五条悟の妹
女の子は縁側に座り溜息を着く。この世界に転生して早くも10年が経過した。女の子は退屈そうに二度目の溜息を着く。その時庭先にいる男の子が
「何してんだよ
悟里と呼ばれた女の子は少し長い白髪と青い瞳で男の子を見る。その男の子も白髪で水色の瞳だ。悟里は
「えー、今日はゆっくりさせてよ…兄様」
ゲンナリした顔で言う。悟里は自身の兄にゆっくりさせてと言ったのだ。
「何ババア臭いこと言ってんだよ?」
「ば!?ババア臭いって何さ!?兄様よりは歳下なんだけど!」
女の子は立ち上がって縁側から庭にいる兄である悟に言う。そこからは言い合いに発展するが
「悟様、悟里様。そろそろ稽古の時間です」
世話人が二人に言い放つ。稽古の時間だと。
「あーあ、悟里が意地張るから遊び損なっただろ!」
「私はゆっくりしたかったの!」
二人は最後までいがみ合いながらも道場に向かう。何時もの非日常へと。
――――――――――――――
数百年ぶりに五条家相伝の術式『無下限呪術』と特異体質の『六眼』を併せ持って生まれた五条 悟。そして、その翌年に『
五条悟は懸賞金をかけられ、五条悟里は要警戒対象となった。
その二人は
「その無限解きなよ、地面に這いつくばらせてあげるからクソ兄様!」
「既に這いつくばっている弱い妹が何を言っても聞こえないなぁ!もっと兄を敬えよー!」
喧嘩腰で鍛錬をしていた。煽り合いはいつもの事であり、それで道場のどこかが壊れるのもいつも通りの話である。
「言ったな!」
蒼い双眸が紅くなる。その直後、悟の無限が解除される。悟里は悟が無限を解除する『可能性』を選び呪力で引き寄せたのだ。
「はぁ!?」
「這いつくばれクソ兄様!」
そして術式で重力をかけ今度は逆に道場の床に叩きつける。
「形勢逆転」
ニヤリと笑う悟里。そしてそのまま背伸びをして
「そろそろデジモンの時間だから、先に汗流して見に行きますね」
術式を解除して先に行こうとする妹に対して
「術式順転 蒼」
悟里は引き寄せられる感覚に襲われ、悟に捕まる。
「兄より先にデジモンを観ようとする悪い妹にはお仕置が必要と思うんだけど……どう思う?悟里」
「ええと……お手柔らかにお願い?」
悟は無邪気にめいいっぱいの笑顔で
「ダーメ!」
妹の提案を拒否してくすぐる。それこそ、悟里が涙目になっても、ギブアップ宣言をしてもデジモンの放送時間10分前まで続けられた。
「はぁ……はぁ…もうダメ……許して、やり過ぎだから……」
悟里は仰向けになり、汗をかきながら涙目で悟に文句を言う。
「ほら、早く行かないと始まるぞ」
悟は軽い足取りで一足先に行く。
(くすぐられたから体に力入らない……!もう!バカ私も見たいのに!)
悟里はくすぐられた影響で力の入らない体を必死に起こして立ち上がろうとするが、無様に起き上がれない。それを見兼ねたのか、悟が戻ってきて
「ほら、一緒に見るぞ」
肩を貸して悟里を起こす。
「あ、ありがとう」
悟里は少し嬉しそうに言うが
「これで貸一だからプリンは寄越せよ?」
悟の言葉を聞きワナワナと震え
「前言撤回ふざけんなクソ兄様!」
デジモンを見た後にプリンをかけた戦いが起こったのは言うまでもない。
また、別の日には
「悟里お嬢様、伴侶についてなんですが」
「えー……伴侶って何さ」
「伴侶というのは……」
まだ幼い悟里に説明が成される。悟里は話半分に聞き最終的に言った言葉は
「で、私より強いの?兄様と同等なの?そうじゃなきゃ嫌」
そう言い捨てた。それを聞いていた悟は大笑い、世話人は大きなため息を着くことになる。世話人は知っている。こう言った悟里と大笑いした悟はどう頑張っても覆せないと。
それでも、雇い主である二人の両親祖父母の指示があるので話はするが。何度言っても無駄なので最終的には
「まぁ、悟様も悟里様もいい相手が見つかりますよ」
「なんか適当になった」
「いや、そうなるよね」
悟は笑い、悟里は肩をすくませる。
五条悟里には秘密があった。術式や眼ことでは無い、大切な秘密。それは五条悟里には前世の記憶がある。いや、厳密に言うと転生者だ。
一般家庭の一般人でそれなりに幸せな生活を送っていた。そう、仕事の帰りに工事現場から落ちてきた鉄骨に貫かれるまでは平凡と言って差し支えはなかった。ジャンプを買った帰りのことで続きを読みたかったという未練を残して絶命した。次に意識があった時には赤ん坊だった。しかも、呪術廻戦の現代最強呪術師と言われるようになる五条悟の妹に転生したのだ。
本来は居ないはずの人物。イレギュラーな存在であるはずの彼女が何を考えているのかと言うと。
(五条悟って、こんな幼少期過ごしてたんだ。面倒くさいんだなぁ、御三家って)
そんなことを考えながら日々の鍛錬、伴侶探しをのらりくらり避ける。
(そりゃ、前世は結婚どころか恋愛すらする暇無かったけどさぁ、禪院家とか加茂家とか、もう少し相手を考えて欲しいっての。ろくな所ないじゃん)
そう内心で悪態をつきながら、隣で遊び疲れている悟を見て
(あの、五条悟にも可愛い時期があったんだ。役得役得)
微笑み自分も仰向けになる。最強になる自分の兄とイレギュラーである自分。
(まぁ、気にしても……仕方ないかな。この世界に生まれた以上……私は私がしたいようにするだけ。救いたい人を救って、救える人だけを助ける。平等なんて知ったことじゃないし)
『私に出来るのはそれだけ』だと決めて悟里は悟にタオルケットを被せて、独り鍛錬を始める。いずれ最強になる兄に置いていかれないように。
(どうして、あんなに必死なんだ?彼奴)
薄目を開けて悟は悟里を見る。悟にとっては悟里も雑魚と相違無かった。ただ、自分の妹と言うだけで、よく鍛錬とか遊んだりする。とは言っても、悟里も悟里で眼を使って無下限を解除して攻撃を当ててくるし、呪力量に関しては自分を大きく上回る。予感がある、自分と並び立つ呪術師になると。ただの雑魚で収まらないと、そう思うと無意識に嬉しくなっていた。流石は妹だと思った。だが、
彼女は自分が見ていない所では、生き急ぐ様に鍛錬をしているのを知っていた。
(なんで、そこまでするんだよ?何がお前を動かすんだよ)
そんな風に悟里を見ていた悟はやがて本当に睡魔に負けて眠る。
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