【本編完結】ロックバンドにハマったという一人暮らしの息子を訪ねたら「おしゃけしゅきぃ~っ」と寝言を呟く酒カス美女とベッドで眠っていた。 作:SUN'S
私は山田リョウ、女子高生だ。
今日はいつもお弁当をくれるお兄さんの暮らすマンションにやって来ている。しかも憧れのきくりさんも一緒にいるので一石二鳥というやつだ。
でも虹夏にバレたら怒られる。
べつに付き合ってる訳でもないし、お兄さんを狙っているのは星歌さんなんだから私は無関係だ。まあ、PAさんもなんとなくお兄さんを狙ってるし。よく考えたらお兄さんも可哀想だ。
「んあぁ~っ、だれぇ?」
「どうもお兄さんのお弁当をよく食べてる山田リョウです。これ、つまらないものですがお兄さんときくりさんに」
「んぇ?……おしゃけだぁー!!」
ふう、良かった。
お父さん秘蔵のワインを二つほどおねだりして貰ってきた甲斐があるぜ、きくりさんの笑顔には!!なんて考えながら部屋に入れてもらう。
男の人の部屋。まさか彼氏を作るより前に入室することになるとは、この山田リョウの目をもってしても分からなんだ。
それにしてもお酒や経営の本ばっかりだ。あとゼ○シーとかがめちゃくちゃ散乱してる以外は普通だ。………これって普通なんだよね?どうしよう、男の人の普通が私には分からない。
「そぇで君はどぉしてここにぃ~っ」
「あーっ。あれです。この前のケンカのことでお兄さんにも報告しておこうかと……」
「………フーン。そうなんだ」
えっ、いきなり真顔になった。ほんのり顔は紅潮してるけど、私を見る目は酔っぱらいとは到底思えない鋭さをしている。
「そういえばお弁当だっけ?」
「は、はい」
「みっくんのご飯美味しいでしょ?ンフフフ……あれね、私の身体を気遣って色んな本やお店のアルバイトで覚えてくれたんだあ……」
「………ハッ、まさかのろけ!?」
「うん、そだよー?」
「くっ、これが既婚者の余裕ッッ」
「あはは、面白いね君」
そう言ってきくりさんは私の頭を撫でてくれた。この年になって頭を撫でられるのは、ほんのちょっとだけ恥ずかしいかもしれない。
まあ、甘んじて受け入れよう。
「きくりさん、ただいま。あと山田」
「おきゃえりいぃいぃ!!」
「お兄さん、おかえり」
あまりにも自然すぎるエプロン姿とエコバッグを持ったお兄さんに驚きつつ、今日の夕飯は鶏肉のお鍋かと期待していると「山田も食べていくか?」とお兄さんに聞かれた。
そりゃあ当然食べていきます。私は出されたご飯は残さずに食べることをモットーとしてますからね。あと出来れば大根おろしを。
「ん。きくりさんはどうする?」
「んとね、えと、ポン酢ぅ!」
「きくりさんかわいい」
お兄さんものろけた!?と私は驚きながらテーブルの上に置かれるガスコンロと土鍋を見つめる。自家製のお出汁、均等に切られた野菜やお肉、ふっくら炊きたての白米、はやく食べたい。
〈山田リョウ居候中〉
山田リョウの生活。
そろそろ一人暮らしを体験しようとお兄さんのところにやって来た山田リョウは羽佐間夫婦と仲良く過ごしている。そのため山田リョウの肉付きが良い意味で良くなってしまった。