【本編完結】ロックバンドにハマったという一人暮らしの息子を訪ねたら「おしゃけしゅきぃ~っ」と寝言を呟く酒カス美女とベッドで眠っていた。 作:SUN'S
どうもお母さんです。
今日は星歌さんのお店にお呼ばれしたので教えられた場所に来たのですが、どうやらドリンク専門店らしく色んなジュースをカクテルのように混ぜてお客さんに提供しているそうです。
こういうのもあるんですね。と、星歌さんに話しかけると「まあ、そうですよね」とひとりで納得している。どうしたのかしら?しかし、私は彼女が小声で「表向きは」と呟いたのには気づいているけど、詮索するのは良くないので黙っている。
それよりもだ。
まずはアレについて聞きたい。
「うおおぉぉぉぉっ!!かわいい、すごくかわいいよ、ぼっちゃん!!リョウちゃんも喜多ちゃんも虹夏ちゃんもかわいいぞぉ!!うおおぉぉぉぉぉっ!!!!!」
なにあれ?
なんなのあれ?
どういうことなのあれ?
「……ミツルは追っかけです」
「ミツくん、面白いですよねえ~っ」
ふいっと顔を反らす星歌さん。クスクスと笑っているPAさん。いったい、どうして、私の息子は変態クソ野郎のクマ吉みたいになってしまったのかを聞きたいけれど。
………なるほど、これがロック!
私もカウンター席に置かれていた「虹夏♥LOVE」という団扇を動かす。星歌さんは顔を覆い隠しているけど、耳が真っ赤になってるわよ?
それからほどなくして楽器を持っていた女の子たちが舞台を降りていく。私は満足げに笑っているミツルの前に歩いていき、そっと見上げる。
「……か、かあさん!?」
はい、あなたのお母さんです。
「どうして、ここに?」
星歌さんが呼んでくれたんです。
ところで、さっきのはなんですか?あなたよりも幼くて可愛らしい学生さんに鼻息を荒くして………そう、あれはまるでクマ吉のようだった。と、お父さんに報告しますからね?
「羽佐間さん、どうしたんですか?」
「はい、なんでしょうか?」
「え?」
………ああ、ミツルのほうですね。
私は星歌さんのところへ戻り、それとなくミツルが不埒なことをしていないのかを星歌さんに問い掛ける。すると、彼女は「うちでアイツらを見てからずっとあれです」と教えてくれた。
やはり、ミツルはクマ吉だった?
「みっくうぅ~ん、迎えに来たよぉ…!あ、ままだぁ!えへっ、今日も会えたぁ~っ」
こんばんは、きくりさん。
今日も元気にお酒を呑んでいるですね。………ところで、その安いお酒より私の持ってきた試作品のお酒を飲みませんか?
「ぅやったぁ……のみゅうぅ…んぐっ!」
おお、いっきにらっぱ飲みを!!
「ちょっ、きくりさん!?」
ミツルはビックリしているけど。
いつもこんな感じですよね?
〈羽佐間ミツル〉
結束バンドの追っかけ。
普段は真面目な好青年。アルバイトしながら大学に通っていたある日、裏路地で吐いているきくりさんと出会い、なんだかんだあって付き合うことになった。酔えない体質で、いつもきくりさんを介抱している。そのついでに星歌さんやPAさんも手厚く優しく看病していたら自然と好かれ始めた。尚、結束バンドが絡むとテンションが可笑しくなり「変態クソ野郎のクマ吉」になる。