涼宮の弟on the 自転車(稀)   作:覚め

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長門(変人匿い装置)


第13話

1万…の次からは、集会に行くのをやめた。回数を聞くのが嫌になってきたからだ。だがしかし、俺は長門有希の家にいる。変に情報を詰め込まずに、気がつけば夜。そう言うのを繰り返していればそのうちループから抜けれるだろう。多分、恐らく、いいえきっと。

 

「…多分、恐らく。いいえ、きっと」

 

「?」

 

「長門さん、今何時?」

 

「17時。6時に帰ることを推奨する」

 

「おっけー」

 

「…」ペラッ

 

ペラ、ペラ、ペラ…ヘラという神様がいた気がする。いつ次の週が始まるだろうか。一応俺は文芸部に入ろうとした瞬間SOS団に参入した感じなので、文芸部夏の読書日和とか言って8月31日は長門さんの家に泊まっている。これほど自分の体質とやらを憎んだことはないぞ。

 

「6時」

 

「はやっ」

 

「さよなら」

 

「さいなら〜」ガチャッ

 

「…」バタンッ

 

「他人の家に泊まるのも慣れてきたな〜…1万回かぁ。140000日って何年なんだろうか…140000÷365=…えーっと…600年近い…いや、500年くらいか。なんとも嫌な回数である。本当なら俺はもうとっくに死んでるし、長門さんも観察せずにどっか行ってるだろうになぁ

 

「…姉さん」

 

「何?」

 

「拗ねてる?」

 

「拗ねてるも何も、文芸部の集まりを理由に私から遠ざかっているようにしか見えないのよ」

 

「あー…?SOS団の活動は行ってるから良いでしょ」

 

「そうじゃなくて!!貴重な夏休みに、姉との時間を大切にしようって気持ちはないの!?」

 

「じゃあ長門さんと恋仲にでもなって、長門さん優先になろうかな」

 

「無理ね!さん付けじゃ当分無理よ!!」

 

「…だってよ長門さん」スッ

 

「電話してたの!?」

 

『訂正を求める。私は付き合うことはない』

 

「なんですって!?有希、あんた一生独身ってこと!?」

 

『そう。』

 

「…信じられないわ…」

 

「姉さんに言われちゃおしまいだよなー長門さん」

 

「否定できない」

 

「なんですってぇぇえ!?」

 

「…」

 

「いつ呼んだのよ!?いつからいるのよ!?」

 

「朝から。ウチのゲーム壊れたから、長門さん詳しいかなーって。前プログラムとかの本読んでたし」

 

「いるなら言いなさいよ!なんでそんな近距離で電話するのよ!?」

 

翌日。この週での夏休み二週間にある集会が始まった。バイトはきつかったが、ゲロゲロ鳴いてみるとそれっぽく見えるから不思議なものだ。そんなふうに思っていると、キョンさん、古泉さんから相次いで電話が来た。二人とも同じで、『早くあの場所に来い』という話だった。

 

「…」

 

「長門に続いて、お前まで繰り返しの記憶を持っていたとはな…」

 

「長門さん」

 

「回数は既に言った。貴方が聞くことはない」

 

「良かった〜」

 

「…長門さんは人間ではないから耐えられている。しかし、彼は違う」

 

「普通なら狂うがな。1万━」

 

「~」ブツブツ

 

「5せ━」ブチンッ

 

「どうしました?」

 

「っ…噛んだ」

 

「はーあ。姉ちゃんの言ってた、ジョン・スミスとやらがいればなぁ〜…あ、あんただったな。そういや」

 

「おい、誰が話した」

 

「帰ってきたら姉が急に俺を起こして『私に協力した奴がいるのよ!!』って騒いで…」

 

「だからと言って俺とは限らんだろ」

 

「朝比奈さんと一緒に過去に行った七夕の日…長門さんからもらったヒントとクソ長い時間をかけてたどり着いた…答え合わせの機会は千回以上あったんだし」

 

「そりゃ…すまんな。俺たちが繰り返しから抜ける条件を見つけられなくて」

 

「そういうことじゃなくてだな…うん…ぁー…」

 

「まあ、とにかく。すぐにでもこの繰り返しから抜けなければ、彼自身何をするかわからないんですよ」

 

「だってよながとっち〜」

 

そう言いつつ適当に流す。そのまま次の週へと突入する。ここがターニングポイントなのか、全然わからないが…うん、よくわからないが。まあとにかくなんとかなるだろう。そう思うと終わりのない繰り返しにも希望が見えた。さてプールでございますが。

 

「…」

 

「水中サッカーするわよ!有希〜!」

 

「こいつは?」

 

「足攣った」

 

「七夕かお前は」

 

「何言ってんのよキョン。荷物の見張りしなさいよ!」

 

「ういうーい」

 

次、祭り。たまに屋台のお面が変わっている。あー、一周したんだな〜と実感が湧く。

 

「これ」

 

「じゃあ俺はこっちで」

 

長門さんが宇宙人のお面、俺はよくわからんたまにあるパチモンみてーな感じのカエルのお面。多分中国製。

 

「…」

 

「何よあんた達、お面買ったの?」

 

「…」チラッ

 

「腹も減ってなかったし、祭りに来たんだし、どーせなら金使いたいし。で、長門さんと結託して買ったの」

 

「何やってんだか…」

 

「…」

 

「誰になんの権限があってそれを言えるのか」

 

そんなことを言いつつ、今はやべー姉に思いを馳せる。夏はさっさと終わらせたいと思うのは何かおかしいことだろうか。季節は移り変わる。過ぎ去れば戻ってこない。ならば過ぎ去らなければ良いと思って、常夏になるよりもループすることを選んだ姉に思いを馳せたくない。長門さんの家にしゅーごーする。

 

「…」

 

「今回の集会にも目立った違いは見られなかった」

 

「…」

 

「今回の繰り返し回数は」

 

「言わなくて良い。良いから…」

 

「今夜は早めに眠ることを推奨する」

 

「分かってる…」

 

実を言うと、8月31日以外にも集会の日は長門さんの家に泊まっている。雑魚寝というか、川の字で寝るというか、布団を敷いて寝ている。眠る寸前の、視界だけが動かず、床が揺れているような感覚を受けているのは錯覚であることは簡単に気がつくが、この繰り返しが錯覚であることはないのだろうか。

 

「長門…お前も。なんで繰り返しのことを言わなかったんだ?」

 

「言っても無駄だから」

 

「私の役目は観測だから」

 

「…長門はわかるが、言っても無駄だからというのは?」

 

「一回だけ言ったことがある。その時は流されて…そのままあの日まで心のどこかに留めておくことを誰もしなかったくらい」

 

「それは…すまんかった」

 

「どっかにヒントがあるはずなんだけど、俺はもう無理。多分…姉の思う夏休みに関する何かなんだけど…全部やったんだな、これが」

 

「思いつく限りが無理か…お前で無理なら俺でも無理だぞ」

 

「前回も聞いたよその台詞」




地獄という言葉はこのエンドレスエイトのためにあるようなものだZE☆
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