【本編完結】ロックバンドにハマったという一人暮らしの息子を訪ねたら「おしゃけしゅきぃ~っ」と寝言を呟く酒カス美女とベッドで眠っていた。   作:SUN'S

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ミツルときくり
ある日、俺はアルバイトの帰りに裏路地で「ウォロロロロロッ!」とカイドウさんみたいに虹を吐く廣井きくりという酒カス女と出会った


俺は羽佐間ミツル、普通の大学生だ。

 

昼間は勉学に励み、夜間はアルバイト、そんな生活を繰り返していたある日の事だ。ようやく終わった居酒屋のアルバイトの帰り道、俺は居酒屋とDVDショップの間で蹲っている半裸の女を見つけた。

 

「お、おい、大丈夫か!?」

 

そう彼女に呼び掛けながら身体を揺らして安否を確認する。すると、いきなり身体はガバッと起き上がったかと思えば青色を通り越して紫色に染まった顔で俺を見つめ、ニコッと笑った。

 

あっ、かわいい。

 

しかし、そう思った次の瞬間だ。

 

「ウォロロロロロロロッ!!」

 

彼女はカイドウさんみたいな唸り声を上げ、まだ買って数日しか経っていない俺のシャツとジーンズに虹っぽいアレなぶちまけた。

 

……ああ、死にてえ。と、そんなことを思いながらも半泣きで「しゅみましぇんしゅみましぇんっ」と謝っている女の子を流石に怒ることもできず、アレまみれなシャツを近くにあったゴミ箱に捨てる。

 

俺はアルバイト帰りで暑いからとカバンに入れていたパーカーを彼女に無理やり着せ、俺は居酒屋「ばらもん」というロゴの入ったシャツを着直す。

 

「うっ、きしょい」

 

「捨てるぞ、この野郎…!」

 

いや、ばらもんは俺もどうかと思うけど。

 

なんでこの人は彼処にいたんだろ。と、俺は余計なことを考えてしまった。明らかに泥酔している女の子を見捨てて帰っている。つまり、そういうことなのだろうか!?

 

「…あ、わらひのべーしゅだぁ……」

 

そう言って彼女はゴミ箱に突き刺さっているギターケースの取っ手をつかみ、そのまま地面に落とした。これも持てばいいんすか?と彼女に聞く。

 

「んっ、わらちの!」

 

彼女の酒臭い息が俺の目と鼻をほとんどゼロ距離で刺激する。さっさと交番に届けたいんだけど、近くに交番どころか警察官もいねえじゃん。

 

えっ、ほんとに都会って警官いないの?

 

「…お姉さん、一人で帰れる?」

 

「えへへ~っ、むりぃ!」

 

マジでかわいいな、この人…。

 

「いや、そっすか」

 

まあ、そうだよな。

 

「じゃあ、うち来ます?なん「いくぅー!ごーごー!うぷっ」あ、おいこら、流石に背中では虹を吐くやめろおぉぉぉ!!?」

 

今にも吐きそうな彼女をおんぶしながら俺はマンションを目指して全力疾走する。たぶん、今の俺なら世界記録だって更新できると思う。

 

それにしてもなんか気分良いな。よく母さんや父さんのいた酒倉にいたときのことを思い出す。………たまには連絡とかしようかな。

 

「そういえばお姉さん、名前は?」

 

「んみゅっ?きくり!こっちはしゅーぱーうるちょらしゅへんじょうじ!」

 

「じゃか、きくりさんっすね。…というか、シュヘンジョージって変わったメーカーの名前のギター使ってるんですね」

 

俺も酔っ払いお姉さんこときくりさんとそんなどうしようもなく普通なのにふわふわとした話をしながら夜の街を走っていた。

 

 




〈二人の馴れ初め〉

二人の想い出。

羽佐間ミツルと廣井きくりの出会い。ロマンチックの欠片もない出会いではある。だが、きくりとミツルにとっては大切な人と出会えたきっかけだ。尚、付き合ったばかりの頃のミツルは「あれはカイドウさんとキングの出会いみたいなもん」と答えた。
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