少し奇妙な話をしよう。今この世は涼宮ハルヒがいなければ存在しないのか。答えはノーでありイエスである。古泉はイエス、朝比奈はノー。全く恐ろしい宗教である。と言うことを長門さんから言いつけられた。と言うことを言われたからと言って、俺は知らんとしか言えない。
「…要するに鶏と卵みたいなもんだね」
「訳がわからん」
「それで結構。こけこっこー」
「…全くわからん」
「いや。俺の場合こけこっこーよりにゃーか?」
「知らん!」
撮影が始まる。それはつまり、俺が猫になると言うことである。と思っていたら、なんと代役を連れてきた。あー良かった。撮影時にのみ行方不明になる変なやつにならなくて良かった。と言うわけでネコとは別に俺も出ることになりました。なんで。
「さーやろー」
「ていっ」バギュゥンッ
「あぴゃぁー!?」
「み、みくるビー」スパァンッ
「ひぃっ!?」
「わぁぁぁあ」
「…」カプッ
「おそ、おそろし、恐ろし」
「祟りでもなんでもあれ。せめて祟りであれ」
「こっわ…」
順調に寿命をすり減らし続け、撮影は終わりを迎えられるのか、そもそも俺が終わるのか。どっちだろうか。どっちでも良いから目からなんか出すのをやめて欲しいのだが。意思は関係ないから仕方ない。仕方ないったら仕方ない。変なよくわからん、裏世界で殴り合ってるのも知らん。知らんぷりっ
「貴方は」
「なんだ」
「涼宮ハルヒの弟」
「うん」
「涼宮ハルヒ自身に何かを言い聞かせることはできない」
「できないね」
「そう、貴方には出来ない」
「…え、何?どういうこと?」
「確認」
「え、ちょ、撮影ようやく終わったのに、え!?な、何!?夏休み1万周した仲じゃん、教えてよ!?」
「無理、と言うより貴方には理解ができない」
「…あーなるほど。多分あれだね。y=arl(wfrlqmpw)そう言う感じね。理解したくない」
「…何言ってんだ、おまえ」
「今ブロック崩しやってるから話しかけないで」
「ブロック崩しは机の上でできた記憶がないが」
「うるさい。で、どう?昨日の夜とか、昼間とか。朝比奈さんのお話と古泉くんとのお話」
「知ってたのか?」
「知ってるも何も、俺は結構近くにいるもんだよ」
「神出鬼没みたいな奴め」
「ま、その様子だと話し合いもたいして無駄ではなかったわけだ」
「まあ‥な。」
撮影が終わり、文化祭だーってことで、俺は何も知らずに知らんぺったんゴリラと言う小学生の頃よく使った呪文を頭に浮かべ、パソコンを起動する。…パスワードなんだっけ?SOSdan?あれ、入れねえわ…
「パスワードは俺とハルヒが知ってる」
「姉ちゃんが覚えられるんだ」
「まあな」
「ま、編集頑張ってね」
「嘘だろ」
「困ったら長門さんに頼れば良いんじゃないかな」
「困った時の長門か…まあ、良いか」
「…俺は帰るけど」
「待て」
「待たない」
「おいおい…」
文化祭当日。俺は映画なんて興味はなく、バンドもたいして興味はなく、やってることはSOS団に入り、文芸部として出しているおすすめの図書を適当に選んで読むだけだった。うーん、難解な文章。俺はただただ本を読むだけで過ぎていったこの日。帰り道にとあるものを見た。
「…墓だ」
「墓ね」
「墓だな」
「…寺だ」
「寺ね」
「寺だな。どうした?墓と寺はセットだろ」
「名前がない寺だな」
「そうね。でも良くあるでしょ?」
「そーだ。よくある」
「そー…か。よくあるか。うん」
「何をやっているんだお前は」
「…キョンさんがいたような気が」
「はぁ?居るわけないじゃない。帰り道別なのよ?」
「そう…だよな」
「あんたねぇ、驚かそうにももうちょっとやり用があるでしょ?」
グチグチと言われ続けて帰った帰り道。キョンさんの声が聞こえたし、キョンさんの姿も見えたのだが、忘れてる程で過ごそうとした。うん。あれ、幽霊じゃないかな?自然過ぎて気が付かなかった。あー、こわすぎる。数日後、ここだ、と言うタイミングで長門さんに言ってみた。
「…ってことがあったよ、俺は」
「それは事実ではない」
「えっ」
「その場所は数年前から空き地である」
「…」
「墓地も寺院もない」
「その時キョンさんは?」
「別の道を通って帰宅していた」
「こんな一コママンガ以下のホラー体験ってあるの!?」
「夢の可能性が高い」
「ひどい!」
「おーっす!」
「よー」
「こんにちは」
「全員入ってくるなぁ…」
「俺たちもだ!!」
「うわきたね」
「入ってくんな」
「しっしっ!」
「まずこれを受け取って欲しい。中身はゲーム、僕たちの作ったソフトだ」
「あー、これか。少しやったけど、艦隊を分けるシステムをマスターしたら相手を囲んで殲滅するだけのゲームに成り下がったからな。売れてなかったろ」
「展示場所だけではなかったか…いや、それではない。そのソフトで、僕たちと勝負してもらいたい!」
と言うわけで、きたねえ奴らの主張はこう。オリジナルソフトで戦わせろ。勝ったらパソコン返せ。と言うことであった。ドロップキックを喰らった後に言っていた。こいつらのソフトよりウチの文芸部おすすめ本の売り上げの方が良かったのは内緒だ。
「…部長さん」
「え?」
「俺たちが勝ったら俺たち全員分のパソコン寄越せ」
「な!?」
「っ、い、良いだろう…進呈してやる。ただし勝てたらだ!」
「貴方たちが勝ったら、有希を進呈するわよ!パソコンもあげるわ!」
「!?」
「人身売買だな」
「別にやっても良いけど、俺と長門がいる時点で勝ち確だと思うよ」
「随分な自信じゃないか」
「教えてやれ長門。お前の寿司打の最高スコアを」
「一皿も落としていない」
「ちなみに俺も」
「コンピュータの反応よりも早く叩ける」
「これは無理」
「すごいじゃないの有希!この勝負負けるわけにはいかないわね…みくるちゃん抜きでやりましょう!」
「おーけい」
「ふっ、僕は一万円コースで調子が良ければ一皿も落とさない!」
「表示と同時に叩き終わるのが長門さんだけどな」
「し、質より量だ!」
VSコピュ研
そもそも長門がいる時点で勝ち目はなく、あまりにもクソ長い夏休みの中で培った寿司打最高記録の弟がいる時点でまず負けがあり得ない。
タイピングが物を言うのか知らないけど