ひっそりですが書いていきますので
入学して直ぐに、三人での任務が言い渡された。ある心霊スポットの3級呪霊の数体を祓うというものだ。
「被害は現在の所五名出ておりまして、何れも心霊スポットに行き行方不明になっているそうです」
「…なるほど。そのために心霊スポットに行き、呪霊を祓う必要があるということですね。聞いてますか?灰原、悟里さん」
「「ん?」」
「ハンバーガーを食べるのは良いですが、概要も聞いてください」
七海は眉をひそめながらに言う。灰原と悟里は道中に寄ったファーストフード店で買ったハンバーガーを車の中で食べていた。
「聞いてる聞いてる。ねぇ?灰原」
「
「飲み込んでから話してください灰原」
「まぁ、初任務で緊張しているよりか全然いいと思うよ。じゃあ、私は到着するまで寝るから、着いたら起こして?」
そう言うと静かに寝息を立て始める悟里。灰原はハンバーガーを食べ、七海は大きなため息をする。三者三葉の過ごし方で目的地に向かう。
その遥か上空では
「本当に見るのかい悟?少し過保護だと思うんだが」
「絶対に見る。もし何かあったらアイツを助けられるようにな」
「悟里ちゃんだけじゃなくて、七海や灰原も助けてあげなよ……私達の後輩なんだから」
虹龍に乗る悟と夏油が1年生達を尾行していた。悟は任務にイレギュラーが会った時のためという名目で妹を守る為、夏油はそんな親友の暴走を止めるために着いてきているというか、悟に言われて半ば仕方なく虹龍を出して着いてきたのだ。
「それに、今回の件がバレたら何か言われるんじゃないのかい?」
「はぁ?そんなの黙らせればいいだろ」
「本末転倒じゃないのかい悟」
夏油も夏油で暴走しそうになっている親友に頭を抱える。
「おっと、もうすぐ着くぞ悟。そろそろ降りて帳の近くに行くよ」
「よっしきた!行くぞ傑!」
いつも以上にやる気を出す悟は見ていて微笑ましいと思う同時に、何か言われた時のことを考え苦笑いを浮かべる。
そんな事とは露知らず、1年生達は歩を進める。心霊スポットとして有名になっているのは山奥の鳥居が沢山ある山道である。この、鳥居に訪れた人物が帰ってこないということで今回の任務が当てられた。車から降りた三名はそれぞれ
「よぉーし!!頑張るぞ!初任務!」
「サッと祓って帰ろうよっと」
「行きますよ二人とも」
張り切る者、飄々と構える者、率いる者の三名が帳の内側に足を踏み入れる。そして、山道を進むと呪霊が現れる。前情報通り呪霊の数も強さもそれなりのものだ
「では、私と灰原が前線に出ます。悟里さんは援護をお願いしても?」
「分かった。援護はするけど、そっちも対応してよね。私の援護は……慣れるまでは大変だよ?」
悟里は二人の後ろに立ち術式に呪力を回す。『重天呪術』は重力を操る術式。相手を押し潰すだけの術式では無い。
「術式順転――『朱』!」
悟里は二人に向けて朱い呪力を纏わせる。
「悟里さん!これは!?」
「すごい赤いんだけど!」
「私の術式の拡張!それで覆われている時は移動に制限はかかるし、援護中は術式による直接的な攻撃できなくなるの私。そりゃ、解除したら出来るけど。それじゃあ、さっさと祓って帰ろっか!」
「はい!」
「はい」
その返答と共に灰原と七海は走り出す。しかし、その速度は人物が想定しているより速い。だが、距離感が掴めないと思う前に、呪霊の不意を着く絶好のタイミングで呪霊の近くに移動させられる。
(なるほど、これが先程言っていた移動に制限が掛かるという事ですか。自分のタイミングでは無く、悟里さんのタイミングで動かされるのか)
だが、これにより、二人の負担は少なく、呪霊を祓う事が出来きた。七海と灰原は己の得物で呪霊を祓う。最後の一体が悟里に襲いかかるが、七海と灰原をその呪霊の後ろから攻撃させて最後の呪霊を祓う。それと同時に悟里は術式を解除する。
「す、すごいよ悟里さん!僕初めて宙に浮いたよ!!」
「ええ、たしかに貴重な体験でしたね。ですが、この援護では私達二人の経験にはなりえませんね」
「やっぱりそうだよね……ごめん。今まで独りでやってきたから、援護は慣れてないんだ」
バツが悪そうに謝る。そんな悟里に灰原は
「謝る必要なんてないよ!僕はすごく楽しかったし呪霊を祓えてるし何も問題はないよ!ね!七海!」
「ええ、まぁ。不思議な体験でしたね。話はこれまでにして、奥に進みますよ」
七海がそう言うと歩き進む。その道中も呪霊が居たが、難なく祓い、行方不明者を回収する。
「全員、衰弱してますが生きていますね」
「よっしゃ!全員間に合った!」
「灰原くん下山するまでが任務だよ!気を引き締めて行こ!」
悟里がそういい、行方不明者を浮かせながら歩く。呪霊を祓ったこともあり、山道を何事も無く降りることが出来き、帳から出る。補助監督が、行方不明者の確認を済ませて救急車を呼び搬送させ、三人はそのまま高専に戻る。帰りの道中は三人とも寝息を立てて寝ていたのはここだけの話である。
「さて、私達も帰ろう。歓迎会の準備が無駄になる前に」
「そうだな。あいつらにしては頑張ったじゃね?」
「まさかとは思うが、出番が無くて膨れてはいないかい?」
「あん?そんなことねぇよ」
隠れていた特級呪術師も出てきて背を伸ばす。そして、歓迎会の為に急いで戻る。
「という訳で!新入生自己紹介ヨロシク!!」
ハイテンションな悟が1年生三人を前に立たせて自分も帽子を被りマイクを向ける。1年生たちは『本日の主役』と書かれたタスキを前にかけて立っていた。
「ハイ!一年の灰原雄です!これから頑張って行きますのでよろしくお願いします!!!」
「元気いっぱいの子だね」
「いい子だねぇ」
夏油と家入はそう呟き手を叩く。
「同じく、七海建人です。頑張っていきますので、ご指導ご鞭撻の程よろしくお願いします」
「真面目だね」
「真面目だねぇ」
七海の印象は真面目に決定した瞬間である。そして、
「同じく一年の五条悟里です。えーと、これからよろしくお願いします」
「つまんないぞー悟里!もっと面白いことを言えよー」
悟里の自己紹介に即、つまらないと言って煽る悟。額に青筋が達そうなのを我慢しながら悟里は
「ごほん!えー、そこのグラサン先輩がなんか色々とちょっかいかけてくると思いますが、全部無視でいいです!ですが、意外に寂しん坊なので気が向いたら話してあげてください!」
「あぁん?」
「まぁまぁ、悟。これ以上は時間も勿体ないから始めようか」
夏油に宥められ悟は渋々飲み物の入ったコップを手に持ち
「それじゃあ!新1年生の入学を祝して乾杯!」
『乾杯!!!』
一二年生交流で歓迎会が行われた。
「へぇ、君があの五条の妹か、私は家入硝子よろしく」
「五条悟里ですよろしくお願いします」
家入は気になっていた悟里とコンタクトを取り、話しかけた。そして第一印象は
「うっわ全然性格似てな!五条に爪の垢煎じて飲ませたら?」
全然兄妹の性格が似ていないなと。
「優れた人物にあやかるという意味では、少し腹経ちますけど向こうの垢を飲むべきでしょうね。悔しいですけど、呪術師としての兄様は私より強いですし」
(うっわ謙虚……。本当に五条の妹かぁ?)
家入は悟と悟里を交互に見て比べるが、本当に絵に描いたような美形な兄妹である。
「あの、家入先輩、このシュークリーム食べてもいいですか?」
「ん?まぁ、いいじゃない?五条と夏油が準備したものだし」
「兄様と夏油先輩が……。いただきます」
悟里は好きなものを頬張る様に思い切りシュークリームにかぶりつく。すると、徐々に顔が赤くなり
「辛っ!あ、あっ!?ああっ!はふっ!辛い!なにこれ!痛い辛い!?」
「え?はぁ?大丈夫?」
シュークリームを片手に両膝を着いて悶える悟里。それを見た悟は
「アッハハハ!!!お前が引いたのか!1/20の確率で当たる超激辛シュークリームを!考えられるわさびとカラシと一味を入れ込んだシュークリーム!お前本当に運がいいなぁ!!!アッハハハ!!」
「あれを本当にしていたのか……」
悟は腹抱えて笑い転がり回り、夏油も少しだけ笑っている。
「大丈夫!?悟里さん!これ!ヨーグルトだよ!」
「だから、牛乳とヨーグルトが配備されていたのですね」
悟里は灰原からヨーグルトを貰い飲むのと同時に、高笑いしている悟に向けて
「やりやがったな!?クソ兄!!!事象・照準固定、術式順転・『朱』!」
持っていた半分残っていた激辛シュークリームを術式を使い、悟の口の中にねじ込む。勿論、遷延眼を使い、確実にねじ込む可能性を引っ張り寄せて。
「んぐっ!?……かっ!辛っらい!んだよ!これゴホッ!ゲホッ!あああ!!ヤバイ!傑!牛乳くれ!」
「因果応報とはよく言ったものだよ。はい、牛乳」
夏油から牛乳を渡された悟は悟里を六眼で睨みながら
「やりやがったな!悟里!」
「先に仕掛けたのはそっちでしょ!そっちがその気なら乗ってあげる!」
その言葉をゴングに
「上等……!泣かしてやる!」
「それはこっちのセリフ……地べたとキスさせてやる……!」
最強の兄妹がキレ、会場の寮を半壊させながら大喧嘩する。それを見上げながらシュークリームを食べる、夏油、家入、灰原、七海は遠い目をしていた。
勿論、夜蛾に兄妹が指導されてお開きになったのは言うまでもない。