「夏油先輩、紅茶入りましたよ」
「ありがとう、悟里ちゃん」
悟里と夏油は爆破された部屋で優雅にティータイムに入っていた。同じソファーに座り紅茶を飲む。
「た、助けて……!も、もう、この件から手を……引く!!呪詛師止める……から!そうだ!米を作ろう!実家に帰って米を作るから!」
呪詛師集団の『Q』の1人コクーンは助けを求める。現在彼は、通常の5倍の重力で床に縫い付けられており、立ち上がる事すら叶わない。そんな状態で懇願するが、
「この後、どうします?」
「とりあえず、悟と合流して、高専に戻った方がいいかもしれない。流石に狙ってくる連中も高専の中までは来ないさ」
「聞こえて……いるだろ!?」
今後の方針を話し合い無視をする夏油と悟里。ツッコミにも似た悲鳴を聞き二人は呪詛師の方を向く。夏油は携帯を触り、悟里は紅茶を飲みながら
「呪詛師に農家が務まるかよ」
「呪詛師がお米を?土地とかあるの?知識は?まぁ、無駄だろうから止めなよ?」
「聞こえてんじゃ……ねぇか!!!」
相も変わらず潰されたカエルの様に横たわっているコクーンはギャーギャーと騒ぐ。悟里と夏油はぁとため気をつく。
「学生風情が……ナメやがって……!だが、ここには……バイエル……さんが!!『Q』の最高戦力……オマエらもそいつらも……」
「バイエルってこの人?」
夏油が携帯を見せる。そこには悟がピースして、ボコボコにした人の写真を送信してきていた。
「……この人ですね」
最高戦力バイエルのリタイアにより組織瓦解。
「一応医者に診せる?」
「そうだね。悟里ちゃん、ゲート頼めるかい?」
「高専の結界の前までなら行けるんで今、繋げますね?」
悟里が術式を使いゲートを作ろうとした瞬間。
「あっ、起きた」
悟がお姫様抱っこしていた星漿体が目を覚ます。そしてそのまま、悟にビンタをして飛び退く。
「下衆め!!妾を殺したくば、まずは貴様から死んで見せよ!!」
その光景を見て笑う夏油と悟里。そして、夏油が顔を抑える悟の肩に手を乗せて
「理子ちゃん落ち着いて。私達は君を襲った連中とは違うよ」
「嘘じゃ!!嘘つきの顔じゃ!!前髪も変じゃ!!」
夏油と悟は理子の腕と足を引っ張り捻じる。
「ぃいや―――!!!不敬ぞぉぉぉ!!!そこの助けてくれ――!!!」
「助けたいけどー、二人に逆らえないからなぁー。頑張れ頑張れー」
悟里はその光景を見ながら大きなため息ついていた。
「おっ、おやめください!」
救世主来たと言わんばかりに天内が目を輝かせて声の主を見る。
「黒井!」
「お嬢様その方達は味方です!」
開放された天内は黒井を見ながら首を傾げる。
「黒井……何に乗っておるのだ?」
「これは、前髪の方の術式です!!」
「その言い方やめて貰います?」
食い気味に夏油は言う。天内にも言われ黒井にも言われて大きく溜息をつきながらも説明をする。
「『呪霊操術』文字通り取り込んだ呪霊を操れるのさ」
「思っていたよりアグレッシブなガキんちょだな。どう気を使うか考えてたのに」
「まぁ、凄いセンチメンタルより良いんじゃない?」
悟里がそう言うのと同時に
「如何にも下賎な者の考えじゃ。いいか?天元様は妾で、妾は天元様なのだ!!貴様の様に"同化"を"死"と混同している輩がおるがそれは大きな間違いじゃ!同化により妾は天元様になるが、天元様もまた妾となる!!妾の意志、心!!魂は同化後も!生き続け!」
「すいません、あの二人は聞いてませんけど」
天内の肩を叩きながらに悟里は悟と夏油を指さす。二人は携帯の待ち受けの話をしていて興味なさげだった。
「はぁ!?聞けよ!!!」
「あの喋り方だと友達もいないじゃろ」
「快く送り出せるのじゃ」
それを言われた天内は顔を赤くしながらに反論する。
「学校じゃ普通に喋ってるもん!」
天内が学校と言った瞬間。黒井は困った顔をする。天内は思い出したように
「学校!!黒井!今何時じゃ!?」
「まだ昼前……ですが、やはり学校は!」
「うるさい!!行くったら行くのじゃ!」
三人は首を傾げてそのやり取りを見る。そして
「どうしてこうなった……」
「それはこちらのセリフ。と言うか歳の誤魔化しが効くの悲しいんだけど」
天内のたっての願いで廉直女学院に行く事になり、悟里は生徒に紛れて護衛をすることになった。女子校ということもあり、紛れるのにはうってつけである。
「ねぇねぇ!この人理子の知り合いなの?初めて見るけど」
「え!?この人は……」
「理子がお世話になってます!従姉妹の五条悟里です。訳あって休学していたんですけど。久々なので理子に着いて貰っているんです」
理子は「よくもそんな嘘をあたかも本当のように言える」と内心思ったが、言っている口調、表情が嘘を言っているとは思えないだろうなぁと思った。友人も騙されている以上、自分が友人の立場なら信じるだろうと。
「なんだぁ、そんな事なら早く言いなよ!水臭いなぁ」
そのあとは学院の案内があり、そのまま音楽の授業が始まった。先生も見学を許可しそのまま進む。ただ、
「あの人美人じゃない?」
「理子の従姉妹らしいよ?」
(すごく、注目される)
視線を集めていた。それは仕方ないといえば仕方ない。容姿でいえば悟と同様に白髪で整った顔の美少女ではある。注目がされるのは仕方ない。授業を受けていると、携帯のバイブレーションが鳴る。そっと見ると夏油からのメールだった
『護衛につけた呪霊祓われた。襲撃に警戒して』
とメールが来ていた。それを見た悟里は息を吐き、
「先生、すいません、少しお腹痛いんで保健室行って良いですか?」
「良いわよ、天内さんついて行ってあげて」
「え!?はい」
そして天内に連れられて外に出るのと同時に、重力を操り、自身と天内を浮かせて、走り出す。
「お腹痛いんじゃないの!?」
「勿論嘘。だけど、襲撃者が来てるみたい。友達、巻き込みたくないでしょ?ほら、こうして、襲撃者とも出会った。何してんだかお兄様は……もしもし?」
ため息をつきながらに悟里は呪詛師を見る。紙袋を被った大男が立ちはだかっていた。それを気にせずに電話に出る。
『もしもし、悟里ちゃん?理子ちゃんの首に懸賞金がかけられているみたいなんだ』
「この子に?」
『ああ、呪詛師御用達の闇サイトで期限付き。明後日の午前11時までだそうだ』
それを聞き、
(いよいよ、動き出したか伏黒甚爾。天与の暴君の削りが……まぁ、今回は私もいるし向こうも悟を削るだけじゃ済まないだろうけど)
「2、3、4人。皆同じ背格好じゃ、式神か?」
「どうだろう?ねぇ、一応言うけど、呪詛師じゃなくて呪術師として更生して転職するなら歓迎するけど?」
紙袋の呪詛師に向かって悟里が言う。
「いやぁ、職安も楽じゃねぇだろ。そのガキ譲ってくれればそれでいい」
そういうとドロリともう1人増える。悟里は溜息をつき
「じゃあ、痛い目見ても、泣くなよ?」
右手を横に動かすと分身の一人が真横に引っ張られて、一人の分身に激突する。
(なんだ今の!?2人がやられた!?)
男は驚愕する。悟里は天内の方を向き
「しっかりくっついていて、守れないから」
抱き寄せて言う。それと同時にもう二人の男が殴りかかってくるが、悟里に近づいた瞬間地面に叩き落とされる。
「がっ!?」
「んだ……これ」
「重力だよ。普段から恩恵受けてるでしょ?」
地面に伏した男と蹴り飛ばして最後の一人を見る。
「さて、ラスト一人。便利そうな術式持ってるくせに、これじゃあねぇ。とりあえず」
悟里と天内の体が朱く光ったかと思うと、距離があった男に肉薄し、手を向ける。
「反転が使えれば、出向く必要性は無いんだけど。まぁ、良いや。とりあえず、呪力で体守りなよ?忠告はしてあげる」
そういうと手に呪力が収束し鮮やかな朱が生まれる。そして
「術式順転……『朱』」
重力の塊が放たれ、向かいの建物に男は叩きつけられる。それこそ、人型の穴が生まれる位には。
「いっちょ上がり」
悟里が肩を撫で下ろすと
「なんだよ、もう終わったのかよ」
悟が後ろから声をかけてきた。
「あっ、お兄様。遅かったね、迷子になってた?」
「お前がGPS切っているからだろうが!」
悟は悟里の頭をアイアンクローしながらに言う。悟里は健気に抵抗をする。勿論、悟が遅かったそれだけではなく、別の呪詛師の相手をしていたというのもある。
「す、すごい」
天内は悟里の戦いを見て感嘆の声を漏らすが、すぐに携帯が鳴ったのでそっちを見る。そして顔色を変えて、
「どっ、どうしよう黒井が…!!黒井が!!」
悟里と悟が天内の携帯を見ると縛られた黒井の写真が送られていた。
毎週ジャンプを見る度に五条悟の規格外ぶりに驚かせる。悟里ももっと強くしたいんだけどなぁw