五条悟の妹は悲劇を変えたい   作:皐月の王

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少しづつですが頑張ります!


懐玉―壱

入学して季節はめぐり、夏頃になる。1年生とは言えど、特級の悟里は単独で任務に挑む事が多くなっていた。

 

(もうすぐ、星漿体事件の頃になるのかな……)

 

岩に腰掛けて木陰から空を見上げ、自分のするべき事を考える。

 

(夏油先輩を闇堕ちさせない為にも、天内理子、黒井美里、両名の生存が望ましい……。尚且つ、伏黒甚爾と夏油先輩の対決は避けたい。伏黒甚爾にも生き残って欲しい気もするけど、二兎追うものは一頭も得ずと言うし)

 

最難関な題目。前述の二名の生存、夏油と伏黒甚爾との衝突の阻止。そこから導かれるのは

 

(私が伏黒甚爾と戦うしかない。それも……三人を圧倒的に遠くに逃がす事が前提になる)

 

拳を握り立ち上がる。迫り来る呪霊を呪力で強化した拳で祓いながら考えを深める。どうやって逃がすかと

 

(…出来なくはない。術式の解釈で、それには手が届いた。まだ慣れてないから、少しのラグと、呪力の消費量には目を瞑らないと行けないけど)

 

その時点で悟里の中で道は半ば決まった。

 

(死なないように伏黒甚爾と戦う。不可能でもなんでもいい。それが、私の役割だ)

 

悟里は完全に道を決めた。定めた目標地点にたどり着くのは容易では無い。だけど、悟里は見たい結末のために死力を尽くす。

 

 

 

 

 

そして、物語が動き出す。

 

翌日悟里は夜蛾に呼び出されて実験室にて先に待っていた。

 

「三人って……三人目お前かよ!」

 

「悟里ちゃんも星漿体の件?」

 

「はい、そうです。夜蛾先生に呼ばれたので」

 

悟里は二人分の椅子を机から下ろして並べて話を聞く体制になる。

 

「それにしても、天元様の術式の初期化ですか?」

 

「ん?何それ?」

 

"お前は知っているはずだろ"と言う空気が場を支配する。夏油は溜息をつき、悟里も肩を落とす。

 

「話聞いたことがないのですか?兄様。星漿体と天元様について」

 

「だからなんだよ?」

 

悟里は再度溜息をつきそうになる。そして三人が部屋に入るのを確認すると夜蛾は話を始める。

 

「天元様は"不死"の術式を持っているが、"不老"ではない。歳を重ね一定以上の老化を終えると術式自体が術者に作用してその肉体を創り変えようとする。"進化"、人ではなくなりより高次の存在となる」

 

「じゃあいいじゃん、カックいー」

 

その続きを夏油が話す。

 

「天元様曰く、進化の間には意志というものが存在しないらしい。天元様が天元様でなくなってしまう。高専各校、呪術界の主要拠点を覆う結界。多くの補助監督を守る結界術。その全て天元様によって能力が底上げされている。天元様なしでは防護や任務の消化がままならなくなり、呪術師は機能しなくなる。最悪の場合は天元様が人類の敵になる可能性もある」

 

 

「そのために、500年に一度、星漿体、つまり、天元様と適合する人間と同化して肉体情報を書き換えるんですよ兄様。肉体が新しくなれば術式効果が振り出しに戻るので、"進化"は起こらない。つまり、グレイモンが進化してメタルグレイモンに進化するのはいいけど、スカルグレイモンになられると困るので、コロモンまで退化させる感じ」

 

「そういう事か、そうなればスカルグレイモンの暴走を拝む必要は無いから楽という事だな」

 

デジモンで納得する悟とデジモンで例える悟里を見て兄妹だなぁともう反面

 

「えぇ…まぁいいや、それで」

 

なにか納得できない夏油がそこには居た。夜蛾は話を続け

 

「その星蔣体の少女の所在が第三者に漏れてしまった。いま少女を狙っている輩は大きく分けて二つ! 天元様の暴走による現呪術界の転覆を目論む呪詛師集団『Q』!!天元様を崇拝する宗教集団盤星教『時の器の会』!!天元様と星蔣体の同化は二日後の満月!!それまで少女を護衛し、天元様の下まで送り届けるのだ!!失敗すればその影響は一般社会までに及ぶ。心してかかれ!!」

 

 

そしてその話を聞いたあと廊下を歩く。三人は話をする。

 

「私さ、今回の二人のサポートがメインって話なんだけどさ、サポートって具体的に何するのさ」

 

「あぁん?お前の術式があれば、日本中直ぐに何処にでも行けるだろ?それで、所在まで送ってくれるだけでいいから」

 

「いや、一度行ったことがある所に限りだし、場所のストックは自分で選べるけど5箇所までだよ」

 

「はぁ……本気でつっかえねぇド〇えもんだな」

 

大きな溜息を態々仰々しい着く。それに噛み付く悟里

 

「はぁ!?あんな便利ネコ型ロボットと同等と思わないでよ!」

 

それを見ている夏油は猫同士が戯れているように一瞬だけ幻視した。それはそれで微笑ましいと思ったが話が進まないので

 

「まぁ、まぁ。逆に言えば一度行ったことがある場所なら5ヶ所と言えど直ぐに移動ができる。悟里ちゃんのことだから、5ヶ所の内の一つを高専、もしくは高専付近にしているだろうから星漿体を迎えて直ぐに高専に帰ることができる。そう思えば、悟里ちゃんがサポートに回ってくれることは非常に助かる」

 

「夏油先輩…!」

 

悟里が嬉しそうに目を輝かせて夏油を見る。それに

 

「傑、あんまりそいつ褒めんなよ?直ぐに調子に乗るから」

 

「……帰る時に1人だけ置いていってやる」

 

相も変わらずだなと夏油は内心笑う。五条兄妹は顔を合わすと軽く喧嘩する。それが高専での日常なのだ。

 

「でもさー、呪詛師集団『Q』は分かるけど、盤星教の方はなんで少女(ガキんちょ)殺したいわけ?」

 

そんな悟の疑問に夏油は己推察を話す。

 

「崇拝しているのは純粋な天元様だ。星漿体…つまり不純物が混ざるのが許せないのさ」

 

「こっちの事情も知らない一般人(パンピー)は気楽でいいものだよ。崇拝してれば救われると思ってるから。呪詛師集団『Q』も暇人かな?」

 

しばらく歩くと目的地に辿り着く。夏油と悟里が屋内に入る。夏油と悟が通話をして話を続ける。

 

「意外に言うこと言うね……。まぁ、その、盤星教は悟里ちゃんの言う通り非術師の集団だ。特段気にする必要は無い。警戒すべきはやはり『Q』!!」

 

途中の自販機で買ったジュースを悟が飲みながら。

 

『まぁ、大丈夫でしょ。俺達最強だし。だから天元様も俺達を指名したんだろ?』

 

「はぁ……」

 

夏油が心底呆れたような表情を浮かべながら悟に話す。

 

「いやぁ、悟。前から言おうと思っていたんだが、一人称『俺』はやめた方がいい」

 

『あ?』

 

外で待機している悟は缶を術式で押し潰しながらに反応する。

 

「特に目上の人前ではね。天元様に会うかもしれないわけだし、『私』最低でも『僕』にしな歳下にも怖がられにくい」

 

「と言っても素直に聞かないですよ?」

 

 

悟里が夏油の隣で言うと、携帯からは人を煽るような口調で

 

「へっ!やなこった」

 

想像通りの返答が返ってきた。それには夏油も呆れたように

 

「あのなぁ、悟……。まぁいい。また今度話そう。ここだね?悟里ちゃん」

 

切り替えて部屋の確認をする夏油。悟里は頷き

 

「はい、この部屋です」

 

チャイムを鳴らす。

 

「はーい」

 

扉の向こうからは女性の声が聞こえる。それと同時に

 

ピー

 

何かの作動する音が耳に入る。

 

「「は?」」

 

直後部屋が爆発する。が、夏油が咄嗟に呪霊を出して自身と悟里を覆い防御する。

 

『生きてるー?』

 

「私達はな」

 

『これで少女(ガキんちょ)死んでたら俺たちのせい?』

 

夏油と悟里が中を確認し外を見ると煙から外に落ちていく少女が見えた。

 

『あ』

 

間の抜けた声が携帯から漏れる。が、屋内組は瞬時に動く。夏油が呪霊を出して窓を突き刺す。

 

「悟里ちゃんは襲撃者を頼む!」

 

「了解です。星漿体は任せます」

 

夏油がそのまま飛び出し、呪霊を使い少女を救出すべくと追いかける。

 

そんな中、白い服を着た『Q』の戦闘員コクーンがメイドを引きずりながら、星漿体の落下を見る。

 

「悪く思うなよ。恨むなら天元を恨み……なっ!?」

 

コクーンが見たのは星漿体を抱き抱えて呪霊の上に乗る夏油だった。

 

「目立つのは勘弁してくれ。今朝怒られたばかりなんだ」

 

「その制服、高専の術師だな?ガキを渡せ、殺すぞ」

 

殺意を向けるコクーンに対して、耳を傾ける真似をして夏油は煽る。

 

「聞こえないな、もっと近くで喋ってくれ。それとだ、彼女を無視して私の相手をするのは下策じゃないかな?」

 

「あぁ?ぐっあ!?」

 

突如コクーンの頭部を凄まじい蹴りが襲う。

 

「人に物を頼む態度を学んでから来なよ」

 

コクーンは瓦礫からゆっくり立ち上がり、

 

「貴様も高専の生徒、邪魔すなら殺すぞ!そこをどけ」

 

「よく吠える犬だね。躾が足りないんじゃない?」

 

埃を払いながら悟里は対峙する。




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