【本編完結】ロックバンドにハマったという一人暮らしの息子を訪ねたら「おしゃけしゅきぃ~っ」と寝言を呟く酒カス美女とベッドで眠っていた。 作:SUN'S
うちの結束バンドは結束していない。
ぼっちちゃんは対人初心者だから仕方ないけど。リョウはマイペースというより天上天下唯我独尊そのものだし。喜多ちゃんはアグレッシブすぎる変態さんだし。……私達って色物バンドなのかな?
そんなことを考えながらお姉ちゃんを見る。ようやくミツルくんと個人的にメールアドレスを交換することが出来たのに。どうやって、いや、どんなメールを送れば良いのか。
お姉ちゃんはずうっと考えている。
はっきりと言っちゃえば鬱陶しいっ!!
あれだけ婚期を気にしてるくせにお姉ちゃんは奥手すぎる。PAさんなんてミツルくんと会った日に交換してるんだよ?と言うと「う、うるせぇ、今から送るんだよ!」と逆ギレする始末だ。
「……というわけなんだよ」
「星歌さん、ウケるね」
「いや、ウケないからね?」
「でも確かに一年近く一緒にいるのにメアドを聞けないのは奥手すぎるね。まあ、ツンツンしてるせいだって答えは分かってるけど」
そう、そうなのだ。
私のお姉ちゃんはツンツンツンツンツンツンツンデレすぎるのだ。ミツルくんと話すのが恥ずかしいからって、あそこまでツンに徹するのは、かなり、いや、マジでアホすぎるよお姉ちゃん。
「虹夏はどうなの?」
「んーっ、なにが?」
「お兄さんのこと好きなの?いっつも星歌さんと付き合ってほしいみたいに言ってるけどさ」
「ミツルくんは好きだよ、ちゃんとお友だちとしてね?できればお姉ちゃんをもらってほしいんだよなぁ……さすがに可哀想で…………」
「それは分かる。かつてのお友だちの結婚報告の手紙や葉書を見るたびに破いて落ち込んでるのを毎度毎度見るのはツラい」
まあ、それもあるけど。
「お姉ちゃん、がんばってよねぇ」
「星歌さんはがんばってるよ、あれで」
「それは、そうだけどさ。やっぱり妹としては行き遅れてることに危機感を感じてる姉を見続けるのは、つらいんだよ」
私の切なる願いをこめた一言に「星歌さん、めっちゃ言われてるじゃん」とリョウは呆れる。むうっ、いっそのことお姉ちゃんとミツルくんを閉じ込めてしまえば解決するのだろうか。
いや、それは最終手段だ。
「そういえばぼっちちゃんと喜多ちゃんは?」
「ん。あそこ」
リョウはずいっと私の頭を無理やり動かし、天幕の裏でイチャイチャしている二人を視認させる。うちのバンドって、やっぱりどうしようもなく結束力がないのかもしれない。
「これがガールズラブ…?」
「ウケる」
いや、ウケないからね!?
〈大天使ニジカエル〉
「STARRY」の看板娘。
天真爛漫な可愛さ。あどけない笑顔。ふとした瞬間に見せる乙女っぽさ。もはや大天使と呼称する他、彼女の美しさを例える方法はない。