【本編完結】ロックバンドにハマったという一人暮らしの息子を訪ねたら「おしゃけしゅきぃ~っ」と寝言を呟く酒カス美女とベッドで眠っていた。   作:SUN'S

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ロックについて何も知らない喜多ちゃんはそれでも「私はギターを弾けます!歌もできます!」とにこやかに言った。しかし、それは彼女のウソである

彼女、喜多ちゃんは謎の女の子だ。

 

いつも名乗るのは苗字だけ。俺に山田を取られまいと警戒しているようだが、生憎と肉付きが少し良くなったからと言って、俺はきくりさん以外の女の子と浮気するような男じゃない。

 

これは自覚ではなく自負だ。

 

俺が生涯を捧げ費やし愛するのはきくりさんだけだ。それなのに伊地知店長やPAさん、あと山田も俺にちょっかいを掛けている……というのを俺は半信半疑ながらも事実だときくりさんに聞いた。

 

「きくりさん、どう思う?」

 

「んぇ?そぉ~だなぁ…私よりタガが外れちゃってるヤバい女の子………くらいかなあ?」

 

「なるほど、確かにだ」

 

きくりさんの言葉に納得し頷く。

 

しかし、そう考えると山田のことがちょっと可哀想に思えてきた。端から見れば後輩に慕われる良き先輩。だが、実際は怖いと怯える先輩の赤ちゃんになりたいと狂言を吐く女の子という。

 

それはそれは恐ろしいものだ。とは言え。虹夏ちゃんや伊地知店長は「良い機会だし、これで反省するでしょ?」と山田の日頃の行い。とくに金銭の貸し借り、俺のお弁当の強奪について反省するまで助けるつもりはないそうだ。

 

お弁当に関しては好きで渡してるだけなんだが。そういうことを言うとややこしくなるときくりさんに怒られたので黙っておく。

 

「みっくん、今日は静かだねえ…」

 

「こういう日もいいんじゃないか?」

 

「えへっ、そぉだねぇ~っ」

 

ぐりぐりと俺の胸板に顔を押しつけるきくりさんを傷つけないように優しく抱き締め、そのまま彼女と一緒に選んだ二人専用のソファに倒れる。お酒の臭い、きくりさんの匂い、ここ最近はどっちも嗅いでないと安心できないようになってしまった。

 

きくりさんの「私の旦那さんだから」と言って毎日のようにされるマーキングの効果なのだろうか?と密かに考える。

 

「きくりさん、バンドのほうだけどさ。最近どうなんだ?」

 

「…んとね。売上には貢献してるよ?」

 

オーケー。なんとなく理解した。

 

どうやらまた機材を壊してしまったようだ。いや、それはべつに俺の貯金で払うし、それほど問題ではないのだが。そろそろきくりさんと結婚式をやりたい。結婚式についても、単純にきくりさんとの思い出が欲しいだけだ。

 

「えへっ、えへっ、結婚式かあ」

 

とても嬉しそうに、どこか恥ずかしそうに。俺の腕の中で小さくはしゃぐきくりさんは正直に言ってめちゃくちゃかわいい。やばいわあ、俺の奥さん世界一かわいいんだが?

 

これはマジで最強だわ。

 

 




〈めざせ結婚式〉

羽佐間ミツルの目標。

ウエディングドレス姿のきくりさんを見たいという気持ち、きくりさんとの思い出を作りたいという考えに基づいている。ちなみにミツルの本心は「俺のお嫁さん可愛いだろ?」と自慢したいだけである。

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