そろそろ脳焼いていきます。
ではどうぞ
『ホープフルステークスを制したのはレーザーカノン! レコードを叩きだし、ジュニア級の王者へとなりましたぁ!』
トレーナー室にテレビの音声だけが響く。笑顔でターフから観客へと手を振るウマ娘が映っているのを見て、王は歯を見せる。
足を組んで手を結んで備え付きのソファに腰掛ける王の姿はとても絵になる。
「そんなに熱心に見るならレウスも出れば良かったのに」
机の上の資料に目を通しながら石晶トレーナーは自分の担当に訊ねる。
「無理無理、
手を上げてあっけらかんとレウスは答える。勝てないと口にしながらも、その眼光は鈍らない。むしろ尖りに尖っている。
どの口が……、そう思ってもトレーナーは口にしない。彼女に影響されたのが半分、自分もそう思っているのがもう半分。トレーナーも今の彼女があの場に立てるとは思っていなかった。
「トレーニング行くよ」
「OK トレーナー」
~~~~~~~~~~
アルギュロスレウスがターフを駆ける。僕はそれを眺めるだけ。別に彼女と契約したからといって画期的で効果的なトレーニングを思いつける訳でも、彼女に最適なトレーニングを判断できる訳でもなかった。
(担当が決まったものの……ってやつか)
タブレットに記録をとるだけの記録係になりつつある現状に不安になる。
『君を世界の王にしてみせるよ』
啖呵切ってあんなこと言ったのをもう後悔しかけてる。
アルギュロスレウスの能力はこの世代では中の下。オープンクラスで勝てれば良い方。だが、レースが単純な能力勝負ならの話だ。能力なら着順は人気順通りの結果になる。でもそうはならない、レースだから。
「終わったよトレーナー」
「うん、お疲れ様レウス」
レウスは水分補給をしてからターフに横になる。汚れるからと注意しても彼女はやめない。『王たる者、領地を大切にするのは当然』、……いや考えても意味わからん。なんだコイツ。
「次のレースは弥生賞なんだからしっかり仕上げていくよ」
「……もっと仕上げて良い」
「え?」
「練習量が少ない。私の回復力と釣り合えてないよ」
レウスが立ち上がってベンチに座る僕を見下ろす。よく見れば息は切れてないし消耗も見えない。
レウスの重圧が増す。未知の四足歩行生物の幻影を背後に出して有無を言わせない圧。
「こ、これ以上は故障する。ただでさえ現在のトレーニングはハードなんだ。レース前に負荷をかけすぎるのは駄目だ」
「レース前で駄目なら何時負荷をかける? 休養期間でも設けるのか? 私の回復力を目撃してどうしてそう思う?」
「そ……れは」
「常識如きで我を計るな。我を縛るな。汝は唯その野望に身を任せて我に鞭を打て」
「は、はい」
僕の返事に満足したのか。アルギュロスレウスは圧を消すと、笑顔でターフに戻ってまた寝転んだ。
(気性難ってもんじゃねぇ!)
呼吸も止められていた肺に目一杯息を入れる。これだ、彼女が現時点で二勝している理由。圧倒的な存在感と次元が違う戦術眼、驚異的な回復力。それをフルに活用した結果が芝とダートの一勝ずつの戦績。同期がレコードの連発で騒がれてる中、芝とダートをこの段階で勝ったのは彼女のみ。
―異質。
彼女を表すならこれだ。芝とダートの二刀流で戦ったウマ娘は過去に存在する。でも、それが全く別の条件ならどうだろう。
芝・中距離、好位置先行で堅い一馬身勝ち。
ダート・短距離、最後方からのロングスパートでごぼう抜き三馬身勝ち。
馬身差の結果が出るということは実力の差がハッキリとあるということ。ウマ娘として、レウスは同期の上位にいる存在だ。能力として劣っていながらだ。
(そして
タブレットの画面に映し出された彼女の成長曲線を見る。彼女達のようなアスリートの成長曲線は緩やかな点線グラフだ。ウマ娘だとしても例外は居ない。
彼女を除いて。
(ヤバすぎんだろ)
さながら二次方程式。入学時の数値からすでに五倍になっている。詳しく細分化すれば、スピードは二倍、パワーは三倍、スタミナに関しては六倍になっている。
(こんだけ成長しても同期の足元にも及ばないとか頭おかしい)
数値上の話だと
峠走りのドリフトスピードは1.6倍。
白騎士のナイトランサーは1.65倍
華麗なる一族のクロックスライダーは1.5倍。
直線最速の3Fのナイトロジェットは1.55倍。
世代最強のインペラトルーチェは3.6倍。
あくまで現時点での差だが、倍で表示される差とか終わってる。
(…………ファ~)
石晶→レウス:なんだコイツ
レウス→石晶:まさかこの世界で逢えるとは思ってなんだ
次は誰の脳が犠牲に?
次回、ジュニア最終回。『君との距離』
ではまた!
競走バ編のリメイクいる?(台本形式じゃないやつ)
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いる
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ウマ娘編だけで満足
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欲しい(競走バ編の内容把握の為)