フリーズしている周囲。
だが、関係なく口を回す。
「あるのだよ、異世界は。同じようにデュエルモンスターズが存在している、世界が」
「――突然何を言うかと思えば」
助け舟。
あるいは、単に呆れただけか。
乗って来たズァ―ク。
それに併せる。
「信じられないか、ズァーク?」
「信じるも信じないも……証拠はあるのか、証拠は?」
「あるとも。確かな証拠が」
「……ほう?」
微かに、驚いたような声。
私はそれに、ニヤリと笑う。
「今から見せるモンスター、そして召喚法こそがその証明だ!」
このまま流れで押し切ってやる。
「私のターン、ドロー! 手札を一枚墓地に送り、魔法カード《サイバネット・マイニング》を発動!」
「聞かないカードだ……」
「それはそうだろう。この効果で私はデッキから、レベル4以下のサイバース族を手札に加える」
「サイバース族……?」
「手札に加えた《アチチ@イグニスター》のそのまま召喚! その効果で《ヒヤリ@イグニスター》をデッキから手札に加える」
そこで。
一度動きを止める。
説明をするには良い具合だ。
デッキからサイバース族をサーチし、召喚した。
ペンデュラムモンスターのように、デュエルディスクに認められていると証明出来た。
このタイミングが。
「――異世界には、サイバース族と言うモンスターが普遍に存在している」
「何故、そんなこと知っている?」
「この世界で私が見付けたからだ」
嘘です。
元から持っていたから知っていた。
とは言えその方が怪しいので、ここは手に入れたとしておくのが良いだろう。
「最初は私も、誰かの悪戯かと思ったよ――知らない種族の、知らない召喚法で出せるモンスターの存在等と……」
「…………だがお前は」
「信じた。ロボットでしかない私の、シャットダウンと言う名の眠りの中で、そのモンスターが語り掛けてきたのだからね」
驚き、目を見開くズァーク。
会場も大きくざわめいている。
当然だ。
普通なら、廃棄処分まっしぐらの事柄だろう。
だが、私は知っている。
持っている。
サイバース族を。
リンクモンスターを。
そしてこの場で証明している。
サイバース族の存在を。
そうであるならば、誰もが信じるしかないのだ。
私の与太話を。
「運が良かったと言うべきかな。その頃の私はちょうど、カイザーコーポレーションの仕事の関係である人物と繋がりが出来ていた」
「まさか……」
「そう、赤馬博士とだ」
まだ怪しむモノが居るだろう。
だからここで博士を巻き込む。
デュエルモンスターズに革新を起こした博士を。
「赤馬博士が私の見付けたカードの研究を進めて下さり、おかげで異世界があることは判明した。しかし、薄かったのだ」
「薄かった?」
「繋がりだ。私の手にしたリンクモンスターがこの世界に来たのは偶然だった――ほんの些細な時空の歪みに巻き込まれ、事故のようにこの世界に来てしまったのだ。そうでなければ、時々出来る歪みから電波を得られる程度の、薄い薄い繋がりだった」
実際、そう言うのが居るのかは知らない。
ここではとりあえずそう言うコトにしておく。
「ならば何故」
「お前のお陰だ、ズァーク」
「俺の?」
訝し気な顔をする。
それに対し、空を示す。
今は《覇王龍ズァーク》が占有する、空を。
「あくまで推測でしかないが――お前の《アストログラフ・マジシャン》がペンデュラムモンスターとペンデュラム召喚は生み出した際、時空に大きな歪みを齎したのだろう。そう、サイバース族達の居る異世界と明確に繋がりが出来るほどに強大な歪みを」
「……そうか! あの時、空から来た光は!」
思い返すは、あの時。
ズァークが《アストログラフ・マジシャン》を利用して《覇王龍ズァーク》を生み出した瞬間。
あの時に現れた光は、ズァーク自身とは全く関係のない事柄だ。
あの光は、情報だ。
可視化される程に鮮明なデュエルモンスターズの情報を、赤馬博士が観測の元で引っ張り込むことに成功したが故に発生したのだ。
言ってしまえば研究の成果。
観測の成功例。
「――私のフィールドに「@イグニスター」モンスターが居るため、《ヒヤリ@イグニスター》を自身の効果で特殊召喚する」
驚いているズァーク。
そして周囲を他所に、私はその手を動かす。
まだもう一つの証明が終わってはいないのだから。
「《アチチ@イグニスター》を使用――現れろ、未来を導くサーキット! 召喚条件はリンクモンスター以外の「@イグニスター」モンスター一体!」
「……リンクモンスター」
「鼓動せよ! 胎動せよ! 貴様の招来が、この世界新たなる足跡の一つ目となる! リンク召喚! 《ダークインファント@イグニスター》!」
「これが、リンク召喚……!」
あるモンスターの赤子。
縮小版。
そのような姿のモンスター。
それが、そこに現れる。
僅かに見惚れている様子だったが、すぐさまその異変に気付いた。
そう。
リンクモンスターの居るフィールド。
「これは……!」
「リンクモンスターには様々な制約がある! まず一つ目! リンクモンスターはリンクモンスターの持つリンクマーカーの先か、EXモンスターゾーンにしかリンク召喚出来ないと言う制約だ」
「モンスターゾーンが増えている……! 浮いている? いや、とにかくこれがEXモンスターゾーン! EXデッキからPモンスターを出す場所は此処か!」
いえ。
別に浮くのは元々持っている機能ではないです。
本来なら追加アタッチメントをセットしてEXモンスターゾーンを増設してリンク召喚をするつもりだった。
しかし。
何やら、ちょうどEXモンスターゾーンに当たる部分に薄っすらとした光が浮いているのに気付いたのだ。
モノは試しにとやってみた結果。
なんか、浮いた。
なにこれ。
知らん。
怖。
「なるほど――リアルソリッドビジョンのシステムに干渉し、自動的にEXモンスターゾーンを創り出しているのか!」
なんかズァークがそれらしいことを言ってる。
そう言うコトにしておこう。
深く考えると怖いし。
うん。
「そしてリンクモンスターは守備力を持たず攻撃表示にしか出来ない。また、エクシーズモンスターのようにレベルも持たないが……今は関係ないことだ。《ダークインファント@イグニスター》の効果でフィールド魔法《イグニスターAiランド》を手札に加え、発動! 拓け、@イグニスター達の理想郷よ!」
その言葉。
発動に併せ、私の背後に世界が広がる。
浮いている、まるで遊園地のような小島。
何処か楽し気な声が聞こえてくる気がするが、暫くは放置だ。
申し訳ないが。
「さておき、《ヒヤリ@イグニスター》の効果で《ダークインファント@イグニスター》をリリース! レベル5以上の「@イグニスター」モンスター、《ガッチリ@イグニスター》を手札に加え、このカードのレベルを4にする。そしてリンクモンスターをリリースしたので併せて儀式魔法である《Aiの儀式》を手札に加えることも出来る」
「儀式召喚までも……!」
「ペンデュラム召喚以外はあるぞ、異世界には」
実はペンデュラム召喚もあるが。
いや、どうだろうか。
ズァークが生み出した召喚法な訳だし、実はまだかも。
とにかく、
「――《Aiの儀式》でフィールドの《ヒヤリ@イグニスター》のをリリースし、手札より《サイバース・セイジ》を儀式召喚!」
何処か記号的な文様の服を着た少女。
それが私の背後から控えめに姿を現した。
思わず背後の《イグニスターAiランド》を見やる。
まさかそこに居たんじゃあ。
視線を向けるが反応はない。
そう言う演出だっただけだろうか。
まあ、良い。
何処か弱弱しさの感じられる顔付きだが、私の出そうとしている指示は分かるらしい。
緊張した様子ながら、その手に握る杖先でフィールドを叩く。
「《サイバース・セイジ》の効果を発動! 自分のフィールドと墓地からサイバース族を含む融合素材モンスターを除外――《ヒヤリ@イグニスター》と《ダークインファント@イグニスター》を除外することで融合召喚する! 《サイバース・ディセーブルム》!」
それは竜。
機械的な上半身と、滑らかな下半身を持った竜。
それもまた背後、私の頭上を飛び越え、その身を降ろした。
「《サイバース・セイジ》と《サイバース・ディセーブルム》でチューニング!」
呼び出されてすぐと言うこともあってか。
慌てた様子で見合う二体。
一先ず、と言う具合に《サイバース・セイジ》が《サイバース・ディセーブルム》の背に跨った。
そのまま空高くへと駆け上って行くのを尻目に、口上を口にする。
「シンクロ召喚! 来たれ、《ウィンドペガサス@イグニスター》!」
消えて行った二体。
その先から、駆け下って来る天馬。
着地したのはEXモンスターゾーン。
「……EXモンスターゾーンは、リンクモンスターしか出せない訳ではないのか?」
「EXデッキから特殊召喚出来るモンスターなら何であっても問題はない。シンクロ召喚に使用された《サイバース・セイジ》の効果で、墓地の《アチチ@イグニスター》を手札に加える」
そこで漸く背後を見やる。
動かなくなっていたその理想郷が、私に見られたことに気付いたように楽し気に動き出す。
精霊とか居ないか、コレ。
見えないし関係ないだろうけども、と割り切りつつ、
「《イグニスターAiランド》の効果を発動。自分のメインモンスターゾーンにモンスターが存在しない場合、手札からレベル4以下の「@イグニスター」モンスターを特殊召喚することが出来る。ただし、同じ属性のモンスターは一ターンに一度切りだが……効果を使うのは初めて! よって火属性の《アチチ@イグニスター》を手札から特殊召喚する!」
召喚時の効果は既に使っているため意味がない。
だが、モンスターとしての意味がある。
「そしてフィールドの《アチチ@イグニスター》――サイバース族モンスターの効果を無効にし、手札から《ガッチリ@イグニスター》を特殊召喚する!」
如何にも堅そうな、有り体言うと《機動要犀 トリケライナー》を想起させる、盾を構えながらやはり背後から現れた。
サイバース族は《イグニスターAiランド》にでも住んでいるのか。
流石にそんな訳はないだろうが。
「そしてお久し振り! 《ウィンドペガサス@イグニスター》と《アチチ@イグニスター》でリンク召喚! 召喚条件はサイバース族二体! 現れろリンク2、《スプラッシュ・メイジ》!」
飛沫と共に現れる、冷たさの漂う白装束の魔法使い。
それが、
「《スプラッシュ・メイジ》の効果で墓地のサイバース族モンスターを守備表示で特殊召喚出来る! 守備表示なのでリンクモンスターは呼び出せず、この効果発動後はサイバース族しか特殊召喚出来なくなるが……関係ない! 《スプラッシュ・メイジ》と蘇生した《アチチ@イグニスター》でリンク召喚! リンク3、《トランスコード・トーカー》!」
知ってた。
そんな冷たい目で私を一瞥したかと思うと、ため息を付き、呼び戻した《アチチ@イグニスター》を小脇に抱えて後ろに引っ込んでいく。
入れ替わるように、反対側から現れたのは《トランスコード・トーカー》。
全体的に茶色の装甲に身を固めたようなそのモンスターは、
「《トランスコード・トーカー》の効果を発動!」
慌てた様子で来た道を戻って行く。
すぐに手を引かれて戻ってくるのは、
「墓地よりリンクモンスター――《スプラッシュ・メイジ》を蘇生!」
気怠そうな雰囲気を隠そうともしていない魔法使い。
手を離されたことでガックリと肩を落とし、指示を確認するように私を見やる。
「リンク3の《トランスコード・トーカー》、リンク2の《スプラッシュ・メイジ》、そして《ガッチリ@イグニスター》――そのリンク合計は、6」
予想が付いていたように。
落としていた肩を正す。
瞬間、醸し出される冷酷さすら感じる冷たい空気。
腕を組む《トランスコード・トーカー》。
盾を掲げる《ガッチリ@イグニスター》。
そして、此方を一瞥する《スプラッシュ・メイジ》。
頷き、唱える。
「――世界を守護する力の壁よ! まだ見ぬ領域に到達せよ!」
三体の姿が空へと消える。
三筋の光が絡まり合いながら、六つの光を形成する。
腕を。
脚を。
翼を。
広げるように、空に見え、降り立つ。
「リンク召喚! リンク6!」
瞬間に吹き荒れる暴風。
観客席までも吹き飛ばさんばかりの砂塵嵐。
ズァークへは、《覇王龍ズァーク》が盾となるように防いでいる中、
「――――《ファイアウォール・ドラゴン・シンギュラリティ》!」
ギュォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオン!!!!!
《ファイアウォール・ドラゴン・シンギュラリティ》
攻撃力3500
その咆哮が、自ら興した嵐を一瞬にして吹き破った。
咎めるような咆哮が放たれる。
睨み合う、二体。
《覇王龍ズァーク》。
《ファイアウォール・ドラゴン・シンギュラリティ》。
見ていないから知らないが、どちらもアニメであれば最高峰に属する存在のハズ。
ラスボス対ラスボスぐらいでもおかしくない所だが。
此方はまだやっておきたい展開がある。
「攻撃力3500……」
「《ファイアウォール・ドラゴン・シンギュラリティ》を対象に、墓地の《ガッチリ@イグニスター》の効果を発動しておこう」
遅ればせながら。
空から降って来た盾が《ファイアウォール・ドラゴン・シンギュラリティ》のすぐ前に突き刺さる。
罅が入ってはいるが、相手ターンの終了時までは持つだろう。
「《イグニスターAiランド》の効果を発動。自分のメインモンスターゾーンにモンスターが存在しない場合、手札からレベル4以下の「@イグニスター」モンスターを特殊召喚することが出来る。私は手札の光属性《ピカリ@イグニスター》を特殊召喚」
やっぱり背後。
《イグニスターAiランド》の方から姿を現した《ピカリ@イグニスター》。
最早慣れて来た。
抗議するように「ピイピイ」鳴いている気がするが、幻聴か。
機械の私に精霊の声が聞こえるハズもない。
「《ピカリ@イグニスター》の効果! デッキから《Aiドリング・ボーン》を手札に加え、そして発動。墓地から《アチチ@イグニスター》を攻撃表示で特殊召喚する」
空から降って来た《アチチ@イグニスター》。
何か酷い、それこそ崖から落ちるような、目に遭ったのか、何処か煤けて見える。
だがそれは無視。
最初の《サイバネット・マイニング》で《Ai-コンタクト》を捨てているため、これで手札はラスト一枚。
この手札と《Aiドリング・ボーン》を使い、《Ai-コンタクト》をサルベージするのもありかも知れないが。
ズァークを見やる。
油断できる相手ではない。
やはり万全を期すべきか。
「更に《ピカリ@イグニスター》のもう一つの効果! 自分フィールドの「@イグニスター」モンスターのレベルを4にする。《アチチ@イグニスター》のレベルを4に」
「レベル4が二体……!」
「その通り! レベル4モンスター二体でエクシーズ召喚! 来い、《ライトドラゴン@イグニスター》!」
二対の翼を持つ、光の竜。
その咆哮が放たれる。
しかし未だ、悠然と立っているズァーク。
効果を知らない以上、それもまた致し方ない。
「《ファイアウォール・ドラゴン・シンギュラリティ》」
故に。
掃除と行こう。
「その力の一端を、今ここに明かせ――」
翼が大きく開いていく。
煌々とした光を蓄えるソレが、頭へと昇って行き、
「――ネオエマージェンシーエスケイプ!」
光となって放たれる。
四筋の閃光。
それら全てが。
墓地に眠る《覇王眷竜ダークヴルム》と《白翼の魔術師》、あと《ペンデュラム・フュージョン》。
そしてフィールドに居た《覇王門の魔術師》を。
それぞれを貫き、ズァークの手札へと戻した。
「なっ……!?」
「《ファイアウォール・ドラゴン・シンギュラリティ》は、フィールドと墓地のサイバース族――儀式、融合、シンクロ、エクシーズモンスター――その種類だけ、相手のフィールドと墓地のカードを対象として、持ち主の手札に戻すことが出来る。そして戻した数掛ける500だけ攻撃力が上がる」
「ならばその攻撃力は……」
「そう、攻撃力は――」
《ファイアウォール・ドラゴン・シンギュラリティ》
攻撃力5500
「クッ……だが、フィールドから「魔術師」Pモンスターがフィールドから離れたことで、《星霜のペンデュラムグラフ》の効果。デッキから「魔術師」Pモンスターを手札に加える――俺が選ぶのは《紫毒の魔術師》!」
「関係のない話だ」
はい、プレミ。
さっきのターンにエクシーズ素材として使われていた「魔術師」Pモンスターのせいでその効果を発動してなかった《星霜のペンデュラムグラフ》の存在を忘れるガバ。
展開に夢中で《星霜のペンデュラムグラフ》の存在が完全に頭から抜けていた。
フィールドのモンスターカードしか使えない、ちょっと使い勝手の悪い《ペンデュラム・フュージョン》でお茶を濁したつもりになっていた。
ちょっと悩んでいたのも、《覇王門の魔術師》ではなく《アストログラフ・マジシャン》を融合素材にしていたのもそう言うことか。
何かしらで除去されても、状況に応じた「魔術師」Pモンスターをサーチ出来る手段を残していた、と。
こう言う所がデュエルマットと違って分かり辛いんだよ。
マットならカードだけしかないから分かり易いけど、ソリッドビジョンだと動いているモンスターに気を取られる。
ソレを含めてのソリッドビジョンと言われると。
まあ、はい。
その通りなのですが。
とは言え。
ズァークがライフ501以上残る事態は避けたかった故、致し方ない話ではある。
「――バトル! 《ファイアウォール・ドラゴン・シンギュラリティ》の攻撃! ウルティマテンペスト!!!」
「クッ……! 迎え撃て!!!」
巨大な《覇王龍ズァーク》の口から、螺旋の咆哮が放たれる。
それに対し、《ファイアウォール・ドラゴン・シンギュラリティ》から放たれていた光が一瞬押されて見えた。
だが。
四天の龍を統べただけの、第五天に君臨する覇王程度。
魔王に到れていないのであれば。
あまりにも、不足。
当初。
白い光しか放っていなかった翼から、二つ、三つ、四つ、五つ、六つと増えていく輝き。
それと共に増していく光の濁流に、徐々に押され、流されていき、やがて、
「グ、グオオオオオ! おのれェ……!」
「――《覇王龍ズァーク》、撃滅!!!」
天を貫いた。
胸元に空いた風穴に対し、忌まわし気に唸るズァークの姿が消える。
空いたままになっていたPゾーンに収まって行くのが見えたが。
《ライトドラゴン@イグニスター》を指差す。
口を開き。
しかし。
それは口から出ない。
ズァークのあの顔。
《覇王龍ズァーク》を呼び出した時の。
あの、狂喜の嗤み。
その真意を把握出来ていない。
その思いが、手を鈍らせる。
明らかな厄ネタを放置するのは、遊戯王的に非常にマズい。
どうする。
どうする。
ルォォォォオオオオン!
「なっ……!」
逡巡。
それを尻目に、《ライトドラゴン@イグニスター》が独りでに動き出す。
口から溢れ出す光。
攻撃の構え。
宣言していないにも関わらず。
やはり精霊が居ないか、これ。
そんなことを現実逃避気味に考えるが、そのまま攻撃させるつもりはない。
「《ライトドラゴン@イグニスター》の攻撃! しかしっ!」
手札より飛び出したソレが、《ライトドラゴン@イグニスター》の頭に飛び付き強引のその口を閉ざさせた。
唸りながら暴れる姿を尻目に、これで良かったのか悩む。
だが悩んでも仕方ないと、すぐに切り捨てる。
やってしまったモノは仕方ない。
プレミはよくある。
「手札より《ダンマリ@イグニスター》を特殊召喚し、その攻撃を無効」
漸く頭から離れた、《ダンマリ@イグニスター》。
黒い体に三対の触手のようなモノがある姿は、どことなく海草を思わせる。
攻撃を無効化したことに困惑しているズァークだが、
「だが代わりの一撃は受けて貰う。やれ」
素早く移動した《ダンマリ@イグニスター》の片側三本の触手が。
デュエルディスクごとズァークの腕を掴んだ。
次の瞬間、
「うっ!」
逃げられないその身体に、残り三本を束ねた触手が無言の腹パン。
攻撃力2300の腹パン。
呻き、膝を付いているのを他所に此方に戻って来る。
若干、引く。
「タ、ターンエンドだ」
一先ず。
状況を一度整理しよう。
ズァーク。
その残りライフ200。
出来ればしておきたかった予定通り500を下回っている。
次。
手札は四枚。
《ペンデュラム・フュージョン》と《覇王門の魔術師》に、《覇王眷竜ダークヴルム》と《白翼の魔術師》。
フィールドには二枚。
《覇王龍ズァーク》は撃破は出来たがPゾーンに移動。
そのためエクシーズモンスターである《ライトドラゴン@イグニスター》の効果は発動出来なかった訳だが。
フィールドの主力はリンクモンスターであるし、それ以外は墓地のモンスター効果が主となるため問題はない。
そして。
燦然と輝くプレミの結晶《星霜のペンデュラムグラフ》。
そこにドローも加わる訳だ。
「…………随分と苦しそうだな」
「フ、フフ……やってくれたなぁ! 俺のターン、ドロー!」
思わず掛けてしまった言葉は無視される。
まあ、良い。
状況は、私の有利に変わりなし。
「《成金ゴブリン》を発動。デッキからカードを一枚ドローし、お前はライフを1000回復する」
「ククク……普段なら余裕だろうになぁ? 実に、甘露だ」
揉み手をしながら横に侍って来るゴブリンに片手で答える。
にやにやと笑っているが、要するにドローを促進されている訳だからあまり良い状況とは言えやしない。
逆転の札は引けたか。
そんな思いで見詰めるが、その表情は渋いように見える。
「…………《手札抹殺》を発動。手札を全て捨て、その枚数だけドローする」
「私は生憎、ゼロ枚だ。気にせず引くと良い」
他はともかく、《覇王眷竜ダークヴルム》が墓地に落ちた。
ならば展開は読める。
五枚のカードをドローしたズァークがその瞳を光らせた。
「《覇王眷竜ダークヴルム》を墓地から蘇生! その効果により、《覇王門の魔術師》を手札に加える」
三体目の《覇王門の魔術師》。
最初の焼き増し。
故に展開は読めている。
「最初のターンと同じだ。効果で《覇王門無限》を手札に加える」
「……今度こそ、Pスケール13の真価が見れると言うことか」
「そう言うコトだ! だがその前に《星霜のペンデュラムグラフ》の効果。《調弦の魔術師》を手札に加える」
「フン…………まあ、良い」
良くない。
出たな問題児。
お前のかつて起こした所業。
許さん。
絶対に許さんぞ《調弦の魔術師》。
P召喚された瞬間に叩き戻してやる。
しかし。
現状、手札が五枚にそれが足されて六枚。
「今一度、その力をここに見せる時!」
地に落ちた《覇王龍ズァーク》。
空に浮かぶ《覇王門無限》。
その二つに、青白い光の柱が降り立ち浮かび上がる巨大な数字。
1。
13。
そしてその間に浮かぶ、赤黒い結晶。
「再び揺れよ、我が魂のペンデュラム! 天空に描け、光のアーク!」
それの描く弧が再び、巨大なる深紅の門を開く。
「ペンデュラム召喚! 出でよ、我が僕のモンスター達よ!!!」
睨み据える。
此処が正念場。
EXモンスターゾーン。
そこに現れる、《アストログラフ・マジシャン》。
《覇王龍ズァーク》は現状怖くないし手札にやりたくもないから放置でも良いか。
残り。
《調弦の魔術師》。
帰れ、戻し。
《覇王眷竜ライトヴルム》。
EXデッキを鑑みて、戻しても良いか。
《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》。
融合先とかエクシーズ素材に成り得る辺りが少し怖いから戻し。
《超天新龍オッドアイズ・レボリューション・ドラゴン》。
捨てた時の効果しか覚えてない。
「EXデッキからEXモンスターゾーンに《アストログラフ・マジシャン》! そして、《調弦の魔術師》、《覇王眷竜ライトヴルム》、《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》、《超天新龍オッドアイズ・レボリューション・ドラゴン》を手札よりP召喚!」
「悪いがそこで止まって貰う! 《ファイアウォール・ドラゴン・シンギュラリティ》! 今一度ここにその力を示せ!」
「なに!?」
「《調弦の魔術師》、《覇王眷竜ライトヴルム》、《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》、そしてPゾーンの《覇王龍ズァーク》! フィールドより、あるべき場所に戻るが良い! ネオエマージェンシーエスケイプ!」
再び走る、四つの光。
それらがそれぞれを貫き、ペンデュラム召喚の成果の大半を無に帰した。
一息、付く。
まだ油断は出来ないが。
「ハハハハハハハハハハ! 読んでいたぞ!」
「なに!?」
「リンク6! それがどれほど強大かは知らんが、それでもお前の出した最後のリンク召喚の時点で、自分のターンでしかその効果を使えない等と言う甘い考えはなかったわ!」
流石はズァーク。
勘が鋭い。
素直に感心するが、そうなれば逆転の手段は。
いや。
一体しかいない。
「故にこそ賭け! そして勝った! ――俺はライフを半分払い、フィールドの《超天新龍オッドアイズ・レボリューション・ドラゴン》の効果を発動する!」
瞬間。
《超天新龍オッドアイズ・レボリューション・ドラゴン》の体が光る。
溢れ出すそれは止まらない。
ズァークのライフを吸い出し、更に、
「この効果により、このモンスター以外のお互いのフィールドと墓地のカード全てを持ち主のデッキへと戻す!」
使うか。
《ダンマリ@イグニスター》を一瞥する。
しかしまるで我関せずと言う姿に、頷く。
そう思うならそうしよう。
やがて溢れ出した光は遂に臨界へと到達し、
「――――新龍昇天絶破!!!」
全てを薙ぎ払う奔流と化した。
フィールドも。
墓地すらも。
全てが光に押し流されて行く。
渦巻く光の奔流がスタジアムの中を荒れ狂う。
中でもなお、
「な、何故……ッ!」
手を叩く。
素直に忘れていた。
正直、《超天新龍オッドアイズ・レボリューション・ドラゴン》はサーチ札ぐらいの使い方しかしていなかったせいで。
「見事なモノだった――私の注意を、わざわざサーチした《調弦の魔術師》。散々引っ掻き回してくれた《覇王眷竜ダークヴルム》に似た《覇王眷竜ライトヴルム》。お前の切り札である《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》。そして《覇王龍ズァーク》に引き寄せられていた」
「なぜだ、カイザー! なぜ、なぜ…………!」
「次からは、もっと気を付けるとしよう」
納まって行く光。
その中で、ズァークが震える指先を向ける。
私。
そのすぐ横に佇む、
「なぜ、そいつが残っている!?!」
《ファイアウォール・ドラゴン・シンギュラリティ》を見て。
返すのは、失笑。
あまりにもらしくない。
相手ターンに《ファイアウォール・ドラゴン・シンギュラリティ》がその効果を発動出来ると勘付いていながら。
普段のズァークならば。
併せてこれにも気付いてしかるべきだっただろうに。
それに気付かなかった、今のズァークへ。
抑え切れなかった。
「っ」
「なぜ? やはり見逃していたのか――《ガッチリ@イグニスター》の効果を」
未だに残っている、《ガッチリ@イグニスター》の盾。
確かに役割を果たしているソレを見やる。
「《ガッチリ@イグニスター》がフィールドから墓地に送られた場合に、フィールドの表側表示のモンスター一体を対象に取る効果。そのモンスターは、次の相手ターン終了時――つまりは今のお前のターンが終わるまで相手の効果を受けない」
「な、ぁ」
「普段のお前なら、これぐらい気付いていただろうになぁ……」
いや、本当に。
凄まじいまでのデュエルセンスを持っているズァークだ。
私が、わざわざ《ガッチリ@イグニスター》で《ファイアウォール・ドラゴン・シンギュラリティ》を対象に取った段階で警戒していたハズ。
些か以上の驚きだ。
世界チャンピオンになって慢心したか。
ペンデュラム召喚を作り出して有頂天になったか。
それとも、《覇王龍ズァーク》を生み出したことが原因か。
「お、お、お俺は……俺は……!」
「……全く、ズァーク」
「俺はぁッ……!」
「お前はこの程度だったのか?」
思わず零れた。
失望を孕んだ言葉。
「ア………………俺、ぅ、あ……」
膝を付く。
項垂れる姿。
そこまで傷付くかのか。
内心、困惑する中。
痙攣するかのように震えるその手が、ゆっくりと、
「おれの……………………俺…………ま……け…………」
デッキトップへと載った、
負けてない! 俺達はまだ負けてない!!! うォおおおおおおお!!!!!
※ちょくちょく間違い等、直しています。
前と違う所がある気がしましたら、そのためです。