涼宮の弟on the 自転車(稀)   作:覚め

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第25話

これを見てくれ、と言われて渡されたこの紙…長門さんの文字に近いらしい。しかし、鍵やら期限やらでてんやわんやになったキョンさんは落ち着いてほしい。ほーら、こちらの世界で恐らく恋してる長門さんがチラチラ見てる。あ、目があったからか照れた

 

「…」

 

「…」チラ

 

「ストーブ君のフィルターのお掃除をしましょ〜ね…うわきたねっ。埃どころじゃねえぞこれ」

 

「…今日は帰るよ」

 

「そう…」

 

「え、部活終わんの?…フィルターよ、しばし眠れ…」

 

「何言ってんだお前は…もしかして、俺が言い出すまで待ってたのか?」

 

「…」ササッ

 

「お二人様は先に行っていいよ〜、俺はフィルター掃除してから帰る」

 

「そうか、すまんな」

 

「ありがとう」

 

「…あ、SOS団の掃除機もないんだった…こ、こうなったら…」

 

ブラシで地道に擦るか、指で剥がすか、水洗いをするかのどれかになる…か…!?水洗いはアリだ。天日干しも一応できる。と思う。雪や雨が降らなければ。指で剥がすのは論外。ブラシに至っては…どこにあるんだろう、ブラシ。水洗いしかないか。この季節に水洗いはきついぜ…

 

「ぅっ…爪が痛い…ゴム手袋なかったっけ?」

 

翌日、俺の手が赤くなるのと引き換えにフィルターは完全に生き返っているだろう。フィルターか…うーん、お前よりも俺の手を優先させた方が良かったかもしれんな。家帰ってからずっと手を暖房に出していた俺を見た姉からの視線を感じてほしい。

 

「何やってんの?」

 

「青春を守ったんだよ…この儚い犠牲で…」

 

「は?何言ってんのよ…ちょっと意味がわからないわ」

 

「部室のストーブのフィルターを掃除してたから、手が冷えすぎただけ。」

 

「なんですって!?私の弟にそんなことする奴がそっちの高校には居るってこと!?許せないわね…明日突撃しに行くわよ!」

 

「姉よ。ぶち殺すぞ。それ以上喋るな。叩き潰すぞ」

 

「!?」

 

「いや、まあ、帰って早々これなのは悪いと思うよ?」

 

「…あんた、携帯にすんごいメール来てるわよ…きょん?何これ、外人?それにしてはすごい入力早いわね…朝倉が来た…何これ?誰の家かしら」

 

「ちょいと拝見…長門さんの家ね。りょーち」

 

「出かけるの?ご飯まだだけど」

 

「部長に呼ばれてるってこと。多分ご飯間に合わないと思う」

 

「はぁ!?…部長?話の流れだと、この外人みたいなのが部長??」

 

長門宅。この世界では恐らく初となる訪問。携帯で着いたことをお知らせ…ん、携帯忘れた…充電したままだった…なんてことだ、なんてことをしてしまったんだ、俺は。くっ…唯一の連絡手段が…帰ってきた時に大丈夫だったー?とか聞いてみるしか出来ないか…と、かなり長い間待ち続けることになるだろう。というわけで!カレー大喜利会を開いた時は確か、この番号通りに入力して…繋がるだろうかな…?

 

『お前来てたのか!?』

 

「フィルターの掃除かなり早めに終わって、追いかけたら二人が一緒に帰ってるもんだから着いてきた」

 

『…まて、お前足早すぎじゃないか?』

 

「うっせ。文芸部員だぞ、入部時期でいえば先輩だぞこの野郎」

 

『…きたの?』

 

「…兎に角入れてくんね?いや、家に携帯忘れてたから連絡手段欲しいんだよね」

 

うぃーん。あったけ〜!と、なっているところに少しの疑問をとキョンさんが突っついてきた。

 

「お前、制服とカバンは?」

 

「…」

 

「確かに、帰りに見つけてついてきたのなら制服とカバンがあるはずね」

 

「まさかお前…」

 

「制服とカバンはこの中に入ってる」ドサッ

 

「着替え持ってたのか」

 

「雨に濡れて家に入って、その結果床が濡れるのが嫌な人間だからね。タオルも入ってる」

 

「なんで着替えたの?」

 

「埃がむっちゃ服についたから」

 

「あ〜、なるほど」

 

「?」

 

「フィルターの掃除してたもんなぁ」

 

「んで、このマンションに朝倉涼子がいることも思い出して。朝倉涼子がどっかの部屋から出てどっかの部屋に入って行ったから来たんだけど」

 

「…あ、そう言うこと?お邪魔だったら出て行きましょうか?」

 

「そゆこと」

 

「違うぞ、おいお前は何ナチュラルに出て行こうとしてんだ、携帯貸すからさっさと連絡しろ」

 

「あ、そうだった…」ピロロロロ

 

『あんた!件の部長でしょ!私の弟をこき使うなんてまあそんな非人道的なことがよく出来るわね!!覚悟しておきなさい!!近いうちに凸るわよ!!』

 

「…ねーちゃん、俺」

 

『うぇ!?あ、そっか…部長の部屋に行ってるんだもの、部長の携帯から出てもおかしくないか…』

 

「うん、うん…ん、そーだね、キョンが帰るなら俺も帰るけど…」

 

「腹減って死にそうだし、食うか」

 

「…ごめん、夕飯いらない。ほんとごめん、ちょっと姉ちゃん、許して、ほんと、マジごめんって」

 

「大変ねぇ、涼宮君」

 

「果たして大変なのはどっちなんだろうかな」

 

「ほんとごめんって!姉ちゃんごめん!うぇ!?明日の弁当が昆布だけになるの!?」

 

「お前もう帰れよ。明日昆布になるの嫌だろ」

 

「…切られた」

 

「…食うか」

 

「食う」

 

「私、一人っ子だからわからないけど…そんなにお姉ちゃんって怖いの?」

 

「…双子だからね、よくわかんないけど。両親共々どっか行ってるから、一人が寂しいんじゃない?」

 

「帰ってあげなさい!」

 

「そーだ、帰れ」

 

「帰ってあげた方が良いんじゃ…」

 

「…ごめん、空腹が限界突破してきた。帰れない」

 

「なんて奴だ」

 

「それ、貴方にも言えるわよ」

 

「あ、そうそう。最近見かけたマフラーのことなんだけどさ」

 

「あら、私と同じ話題」

 

「…2m以上のでっかいマフラーがあったんだよ」

 

「2m?そんなに長かったら使いづらいんじゃない?」

 

「そう思って商品名見たよ。カップル用って書いてあった」

 

「そう…」

 

「少なくとも俺たちには縁のない話だな」

 

「えっ」

 

「え?」

 

「…」

 

「…?」

 

「朝倉さん、こいつあれだよ…多分アレだよ…」

 

「そうね…貴方が前言ってた恋心の件、あながち間違いじゃないわ…」

 

「!?」ガーン

 

「あ、長門さん!?」

 

「そんなつもりじゃなかったのよ!?ほら、元気出して!」

 

「おでん食うか!?焼き鳥食うか!?」

 

「待って、焼き鳥あるの?」

 

…買ってきてました。はい。すいません。本当はコンビニ寄って来てました。すいません。ほんと、すいません。許してください。本当に、マジで、本当にすいませんでした。まっすぐここにくれば良かったですよね。だからその目はやめろキョン

 

「…おでんとセットで焼き鳥いかが?」

 

「帰り道に食べる予定のものは頂けないわ」

 

「バレてたか」

 

おでんを食い終わり、さあ解散だとなった。焼き鳥は何故か朝倉涼子に没収された(!?)。何がそんな気に入らないんだ。値段か。値段か!?値段かこの野郎!!上手いから良いじゃん!確かに、張り込み気分で買ったのは申し訳ないとは思ってるけど

 

「…嘘はもっと上手に言うものよ?」

 

「うるさい」

 

「一旦家に帰って、また来て。そんなに彼が心配?」

 

「いやぁ、キョンさんから俺に送られてたメール見たらきっとあんたびっくり昇天するよ」

 

「あら、興味あるわね」




朝倉さんの「貴方長門さん好きなの?」問答はカットです。
弟君はキョン君に良い青春を送ってもらいたいからね。しょうがないね。
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