【本編完結】ロックバンドにハマったという一人暮らしの息子を訪ねたら「おしゃけしゅきぃ~っ」と寝言を呟く酒カス美女とベッドで眠っていた。 作:SUN'S
きくりさんはかわいい。
お酒を飲んでいないときはの物静かで儚げな雰囲気の美女になる。だが、ぴったりと俺に張り付いてベースを弾いている姿は更にかわいい。
それに「羽佐間くん」から「みっくん」という呼び方に変わったのも嬉しかったりする。彼女からすればあだ名で呼んでいるだけのつもりなんだろうが。俺からすれば好きな人との距離が縮まっているように思えて嬉しいのだ。
まあ、きくりさんの返事次第だけど。
「みっくん、お酒飲みたいなあ…」
いや、今日はダメだ。
俺の言葉にショックを受けるきくりさんを抱き上げ、今日はお酒をふんだんに使った料理を振る舞うし、ちょっとお高いワインも買ってみたんだ。と、素直になにも隠さず彼女に伝える。
「お高いワイン…?えへっ、どんなのだろ」
ほんとにかわいいな、きくりさん。そう言うと「…からわかわないでよ、みっくん」とベースを抱き締めてうつ向いてしまった。………耳が真っ赤になってるってことは、そういうことなのだろう。
そういえばきくりさんのバンドってどんなところでやってるんですか?
「新宿FOLT…ってとこだよ?」
もしもの時は迎えに行きますね。
そう三つ編みを解いて顔の熱を冷まそうと夜風に当たっているきくりさんに言うと「………うん」と嬉しそうに笑いながら頷いてくれた。
ほんとにそういうところですよ。マジで付き合えるなら付き合いたいけど、ガールズバンドだから男は禁制ってやつかもしれないんだよなぁ……。
………よし、言おう。
「きくりさん、ちょっといい?」
「なぁに、みっくん?」
「貴女が好きです、俺と付き合って下さい」
「……………はえ!?!?」
いきなりの告白に驚いているきくりさんを見つめる。たぶん、酔っぱらってるときのきくりさんは「お酒を飲んでたから」と誤魔化そうとするだろうけど。今のきくりさんは素面だ。
「………私でいいの?お酒やめられないし、いっつも面倒臭がって同じ服着回したりするし、お外とかで寝るし、その…吐いちゃったりするよ?」
「お酒は止めなくていいし、その時は俺が着替えさせてあげますし、しっかりと俺が迎えに行きます、俺がいくらでも掃除します」
「………私もみっくんがすき」
「これからもよろしくね、きくりさん!」
そう言うと彼女は恥ずかしそうにうつ向きながら俺のお腹に抱きつき、小さな声で「…うれしい、ありがと」と呟いた。ねえ、ほんとにさあ、そういうところだよ、わかってるの?
そういうのが可愛いんだよ、きくりさん!!
〈羽佐間きくり〉
羽佐間ミツルの婚約者。
ミツルと付き合って翌日に婚姻届を書かされて婚約指輪も嵌められた。逃げ道どころか横道も道草もなく最短距離で突き抜けてきた彼に彼女も彼女で満更でもないらしい。