転生したら武天老師って呼ばれるようになったんだが? 作:JOJI
今話はとても難産でした。悩み抜いた末の展開です。
第10話
「さて、ウミガメを助けてくれた礼をせんと行かんな。さて、何をやろうかのう…」
そう言ってワシは考えるフリをする。まぁ、やるもんは最初から決まっとる。悟空の代名詞である筋斗雲じゃ。
「そうじゃ、ファンファンよ。悟空に筋斗雲を礼としてあげても良いかの?」
「筋斗雲を?えぇ、良いわよ!筋斗雲も悟空君なら乗れると思うわ!筋斗雲〜」
ファンファンが筋斗雲をこちらへ呼ぶと悟空の前へ移動させる。
「悟空君、これは筋斗雲と言って空を自由に飛べる乗り物よ。これを貴方に授けるわ。」
「へー!空を飛べるんか!よーし、よっと!」
言うやいなや悟空は筋斗雲に飛び乗り空を飛び出した。自由自在に飛び回り年相応にはしゃぎ倒しておる。ええのう、こう見ればまだまだ年相応の子供じゃな。ふむ、そういえば悟飯はどうしたのじゃろうか。悟飯の実力なら今の悟空がもし大猿になってもどうにかできるほどの実力はあると思うのじゃが…?
悟空が満足したのか空から降りてくる。
「それ凄いわね! ねぇ、私も乗らせて!」
「お、いいぞ」
悟空がよっと筋斗雲から降り、続いてブルマが筋斗雲に飛び乗るとそのまま地面にすり抜けて落ちてしまう。
「あいた!?」
「あら、ごめんなさい。筋斗雲は清い心を持った人にしか乗れないの。つまり、良い子じゃなかったらダメなのよ。」
「えー!? 私が良い子じゃないって言うの!? 雲の癖に生意気ね!」
「そういう言葉がすっと出てくる時点でダメじゃろ…」
「何よ、亀じいちゃんは乗れるって言うの?」
「ワシは無理じゃよ。貰った時から乗れとらん」
「仙人って名乗ってるのに?」
「仙人が良い子とは限らんじゃろ」
実際、鶴も仙人と呼ばれとるが筋斗雲乗れるような性格はしとらん。死ねって普通に言うし。
「ねっ、亀じいちゃん! 私にもなにかちょーだいっ!」
「ん? ウミガメ、ブルマはお前を助けてくれたのかの?」
「いーえ、全然」
「なによ!塩水あげたじゃないっ!」
「うーん、そうじゃのぉ…」
まぁ、なにか上げても良いが…あっ、そういえばブルマ達はドラゴンボールを集めとったんじゃった。しまったのう、家に飾ったままで忘れてきてしもうた。
「家になにかやれるもんがあるかもしれんし…そうじゃ、今晩は家に泊まって行きなさい。旅をしてるのじゃろう? 1度身体をゆっくり休めていったらどうじゃ?」
「えー、良いけど…私すぐ戻ろうと思って家置いてきちゃったわ。」
ふむ、そういえば年頃の娘にしては寝間着っぽい格好をしとると思ったわい。
「なに、ワシが回収してきてやろう。カプセルコーポレーション製のカプセルハウスじゃろう? 方角はどっちじゃ?」
「え? あっちだけど、良いわよ。孫くんにその雲でとってきてもr」
「あっちじゃな、すぐ戻ってくるから待っとれ」
ワシは気を高めてブルマが指を指した方角へひとっ飛びする。そして、少ししたところにカプセルハウスが建っておるのを確認してそこへ降りる。建物の持ち主の名前がブルマであることを確認してカプセルに戻し、また元の場所に向けて飛んで帰る。
「よっと、ほれコレじゃろ?」
ブルマに回収したカプセルを見せると、口をあんぐりと開けたブルマと目を輝かせている悟空を見た。ファンファンはその後ろで苦笑いをしている。
「と、飛んだ…人ってあんなに飛べるの…?」
「す、すげ〜!じいちゃん筋斗雲よりはぇんじゃねぇか!?」
「ほっほっほっ、ワシも昔はブイブイ言わせとったからの〜」
わしも最近はなりを潜めて隠居しておった。天下一武道会にも7回目以降から参加しておらん。
「ほれ、そんなことよりさっさっと行くとしようかの。」
「ちょ、ちょっと待ってよ! 亀じいちゃんの家って海の向こうでしょ? あんた達はいいけど私は飛べないわよ?エアーバイクも持ってきてないし」
「おぉ、そうじゃった。大丈夫じゃ、おーいフウよーっ!」
ワシがそう叫ぶと、遠くの空から巨大な影が見えてくる。それは身の丈以上の白い巨大な鳥であり美しく輝く尾羽を揺らしながらこちらへ向かってくる。またもや呆然とするブルマに悟空。フウがわしらのもとへ着地しワシに頭を擦り付けて来る。
「こやつはワシらのペットで不死鳥のフウという。お主はこやつに乗ってくると良い」
「くるるる」
「え、えぇ…」
「ひえー、でっけぇ鳥だな〜」
ペットにしてから数百年くらいから家に収まりきれんくらいでかく成長し、そのためフウは基本的に放し飼いにしておる。餌は衛生面を考慮していつも通りワシらが管理しておる。巨体の割にそれほど食べんしのこいつ。
「もう、急な展開でブルマちゃんびっくりしちゃってるじゃない。大丈夫よ、ブルマちゃん!この子とってもいい子なんだから!」
ファンファンはそういうとブルマの手を引いて羽を畳んで座っているフウの背中に一緒に乗る。おっかなびっくりな様子でフウに乗るブルマ。
「わぁ〜、家のベッドよりフカフカ〜!」
「ふふ、そうでしょう。この子の背中でお昼寝するとすっごくぐっすり寝られるのよ。」
「クルル♪」
その様子を見て大丈夫そうだと思い、ウミガメを抱える。
「よし、向かうぞい。付いてまいれ!」
ワシはそういうと程よいスピードで飛び出し、ワシの家へと向かった。
「「「「ご馳走様でした!」」」」
全員で食卓を囲み、久しぶりの賑やかな食事となった。おかげで冷蔵庫の中身は空っぽになってしもうたがの。いや、悟空を招いた時から覚悟しておったがマジでめちゃくちゃ食うなこいつ。ファンファンがいつも以上に張り切っておったわい。
「いやー、食った食った!」
「あんたねぇ、人様の家なんだから少しは遠慮しときなさいよ。」
「いいのよブルマちゃん。私、こうやって子供にご飯をご馳走するの夢だったの。私達の間には子供が居ないから。」
「ファン姉さん…うぅ、私今日からファン姉さんの娘になるー!」
「あら、嬉しい!でも、そんなこと言ったらブリーフさん達が悲しむわよ。」
そう言いながら嬉しそうなファンファンを見て、申し訳ない気持ちが湧き上がってくる。もう解決したことなんじゃがの。
ちなみに、食事中にファンファンとワシの関係を爺と孫と勘違いしていたブルマに本当の事を言ったら宇宙猫になった。悟空のやつはじいちゃん達長生きしてんだなーと軽く言いよった。
ファンファンとブルマが風呂に行き、リビングにはワシと悟空の2人になった。悟飯の事を聞くなら今じゃな。
「のう、悟空よ。悟飯のやつは元気しておるか?」
ワシがそう聞くと、物珍しそうに漫画を読んでいた悟空が驚いた様子で顔を上げる。
「へっ? じいちゃんオラのじっちゃんの事知ってんのか?」
「うむ、知っているも何も悟飯はワシの弟子じゃからな。お主の持っておる如意棒もワシが悟飯にやったものじゃ。」
「へー! そうだったんか!」
「悟飯とは少し前まで手紙でやり取りしておっての、お主のことも手紙で知っておった。しかし、数ヶ月前から手紙の返信が来んくての。心配しておったのじゃ。」
手紙で元気そうに悟空がこれをやった、あれをやった。こんな事ができるようになったと殆ど悟空の事しか書かれていない手紙を思い出し、もしかしたら本人の知らないことまで知ってしまっているような気がする。例えばおねしょをした数とか。
「…じっちゃんは…じっちゃんは死んじまったよ…」
「な、なんじゃと!?」
ぽつりぽつりと語る悟空の話を聞いて行くと、悟飯は1年前から体調を崩しがちだったらしい。そして、半年前に急に倒れた。悟空は悟飯を背負って数十km離れた村に行き、そこの医者に悟飯を診てもらった。
「じっちゃんはがんっつう病気らしくてよ…もう治らねぇとこまで行っちまってたらしいんだ。…んでよ」
「もう良い…すまんのぅ、悟空よ。辛い事を聞いてしもうて…教えてくれてありがとう。」
辛そうに語る悟空の表情を見ておれなくなり、話を遮るように止めた。話を察するに、おそらく末期の癌だったのだろう。症状が出始めたのはおそらく1年以上前から、半年以上悟空に心配をかけまいと頑張り…癌が進んで数ヶ月前に亡くなってしまった。
なんという事だ…弟子の異変に気付かず、今までワシは何をしておった。最後に届いた、ワシへの感謝が綴られた手紙を思い出した。あれは、死期を悟った悟飯が最後に宛てた手紙じゃった。情けない、何も気づけずにいた自分がとても情けない!
「惜しい男をなくしたのぅ…」
「…なぁ、じいちゃん。じいちゃんはオラのじっちゃんの師匠だったんだろ?」
「んん? そうじゃな。あやつはワシがとった初めての弟子じゃったな。」
「なら、じっちゃんが修行してた時のことを教えてくれよ! オラ、じっちゃんの昔の頃の話聞いた事なくてさ!」
「…そうか、そうか。では、あやつと出会った時のところから話そうかの。」
全く、子供に気遣われるとはの…300年生きていてもワシはまだまだ未熟じゃな。
フウちゃんのイメージはドラゴンクエスト アベル伝説の不死鳥ラーミアです。
今作の悟空は悟飯に勉強を教えて貰っていて簡単な文字や言葉、算数くらいならできます。近所の村にも出かけたことがあるのでじっちゃん以外の人も見た事あります。でも、女の子は未だにパンパンしないと見分けはつかないし世間知らずなのはあまり変わりません。
初期のドラゴンボールに有るまじき暗い話にしてしまって申し訳ありません!
感想と高評価を良ければよろしくお願いします!