聞けば館の主人と連絡取れねえ鍵掛かってるし開けられねぇやべぇどうしようって状況らしい。執事さんのガタイがもう少し良ければタックルで開けられたんじゃなかろうか。これは主人のミスだな…とかなんとか思っていると三人でタックルしましょうって話になった。執事抜きで。
「…」
「せー…」
「の!」ドンッ
「びくともしねえ」
「どうしましょうか…」
「ダンベルで扉を壊すというのは?」
「主人の扉は特別頑丈に作ってあります故、ダンベル程度では」
「ダンベル」
「有希!20kg!?有希って意外と力持ちね…」
「遠心力使って扉をぶっ叩きましょう。多分扉がぶっ壊れます」
「…そんなことしたら修理費とかどうなるんだ?」
「じゃあ窓割るか?」
「足場はございません…」
「…タックルでもダンベルでも壊すんだから良いでしょ!」バゴォッ
「おい、凹ませただけだぞ」
「わお」
「もう一発!」バゴンッ
「あ、穴が空いたわよ!…でも、中に人が見えないわね…この穴から鍵開けられないかしら…?」
「どっちかっつーとドアノブ壊した方が良かったかも」
そんな狙い方は俺には無理なので、しゃーないこれで良かったんだと鍵と共に扉を開けると、あらまびっくりうつ伏せで倒れていらっしゃる。…頭部からの出血はない…何より背中に立っているナイフが死因で良いだろう。うん。警察ぅ!!!
「…しんで…います…」
「え、嘘…」
「妹ちゃんは見ちゃいけません!」バンッ
「わー、これはなんのどれがどうなってるんだろうか。長門さん!」
「エラー」
「有希も珍しく混乱しているわね…」
「とりあえず部屋に戻りましょう。犯行現場に長く居て良いことはないでしょうし」
「私も、その通りだと思います。警察には私から…」
「特に朝比奈さんが。さて、彼女は二人がかりで運びますか」
というわけで、部屋に戻ってきた。戻ってきた、と言うと語弊があるんだろうか?わからんけど。しかしこれは姉が作り出した状況なのか、本当にやべーことなのか、誰ぞの悪戯なのか。イタズラにしては度が過ぎている。よって悪戯以外なし!以上!
「…」
「ねえキョン君、何かあったの?」
「身長の割に…腕が…!」
「それ以上は禁句ですよ。ですが、これはかなり困りましたね…」
「ところで古泉さん」コソッ
「…なんです?」
「あれ、機関とか言う奴の演技とかじゃない…よね?」
「いえ…あり得ないでしょう。確かに事件を提供するとは言いましたが、謎解きのようなものを幾つか…その程度の予定でしたから」
「わー、おっかねえ」
「どうしたものですかね…」
「キョン」
「?」
「有希。鍵閉めて、誰がきても開けちゃダメよ?」
「わかった」
「…後付け。涼宮ハルヒとキョンは除外」
「わかった」
「長門さんがそのようなことをするとは思えませんが」
「言う事は全部守るくらいやべー子だから」
「そうでしたか」
「…茶番だな?」
「先程言った通りですよ」
「その言葉が後で改変されないことを祈るよ」
「何故ですか?」
「どーせ茶番になる」
「どうせ、ですか…それはどうも気になりますね」
「あの状況だと…殺したのは」
「ストップ。それ以上は口に出してはいけません」
「あー…うんうん。なるほど」
「…なんですか?これ以上疑っても何も出てこないのですが」
「姉のせいでほぼ無法地帯だ…恐ろしっ」
「どういうことですか?」
「姉さんは人が傷付くのを結構嫌う。死ぬのなんてもう論外。そんな感じの思考だからなぁ…」
「ああ、なるほど…」
「長門っち、今姉さんたちの居場所わかる?」
「…ここ」スッ
「中々ハイテクなガラケーをお持ちで」
それを俺のガラケーで撮り、そしてそのガラケーと古泉さんのガラケーの地図を照らし合わせ、道順を決め、迎えに行く。いや、俺まで行く必要はない。俺だって嫌だもん。濡れるの。洞窟の中にいるらしいが、道中は雨だ。傘は吹っ飛ぶし、濡れるしかないのだ。
「…」
「お二方〜」
「来たか古泉!…なんでここが分かったんだ?」
「来たわね我が弟!」
「濡れた濡れた…」
「ハルヒ、落ち着け」
「何よ!私は平常よ!」
「とりあえずタオル持ってきた…んだけど、一枚しか無事なのないからどっちが使うか決めて」
結果、姉さんが使うことになった。そして館へ戻ったのである。長門っち、ありがとっち。なんでダジャレを使おうか迷っていると、扉の前で変な声がある。姉さんが有希と押し問答してる。笑える。え、有希さん。ハルヒとキョンは除外してなかったんですか?
「…はぁ…」
「長門さんのこう言うところを見越して、貴方はあんなことを言ったんですね?」
「うん。意味なかったわ」
「おい長門、ハルヒの命令はたった今解除された。なんなら俺が今から上書きする。妹もいるんだ、開けてやってくれ」
「…」ギィ
「これからどうしよっかな〜!」
「どうしようって?」
「カップラーメン持ってきたんだけど、食う機会見失っちゃってさ…」
「なんでそんな物持ってきてるのよ」
正論である。が、姉も流石に疲れたのだろう。まあ良いかと言って扉を閉めた。キョンさんと古泉さんは二人で話し合うとか言うし、メイドにケトルを借りて水をぶっ込んで沸かせて食おう。食ったら動き出そう。
「ずずっ…やっぱ2分だわ」
主人の部屋
「…」
「うわびっくりした!?」
「なんでここにいるのよ!?」
「オラ起きろ狸寝入りジジイ」ゲシッ
「おま!?」
「何してるのよ!?」
「ゔっ…」
「うわ!?」
「本当に芝居だったのか…」
「どうやら、最初から彼にはお見通しだったわけですね」
「なんてことだ…君はすごいね」
「団長である私が出し抜かれるなんて…」
「お前今は名探偵とかなんだろ?」
「そうである前に団長よ!そしてそれでもある前に姉よ!これでは姉としての威厳が保たれないわ!」
アニメの途中であったハルヒがグニャルあれ、絶対『キョン達犯人じゃね?でも犯人って考えたくない…』で自分の考えてる根拠の一つを捻じ曲げたことで『いやいや、それはあり得ない』状況に持って行ったと思ってる。