【本編完結】ロックバンドにハマったという一人暮らしの息子を訪ねたら「おしゃけしゅきぃ~っ」と寝言を呟く酒カス美女とベッドで眠っていた。 作:SUN'S
私は山田リョウ、ベーシストだ。
最近の悩みはバンドを解散した事で収入源を失ってしまったこと。最近の幸せはお弁当を作ってくれる優しいお兄さんが出来たこと。しかし、幼馴染みで親友の伊地知虹夏に「あの人はお姉ちゃんのだからだめだよ!?」と怒られた。
だが、今日も私はお弁当を食べている。だって、もうお兄さんのお弁当がないと(お腹が空いて)生きていけないから仕方ない。そんなことを考えていると星歌さんが戸棚のグラスを取ろうとしているのが見えた。
「もうちょっ、と…!」
必死に背伸びしているけど。
あの高さは星歌さんの身長じゃ絶対に届かないのは分かるだろうに。と、彼女の無駄すぎる頑張りに呆れているとお兄さんがやって来て、なんの躊躇もなく星歌さんの真後ろに立って「これっすか?」と一緒にグラスの箱を持つように手を添えている。
「………変態…」
「えっ、なんでですか!?」
「う、うっせえ、あほ!」
「えぇ…」
いきなり、怒られたことに困惑するお兄さんも中々に面白いけど。カウンター内でしゃがんだまま「手を握っちゃった!どうしよっ、どうしよう!?えぇ、やばい、恥ずかしすぎる!でも、へへっ、一歩前進、かな?」と嬉しそうにはしゃいでる星歌さんほどじゃないね。
「ねえねえ、お兄さん」
「ん。どうした?」
「からあげは?」
「そんなもんねえよ。エビフライだけだ」
からあげ、食べたい。
お兄さんのエビフライはぷりっぷりの肉厚な海老を使ってくれているおかげで食べたときは最高だったけど。さすがに三匹じゃ物足りない。
もっとおかずがほしい。からあげ、プチトマト、フライドポテト、お兄さんのご飯に胃袋を掴まれちゃったから最後までお世話してほしいよ。
「伊地知店長、大丈夫ですか?」
「たぶん、店長なら大丈夫ですよ。それよりお店を開ける前に早いところ作業を終わらせちゃいましょうか、羽佐間くん」
「それもそうっすね。あ、PAさんは軽いものを運んでもらえます?できればスタンドとか怪我したりしないものを」
「フフフ、羽佐間くんは優しいですね」
あれは、やばい。
どうするのさ、虹夏。
このままだと星歌さんは奥手すぎてPAさんにあっさりと持っていかれるかもしれないよ。…それはそれで面白そうかも?
「まあ、別にいいや」
私は無関係だし。
そう納得しながらお兄さんのカバンに入っている水筒とコップを取りだし、程好い温かさのお茶を飲む。お兄さんってば水筒を二本も持ち歩くとは、そこまで私に料理を食べてほしかったんだね。
〈STARRY三角関係〉
山田リョウの考察。
酒屋の跡取り息子の羽佐間ミツルを巡って対立している二人の女性の対照的な反応の違いに山田リョウは昼ドラを見ている感覚だ。ちなみにダークホース枠に自分を入れている。