五条悟の妹は悲劇を変えたい   作:皐月の王

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宿儺完全体強ぇ!考え方もなんか納得と言うか、良かった。


転運―参

沈んでいく感覚に夢の中だと気づくのは2度目の悟里。水底に沈んでいく感覚に不快感はなく、何かの核心に近づいているように感じた。

 

(まだ、沈む……。でも、沈むほどに冴えてくる)

 

夢だと言うのに沈めば沈むほどに頭が冴えてくるのを感じる。それは、黒閃を決めた時のようだと。

 

(確か、黒閃決めた時もこんな感じにテンション上がってたなぁ。終わったあと上がりきって何か言ってた気がするけど…)

 

思い返しながらに身を委ねると水底に降り立ち目の前には巨大な扉があった。試しにその扉を押すが

 

(び、ビクともしない……!)

 

扉は硬く閉ざされたままであった。悟里は扉を撫でながら

 

(分からないけど、これが境界の扉?原作で直哉が言っていた、アッチ側の……)

 

そう考えた。遷延眼で扉を見たが、空く可能性はかなり遠い。それこそ果ての様に。

 

(いずれは……この扉も開いて見せる)

 

そう、挑戦的な目で扉を見た後に、現実に引き戻されるように目を覚ます。

 

目を覚ますと悟の腕の中で運ばれている最中だった。周りを見るに高専だろう。悟里が目を覚ましたことに気づいた悟が声をかけてくる。

 

「おっ、目が覚めたか!気分悪いとかないか!?」

 

悟里の思考は停止する。悟の隣には夏油が居た。悟にお姫様抱っこされているのだ。

 

「悟里ちゃん痛いところとかないかい!?もうすぐ硝子の所に着くから!」

 

「ま、待って!大丈夫だから、疲れて寝ちゃっただけだから!というか下ろして!」

 

悟里は悟の腕の中で暴れる。

 

「暴れるんじゃねぇ!落ちるぞ!あっ」

 

「え?ひゃあ!?」

 

案の定、悟の腕から落ちて盛大に尻餅をつく悟里。

 

「痛ってて……。ふぅ、ええと……流石に察しが悪い馬鹿じゃないから、言うね。助けに来てくれてありがとう」

 

「聞いたぞ、任務終わった直後に七海達の救援に門で助け行って帰ろうとした時に領域展開に巻きこまれるのを庇ったって……お前は……!」

 

1年前同様に悟が悟里に対して説教しようとした時

 

「心配おかけしたのは謝ります。それに関しては私の落ち度です…。ですが、今回はこれが最善でした。簡易領域を会得していた私なら、生き残る可能性がある。流石に負傷していた灰原達を守りながら相手の領域内では戦えない」

 

悟里は立ち上がって真っ直ぐに悟と夏油を見て言う。その姿に悟は何処か圧倒され、夏油が悟里が一皮剥けて前に進めたことを察する。

 

「そういう事か、前進出来たんだね?悟里ちゃん」

 

「そうですね、少し苦労しましたけど……。ようやくスタートラインに立てた気がします。そして吹っ切れました」

 

ついに我慢の限界が来たのか悟が叫ぶ

 

「あぁん?何の話をしてんだよ……!今回の件はお前に勝算があったのは分かったが、それでも倒れた事には変わりねぇだろ!オレたちが来なければ死んでいたんだぞ!!そんなことをしなくても……!!」

 

何かが切れる音がした。悟里は拳を強く握り

 

「兄様は私に何をして欲しいのさ!!!」

 

我慢できなかったのは悟里も一緒だった。

 

「悟里……!」

 

「悟里ちゃん……!」

 

その叫びに二人は驚く。

 

「何をするにも危ないとか出来ないとか…もう…うんざりなの!!!私は私なの!何時までも守られる妹じゃないの!私は私のやりたい様にする!何時までも同じ尺度でしか人を見ないで!護らなければならない妹じゃなくて、肩を並べられる呪術師としてみてよ!!強く…なっ……た、なんだよ……私も。それでも同じ尺度でしか人を見れないなら、花や土塊の相手でもしてなよ!!!」

 

悟里涙を流しながらに立ち去る。悟は手を伸ばすが片手で顔を抑える。

 

「なんだよ……一体どうしたんだよ……!何がしたいんだよ!」

 

「悟……。私はどちらも間違っては無いとは思う。だけど、悟はもう少し素直に言葉を伝えた方がいい。とりあえず、無事だったのは確認したし、私は硝子に傷の具合を診てもらうように言うさ」

 

そう言うと夏油は悟の背中を軽く叩き先に進む。

 

悟は何か言いしれない気持ちに大きく息を吐くしか出来なかった。

 

悟里は自室に戻り、鍵を閉めて、血まみれの服を脱ぎ捨てて、シャワーで洗い流しながら自己嫌悪に陥っていた。

 

(心配……してくれているのに……あんな言い方……無いよね……)

 

悟里は膝を抱えたまま、密かに涙を流した。本当は好きだったキャラを間近で見ることが出来話が出来る。それだけでも奇跡なのに、自分はそれ以上の奇跡を望んでいる。

 

(私がしたいことは……私の周りの人に笑って過ごしてもらう。その為には強くならないといけない)

 

誰も欠けることなく原作の時間を目指している。知っているからこそ悲しんで欲しくないし、悲劇なんて無い方が良い。

 

(――それ故。私は、止まる訳には行かない)

 

ゆっくりと顔を上げる。そのあとは、頭と体を洗い流し、体の確認をする。傷跡は特に無く反転術式で治すことができているのを確認する。

 

(領域展開の精度を上げるのと同時に、展延の取得、そして……極ノ番と神業の領域もものにする。私に才能があるとは思わない、だけど辿り着かないと追いつかないと、手からこぼれるんだから)

 

そう心で呟き、悟里はシャワーから出て、体を拭き布団に横になり眠る。気づくと朝になっていた。それほどに深い眠りだったのだ。その後家入がきて傷の確認、そして七海と灰原の謝罪と話をした直後、

 

「悟里……居るか?」

 

悟が二年の教室に入ってきた。いつもと違う雰囲気、真面目な空気を纏い悟里を呼ぶ。悟里は気まずさを感じながらも悟の前まで歩く。

 

「どうしたのですか兄様?二年の教室まで足を運んで、昨日のことでしたら……」

 

「悪いけど、今からオレと手合わせしてくれねぇ?全力で」

 

「は?」

 

悟里は首を傾げた。どういう事だと。何がどうなればそういう答えと言葉が出るのか。だが、

 

(真面目に言ってきてる。表情に何時もの小馬鹿にしたような雰囲気が無い……)

 

悟が真面目に言ってきていることに驚きながらも、何か考えがあると感じ取り

 

「……分かりました。それではグラウンドに行きましょう」

 

そして、二年の二人、三年の二人が見守る中、五条兄妹の手合わせが起ころうとしていた。

 

「夏油さん五条先輩から何か話し聞いてますか?」

 

「悪いが、特に聞かされてないんだ。ただ、確かめたいことがあるから悟里と手合わせをするとだけはね。何を見るのか何を試すのかは私には分からない」

 

「家入先輩は?」

 

「私ぃ?私は怪我人でた時のためだって、二人とも自分で治せるのに何で私を呼ぶかねぇ?でも、これは見た方が面白いし見届けるべきだと思うよ」

 

「二人とも大きな怪我をしないといいですね!」

 

四人は静かな二人を見守りながらに言う。

 

「オレは理解出来てねぇ。お前の考えも、行動も……だから、この手合せで確かめるオレなりに妹じゃなく、五条悟里を理解するために」

 

そういうとサングラスを外し投げ捨てて構える。腰を落とし近接の構えを取る。

 

「……そうなんですね、なら、私も兄様としてでは無く、"五条悟"を理解するために相手になります」

 

悟里も悟里で足を慣らして構える。

 

この手合せは必要かどうかと言われれば必要じゃないかもしれないと悟里は思う。だけど、自分がいる以上何かが変わるのならこれは自分がそうすべき事柄だと理解する。夏油が変わるように、悟にも変化が来たと解釈し、その変化のために悟が悟里を相手に選んだ。おそらく、ある種最初で最後の兄妹の全力の手合わせになるだろうと思う。

 

何気に本気で競い合うのは生まれて初めてなのだから。悟里は何処まで悟に食い下がるのか、悟は何処まで悟の真価を見ることが出来るのか

高専で二人の特級呪術師の手合わせの幕が上がった。




次回、悟VS悟里

そして次回のあとがきにて悟里の術式反転と領域展開について少し出します。
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