転生銀色バ、銀色に染める   作:アールワイ

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ども、素人投稿者です。

手を加えただけでーす。

ではどうぞ


釣果

 

 

 

 

「なあレウス、中学校には行くのか?」

「うーん、考えとく」

「考えとくってお前なぁ」

 

 

 海面に映る2つの人影。小さな魚影ひとつ無い海水入りバケツ。アルギュロスレウスは今日藤原の誘いで釣りに来ていた。

 

「しょうがないじゃん。ホントに分かんないんだから」

「何が分からないんだ?」

「この世界について」

「餓鬼が考えるようなもんじゃねぇ」

「むぅ、勉強は出来るんだから行かなくていいじゃん」

 

 うるさいツッコミにレウスは頬を膨らませる。アルギュロスレウスも最初は学校に通っていた……が、記憶があり精神的に発達しきったレウスにとっては居心地が悪い場所だったので次第に行かなくなった。

 

「友達とか作ればいいんだよ」

「友達……ねぇ」

「お前ぐらいの歳の女の子は友達とキャッキャしてるのが普通なんだよ」

「普通……ねぇ」

「ひねくれてんなァ」

 

 アルギュロスレウスは同学年の子と仲良く出来ることは無かった。精神年齢の桁が違うのに会話なんて上手く繋がるはずもなく、レウスは登校1日でクラスから浮上するというRTA走者もビックリの記録でぼっちとなった。

 

「私はおっさんくらい歳食ってる方が会話続くから同学年はいいや」

「……寂しくないか?」

「寂しくないよ」

 

 レウスははっきりと断言する。その眼にはえも言われぬ説得力があった。彼女の眼に見詰められ、藤原は軽く溜息を吐いてから視線を海に戻す。

 

「……寂しくないなら今はいいさ」

「何? こんな懇談会する為に誘ってくれたの?」

「………………」

「おっさんが照れるなよ~」

「うるせぇ!」

 

 レウスのからかいに藤原の顔は少し赤くなる。図星をつついたレウスも満足そうに海を視線を海に戻す。

 

 

こんな他愛ない話が時を進めた。

 

~~~~~

 

 

 釣りを始めてから三時間が経過した。2人のバケツには未だ海水のみ。

 

「……釣れないねぇ~」

「待ってりゃいつか釣れるさ」

「釣れなかったら?」

「釣れないことなんてあるもんか。今釣れなくても後一時間したら釣れるかもしれない、明日には釣れるかもしれない。釣れないなんてこと無いんだよ」

 

 レウスの目が細まる。その視線の先には、嘗て見てきた()()の姿があった。

 

「…………それでも、釣れるヒトと釣れないヒトが出てくる。両者の違いは結果の有無だ。釣れないヒトは釣れるまで釣れないヒトだ。魚の数は有限。一生賭けたって釣れないヒトもこの世界の何処かに居るかもしれない。それでも、釣れないってことが無いと言える?」

「言える」

「…………それまたどうして?」

 

 藤原の回答にレウスの纏う空気が一回り変わった。何処か達観した、まるで別次元の存在かのように感じる気迫に押されながらも藤原は答える。

 

「いいか? 釣りたい奴は釣れるよう工夫するもんさ。場所を変え、餌を変え、そうすればいずれ釣れるのは必然だろう?」

「その理屈は理解出来ないな。一衆万人が釣れる努力をしたとして、その内何人が実際に効果のある努力や工夫をすると思う? 数%だ。その数%が魚という成功を手にするんだ。それ以外のヒトは努力はしたが成功は得られなかったヒトだ。努力や工夫にも差は生まれる、同じことを二人したとして同じ結果になるなんて稀だ。これが世の中の成功とそれ以外が生まれる仕組みだよ」

「難しい言葉を使うなよ。……まあ確かに、成功の努力ねぇ」

 

 レウスは言い終わると顔を伏せ、手に持つ釣竿を見つめる。

 

「お前はどっちなんだ?」

 

 沈黙が生まれようとした処で藤原が口を開いた。

 

「私が何?」

「お前は成功する側なのか?」

「私は……」

 

 レウスは狼狽えた。瞳孔が揺れ、竿を持つ手には力が入る。

 

「俺は、お前はレースで活躍出来ると思ってる」

「ッ!」

 

 レウスは藤原を見る。彼の顔は真剣そのもので、決して冗談や揶揄いの類では無いことを示している。

 

「俺や橘さんはお前の里親にはなってやれねぇけどさ、お前を応援することは出来る。……本当はレースに出たいんだろ?」

 

 ついカッとなってレウスは叫んだ。自身が経験してきたが故に、彼の言葉はあの場所を嘗めた発言のように捉えられたからだ。

 

「レースはそんな甘く無い! こんなっ! こんな曖昧な気持ちで勝てるほどあの世界は優しくない!」

 

 レウスは語尾を強め否定する。言葉の節々に怒りが滲み出ている。そんなレウスを横目に藤原は続ける。

 

「お前は分かってるじゃないか。レースの厳しさも敗者の存在も。だから、お前は成功の努力が出来る側だと分かる。釣果は釣りをする奴にしか手にすることは出来ないんだよ。レースに出るも出ないもお前の勝手だが、俺はお前はレースに出るべきだと思ってる」

「わ、私は……」

 

 反論しようとして口篭る。彼の言っていることは今レウスが抱えるものに触れていて、自分が蓋をしているものが暴かれそうな恐怖がレウスを襲った。

 

「お前はまだまだ若いんだ。結論を焦る必要は無い。ゆっくり考えな。その時になったらしっかり背中押してやるから」

 

 藤原は優しい声色で話を締めくくる。レウスは俯いたまま動かない。

 

「今日は帰るか! 釣れる気がしねぇしな」

 

 藤原は終わりだ終わりとせっせと荷物をまとめる。

 

「……まだ釣れてないよ」

 

 消えそうな声でレウスが言う。その様子は何かに縋っていたい、倒れるのが怖いと身体が震えていた。

 

「釣れることが目的じゃないからいいんだよ。釣れたらいいな程度だ」

「…………」

「お前の抱えているものは分からない。でも、これだけは守ってくれ

 

 

 

──誰かを頼れ」

 

「無責任でいいさ、身勝手でいいさ、何かあれば責任は大人の俺らがとる。好きに生きていいんだ。お前にはその権利がある」

 

 

 レウスは未だ固まったまま動かない。その様子にもう行くぞと藤原はレウスに背を向けて帰路についた。

 

 

「────勝手に言ってくれちゃって」

 

 小さな呟きは、波の打つ音が隠すように呑み込んだ。




ほぼ一緒なのは許してくれ。

ではまた!

競走バ編のリメイクいる?(台本形式じゃないやつ)

  • いる
  • ウマ娘編だけで満足
  • 欲しい(競走バ編の内容把握の為)
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