夏休み。素晴らしい響きである。
高校デビューを果たし、薄っぺらい笑顔や
そんな連中を一歩引いた場所から冷めた目で眺めつつ、自らと似たような空気感の人間同士で輪を形成し、さも自分たちはあれらとは知能指数が違いますよと
自身の認識では、そのどちらもが青春の中に身を投じ、学校生活を満喫しているのだろう。己を取り繕うことに必死でも、上位の人間に
ご苦労様である。
夏休み。七月は下旬から八月末にかけての大型休暇。地獄のような猛暑を涼しい室内で。趣味に傾倒したり、あるいは怠惰に過ごすことが許される学生の味方。
彼らはそんな日々にあっても、念頭にあるのは常に二学期開始時、同級生に対し「いかに夏を満喫したか」とマウントを取ることばかりである。
外出などしたくもないだろうに、獲得した友人との関係を維持するために灼熱のアスファルトへ足を踏み出す。タノシーサイコーとオウムのように繰り返し、周囲の顔色を伺いながら自らも同じ顔面を生成する。
帰宅してからも、いかにその日は充実していたのかとSNSで確認作業を行い、自身と獲得した友人間にあるキズナとやらを捏ねくり合う。
必然金銭はいくらあっても足りなくなり、遠出のイベントからハブられまいとバイトに手を出す人間すら現れていることだろう。
繰り返そう、ご苦労様である、と。
「お兄ちゃん、小町遊びに行ってくるねー? お兄ちゃんもたまには外出なよー」
…………。
まぁ、マイシスターこと小町に関しては例外と言えるだろう。明るく社交的、玉に瑕なのがおバカである点だが、それも愛嬌と言ってしまえる。素直であり、周りに流されず一人でも行動できる面もあって友達には事欠くまい。妹が夏を満喫しているようでお兄ちゃんとしては安心だ。
「あぁ、夏休み万歳……」
夏休み。素晴らしい響きである。
世俗から離れ。自宅に引き籠ってソファに寝転がり、
ピンポーン。
「……?」
珍しいことに、来客であった。そして間が悪いことに、家には俺しか居ない。まぁ日中は大体俺と小町しか居ないし、小町が出かけていれば勿論俺しか居ないんだが。
居留守を使うという選択肢は、残念ながらない。俺に対する用件であればブッチしても困るのは俺だが、この家を訪れる人間はほぼ100%俺以外の家族に対する用事だ。俺が話も聞かず帰すことになったと知れれば後が怖い。
必然と言うべきか、習慣と言うべきか。よっこらせとソファを立って玄関に近づいた俺は、特にドアスコープを覗いたりもせずに扉を開いた。
「はい、どちら様──」
「ひさしぶりだねっ、八幡♪」
そこには、爆弾が設置されていた──。
アイは総武高に入学するか?
-
する(八幡奉仕部ルート
-
しない(俺ガイル要素ほぼなくなる