彼等の見る光天   作:無記名 to 稿

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ミスのご指摘があり、確認しましたらその通りでしたので一部修正した物を追加投稿させて頂きます。
内容としては分かり易いよう、「後編」の二回目のペンデュラム召喚以降から「お楽しみは、これからだ!」のデュエルの一部を修正した内容を纏めて投稿させて頂いております。

勝敗等の全体的な部分では変わりませんので、お読み頂かずとも問題はありません。
単純に、デュエル内容への納得に関わる話となります。

なぜ追加投稿と言う形を取ったかについてですが、個人的に修正前の方の後半の《超天新龍オッドアイズ・レボリューション・ドラゴン》の辺りの下りを我が事ながらで申し訳ありませんが完全に気に入ってしまっており、消すのに忍びなかったためです。
個人的な理由で申し訳ありませんが、ご容赦下さい。


お楽しみは、これからだ! ※修正版

 

 

 

「今一度、その力をここに見せる時!」

 

地に落ちた《覇王龍ズァーク》。

空に浮かぶ《覇王門無限》。

その二つに、青白い光の柱が降り立ち浮かび上がる巨大な数字。

1。

13。

そしてその間に浮かぶ、赤黒い結晶。

 

「再び揺れよ、我が魂のペンデュラム! 天空に描け、光のアーク!」

 

それの描く弧が再び、巨大なる深紅の門を開く。

 

「ペンデュラム召喚! 出でよ、我が僕のモンスター達よ!!!」

 

睨み据える。

此処が正念場。

EXモンスターゾーン。

そこに現れる、《アストログラフ・マジシャン》。

《覇王龍ズァーク》は現状怖くないし手札にやりたくもないから放置でも良いか。

残り。

《調弦の魔術師》。

帰れ、戻し。

《覇王眷竜ライトヴルム》。

EXデッキを鑑みて、戻しても良いか。

《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》。

融合先とかエクシーズ素材に成り得る辺りが少し怖いから戻し。

《超天新龍オッドアイズ・レボリューション・ドラゴン》。

捨てた時の効果しか覚えてない。

 

「EXデッキからEXモンスターゾーンに《アストログラフ・マジシャン》! そして、《調弦の魔術師》、《覇王眷竜ライトヴルム》、《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》、《超天新龍オッドアイズ・レボリューション・ドラゴン》を手札よりP召喚!」

「悪いがそこで止まって貰う! 《ファイアウォール・ドラゴン・シンギュラリティ》! 今一度ここにその力を示せ!」

「なに!?」

「《調弦の魔術師》、《覇王眷竜ライトヴルム》、《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》、そしてPゾーンの《覇王龍ズァーク》! フィールドより、あるべき場所に戻るが良い! ネオエマージェンシーエスケイプ!」

 

再び走る、四つの光。

それらがそれぞれを貫き、ペンデュラム召喚の成果の大半を無に帰した。

 

「そして再び、その攻撃力は」

 

《ファイアウォール・ドラゴン・シンギュラリティ》

攻撃力5500

 

「2000上昇する」

 

《ファイアウォール・ドラゴン・シンギュラリティ》

攻撃力7500

 

「攻撃力7500……!」

 

一息、付く。

まだ油断は出来ないが。

 

「クク――ハハハハハハハハハハ! だが、読んでいたぞ!」

「なに!?」

「リンク6! それがどれほど強大かは知らんが、それでもお前の出した最後のリンク召喚! 攻撃力の上昇が永続と言うのは少しばかり想定外でもあったが、自分のターンでしかその効果を使えない等と言う甘い考えは最初からなかったわ!」

 

流石はズァーク。

勘が鋭い。

素直に感心するが、そうなれば逆転の手段は。

いや。

一体しかいない。

 

「故にこそ賭け! そして勝った! ――俺はライフを半分払い、フィールドの《超天新龍オッドアイズ・レボリューション・ドラゴン》の効果を発動する!」

 

瞬間。

《超天新龍オッドアイズ・レボリューション・ドラゴン》の体が光る。

溢れ出すそれは止まらない。

ズァークのライフを吸い出し、更に、

 

「この効果により、このモンスター以外のお互いのフィールドと墓地のカード全てを持ち主のデッキへと戻す! どれだけ攻撃力が上がろうとも、これで無意味だ!」

 

使うか。

《ダンマリ@イグニスター》を一瞥する。

しかしまるで我関せずと言う姿に、頷く。

そう思うならそうしよう。

やがて溢れ出した光は遂に臨界へと到達し、

 

「――――新龍昇天絶破!!!」

 

全てを薙ぎ払う奔流と化した。

フィールドも。

墓地すらも。

全てが光に押し流されて行く。

渦巻く光の奔流がスタジアムの中を荒れ狂う。

中でもなお、

 

「な、何故……ッ!」

 

手を叩く。

素直に忘れていた。

正直、《超天新龍オッドアイズ・レボリューション・ドラゴン》はサーチ札ぐらいの使い方しかしていなかったせいで。

 

「見事なモノだった――私の注意を、わざわざサーチした《調弦の魔術師》。散々引っ掻き回してくれた《覇王眷竜ダークヴルム》に似た《覇王眷竜ライトヴルム》。お前の切り札である《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》。そして《覇王龍ズァーク》に引き寄せられていた」

「なぜだ、カイザー! なぜ、なぜ…………!」

「次からは、もっと気を付けるとしよう」

 

納まって行く光。

その中で、ズァークが震える指先を向ける。

私。

そのすぐ横に佇む、

 

「なぜ、そいつが残っている!?!」

 

《ファイアウォール・ドラゴン・シンギュラリティ》を見て。

返すのは、失笑。

あまりにもらしくない。

相手ターンに《ファイアウォール・ドラゴン・シンギュラリティ》がその効果を発動出来ると勘付いていながら。

普段のズァークならば。

併せてこれにも気付いてしかるべきだっただろうに。

それに気付かなかった、今のズァークへ。

抑え切れなかった。

 

「っ」

「なぜ? やはり見逃していたのか――《ガッチリ@イグニスター》の効果を」

 

未だに残っている、《ガッチリ@イグニスター》の盾。

確かに役割を果たしているソレを見やる。

 

「《ガッチリ@イグニスター》がフィールドから墓地に送られた場合に、フィールドの表側表示のモンスター一体を対象に取る効果。そのモンスターは、次の相手ターン終了時――つまりは今のお前のターンが終わるまで相手の効果を受けない」

「な、ぁ」

「普段のお前なら、これぐらい気付いていただろうになぁ……」

 

いや、本当に。

凄まじいまでのデュエルセンスを持っているズァークだ。

私が、わざわざ《ガッチリ@イグニスター》で《ファイアウォール・ドラゴン・シンギュラリティ》を対象に取った段階で警戒していたハズ。

些か以上の驚きだ。

世界チャンピオンになって慢心したか。

ペンデュラム召喚を作り出して有頂天になったか。

それとも、《覇王龍ズァーク》を生み出したことが原因か。

 

「お、お、お俺は……俺は……!」

「……全く、ズァーク」

「俺はぁッ……!」

「お前はこの程度だったのか?」

 

思わず零れた。

失望を孕んだ言葉。

 

「ア………………俺、ぅ、あ……」

 

膝を付く。

項垂れる姿。

そこまで傷付くかのか。

内心、困惑する中。

痙攣するかのように震えるその手が、ゆっくりと、

 

「おれの……………………俺…………ま……け…………」

 

デッキトップへと載った、

 

 

 

 

 

「諦めるな、ズァーク!!!」

 

かに、見えた。

その直前。

女の声。

それが静まり返っていた会場に響き渡る。

目を向けるまでもない。

私の視野は広いのだ。

声を発したのは彼女。

赤馬博士の隣に居たハズの、赤馬レイ。

彼女が何時の間にやら、フィールドと客席を隔てるギリギリまで降りて来ていたのだ。

薄っすらとその額に汗滲んでいる。

相当、慌てて降りて来たのだろう。

しかし、ズァークの反応は芳しくない。

 

「……誰だ…………俺の敗北を邪魔するのは………………」

 

凄い、マズそう。

声が明らかにマズい。

気落ちの具合が半端ない。

高笑いとかしていたさっきまでとは違い、情緒ジェットコースターかと思うほど、今の声は暗い。

何と言うか。

こうしてしまった責任を感じてしまう。

 

「諦めるな、諦めるなよズァーク!」

「……無理だ…………俺には、俺にはもう……カイザーと戦う資格すら………………」

「っ! お前は戦う資格がないと言おうとも!」

 

深刻に受け止め過ぎなんだが。

プレミは誰にでもよくある話なのだが。

一回の確認ミス突っ突いただけででそこまで落ち込まれると、私は最早まともにデュエルも出来んぞ。

 

「聞こえているんでしょう! お前のモンスター達は、まだ諦めていないわよ!」

 

その言葉に。

気付いたようにハッと顔を上げた。

今まさに、デッキへと載せ掛けていた手へと目を向けた。

仄かな輝きを放っているように見える、六枚の手札。

私視点、割れているのは《調弦の魔術師》と《覇王眷竜ライトヴルム》と《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》のみ。

まだ三枚も手札が残っているのだ。

正直、勝ち筋はあると見える。

「エクシーズ・ドラゴン」系列含め、あらゆる効果を受けない、攻撃力7500を越えられればの話だがな。

普通に考えて出来る訳ないだろ。

いや、実のところ出来はするが、それに気付けるか。

「覇王龍」に取り憑かれているような状況とでも言おうか。

そもそも、ヤツまでEXデッキに入ってたら圧迫が凄い。

追加で言えば、その上でライフ5000を削り切れるかと言う話もある。

削り切られなければ、コッチは返しのターンでライフ100を削れば良いだけな訳だし。

だがそれでも。

出来るようだったらズァークに南国リゾートを奢ってやろう。

 

「――――そうだ! 諦めるなよズァーク!」

 

赤馬レイから少し離れた、縁。

同じように声を発する男。

え、誰。

思わずそんな声を出しそうになるのを、飲み込む。

今の私は置物。

一先ず、成り行きを見守るのが良いだろう。

倒れていたテーブルを戻しながら観戦の態勢に入る。

 

「…………お前は、あの時の……!」

 

どの時だ。

何やら一瞬の回想に移っていると思われるが。

視覚機能を利用して、男の顔にズーム。

見覚えがある、気がする。

確か。

そう、プロデュエリストの一人だ。

それがどうした。

いや、そうだ。

あの時のだ。

映像で見た。

リアルソリッドビジョンの不具合で、ズァークが対戦相手に大怪我を負わせてしまった事件。

そのお相手だ。

プロデュエリストだからそりゃあ観戦に来ていてもおかしくはないか。

昔の因縁の相手と言う訳だ。

 

「お前は、俺の、俺達のチャンピオンなんだ……! それが異世界のモンスターだか何だか知らねえが、ポッと出のモンスターなんかに負けないでくれえっ!」

 

ポッと出とか酷くないか。

若干、そんなことを思いながら《ファイアウォール・ドラゴン・シンギュラリティ》を盗み見る。

ちょっと不満そう。

だが、私と同じで観戦の構え。

他にもモンスターが居れば何かしら抗議の意思を見せるモンスターも居そうな気はするんだが、フィールドも墓地も、手札まで含めて今はスッカラカンだからな。

 

「そうだぜズァーク!」

「私達のチャンピオン!!!」

「あなたはまだ、負けてないわ!」

「まだ六枚も手札が残ってるじゃねえかよォ!!!」

「負けないで、ズァーク!!!」

 

――ズァーク!!!

――ズァーク!!!

――ズァーク!!!

――ズァーク!!!

――ズァーク!!!

 

四方八方から叫ばれる、名前。

今まさに膝を付いているズァークへと向けられる声援。

それを受け止めるように、ゆっくりと周囲を見渡していく。

やがて一周し、視線を落とした。

デッキに乗り掛けた、手。

その手が、諦め掛けてもなお、離すことだけはしていなかった手札へと。

 

「そうだ――俺は、忘れていた…………この歓声……そのために…………っ」

 

下に向けられた顔。

そこから落ちた、小さな光。

見なかったことにしよう。

さておき。

そろそろ空気を出し始めても良い頃合いか。

 

「フン…………どれだけの声援。どれほどの応援があろうとも、我がシンギュラリティを越えん限り、お前に勝ちはない!」

「かも知れない――だが、俺はもう諦めない!」

 

ゆっくりと。

だが確かに。

ズァークが立ち上がる。

瞬間、巻き起こる歓声。

スタジアム中を。

いや、世界すらも。

巻き込むような一体感を感じる。

その顔は、今日出会ってから見たどの顔とも違う。

何処か。

そう、言うならば、

 

「ならば足掻いて見せろ!」

「言われなくとも! そして、見ていろ!」

 

透き通ったような、笑み。

そしてこの如何にもな流れ。

来るか。

来るか。

来るか。

 

「――お楽しみは、これからだ!!!」

 

来た。

来た。

来た。

決め台詞。

ズァークの決め台詞来た。

これで勝つる。

いや待て。

その場合、私が負けるんだが、それは、

 

「手札より《成金ゴブリン》を発動! お前のライフを回復し、俺はカードを一枚ドローする」

「ライフ6000――もう諦めた方が良いんじゃあないか?」

 

いや、仮に突破されたとしても恐らくライフ3000はまず残る。

そうなればモンスター一体での突破は無理。

普段のエンタメ用に入れている《成金ゴブリン》が完全に仇になっているようにしか見えない訳だが。

 

「いいや、俺は諦めないさ!」

「そうか。だが、貴様の察していた通り――」

 

一度、溜める。

観客に向け、その自信の程を明かすように。

 

「――私の知る異世界、その最高峰の一角に君臨する《ファイアウォール・ドラゴン・シンギュラリティ》。そう易いモノではないと知れ」

 

揉み手しながら近付いてくるゴブリン。

横目を向けるが、何となく服がボロっちい。

そう言えば、光の奔流が起きた時にもまだ残っていたな。

巻き込まれていたのだろうか。

 

「ドロー!!!!!」

 

――カン☆コーン

 

おい、今。

嫌な音、しなかったか。

同意を求めて《ファイアウォール・ドラゴン・シンギュラリティ》を見る。

視線に気付いたのか、小さく首を横に振った。

いや。

疑問に感じるんじゃなくて横に振ってるってことは、聞こえたってことじゃあ。

そんなことを思うが、スッと視線を外される。

おのれ。

 

「このカードは……! 俺は手札より《光翼の竜》を発動! この効果で、デッキから「覇王眷竜」Pモンスターか「覇王門」Pモンスター1体を手札に加える! 俺が加えるのは、《覇王門の魔術師》!」

 

そうこうしている内にもズァークは展開を進める。

 

「手札より《覇王門零》をPゾーンにセットし、《覇王門の魔術師》の効果! EXデッキから二体目の《クリアウィング・シンクロ・ドラゴン》を墓地に落とし、《覇王門の魔術師》を特殊召喚する!」

「ハッ……! 手品等、一度見れば見飽きるものだぞ?」

「フッ、今度は違うさ! 今度、手札に加えるのは、永続魔法《ペンデュラム・エボリューション》! 発動!」

「《ペンデュラム・エボリューション》? 更なる進化を見せてくれる訳か、それは愉しみだ」

 

動きが止まった。

考えている。

手札の何かしらと《アストログラフ・マジシャン》とを入れ替える流れだと思ったんだが。

違うのか。

訝しむ私を他所に、固唾を飲んで見守っている観客達。

普段からこれぐらい大人しかったら良いのに。

内心呆れている内に、変化があった。

ズァークのデッキが光り始める。

気付いたのか、目を見開いている。

おい。

このタイミングでカードの創造をするのは色々と反則じゃあないか、お前。

 

「デッキよ…………俺は、情けない男だ。途中で勝負を諦めるような、情けない男だ…………だが! 《ペンデュラム・ホルト》を発動!」

「何だか知らんが最後の悪足掻きか…………まあ良い、やって見るがいい」

 

今、ズァークのEXデッキに表側表示で居るのは。

《虹彩の魔術師》、《覇王門無限》、《覇王門の魔術師》。

発動には問題ないか。

その代わり、手札の何かしらと交換する形で《アストログラフ・マジシャン》を持って来れなくなる。

 

「俺のEXデッキに表側表示のPモンスターが3種類以上存在する場合に発動出来る。俺は二枚ドロー出来るが、代わりにターン終了時までデッキからカードを手札に加えることが出来なくなる」

 

そう。

ゆっくりと口にしながら。

願うように、その目を閉じながら。

光っているデッキトップに、その手を乗せた。

 

「――頼む! 今は、今だけは、俺に応えてくれ! 俺の友に! お前達の真の力を魅せてくれッ!!! ドロォォオオオオオオオオオオ!!!!!」

 

――カン☆コーン

 

二枚のカードが光の軌跡を描く。

だが、それよりも。

おい。

流石に二度打ちは反則だぞ。

串カツだって漬けて良いのは一回だけなんだぞ、お前。

どう思います、《ファイアウォール・ドラゴン・シンギュラリティ》さん。

鷹揚に、好きにすれば良いと言うかのように外向きに構えながら流し見る。

小さく首を傾げていた。

やっぱり、聞こえてるんじゃないか。

と言うか、本当に精霊が居るんじゃないか、コレ。

 

「――――来た!」

 

知ってた。

 

「手札の《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》と、フィールドの《超天新龍オッドアイズ・レボリューション・ドラゴン》を、《オッドアイズ・フュージョン》で融合! 融合召喚! 今一度だけ力を貸してくれ、《スターヴ・ヴェネミー・ドラゴン》!」

 

もう労基行けるだろう、《スターヴ・ヴェネミー・ドラゴン》。

と言う冗談は置いておいて。

カードの創造ではなく、デスティニー・ドローと言うモノか。

《スターヴ・ヴェネミー・ドラゴン》。

モンスター効果としては、相手フィールドのモンスターの効果をコピー出来る効果。

そして攻守を500下げられるが、《ファイアウォール・ドラゴン・シンギュラリティ》は現在、効果を受けない耐性が付与されている。

であるならばあえて今、出す意味合いとしては薄い。

ならば狙いは、そちらか。

 

「《覇王眷竜ライトヴルム》をPゾーンにセット! そして、《ペンデュラム・エボリューション》の効果! 俺がEXデッキの裏側のPモンスターを特殊召喚したターンのメインフェイズにもう一度だけ、俺はモンスターのP召喚を行うことが出来る!!!」

「なっ……! いいや、無駄だ! 幾らモンスターを揃えようとも!」

 

幾度目だろうか。

空に浮かぶ《覇王門零》と、空へと舞い上がる《覇王眷竜ライトヴルム》。

その二つに、降り立った青白い光の柱。

浮かび上がる巨大な数字。

0。

8。

そしてその間に浮かぶ、青白い結晶。

 

「《覇王門零》と《覇王眷竜ライトヴルム》とで、三度揺れよ、我が魂のペンデュラム! 天空に描け、光のアーク!」

 

今までと、少し毛色が違う。

空に描かれるは光の門。

太陽のように明るく輝くそれはあたかも、光天の門。

 

「手札より、《調弦の魔術師》を! そしてEXデッキの表側表示の《虹彩の魔術師》を!!! ペンデュラム召喚!!!!!」

 

感嘆を漏らす人々のため息。

その中、光天よりゆっくりと。

舞い降りるようにその姿を現す。

《調弦の魔術師》。

《虹彩の魔術師》。

 

「そしてP召喚に成功した時、《調弦の魔術師》の効果を発動する!」

 

とりあえず私から言えることは一つ。

出たわね、問題児。

 

「《調弦の魔術師》のP召喚に成功した時、デッキから、《調弦の魔術師》以外の「魔術師」Pモンスターを効果を無効にして守備表示で特殊召喚する」

「とんでもない効果だな……!」

「手札からのP召喚でしかこの効果は使えず、呼び出したモンスターはフィールドを離れた時には除外。融合、シンクロ、エクシーズの他の素材は「魔術師」Pモンスターしか使えないがな――俺が呼び出すのは《紫毒の魔術師》」

 

それで許されるとでも思ってるのか。

世の中にはエクシーズ召喚と言う召喚法があるんですよ。

エクシーズ素材にすれば除外されないから実質ノーカンだぞ馬鹿野郎。

と言いたい所だが、時の効果だし手札からしかP召喚出来ないから許された。

それだけ後の世のカードパワーが上がったことの証明とも言えるが。

何はともあれ。

そして呼び出されたのは《紫毒の魔術師》。

であるならば。

 

「――――そうだ。方法は……解決策は、最初からずっとそこに居てくれていたんだ……」

 

仄かに輝きを放っている、ズァークのEXデッキ。

気付いてしまったか。

《ガッチリ@イグニスター》の効果さえなければ、《覇王眷竜ダーク・リベリオン》辺りでもっと楽に逆転されていただろうに。

つくづく今回のMVPは《ガッチリ@イグニスター》だな。

いや、最後の瞬間まで結果は分からない。

EXデッキの圧迫具合から鑑みて、入れてない可能性も微粒子レベルで存在している。

なのでズァークの呟きに気付いていないかのように口を開く。

 

「それで? レベル4モンスターが三体揃ったが、それだけだ」

「――俺は手札より《龍の鏡》を発動。フィールドの、《調弦の魔術師》と《紫毒の魔術師》を除外し、ドラゴン族モンスターを融合召喚する」

「ほう……?」

 

そう。

解決策はそこにあった。

EXデッキの中に、最初から。

 

「偉大なる魔術師達よ! 今こそその力を一つとなし、新たなる未来を指し示せ!」

 

墓地に二回も送り込まれただけの《クリアウィング・シンクロ・ドラゴン》。

Pモンスターの墓地送りに利用された《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》。

出たけどバウンスされ融合素材になった《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》。

そう考えると、コイツだけ随分扱いが良いな。

 

「現れろ、《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》!」

「四天の龍……! 最後の一体…………!」

 

周囲からもどよめきが上がっている。

彼等彼女等も気付いたようだ。

その効果に。

 

「《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》の効果! このモンスターが融合召喚に成功した場合に発動出来る!」

 

しかし。

ここに来て《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》。

《覇王眷竜スターヴ・ヴェノム》ではなく、《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》。

この状況下。

他の「スターヴ・ヴェノム」モンスター達を始めとした派生進化とでも言うべき彼方ではなく、源流とでも言うべきコイツでなければならないと言うのが熱い。

 

「相手のフィールドの特殊召喚されたモンスター一体を選び、そのモンスターの攻撃力分だけこのモンスターの攻撃力もアップする!」

 

それはそれとして。

Pゾーンも利用出来る《ペンデュラム・フュージョン》。

条件でEXデッキの「オッドアイズ」モンスターも使える《オッドアイズ・フュージョン》。

フィールドと墓地のシンクロモンスター含むモンスターを利用出来る。《ミラクルシンクロフュージョン》。

そして、フィールドと墓地のモンスターを使えるが融合先がドラゴン族専用の《龍の鏡》。

《覇王龍ズァーク》の融合召喚に特化させたような構築。

にも関わらず。

原点である一体に突破されることになるとは。

ライフ5000あれば一ターンは持つ計算だったんだが。

すまないな、《ファイアウォール・ドラゴン・シンギュラリティ》。

 

「この効果により! 《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》の攻撃力は《ファイアウォール・ドラゴン・シンギュラリティ》の攻撃力分だけ上がる! よって、《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》の攻撃力は」

 

《ファイアウォール・ドラゴン・シンギュラリティ》

攻撃力7500

 

「………………馬鹿な」

 

《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》。

攻撃力2800

守備力2000

 

「有り得ん……! こんな、こんな馬鹿なことが……!」

「7500上がり、攻撃力10000を超える」

 

《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》。

攻撃力10300

守備力 2000

 

「攻撃力10300!!!」

「ありえない……!」

 

ガクガクと体を揺さぶる。

 

「バトル」

 

遠くからでも、多少派手に見えるように大きく。

 

「我が――いや、俺の四天の龍――《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》の攻撃――!」

「あぁぁぁりえないイイいいイイイイイイ!!!」

「――奈落のアビス・フルーイッドォォォオオオオオ!!!!!」

「っ! 迎え撃て《ファイアウォール・ドラゴン・シンギュラリティ》!!! ウルティマテンペストォオォオオオ!!!!!」

 

徐々に。

増していく闇。

対抗するように《ファイアウォール・ドラゴン・シンギュラリティ》の光が、一つ一つと増えて行き、六つの光へと到る。

だが。

放たれる底知れぬ闇の奔流はその上を行く。

深淵の如く不気味な輝きを見せるそれは遂に、

 

「シ、シンギュラリティがっ!!! 私の、シンギュラリティがぁぁっ!!!!!」

 

《ファイアウォール・ドラゴン・シンギュラリティ》を。

貫いた。

轟音。

悲鳴。

大歓声が周囲から上がる。

大きく仰け反るようにしながら、倒れて来る。

衝撃。

近くに倒れ、その頭がちょうどすぐ目の前に横たわるように倒れた。

挙がっている土煙。

撃ち抜かれ、溶融した胸元。

多分、周りから見えてないだろう。

こっそりとその頭を労わるつもりで撫でる。

目が閉じられていく中、閉じ切る前にその姿はデータの粒子と消えた。

さておき私もそろそろ準備だ。

怯え竦むように両腕を予め顔の前に構える。

そろそろ来るだろう。

 

「――行け! 《スターヴ・ヴェネミー・ドラゴン》よ、攻撃!」

「う、ぐぁあああ!?!」

 

煙を吹き飛ばすように、光線が私を貫く。

そしてそのライフを一気に削って行く。

まず《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》でダメージ2800。

次いで来た《スターヴ・ヴェネミー・ドラゴン》のダメージ2500。

残りライフ700。

 

「――――この一撃を、新時代幕開けの狼煙としよう……」

 

晴れた煙の中、多少わざとらしく上体をふらつかせる。

だが下半身はしっかりと。

足元を踏み占める。

 

「EXモンスターゾーンの、《虹彩の魔術師》の攻撃!」

 

ゆっくりと剣を構える《虹彩の魔術師》。

アイコンタクト。

あとコッソリと指でどうして欲しいかアピール。

一瞬、眉を顰めたが、下段に構えてくれた。

よし。

後はタイミングだ。

スタジアムの壁まで多少距離はあるが、

 

「螺旋のストライクスラッシュ!」

 

瞬間、迫る姿。

振り上げるような剣撃。

通り過ぎた後が虹色の軌跡を描くソレを受け。

行ける。

跳ぶ。

大きく後ろ。

あたかも《虹彩の魔術師》の一撃で吹っ飛んでいるように見えるハズ。

そしてそのまま。

 

「ォオォオオガッ! お……ぉ、ァ」

 

背中に衝撃。

上手い具合に吹き飛び、壁に激突。

ゆっくりとずり落ち、床に付いた少し置き、ガックリと首を垂らす。

 

「――――」

 

完璧な演技だ。

 

――ズァーク!!!

――ズァーク!!!

――ズァーク!!!

 

予想通り、観客席から上がる歓声。

ズァークのコール。

リアルソリッドビジョンが消え、私の方を心配そうに見ている姿が映る。

確かに、ただの人間なら重症も有り得る。

だが。

私はカイザー・D・M。

リアルソリッドビジョンのデュエルにも十二分に耐えられる耐久性を有している完璧なマシンなのだ。

問題ないことを示すため、ズァークに見えるよう体の脇で小さく手を振っておく。

これで、

 

「――カイザー!!!」

 

何故来るし。

大丈夫だと分かるようにちゃんと見えるように手を振っただろうに。

とは言え。

駆け寄って来てしまったズァーク。

下手に心配させるような仕草をされると、会場の空気が冷える。

名前を呼ばれたことで目が覚めたかのように、軽く首を振りながら、片手で頭を抑えておく。

 

「カイザー!」

「……見事なモノだった――全く、私の眼は節穴だったらしい」

「そんなことはないさ――だが、ありがとう。お前も、素晴らしいデュエルだった!」

 

そう言って差し出される手。

受け取らない訳にも行くまい。

握り、立ち上がる。

流石に機械の体を引っ張り上げるには、ズァークのデュエルマッスルを以ってしても足りなかったようだ。

ふらつき、胸元に飛び込むように来たその身体、背に手を回すように抱き締める。

 

「カ、カイザー? 何を」

「フフフ……」

 

その腰元へと両手をずらし、持ち上げる。

そう。

肩車だ。

再び爆発するように上がる歓声の中、ゆっくりと外周を歩き始める。

 

――ズァーク!!! ズァーク!!!

――カイザー!!! カイザー!!!

――ズァーク!!! ズァーク!!!

――カイザー!!! カイザー!!!

――ズァーク!!! ズァーク!!!

――カイザー!!! カイザー!!!

 

「たまには、こう言うのも良いかも知れんな」

 

いかん。

マイクを切ってなかった。

会場中に響き渡る私の声に呼応するように、歓声が更に激しさを増す。

両腕を大きく、しかし、分かり易いようにゆっくりと振るズァーク。

その下で、アクセントとして見れる程度に小さく手を振っておく。

 

「プロデュエリストになれば、いつでも味わえるぞ? お前なら」

「たまにはと言った」

 

そこまで言ってから、マイクを切る。

ちゃんと意志を示しておかないと。

少し残念そうな顔も見えるが、そこは承知して頂きたい。

私はこれでも会社の理事なのだから。

 

「ズァーク!」

「……お前は」

「俺も居るぜ」

 

掛けられた声。

ズァークがそれに反応したので足を止める。

赤馬レイ。

そして、ズァークとのデュエルで大怪我を負ったデュエリスト。

 

「ズァーク。そしてカイザー」

「なんだね?」

「今回も素晴らしいデュエルでした」

「ありがとう。君の父上、赤馬博士のご助力あってのことだがね」

「そうかも知れません――ですが、私、勝ちますよ! カイザー。そしてズァーク! あなたにも」

「モチロン俺もさ! あの時の借り、必ず返してやるぜ!」

「フッ……楽しみにしているぞ」

 

二人から視線を逸らしたのを感じ。

脚を再び動かし始める。

ずっと、会場の大モニターに映ってるせいで割と恥ずかしい。

そんな私を他所に、

 

「ああ――うん。そうだな、楽しみ――――楽しみだ……!」

 

噛み締めるように。

ズァークは。

そんなことを口にしていた。

 

 

 

 

 




修正版は、以上となります。
修正理由は、《ファイアウォール・ドラゴン・シンギュラリティ》の攻撃力上昇効果がそのターンだけでなく永続だったことを間違えていたことです。
なので《ファイアウォール・ドラゴン・シンギュラリティ》は攻撃力5500としていたのは間違い。
攻撃力7500が正規。
それに伴い《覇王眷竜スターヴ・ヴェノム》の最大攻撃力5800では、1700の不足。
融合召喚するモンスターを《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》に変更し、今回の攻撃力10300に修正させて頂きました。

修正した主な部分を簡単にまとめますと。

・《ペンデュラム・ホルト》での二枚ドロー時の内の一枚
《超天新龍オッドアイズ・レボリューション・ドラゴン》
→《龍の鏡》

・《スターヴ・ヴェネミー・ドラゴン》の融合召喚に使用した《超天新龍オッドアイズ・レボリューション・ドラゴン》
手札
→フィールド

・ズァークの最終盤面
《超天新龍オッドアイズ・レボリューション・ドラゴン》、《覇王眷竜スターヴ・ヴェノム》、《スターヴ・ヴェネミー・ドラゴン》、《虹彩の魔術師》
→《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》、《スターヴ・ヴェネミー・ドラゴン》、《虹彩の魔術師》

以上の三つが主な修正となります。
ご覧頂けていたのであれば、ありがとうございました。



それはそれとしてなんか今週の後半ぐらいから急にUAとか上がってる……なんで?
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