転生銀色バ、銀色に染める   作:アールワイ

14 / 18
ども、素人投稿者です。

いやー、投稿ペースなんて普通こんなもんっすよ。

ではどうぞ


覚醒、しちゃいました

 

 

 大都会の夜空は陽が沈んでいるにも関わらず明るい。星なんて見える訳もなく、月だけが辛うじて私の瞳に映る。

 

「汚ったない空……」

 

 ポツリと呟く。

 誰かに聞かせるまでもなく静寂。

 三月の河川敷。桜も芽を開かせてない季節。私にはこの時期の気候が丁度いい。

 

「……やっとって感じ」

 

 空に伸ばしていた掌を見る。弥生賞の後、私は()()()()()()()()の本格化が始まった。本来、本格化は一度きりだ。それ以降身体能力を向上させたいならトレーニングをするしかない。

 ウマ娘の本格化は天賦の才だ。体格も速度も柔軟性も耐久性も、全て本格化が基盤となる。だからこその才能。天からの贈り物(ギフテッド)

 

「レウス!」

「おや? 今宵は過ごしやすい夜だねトレーナー」

「はぁー、ちゃんと連絡するのはいいけど、夜更けに女の子が一人で外を歩くのは危険でしょ。気をつけなさいよ」

 

 私が外出する前に送ったメールを見てすぐ駆けつけたのか、トレーナーは少し汗をかいていた。私の隣に座るとジッと私を見る。

 

「何かなトレーナー?」

「……ねえ、レウスには何が見えているの?」

 

 純粋な疑問、好奇心、心配、真剣そうな顔でトレーナーは言う。彼女はすでに確信を持っているようだが、私の口から聞きたそうだ。

 

「過去と未来」

 

 私が答えると、河川敷に寝転ぶ私をトレーナーは撫でる。私の耳と尻尾は滅多なことでは反応しないが、左右に揺れてるのがわかる。

 

「目はもう大丈夫?」

「大丈夫だよ。出血したとはいえ、失明するやつじゃないよ」

「ったく。どうしたらレース中に目から血が出るのよ」

 

 弥生賞でドリフトスピードを突き離す時、私は限界を超えた。

 元々、私はレース中身体を破壊しながら走ってる。それぐらいしないとレース展開について行くことも出来ないからな。回復力の追いつく範囲で壊し続けている。

 あの時はそれでも足りなかった。やっと触れることができた感覚に衝動を乗せて突っ走った。

 

―鎖の千切れる音がした。

 

 あの時、私は鎖を一つ開いた。()()()()()()()()()だったが、解放時期は前より早い。これによって私は我の一部を超えた、歪みが生まれた。

 

 

(あの、鎖を破砕した瞬間……()()見えた)

 

 あれは()()()()()()()()()の開城した景色ではなかった。まだ私の知らない()()。それが掴めそうだった。

 

 

 腹の虫が鳴る。さっき腹ボテになるまで食事をしたばかりだというのに、この肉体はまだ食欲を訴える。

 

「トレーナー、飯にしよう。腹ぺこだ」

「はいはい……。って、まさかまた奢る気じゃないでしょうね」

「私に奢りたいなら相応の立場になってからにしてもらおうか」

「いやよ! 担当に奢られるとかエグい尊厳破壊だから!」

 

 ジャージに付いた泥を払い落として立ち上がる。

 

「寿司がいいな。回ってる奴」

「回転寿司を回ってる方呼ばわりすんのあんたくらいよ。ちょ、襟掴まないで! うぉぉ、奢らされてたまるもんですか!」

 

 私はトレーナーを引きずりながら、最寄りの回転寿司店を検索した。

 

「尊厳が、僕の尊厳があぁ!」

 

 何の変哲も無い夜空に悲鳴が響いた。

 

 

~~~~~~~~~~~

次の日。

 

 スズメの鳴き声と白む光が部屋の睡魔を退散させる。珍しく穏やかな覚醒に、私の身体は軽く伸びをする。

 

 小さくなった世界を見渡す。嗚呼、私はまたこれに戻ってきたのだと実感する。

 

「おはよう、レウ……」

 

 同室のインペラトルーチェが固まる。昨日まで見下ろしてた人物を見上げているのだ、無理もない。

 

「おはようルーチェ」

 

 爽やかに笑顔で挨拶をする。挨拶は大事、古事記にも載ってる。

 

「レ……レ……」

「ルーチェ?」

 

 反応がおかしい。いつもなら太陽みたいな笑顔で返してくれるはずなのに。

 

「レレレレレレレレレレ……」

「ルーチェ?!」

 

 …………壊れちゃった。

 

 

~~~~~

 

 

「レウス、本当に大丈夫なの?」

「だから大丈……ヘブンズ・ドアー!」

 

 パンで口を殴られる。しかも硬いフランスパン。なんて暴力的な美味さだ(物理)。

 

「本当? 本当に本当?」

 

 ルーチェがしつこく私の体を触ってくる。困惑したルーチェに病院にぶち込まれた時はかなり焦ったけど、私の体は健康体。むしろ健康過ぎるパーフェクトボディ。……隙がない、流石私。

 

「でもでもでも、一晩でこんなに変わるのは何かしらの病気以外ありえないじゃない!」

「なんでやろなぁ」

「( ー̀ ༥ ー́ )」

 

 なんやコイツ可愛いかよ。まあ、変わりに変わったのは私も認めるし驚いてる。ルーチェより頭一つ低かった身長は逆にルーチェより頭一つ抜けて、慎ましかった胸が魅惑に豊満に実っている、お尻も健康な安産型だ。

 全体が大きくなった訳じゃない。ボン、ボンと突出した部位と反比例してウエストが引き締まっている。うーんこれはスーパーグラビア。

 

「少しは落ち着いて」

「日本で駄目なら海外の病院に……」

 

 うおおい! 話が膨らみすぎ。こうなったら……くらえ必殺、

 

 

―壁ダァン!

「あひぃ!」

 

 まだ序の口だぜ。必殺その二、

 

―顎クイー。

「あふん」

 

 トドメだ……必殺その三!

 

―ズキュゥゥゥン!!!

 

「大丈夫だって言ってるじゃあないか。あまりおいたは駄目だよ?」

「は……はひ…………」

 

 悩殺完了。覚醒した我に敵無し。ここまで来たなら後は進むのみ。さあ、標を立てようじゃないか。

 

 

 




次回予告
遂に迎えた一冠目、皐月賞。各々の想いを背負って彼女達は走る。……ただ一人を除いて。

次回「皐月賞」

ではまた!

競走バ編のリメイクいる?(台本形式じゃないやつ)

  • いる
  • ウマ娘編だけで満足
  • 欲しい(競走バ編の内容把握の為)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。