【本編完結】ロックバンドにハマったという一人暮らしの息子を訪ねたら「おしゃけしゅきぃ~っ」と寝言を呟く酒カス美女とベッドで眠っていた。   作:SUN'S

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やらかし天才ベーシスト山田リョウは「虹夏、それはやめよう!」と必死に親友を止める。しかし、伊地知虹夏はぽむっとしてしまった

私は山田リョウ、天才ベーシストだ。

 

私の親友の姉こと伊地知星歌と羽佐間きくりさん、あと電撃参戦したPAさんによる壮絶なキャットファイトを虹夏とカウンター越しに見つめる。

 

「これリョウのせいだからね!」

 

「違う。これはお兄さんのせいだよ」

 

「………それもそうだね!」

 

ウンウンと何度も頷く虹夏。

 

彼女はお兄さんのことを「ミツルくん」と呼び、それとなく星歌さんのサポートをしていたこともあり、彼女の気苦労は私の想像以上の辛さと面白さがあったのだろう。

 

………さすがに向こうの大人のようになるつもりはないけど。いちおう、男の人には注意するようにしよ。虹夏も私と同じことを考えているはずだ。そうじゃなかったら、あのダメな大人になる。

 

「ねえ、リョウ」

 

「なに?」

 

「ぽむれば…終わるのかなあ?」

 

「ぽむるのはなし。それはダメな大人達をまともにするための最後の手段」

 

「もうむりだよ、あれ」

 

そう言って虹夏は言い争う三人を指差す。ウ~ン、私は無関係なんだけどなあ?と思っていると私のベースを持ち上げ、フラフラと揺れ動く虹夏をそっと押さえつける。

 

それは私のベースだからやめて。

 

「う、うわああぁぁぁぁっ!!」

 

私のベースを振りかざし三人に襲いかかる虹夏からそっと視線を反らす。すると、後ろから「んきゅっ!?」「あいたぁ!!」「きゃんっ!?」という可愛い悲鳴が聴こえてきた。

 

みんな、虹夏にぽむられたか。

 

「こんちは……なにこれ?」

 

「こんにちは、お兄さん」

 

「これ、どうなってるんだ?」

 

「お兄さんのせいだよ」

 

「そうなのか?ふむ、心当たりはあるが。こうなってしまうようなことをした覚えはないな。………とりあえず、向こうで着替えてくる」

 

お兄さんはそう言うと私にお弁当と水筒の入った小さめのカバンを手渡してきた。今日のご飯はなんだろうか?と私は心を踊らせながらカウンター席に座り直し、放心状態の虹夏を見つめる。

 

今日はコロッケ?

 

あっ、メンチカツだ。合挽きのお肉じゃなくて、しっかりと組み合わせてる。熊肉のような食感もするし、ワイルドな味もする。

 

ウン、さすがお兄さんだ。私の食欲をスゴく刺激するおかず。白米にもほんのりと梅の香りが、擂り潰して混ぜてるんだ。

 

「おいひぃ…♥」

 

もきゅもきゅっと白米を頬張りながらメンチカツをかじり、均等に切られたレタスを口に運ぶ。ちゃんと食べてるのに、どんどんお腹が空いてくる。

 

よし、今日もお兄さんの家に行こう。

 

そんなことを考えながら豆腐とワカメの入ったお味噌汁をカップに注ぎ、ずずっと音を立てて飲む。こっちもすごく美味しい…!!

 

 




〈美食屋リョウ〉

腹ぺこベーシスト。

お兄さんの料理の虜になった山田リョウは、いつものごとく羽佐間家に入り浸っている。もはや第二の実家といって差し支えないほど仲良くなっているが、その事実を伊地知姉妹は知らない。

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