五条悟の妹は悲劇を変えたい   作:皐月の王

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兄妹手合わせ 決着

(体がくっそ重い…いや…動けねぇ!これが、悟里の領域展開!)

 

悟は悟里の領域展開に引きずり込まれた。閉じ込められると同時に停滞の縛鎖が悟の動きを極限まで縛る。

 

「重力だけじゃないよ!」

 

悟に掛かった重力の加重と同じだけ加速した悟里が襲いかかる。六眼で捉えきることも叶わない速度で打撃を叩き込む。

 

「っ!?」

 

一撃一撃が意識を狩り取ろうとする程の威力である。速度の上乗せもあるが、殴りつける瞬間に、碧の吸い込みと朱の加速が的確に打ち抜く。呪力よる抵抗で、辛うじて動ける悟も防御策をとる。

 

【簡易領域】

 

片膝を着き構える。悟里より少し広い簡易領域を展開し停滞の縛鎖から一時的に逃れる。

 

(これで、必中効果は中和できる。術式の防御も復活するが、アイツなら待つ……!?)

 

悟の重力の縛鎖は簡易領域で中和された。だが、領域効果は消えず、悟の停滞は一時的には退けられた。だが、悟里は加速したままである。その現在の加速は通常の呪力で強化した動きの数十倍である。その速度での攻防となると、悟里は天逆鉾を用いての近接戦闘となる。そして、先程よりマシになった程度の速度の差では

 

「遅い!!」

 

「っ!」

 

捉える事叶わず、天逆鉾で強制解除された所に攻撃を貰う。そして……。領域の前には簡易領域は長持ちすること無く、削り取られ

 

「ぐッ――」

 

再び停滞の縛鎖が悟を捉える。それは完璧な隙を晒すのと同義である。

 

(ここで攻め落とす!兄様のことだ、これ以上時間をかければ、必ず掴む!そうなる前に!)

 

悟里の加速した蹴りが悟の腹部を捉える。悟はその場で血を吐く。1年前と同等の危機、そして自分を追い詰めるギリギリ感は悟をボルテージを上げる。家での稽古の時の体術の時を思い出させる。

 

『悟里って器用だよな。まぁ、俺には及ばないけど』

 

『まぁ、そうかもしれないけど。それでも、色んな体術見つけて、兄様を泣かすから!』

 

悟はそんな走馬灯を一瞬見る。まだ、何かあったはずだと、思い返す。悟里が強くなりたい理由が何だったのか、命を投げ出すほどのことをしてまで成したいことは何か……

 

ある日の夜を思い出す。

 

悟里が重症で休んでいる日の夜。続ける理由を聞いたことがあった。

 

『理由?』

 

『そうだよ、お前、家がそうだからで呪術師目指してそうには見えねぇもん。何で強くなりたいんだよ?』

 

その時は半分見下ろしたように聞いたことは悟は今でも覚えている。だけど、あんなに命をかけてまで呪霊を祓った姿を半分はバカに出来ないとも思った。そして帰ってきた言葉は

 

『私の近くの人には笑っていて欲しいから。近くにいる人が泣かなくても言い様に。……知らない人がどうなろうと知ったことは無いけど、知った人には笑っていて欲しいし、泣かないで欲しい。だから、強くなりたい。それが私の見たい未来で私の願いだよ』

 

『はっ!お前、やっぱり呪術師向いてないだろ!』

 

そう言った記憶がある。今でもそう思うと悟は思考する。そして、そんな尊い願いを持つ妹。自分の後を追いつこうとしているのか本気で抗って、強さを求める妹。悟は自分の方が上という自負はある。悟里はその真後ろにいるとこの手合わせ、この領域で思う。いや、今この瞬間は自分より先を走っているかもしれないと。だからこそ。"負けられない"と思った。

 

【簡易領域】

 

二度目の簡易領域が発動する。悟は再び重力の縛鎖から逃れる。悟里は一瞬で肉薄し悟に天逆鉾を突き立てようとした。だが、

 

「そう何度もくらうかよ……!」

 

悟は口角を吊り上げながら、悟里の動きを読み切り天逆鉾の突きを悟は紙一重で回避する。

 

「お前自身が速度に馴れてねぇな?領域を取得したの最近だな?いや、昨日か?でも、関係ねぇなァ!!」

 

「っ!」

 

悟は逃がさないと悟里の腕を脇で挟み込み、蒼の引き寄せを使った拳で悟里の胸部を殴りつける。それと同時に黒い火花が爆ぜる。

 

「ぐっ――!?」

 

悟里は悟の黒閃をくらい大きく後ろに吹き飛ぶ。しかし、悟里もタダでは食らわない。黒閃が来る場所に最大限の呪力を集中させ、軽減する。だが、黒閃により悟のボルテージは上がる。悟里に緊張感が走る。

 

(最悪のタイミングで黒閃が出た……!あの天才ならこの黒閃で……!)

 

その予感は当たる。領域での戦い、黒閃によるゾーン状態は最強をもう一段階押し上げる。悟は人差し指に中指を引っ掛ける。予感があったからこそ悟里は止めようとしたが、反転術式での治療をしたのが一歩遅れる結果となる。

 

「領域展開――『無量空処』」

 

悟の領域が展開される。二つの領域のがぶつかり合い、綱引き状態となる。それにより、悟里の停滞の重力の縛鎖は悟に届かなくなる。互いに領域展開を取得して間も無い。そうだとしても悟里が悟の領域と綱引きが出来るのは、悟里が結界術に置いては悟を上回っているからである。悟は両手を広げて悟里を視界に留めながらに言う。

 

「さぁ、最終ラウンドだ!!!」

 

互いに領域、環境要因による術者のステータス上昇は互いに影響を与えあっている。必中効果だけが打ち消しあった世界で最後の攻防が繰り広げられる。

 

悟里の音速以上の速度に対応する悟。悟の無下限の壁を天逆鉾で切り崩し対応する悟里。拮抗しているように見える。

 

(このままじゃ、黒閃を決めた兄様が有利に動く。なら……ここから賭ける!)

 

遷延眼でも可能性を観測し動き出す。が、黒閃を決めゾーン状態に入った悟が先を行く。

 

「術式反転…赫…!」

 

悟が赫を放つ。悟里はそれを圧倒的な速度で躱し悟に肉迫する。しかし、悟はそれを見切り、悟里の天逆鉾での攻撃の腕を掴み引き込み、拳を悟里に叩き込む。悟里は空いている腕でガードするが、ダメージを受け怯んだ悟里の隙を突き天逆鉾を奪い、自身の後方に投げる。天逆鉾は奪った。だが、それだけじゃ終わらない

 

「悟里!赫はまだ、炸裂してないぜ?」

 

「っ!しまっ!?」

 

悟里の背中に赫が炸裂する。悟は赫が躱されるのは織り込み済みだったのだ。そしてこのタイミングでUターンしてくるように仕組み悟里の背部で炸裂するようにした。赫で後押しされる形で前に行く悟里。悟は拳を突き出すだけ。だが、

 

「術式反転……碧……!!」

 

最後の抵抗と言わんばかりに碧を使ってくる。悟はそれを躱してトドメを刺そうと拳を突き出そうとした。その刹那

 

「私が、賭けたのはここからだ……!」

 

悟里が言うのと同時に悟は背中に何かが刺さる感触と痛みが走る。それを理解するのに時間は要らなかった

 

(あ、天逆鉾!?そうか、今の碧は天逆鉾を引き寄せて俺に刺すための……!だが!)

 

悟は拳を強く握り呪力を拳に込めて殴りつける。しかし

 

(このチャンスを逃す訳には行かない……!)

 

悟里も赫に押されながらも拳を構える。朱で無理やり加速の主導権を奪いながら、そして互いの拳が互いに捉える。皮肉にも黒い火花は爆ぜる時を選ばない。

 

互いに互いの黒閃をまともに受け、領域が崩壊する。

 

悟は片膝を着いて血を吐いていた。その表情は晴れやかで満足もしているように見えた。

 

「やるじゃん悟里ちゃん!」

 

「先輩が膝を着いている……」

 

「すごいですよ!悟里さん!」

 

家入、七海、灰原が次々に言うが、

 

「悟里ちゃんは?」

 

夏油が悟里を探す。すると、悟の視線の先に仰向けに倒れている悟里が居た。

 

悟が悟里に近づき。

 

「流石に認めねぇとな。あの絵空事の為に命張ってるだけあってイカれてるよ悟里。そして強かった。最っ高に楽しかったぞ悟里」

 

そういうと、悟里をお姫様抱っこで抱き抱える。悟里は意識を失っており腕もだらんと下がっていた。

 

「お前の無茶にはある程度は目を瞑ってやるよ。でもな、俺も兄なんだよ。可愛い妹が傷つけば、腹が立つんだよ。傷つけた奴に、そして守れなかった俺自身にもな」

 

そんな悟里を連れて皆の所に戻り

 

「硝子、反転術式頼むわ。俺は自分で行けるけど、悟里はノびてるし」

 

「ノびてるというか死んでないかい?」

 

悟里の様子を見た夏油が心配そうに言う。

 

「ばっか!俺がそんなミスするわけ無いだろ!……でも、危なかった。今までアイツとの手合わせは何度もしたけど、今回が1番しんどかったわ。とりあえず、硝子頼んだぞ」

 

「言われなくても治すよー。でもお前が運べよー」

 

「凄かったね七海!」

 

「あんまり参考にはなりませんよ。ですが、体術は参考には出来そうですね。後で私達も習って体術の鍛錬しますか?」

 

三者三様に今回の手合わせ見て様々な反応をした。そこには五条兄妹を中心に輪が出来ていたのは言うまでもない。




本編時間軸まであと少しな気がする!
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