【本編完結】ロックバンドにハマったという一人暮らしの息子を訪ねたら「おしゃけしゅきぃ~っ」と寝言を呟く酒カス美女とベッドで眠っていた。   作:SUN'S

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STARRY
俺の幸せはきくりさんの笑顔なのである。そう言うときくりさんは「えへっえへっ、ありがと」と嬉しそうに笑う


きくりさんと入籍して半年後だ。

 

俺はライブハウス「STARRY」という新規オープンしたばかりのドリンク店でアルバイトをしている。まあ、将来は実家の酒屋を継ぐので今は接客業の極意やお酒に合う料理の研究したり、実家のお酒を売り込むためにコネクションを作っている段階だ。

 

伊地知店長、テーブルはこの辺っすか?そうカウンター席に座っているライブハウス「STARRY」の若き店長の伊地知星歌さんに問い掛ける。

 

表向きにはドリンク店なのでテーブルや椅子も配置しなくてはいけない。ライブハウスとしての収益とドリンク店としての収益は始めたばかりなのでどっこいどっこいだと伊地知店長は言う。

 

「ん。もうちょい左だな」

 

なるほど、左か。

 

確かに舞台を見るときにテーブルが右に寄ってると見にくい。そんなことを考えながら伊地知店長の言う通りにテーブルを運び、伊地知店長の納得できる位置に椅子を置く。

 

「しかし、お前はすごい素直だな」

 

いきなりっすね。と、伊地知店長に聞き返すと「私の後輩にやたらとうるさいやつがいてな。そいつに比べるとマジでお前は素直だ」と言われた。……それは喜んでいいのだろうか?

 

「お姉ちゃん、行ってきまーす!!」

 

「ちゃんと玄関から出ろよ」

 

「こっちのが駅近だから!」

 

「あっそ、気を付けろよ」

 

そんな姉妹の他愛もない会話をBGMにテーブルを運んでいき、ようやく準備できたところでドリンクの補充や備蓄をい伊地知店長と一緒にする。

 

伊地知店長はツンツンしてるけど。178cmある俺と比べるとマジで小さいな。きくりさんより少しだけ大きいけど、やっぱり伊地知店長は小さい。

 

「……なんだよ、じろじろと」

 

「ああ、いや、伊地知店長ってちっちゃくてかわいいっすよね」

 

「はぁ!?ば、ばかじゃねえの!?」

 

えぇ、なんか怒られた。なんで?

 

そんなやり取りもあったりしながら幾つかのドリンクに『伊地知店長のオススメ!』というデフォルメされた似顔絵つきのカードを設置する。

 

「お前って多芸だよな」

 

俺は「そうっすか?」と言いながらウインクしている伊地知店長やドリンクを指差す伊地知店長のカードを丁寧に描いていく。

 

普通に誰でも似顔絵なら描けんじゃないかと思いますけど。まあ、伊地知店長はかわいいので描きやすいといえば描きやすいですね。そう言うと「また、そうやって!!」と顔を真っ赤にして怒る。

 

おかしいな、きくりさんなら喜ぶのに。

 

そんなことを考えながら伊地知店長は「もう開店するぞ」とopenと書かれたカードを持って出入り口に向かっていく。

 

 




〈STARRY〉

ライブハウス。

伊地知星歌の経営する表向きは下北沢のドリンク店。わりとお昼ぐらいに出勤する事の多いPAさんと結婚できてアホになってる羽佐間ミツルの三人でやっている。バンドの審査は普通に厳しいらしい。

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