嫌な寒さだ。だと言うのに姉が動き回るわ元気だわなんだで疲れ気味でもいる。いや違う、嫌な寒さではあるのに、最も嫌なのは何かと聞かれた場合、姉の元気っぷりだろう。長く、激しく活動するその姿は、ちょっとキツっおっまっ、自転車!?
「やっほ」
「おー、涼宮の弟」
「いえーい」
「どうした?」
「いつも自転車だったよね」
「高一になってから方向音痴になっちゃって…秋くらいから電車で来てる」
「おいおい大丈夫か?ま、あんな姉を持ってるんなら仕方ないか」
「…なんか元気そうだね」
「あったりまえよ!今日が何日かわかるか?」
「12月16日。それがどうした?」
「…クリスマスの大体一週間前だね」
「おう!つまり一週間後は胸が躍るような日が来る!!」
「黙れ下等な猿」
「なっ!?」
「騒ぐならせめて3日前とかじゃないかな」
「なにぃ!?」
「国木田の言う通りだ」
「なんだとぉ!?」
ここ最近、クリスマスに向けて少し気怠く気怠く気怠ーーーーーくなっている日々である。ゴールの手前にトラバサミとかなんだかがあるような気分だ。踏めば最後、痛い。って、頭の中で何イタイこと考えてるんだ。SOS団の扉さえ叩くのを忘れているとは…ノーック
「おや、長門とキョンさん」
「おう」
「…」ペラッ
「スト━」バァンッ
「待たせたわね!」
「っ!?」ビクゥッ
「何よそんなに驚いて」
「何よって…俺が扉の前でいたらどうすんの?」
「まだ人が来るのに扉の前にいる方が悪いじゃない」
「違う、閉めたばっかで」
「早く退かないのが悪いでしょ」
「長門〜、お話が通じないよ〜」
「何よ急に…」
なんて言ってると全員来た。どうやら朝比奈さんとキョンさんはここに来るまでに一度会っていたらしく、朝比奈さんが遅れたのは用事を済ませていたかららしい。古泉?知らんな、そんな奴。こっちは朝からかき氷食ってるような頭痛にやられてるんだ。閉鎖空間に閉じこもってろイケメン
「クリスマス・イブに予定ある人いる?」
「…」ハァ
「キョン、あんたはもちろん何もないわよね。聞かなくてもわかるけど一応聞いとかないと悪いような気がするから聞いてあげるわ?」
「あれ、ないんだ」
「えっ」
「何?」
「ほら、朝のうるせえ奴との会話で」
「あー…いや、あれはあいつの妄言だ。無視してくれ」
「なんと」
「古泉君は?彼女とデート?」
「そうであったらどれほど良いことでしょう…幸か不幸か、僕のクリスマス前後の予定は、ぽっかり空いています」
「よろしい♪」
「…あ、俺用事ある」
「は?」
「何!?」
「意外ですね」
「自転車買いに行くんだけど…」
「そんなの冬休みならいつでもできるでしょ?良いじゃないそんなの」
「壊したのはお前じゃい!」クワッ
「知らないわそんなの」
「ぐぬぬ」
「みくるちゃんは?」
こう言って順々に聞いていった予定だが、今のところ皆の予定はガッツリ開いていた。姉の方程式では、皆の予定ガラ空き=SOS団クリスマスパーティが開催されるとなっているらしい。ちなみに俺はその後に=パーティといえば鍋パーティ=鍋パーティといえば闘争…と言った風に連想ゲームが始まるのは内緒だ。
「パーティって何をやるんですか?」
「それは今から考えるのよ」
「…うわー」
「どうした?」
「菓子とかいっぱい…」
「よく気が付いたわね!こう言うのは雰囲気とかが大事なのよ。と言うかそれが正しいイベントの始め方よ」
「何言ってんだコイツは」
「キョン、あんたは子供の時にやらなかったの?」
「キョンさんの家には小学五年生の妹さんがいるから、多分今でもやってるよ」
「なぜわかった」
「何故でしょー」
「…わからん」
「ぬぉっ」
「…」㌧
「ミスターキリストだって、私たちが楽しんでるのを見て喜ぶに違いないわ!」シャカシャカ
…果たしてそれは事実なのか。姉ちゃんが思うなら事実なんだろ、多分、絶対、いや、本当に。泡みたいなのでmerry Xmasと書いた姉は満足そうである。ところで、俺がうわぁと言った理由である服が入ってるんだが、これは処分すべきだろうか。
「何してんのよ。それはみくるちゃんの物であって、アンタの物じゃないのよ」
「有希さんのかなーって」
「有希じゃ無理よ」
控えめに言ってそれは残酷であり、所謂言ってはいけない言葉に該当するのではなかろうか?と言うわけでお着替えタイム!
「…」
「涼宮さんが楽しそうにしてるのは安心できるんですよ」
「閉鎖空間…と、神人だったか?」
「そうです。僕と僕の仲間達が何よりも恐れるのは、そ・れ」
「…」
「ありがたいことに、この春以降の出現回数は激減ですよ」
「出現時間も姉が寝ている時…どーせ悪夢かなんかでしょ」
「おや?」
「自転車で走り回ってたらたまに突入しちゃった」
「そんなのは貴方だけですよ」
「生粋の超能力キラーめ…しかし起きても寝ても迷惑をかけるとはなぁ」
「とんでもない、我々からすれば彼女が笑顔にしているだけでも喜ばしいことなんですよ。弟さんなら分かるでしょうが…」
「高校に入ってからはあんまわがまま言わないしなぁ」
事実である。ある日を境に姉は何かに取り憑かれたかのように動き回っていた。やれSOS団だのやれバニー衣装はどれが良いだろうかだのなんだの。バニーについては知らないし、SOS団については涼宮ハルヒ(それとキョンさん)専属護衛部隊と化している。恐ろしい
「みんなが良い方向に変化してて嬉しいなぁ」
「貴方もですよ」
「それは知らね…はいどん」キック
「うぉっ!?」ガチャッ
「…なんで倒れてるの?」
「転倒防止につき」
「…は?」
「サンタコスか…残酷ながら有希ちゃんには無理か」
「マジで何言ってんのよ、あんた」
ちなみに
自転車に乗ってそこらへん漕ぐと発生している閉鎖空間に突入しちゃう系涼宮ハルヒの弟ですが、座標関係なくぶち込まれます。
オランダにいようがカナダにいようが2万キロ離れていようが無理やりぶち込まれます。