【本編完結】ロックバンドにハマったという一人暮らしの息子を訪ねたら「おしゃけしゅきぃ~っ」と寝言を呟く酒カス美女とベッドで眠っていた。 作:SUN'S
私は山田リョウ、大人のレディだ。
最近の良かった出来事は全体的にふっくらとした体つきになってきたことだろうか。そのおかげで親友や後輩を煽ったり出来るし。
お兄さんにはとても感謝している。やっぱり毎日三食は健康にいいのだ。とは言え。お腹回りにもちょっとだけ、ほんとにちょっとだけお肉が付いてしまったのは予想外だった。
正直、やりたくないけど。これから体育をちゃんと受けないとマジでヤバいかもしれない。それはもう乙女的に考えて、最悪の結末を迎える可能性だって捨てきれない。
それだけはイヤなのだ。
「あれ?今日は見学じゃないんだ」
「うん、ちょっとね」
「っていうか暑くないの?」
「ちょうど良いくらい」
ハーフパンツと体操着の虹夏は私の言葉に「フーン、そうなんだ。まあ気を付けなよ?」とだけ言い残して、颯爽と走っていってしまった。
くっ、やっぱり装甲の薄さによる軽量級の速さは侮れない!なんて考えていると虹夏がこっちを睨んできた。まさに以心伝心ってやつだ。
あとで謝れば許してくれるかな?
そんなことを考えているといつの間にか私のとなりに虹夏がいた。どうやら走るのが遅すぎる私に一周ほど速く追い付いたらしい。
さすがはドラマー、脳筋だ。
「…ふぅっ…ふぅ……」
「ちょっと大丈夫なの?」
「………ふう、へーきだよ」
ちょっとジャージは熱い。
ゆっくりとジャージのファスナーを下ろす途中、どたぷんっ!とかぶるんっ!とか擬音の付きそうな感じで私の豊かに育ってしまった胸が、ふつうにみんなに見られてしまった。
どこか妬ましそうに私の胸を見つめる虹夏と視線があった。私は「フッ、これが大人の魅力…!」と言わんばかりに(というか、ほんとに言いながら)胸を強調したら虹夏に叩かれた。
ふつうに痛かった、ぐすん。
「もうリョウったら詰め物なん……」
「いや、これ自前のやつ」
「う、うそだ、私を騙そうとしてる」
「ほんと、ほんとだから」
「う、うわああぁぁぁぁっ!!!」
私の一言に絶望したのか。
虹夏は逃げるように走り出し、体育の先生にめちゃくちゃ褒められている。さすがはドラマー、ゴリラ並みのパワーがあるのも頷ける。
ふとお兄さんについて考える。
私や虹夏たちと仲良くしてくれる大学生のお兄さんはアルバイトで肉体的にも助けてくれるし、勉強なんかも分かりやすく教えてくれる。まあ、私は勉強のことは活かせてないけど。
「山田さん、あれどうしたの?」
「さあ?」
いつも穏やかで可愛い虹夏が荒ぶっているのだ。そりゃあ気になるよね。けど、どうしてそうなったのかを教えることはできない。
ただの自慢になるからっ!!
〈自信家リョウちゃん〉
山田リョウのステータス。
わりと全体的にムチムチになっちゃったリョウちゃんは運動に取り組んでいる。しかし、元々がインドア派だったこともあり、あまり痩せていないし直ぐに動かなくなるので痩せられない。