五条悟の妹は悲劇を変えたい   作:皐月の王

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クリスマスには早すぎますがご了承ください!


踏み出した一歩

「よしよし、二人で動き出した」

 

「おお!頑張れ悟里ちゃん!夏油さん頑張ってください!!」

 

「あんまり大声出すとバレますよ灰原」

 

「悟里お姉ちゃん気合い入ってたもんねぇ」

 

「悟里お姉ちゃんと夏油さんお似合いだもん」

 

少し離れた場所で五人が二人の様子を見ていた。様子を見るというか、ただの野次馬で覗き見をしている暇人である。

 

因みに覗き見をしようと言い出したのは家入であり、それに巻き込まれたのは四人である。その内三人はノリノリで着いてきて、最後の一人七海は難色を示していた。それはもう、

 

(バレたらろくな事にならない。出来れば退散したい)

 

ため息を漏らしながらに七海は着いていく。菜々子と美々子は目を輝かせながら歩く。あの村にいた時を考えるとクリスマスのイルミネーションで彩られた街はまるで夢の国である。そんな二人の面倒を見るのは灰原である。灰原は妹がいるため扱いはお手の物である。

 

「よし、移動したから行くぞ」

 

「「「おー!」」」

 

「静かにしないとバレますって」

 

逃げられない七海はせめてバレずに帰れる様に努めるしか無かった。

 

一方の悟里達は

 

「飾り付けのモールは今回は買わなくても良い気がするけど、二度手間になることを考えると買っといた方がいいですよね?」

 

「そうだね、今回は美々子ちゃん菜々子ちゃん、更に悟が面倒を見ているという伏黒姉弟も呼ぶつもりなのだろう?そうなると、去年より華やかにしてもいいかもしれないね」

 

意見を出し合って飾り付けの小道具やその日必要になるであろう食材やプレゼントを買っていく。皆が楽しむだろうなと話に花を咲かせながらに話しながらに買い物を楽しむ。買った荷物は悟里の術式で空間を歪ませて収納する。そして買い物が一段落してカフェで休憩をする。

 

「それにしても初めてです。こうしてクリスマスのイルミネーションに彩られた街を歩くの」

 

「おや?そうなのかい?私はてっきり悟と行ったことがあるもと」

 

それを聞き苦笑いをする悟里。ホットココアを飲みながらに話す。

 

「私、小さい時から呪術漬けで強くなる事を考えて生きてきたんですよ。別に力こそ全てとかそんな思考じゃなくて、見たい未来があったんですよ」

 

「見たい未来?」

 

神妙そうな表情で夏油は悟里に聞き返す。悟里は嬉しそうな表情をして

 

「はい、こうして友達や仲間と言える人達と楽しく過ごす光景が私の見たかった物なんです」

 

ただただ恥ずかしそうに言う。そして内心は

 

(本当は、天内や黒井さん灰原。そして何より夏油傑の闇堕ちを回避したかった。本当の意味で今あるこの光景が私が最も見たかった未来だ)

 

勝ち取った光景。悟里が文字通り思考を回し、命をかけて掴んだ未来。途中何度も自分の命が脅かされたが、それはそれ相応の事を望んだことへの試練だと思えば安いもんだと思える。

 

「そうなんだね。それが君の源流なんだね」

 

「ですね、だからこうして初めてのクリスマスのイルミネーションを見れて一緒に誰かと買い物が出来るのは頑張ったご褒美かななんて」

 

悟里は微笑みながらに嬉しそうに言う。その表情は夏油にとっても尊いものだと思えた。その小さな体にどれだけの物を背負い込みここまで来たのかと。だからこそ

 

「そうか、なら、今日は楽しんじゃおう」

 

「え?」

 

「買い物は殆ど終わっているんだ。その後どう過ごそうと勝手のはずだからね。初めて何だろう?折角ならクリスマスの街を見て回ろうじゃないか」

 

夏油は笑顔で悟里に手を差し出す。悟里は少しキョトンとしてから嬉しそうに

 

「そうですね。では、一緒に楽しみましょうか!」

 

手を握りそのまま夏油を引っ張り歩き出す。その表情は楽しそうで嬉しそうで見てるだけで自然と笑顔になってしまうものだ。

 

「ほら、慌てなくても街は逃げないよ」

 

夏油もそれに着いていく。それを見ていた硝子達は

 

「あー、ブラックコーヒー飲んでるのに甘く感じる」

 

「仲良いですね!」

 

「ナナミン!ジュースおかわり!」

 

「私も!」

 

「……あまり飲みすぎるとお腹壊しますよ?」

 

七海は美々子と菜々子の相手をしている。家入は息を吐きながら悟里と夏油の仲の良さを見ていた。

 

「これ!ひょっとしたら付き合うんじゃないですかね!」

 

「だけど、土壇場で悟里ちゃんも夏油も日和る可能性あるからなぁ」

 

そんな事を呟きながら家入は二人の写真を撮る。

 

「お、いい笑顔だなー二人とも」

 

クスッと家入は笑ってその写真を見る。そして

 

「さて、私もそろそろあと追いかけるよ」

 

「家入先輩!美々子ちゃんと菜々子ちゃんにもう少し休憩を!」

 

「じゃあ灰原と七海がおんぶなり肩車なりしてやりなよ」

 

そういい家入は動き出す。そして美々子を灰原、菜々子を七海が肩車をして後を追いかける。

 

その後の二人は、様々な店を見て回りながらクリスマスの飾り等を見たり、ゲームセンターに行き、写真をとったり、ゲームをしたりと楽しむ。それこそ昼食を食べるのを忘れてしまうくらいに楽しんだ。

 

笑ったり、驚いたり、悔しがったりと表情をコロコロと変えながら楽しむ悟里とその反応を見て楽しむ夏油の一日が過ぎていく。そして

 

「あっ、夏油先輩!少し行きたい店があるんで待っててください!」

 

「うん?悟里ちゃんもかい?実は私もなんだ。買い忘れていたものがあってね。そうだね、1時間後にここで落ち合おう」

 

「分かりました!それでは1時間後に!」

 

そう言い二手に分かれる。二人はそれぞれ店に入り、商品を見始める。その表情は真剣そのものである。そんな彼らに

 

「いらっしゃいませ。何かお探しですか?」

 

店員に話しかけられてそれぞれ二人はこう答える。

 

「「プレゼントを選びたくて」」

 

そして二人はプレゼントを選び明日に備えてそれぞれ帰路に着く。そして次の日

 

朝から悟里は他に料理の出来る人を集めてクリスマスパーティの料理作りをする。ほかの面々はパーティの飾り付けをする。悟もこの時には子供のように張り切って準備をする。勿論楽しむためというのもある。

 

「ほら、七海、灰原クリスマスツリーの飾り付けに行くぞ!」

 

「ツリーは中では?」

 

「外の木にもするんだよ!」

 

「頑張りましょう五条先輩!」

 

悟と灰原は盛り上がりながら準備をテキパキとする。七海は程々に頑張りながらに的確にしていく。そして、時間になる。悟里は門を使い、美々子と菜々子を悟は伏黒津美紀と伏黒恵を連れてくる。そして始まるは

 

「メリークリスマス!!!」

 

クリスマスパーティだ。悟里と五条家の料理人が作った豪勢なパーティの食事に美々子と菜々子は驚く。津美紀と恵も驚いていた

 

「ほらほら、美々子も菜々子も楽しみなよ。今夜はとことん楽しんだもん勝ちだからね!」

 

「こんなに豪華な食べ物食べていいの?」

 

「あれも……これもいいの?」

 

「勿論!おなかいっぱい食べなよ!同い歳くらいの子も来てるから話してみなよ?」

 

悟里はそう言うとどこかへ行く。美々子と菜々子は料理をよそって椅子に座ると

 

「ねぇ!すごいねクリスマスパーティって!」

 

津美紀が2人に話しかけた。

 

「あっ、自己紹介まだだった。私は伏黒津美紀!こっちが弟の」

 

「伏黒恵」

 

「私は枷場菜々子、こっちが」

 

「枷場美々子。それで、なんにか用?」

 

津美紀は

 

「用というか、同じ歳くらいの子がいたから、友達になれたらなぁと思って。ほら、ここにいる人全員歳上だしね」

 

そう言う津美紀を見て二人は少し笑う。村では同じ歳の友達なんて出来たことがない。同じ子供からでも化け物として扱われたそんな自分たちが同じ歳近い子から友達になれたらと言われた。それが嬉しかった

 

「うん!いいよ!いっぱいお話しよう!」

 

「君もいいよね?」

 

「別に」

 

恵は何も言わずに食べ物を食べていた。

 

一方の悟里は

 

「久しぶりだね理子ちゃん、黒井さんも今日は調理のお手伝いありがとうございます!」

 

「久しぶり!悟里!元気にしてた?」

 

「今年もお招きありがとうございます」

 

天内の作ったような口調はすっかり抜け普通の女の子の言葉になっていた。

 

「そういえば理子ちゃん次高校生じゃない?受験大丈夫?」

 

「私の所は中高一貫だからね。それに成績も良いしなんの問題もないのだよ!」

 

「まぁ、数学だけ肝を冷やしましたけど」

 

「黒井!それは言わない約束!悟里も笑わないでよ!」

 

そんな二人のやり取りを見て思わず笑う悟里。そして頬を膨らませる天内

 

「でも、良かったです。理子様と皆様とこうしてまたクリスマスを迎えることが出来て」

 

「そうですよね。出会いは護衛からですもんね」

 

「悟里や夏油、悟が頑張ってくれたから今の私がある。ありがとうね悟里!」

 

理子の微笑みに照れながら悟里は

 

「じゃあ引き続きこれからもよろしくね理子ちゃん、黒井さん!パーティ楽しんでくださいね!」

 

そう言って移動する。そして、次に訪れたのは同期がいるところ。

 

「料理口に合うかい?」

 

「悟里さんですか。ええ、美味しく頂いてますよ。灰原も」

 

「うん!どれもこれも美味しいよ!妹に持ち帰ってもいいかな?」

 

「勿論いいよ。それでも、食べれる時に食べとかないと後悔するよ?」

 

と悟里が言うと違いないと言って灰原が笑う。

 

「こうして三人で話していると、初任務や土地神の事を思い出しますね」

 

「そうだね、初任務は燃え上がったし連携して戦うのも楽しかった。でも土地神は悔しかったし何より、助けに来てくれた悟里さんを危険に晒したと思うと不甲斐なさを痛感したよ」

 

「そ、そんな」

 

気にしないでと言おうとしたことろで灰原は遮る形で自らの思いを言う。

 

「だからもっと強くなろうと思った!七海と一緒にそして目指すんだ1級呪術師に!」

 

「そうですね、助けられてばかりは格好がつかないので。頑張ります、同じ呪術師として」

 

二人は真っ直ぐに悟里を見て言う。悟里は

 

「これからも頼りにしてるよ二人とも!」

 

肩を叩いてその場を後にする。外の空気が吸いたくなり少し離れライトアップされている木の近くに向かう。気を見上げて見とれていると風が吹く。

 

「うーっ寒いなぁ」

 

「ほら、風邪ひくよ悟里ちゃん」

 

そんな悟里を見かねたのか夏油がブランケットを肩にかける。

 

「ありがとうございます夏油先輩」

 

「どういたしまして。皆楽しんでいたね」

 

「はい、見てるこっちも嬉しくなりますね」

 

二人は木下から開放された教室で騒いでいる皆を見る。楽しそうに誰もが笑って料理を楽しんでいる。

 

「そういえば美々子ちゃんと菜々子ちゃんのプレゼントはどうするつもりだい?」

 

「それはもう寝静まったところにサンタさんの如く置くつもりですよ!直接渡すのもありなんですがね。サンタさんを信じていてもいい歳頃なんで」

 

「そうだね」

 

そう言い二人は黙り込む。しかしそこに気まずさは無かった。ただ自然と寒さと静かさを楽しんでいた。すると

 

「あっ」

 

「おや?」

 

空から白い贈り物が降ってくる。それは人肌に当たると冷たさと水を残す。

 

「雪ですね」

 

「ああ、ホワイトクリスマスだね」

 

ライトアップされた木と雪がクリスマスの夜を彩る。そして

 

「……初めて会ったのは、山の廃ホテルだったね」

 

「そう言えばそうですね。あの時は待たずに先に終わらせましたね……」

 

苦笑いをする悟里。

 

「色々な無茶を重ねてきたね。だけど、見たかった景色がアレだろう?」

 

「ええ、そうです。本当にこの光景を目指してました。そこに誰一人欠けることなくたどり着けて良かった」

 

安堵した声が漏れた。ここまで来たんだという達成感と感嘆声が漏れる。だが、現実はこれからも続く。両面宿儺、自然呪霊、羂索と言う問題は山積みである。そんな不安も確かにある。むしろ本番はここからである。だけど、この時間は……

 

「ねぇ、悟里ちゃん。君に渡したいものがあるんだ」

 

「え?奇遇ですね私も夏油先輩に渡したいものがあるんです」

 

悟里も買ったものがある。互いにプレゼント箱を手に持ち、

 

「メリークリスマス。悟里ちゃん」

 

「メリークリスマス!夏油先輩!」

 

プレゼントを交換する。そして互いにプレゼントを開ける。先に開けたのは夏油だ。

 

「腕時計。これ高いんじゃないのかい?」

 

「そうかもですが、夏油先輩に是非つけて欲しくて。その……意味もあります……!」

 

悟里は一歩前を踏み出して、震える心と手に熱を入れて、夏油を真っ直ぐ見て

 

「『貴方と同じ時間を過ごしたい』腕時計のプレゼントにはそう言う意味があります……。夏油先輩!私、五条悟里は夏油傑の事が好きです!私と付き合ってください!!」

 

雪降る木の下で告白をした。夏油は目を見開き驚く。そして

 

「悟里ちゃん。悟里ちゃんもプレゼント見てくれるかい?」

 

悟里は促されるままプレゼントの続きを開ける。そこに入っていたのは、青と白のハートのネックレスだった。

 

「ネックレスにもプレゼントの意味があるんだよ。『ずっと一緒にいたい』と言う意味がね。先を超されたけど、夏油傑も五条悟里の事が好きです。どうか私と付き合ってくれませんか?」

 

夏油は腕時計をつけた手を差し出す。

その言葉を聞き、悟里は涙を流す。それは嬉しくて大粒の涙が止めどなくこぼれ落ちてくる。そして、夏油の手を握り

 

「はい……!よろしくお願いします!夏油先輩!」

 

「こちら……こそ…よろしくね悟里ちゃん」

 

夏油も嬉しかったのか顔が赤くなっている。そして二人は静かに顔を近づけ……

 

「何をしようとしてんだ?傑」

 

待ったをかける声。声のする方を見ると呪術界最強となった悟が仁王立ちをしていた。呪力を迸らせ夏油と対峙する。

 

「え?何ってキス?」

 

「俺はお前らが付き合うのは認めねぇぞ?大切な妹をそう簡単にホイホイと任せられるか」

 

「どうしたら認めるんだい?」

 

いいムードを邪魔された夏油は悟を睨みながらに尋ねる。悟は

 

「そんなの簡単だ俺と戦え!何時もの喧嘩だ!それで勝ったら認めてやるよ!」

 

「上等、勝たせて貰うよ悟!」

 

夏油は呪霊を出し、悟はサングラスを外し戦い始める。

 

「あ……もう!兄様は……!」

 

「ありゃりゃ始まったなぁ。あと少し待ったらいい絵が取れたのに」

 

いつの間にか家入が来ていた。

 

「まぁ、頑張ったんじゃない?二人とも及第点上げるよ」

 

「あ、ありがとうございます?」

 

悟里が礼を言うと家入が

 

「さぁ、巻き込まれない内に教室戻って料理食べなよ。ケーキも出るんでしょ?」

 

「そりゃ、出ますけど、止めなくても……」

 

「それは1番知っているでしょ?」

 

家入が笑って言うと、悟里もつられて笑い

 

「そうですね」

 

ネックレスをつけて答える。クリスマスの夜は更けて行く。これからも呪術師としての生活は続いていくが、頼れる同期、先輩がいる。守るべき、場所と人がいる悟里は歩き続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は巡り、物語は0に至る。




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そしてここまで応援していただきありがとうございます!



次回からはいよいよ原作0巻です!

各キャラクターの関係性に変化が!それではまた次回お会いしましょう!
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