【本編完結】ロックバンドにハマったという一人暮らしの息子を訪ねたら「おしゃけしゅきぃ~っ」と寝言を呟く酒カス美女とベッドで眠っていた。   作:SUN'S

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はじまり
息子の彼女を名乗る酒カスは「お酒とみっくんが好きでぇーす!」と酔いながら高らかに言う。でも、お母さんはアルコールで倒れてしまわないかすごく心配です。


どうもお母さんです。

 

今日は遠路はるばる都会に上京して大学に通っている息子の部屋を掃除(という名目で家宅捜査っぽいこと)するために内緒で訪ねてきたのですが、おそらく息子のベッドと思わしきものに素っ裸でお酒臭い美女が寝ている場合はどうすればいいのでしょうか。

 

「むふぅ、おしゃけしゅきぃ~っ」

 

ああ、この人は酒カスだ。と、私は直ぐに理解して窓を全開にして扇風機を起動する。少しでもアルコールの臭いを消すのと換気も目的としているので彼女を起こすつもりはないです。

 

ただ、私の息子はダメな女の子が好き。

 

そういう性癖なのだと少しでも理解してあげる必要があるのだということが知れたのは良いことだと思うし、彼女がいるというのも良いことのはずだ。さすがに酒カスなのは予想外だったけど。

 

「んむぅ…みっく……だ、だれ?」

 

どうも初めまして、私はこの部屋で一人暮らしをしていると思い込んでいた羽佐間ミツルのお母さんです。ついでに言えば貴女のお義母さんです。どうぞ宜しくお願いしますね。

 

「…おしゃけのも…」

 

そう言ってパックのお酒を飲もうとする彼女の手を軽く叩き、本当はミツルのために作ってきていたご飯を食べてアルコールが抜けるまで安静にして眠るように優しく伝える。

 

なぜか泣かれた。

 

あと私の事は「ままぁ…」じゃなくて「お義母さん」と呼んでもらえると嬉しいわね。とりあえず、私は浴室とトイレの掃除をするのでゆっくりとよく噛んで食べるんですよ?

 

「…う゛ん……ずずっ、うまぁ…」

 

そりゃあそうよ。なんたって色んなお味噌を試して、その日の湿度や味を確かめてから作っているのよ?と浴室を持参したスポンジで洗いながら密かにドヤ顔を浮かべる。

 

ふと啜り泣く声が聴こえる。

 

小さな弱々しい声で「みっくん、ごめんねぇ、ごめんねぇ…」と繰り返しながらご飯を食べている。彼女もまたお酒で狂ってしまったのだろう。

 

そんなことを考えていたのに、ジュゾゾゾゾゾッという音が聞こえてきた。さっきの謝罪はなんだったのだろうか。と、私は呆れながらシャワーで泡を洗い流していく。

 

「あらためましてぇっ!!私は廣井きくり…みっくんの彼女です、こんごともぉよろしくぅ!!」

 

こちらこそ宜しくね、きくりさん。

 

しかし、いつまで彼女は裸なのだろうか。かれこれ十数分は裸でまったく恥ずかしがるそぶりを見せないどころかアルコールをさらに煽っている。

 

なるほど、これがロックバンドなのね!!

 

私はなんとなくロックバンドについて。

 

とても重要な事を知ってしまったのかもしれないと驚きつつ、きくりさんに「また日を改めるわね」と伝えてミツルの部屋を出ていく。

 

ミツル、お母さんやっぱり分からないわ。

 

 




〈廣井きくり〉

義理の娘。

息子の彼女を名乗る酒カス美女。マンションの一室だというのに複数の楽器を持ち込んでおり、おそらく寝室だった場所は完全に物置として扱うようになったのは彼女の影響だろう。

やっぱり、お母さんは心配です。

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