輝ける星のハサン   作:逃げた俺を許してください

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はじまりはじまり

 

 

 

【きみ、転生するから】

 

「は?」

 

【ガチャガチャ〜…転生特典は『忍者っぽいことなら何でも出来る才能』ね】

 

「はぁ?」

 

【レッツゴー】

 

「はあっ!?」

 

 


 

 

 転生して9年が経った。

 

 俺が転生したのは暗殺教団が統治する、小さな数ある村の一つ。難民の母が命を代償に俺を産んだ。

 

 俺は今暗殺教団のしたっぱ…手下…特殊部隊…とにかく、下とも上とも言えない微妙な地位に着き各地で暗躍している。

 

 暗殺教団とかいう物騒な名前の組織のボスのくせに心根から綺麗で面倒見の良い教主、ハサン・サッバーハに引き取られ育てられた。

 

 教主の面倒見の良さは演技とかそういうのではない、本当のお人好しだ。俺を育てるのを『自身の技の研鑽の一環』と称して、俺が死なない程度に飯を恵み、技を授けてくれた。

 

 俺が熱を出したときは魔獣どもが蔓延る山に一人薬草を取りに行ってくれて、俺が森で迷ったときは泥に濡れながら必死になって探してくれた。教主は俺の師匠であり、親のような存在だ。

 

 この、育ててくれた恩を、生きる力を授けてくれた恩を返すために、やがて彼の後を継ぎハサン・サッバーハの名を継承することを目指して俺は暗殺教団に入った。

 

 幸いにも、というか運命というか、俺には暗殺の才能があった。

 

 神が俺に特典として寄越した『忍者っぽいことなら何でも出来る才能』だ。

 

 池の上を走ることは勿論。隠密行動、短刀の投擲、一瞬で相手の頸動脈を抉る剣術、果てには素手で剣を受け止める鋼鉄の体を手に入れた。特典が指す『忍者』ってアメコミか?

 

「…標的確認、周りには複数傭兵がいる。護衛に感づかれたら俺はともかく、お前は厳しいだろう。毒で仕留める」

 

「わかりました…では、毒をどうぞ」

 

 部下の女が吐き出した()を受け取り、飲み込む。

 

 俺の忍者としての才能の一つに、『摂取した毒を短い間だけ体液として分泌できる』という物がある。

 

 どんな毒でも死なないし、酒にも酔わない俺には薬による自殺も出来ないが、代わりに毒を大量生産できるのだ。暗殺教団の幹部達はこの能力を気に入ったらしく、俺をこの部下の女とふたりきりの『特殊部隊』に入れた。

 

 この部下は暗殺教団が生んだ兵器だ。伝説として残る『毒の娘』を人間兵器として再現した、全身が毒で人と触れることもままならない…いや、この話は好きじゃない。またいつか話そう。

 

「分泌…終了。対象に接近する。お前は俺がしくじったとき用にここで待機。もしものときはその短刀で俺を殺せ」

 

「え、いや…」

 

「殺せ。いいな?」

 

「…はい」

 

「…毒の摘出完了。濃度良好。作戦を開始する」

 

 闇に溶け、気配を隠す。毒を孕んだ汗を布切れに吸収させ、ただの布切れを毒に塗れた凶器にする。

 

 そしてゆっくりと、標的に近付く。近付くごとに五月蝿い声が大きくなり、鬱陶しく感じる。

 

「ハ、ハハハ!全てが上手くいく!やはり俺は天才だったんだ!市場も町も俺の物!やがてこの国を手に入れてやる!いや絶対に手に入る!ハハハハハハ!」

 

 大口を開けながら笑う醜悪な面の男の背後に近寄る。護衛は男に絡まれるのが嫌なのか男から目を背け、誰一人男を見ようとしない。

 

 行ける。

 

「しっ!」

 

「むぐっ!?」

 

 開いたままの口に布切れを押し付け毒を吸わせる。数秒もしない内に男は白目を剥き息絶えた。首を切り落として殺しても良かったが血が飛び散って傭兵たちにバレる可能性もあったし、今の俺の手腕では一撃で殺せないかもしれなかったから毒殺にした。

 

「んっん!『あ〜お前ら!ちゃ〜んと俺の護衛しろよ〜!この金取りどもめ!ヒック…あぁクソッ!酒が切れた!俺は少し寝るからな!』」

 

「へいへい、ちゃんと護衛してますよ旦那」

 

「はぁ…めんどくせーなこいつ…野菜みたいにほっそい腕のくせに…」

 

 喉の形を調整して男の声を真似して傭兵たちの集中度を下げる。男達はうんざりしたような声を上げ、中には欠伸をしているような物もいる。

 

(注意力が欠けたやつらだ…この程度の警備なら簡単に突破できるな)

 

 傭兵に探りを入れ、傭兵たちの警備を確認するがこのままなら気付かれないまま逃げれそうだ。そう判断した俺は標的の首を切り取り、胴体を残して去る。首は暗殺成功のしるしになるから持って帰る。

 

 少し経ってから傭兵たちの騒ぎ声が聞こえてきたがもう遅い。既に奴らでは追いつけない程度には遠くに来た。

 

「暗殺成功。村に戻るぞ」

 

「は、はい…」

 

 首を布で包み、足早に走り去る。

 

 人仕事終えた後はお楽しみの時間だ。

 

 

 


 

 

 

「教主、只今戻りました」

 

「同じく」

 

「帰ってきたか。二人とも此方に来い。今日は汁物だ。たーんとお食べ」

 

「いえ、今宵の標的の首を幹部たちに見せてきます。その後でよろしければお供させてください」

 

「わ、私も…それに毒が出てしまうので…」

 

 村に帰った後はすぐに教主に報告に行く。報告が終わったらその後は任務があるまで自由時間だが、流石に生首を置いたまま食事をする気にはなれないので幹部たちに押し付けに行くとするか。

 

 田舎のように自然溢れるこの世界にもいい加減慣れたものだ。転生して少しの頃は虫にも怯えた軟弱者だったのに。

 

 俺は前世で科学者をしていた。都会暮らしで虫にも蝿か蚊くらいしか身近にいなかった俺は虫に慣れるのに相当時間がかかった。よく教主サマに助けてもらってたっけな。

 

「あの…」

 

「…なんだ」

 

 昔を思い出していると部下から呼び止められた。

 

 無視して幹部たちのところに向かおうかとも思ったが部下の話を聞くことにした。ただの気まぐれだ。

 

「大事な、話があるんです…」

 

「さっきからなんだと聞いている。その大事な話とやらを早く話せ。教主が作った料理が冷める。お前は教主のご厚意を無駄にするつもり――」

 

「…自分が死んでも構わないように振る舞うのはやめてください」

 

「なに?」

 

「いつも、暗殺で危険な場面があると一人で突っ走って、私を置いてけぼりにして!私に貴方を殺させようとする!」

 

 俺の話を遮るように部下が言う。部下は少し震えながらも真っ直ぐにこちらを見つめてくる。この部下の目は見たことがある。覚悟を決めたやつの目だ。暗殺対象が騎士だったときに、その騎士が死ぬ覚悟で突撃してきたときにしていた目と同じだ。

 

「お前は、俺がしくじったときに捕まっても殺さず、そのまま拷問を受けてから死んでほしいのか?お前に俺の始末を任せているのは情報漏洩の阻止と、なにより俺が苦しまないで済むようにするためだ」

 

「そんなに私が頼りないんですか!?少しは私に背中を任せてください!確かに私は毒以外に誇れるものが無いですけど…私は貴方を殺したくなんて無い!」

 

「何事にも『最悪の事態』がある。俺達は二人だけの特殊部隊、そのもしもに二人だけで対応できるとは限らない。二人とも死ぬくらいだったら俺を身代わりにしてお前を逃がす方が全滅する可能性が低い」

 

「そんな『もしも』なんて起こさせません!」

 

 駄々をこねるように部下が叫ぶ。

 

 あぁクソッ!どうしたら収まるんだこいつは…もういい。このまま無視して幹部たちのところに向かうか。

 

「!待ってください!話はまだ――」

 

「……」

 

「ッ!どうして自分の命を省みないんですか!せめて、それだけは教えてください!」

 

「いい加減鬱陶しい。逆にお前は何だ?どうしてそこまで俺の生存にこだわる?暗殺とは死と隣り合わせ、いつ誰が死んでも可笑しくないんだ。甘ったれたことを言うな」

 

「それは…」

 

 こちらが殺すのだから、こちらも殺される可能性が十二分にある。誰かに死んでほしくないなんて甘いことを言える優しい世界ではないんだ、そう伝える。

 

 この世界はいつでも死と隣り合わせ。この前は村に迷い込んだ魔猪が子供の母親を殺した。その前は盗賊の(たぐい)が村を襲い、多くの男が死んだ。女が慰者(なぐさみもの)にされかけ心に深い傷を負った。

 

「この世界は醜い。俺達暗殺教団が誰かを殺さないと平穏に過ごせない誰かがいる。誰かが死なないと幸せになれない誰かがいる。誰かを犠牲にして誰かを幸せにする。俺達もそうだ。人を殺し、心をすり減らして身を捧げる。これが、この世界が醜いと言わずして何を醜いと言えようか」

 

「そんな、醜いことばかりが溢れているわけじゃ無いです!」

 

「そうかそうか。では、お前の『高貴』で『美しい』、俺を生かそうとする理由を教えてもらおうか?これほど俺達暗殺教団が死と近しい存在ということを教えても、俺に死んでほしくないという理由を!」

 

「そんなこと、決まってます!私が、貴方の事を好―――」

 

黙れ

 

「え…?」

 

 部下が何を言おうとしているか気がつくと、憎悪が突然湧いてきた。

 

「我々暗殺教団は私情など抱いてはいけない。我々は何者でもない、我々はただ人々を幸せにするだけの機関なのだから」

 

「で、でも…!」

 

「それと、俺はお前が嫌いだ」

 

 言うだけ言って突き放し、場を後にする。

 

 俺はこの部下、いずれ『静謐のハサン』となる女が嫌いだ。

 

 

 


 

 

 

 これは三年前のことだ。

 

「次期ハサンは『毒の娘』にする」

 

 そう幹部たちが俺に告げた。

 

 『毒の娘』とはこの地に伝わる伝説で、全身猛毒の暗殺者のことを指す。

 

 暗殺教団の幹部たちは教主であるハサンに黙って女の赤子を伝説の毒の娘、いや暗殺道具とするべく育て上げた。全ては次期ハサンという名の傀儡を作るためだ。

 

 暗殺教団の教主はお人好しだが、幹部は違う。欲に塗れた肉人形だ。

 

 幹部たちは富を求める。だが、『何者でもない(富も名声も要らない)』を主義とする暗殺教団の教主ハサンはこれを良しとしない。そうなると幹部にとって教主は邪魔な存在だ。故に、幹部たちは教主に傀儡を据え置こうと考えた。

 

 こうして純粋無垢で操りやすく、前代ハサンたちにも劣らない力と特異性を持つハサンになるのに相応しい存在が産まれた。

 

 全身猛毒で人に触れられず、孤独が故に人の悪しき面を知らない子供、次期『静謐のハサン』。

 

「お前には『毒の娘』のお守りをして欲しい。現教主が死ぬまでに『毒の娘』に死なれては困るからな。頼めるな?」

「…承りました」

 

 歯を食いしばりながら、幹部たちに叛意を気取られぬようひた隠す。

 

(この腐れ外道どもが…!ただ毒を持つだけの女子(おなご)にハサンの地位を継がせるとは…!)

 

 今すぐにもハサンに申告して幹部たちを皆殺しにしてもらいたいが、ハサンには俺が次期ハサンになるために嘘をついているようにしか聞こえないだろう。

 

 ままならない、ままならない。この理不尽な世界への憎悪が膨れ上がる。

 

 教団の腐敗を正すという『初代ハサン・サッバーハ』は死んだのか?

 

 『初代ハサン・サッバーハ』は伝説だったのか?

 

 魔獣と悪人が蔓延り、魔術が存在するこの世界でも人間は所詮人間。初代ハサンは寿命を迎えたのか。そもそも存在しなかったのか。

 

 何にせよ、初代ハサンは幹部たちを殺してはくれないらしい。

 

 

 

 

 初めて『毒の娘』に出合ったとき、『毒の娘』に抱いた印象は『毒に耐性があって全身猛毒なだけの女』だった。それは今も変わらない。

 

「はぁ、はぁ…あの、早」

 

「……」

 

「う…すみません…」

 

 俺より足が遅く、

 

「フッ!」

 

「……(まと)より6cmズレてる。もう一度だ」

 

「えっと…6センチ、ですか…?」

 

「……今朝お前が落とした野菜と同じくらいの大きさだ」

 

 力も俺より弱く、

 

「…どう、ですか…?」

 

「顔が歪だ。潜入と暗殺に顔の形を変える技術は必須だ。もう一度練習しろ。まぁ人を誑かすという点で言えばお前の素顔で十分だろうが」

 

「え、えへへ…そうですか?」

 

「自惚れるな。他の暗殺者は簡単に顔を変えられるから素顔の良さなど利点ではない」

 

「がーん…」

 

 技術も俺より劣っている。

 

 『毒の娘』自身が言っているように、まさしく毒しか誇れるものが無い村娘。

 

 正直見下せるレベルで俺のほうが優れていて人の醜い面を知っており、ハサンに相応しかった。これは自意識過剰でも何でもない、事実だ。

 

 だから最初は『毒の娘』に嫉妬も嫌悪感も抱いてなかった。ただ教団の腐敗を正し、暗殺教団から彼女を解放してあげなければと思った。

 

 

 

 最初は、だが。

 

 

 

 

 

「儂の後は『――』に継がせようと思う。お前も賛成で良いな?」

 

「!そうですね、私もそれがいいと思います。技量も知識も優れていて、次期ハサンに相応しいかと」

 

 『毒の娘』に嫌悪感を抱いたのは、教主と『毒の娘』のある会話を聞いたときだ。

 

「ハッハッハ、『――』の部下であるお前ならわかってくれると思っていたぞ」

 

 内容は俺に次期ハサンの地位を継がせるのに賛否を問うものだった。

 

 俺が『毒の娘』から離れたときに、教主が隙を見て話しかけていたのだ。転生特典のお陰で聴力が強化された俺だけが聞こえた内緒話だ。

 

「ありがたきお言葉です」

 

(なんだよ、それ…)

 

 『毒の娘』が、彼女がやがてハサンになることを彼女自身も現教主も知らないことはわかっている。だが、彼らの滑稽さを笑う気にもなれなかった。彼らの無知を笑う気にもなれなかった。

 

 ただ、彼らの楽しげな話し声が自身を嘲笑う皮肉にしか聞こえなかった。

 

(あんたらは気軽で良いよなぁ…!)

 

 『違う、彼らは善人だ。何も知らないだけだ。悪意があって言ったわけじゃない』そう自分に言い聞かせて、湧いてくるドス黒い感情を飲み込もうとした。

 

 鍛錬に励み、酒を飲み、寝てこの感情を忘れようとした。

 

 鍛錬中は『毒の娘』が張り付いてきて忘れられなかった。

 

 酒は毒に耐性があるせいで酔えなかった。

 

 寝ようとしても『毒の娘』が忍び込んできたのとストレスで眠れなかった。

 

 『毒の娘』の純粋な面を見る度に哀れみが嫉妬に変換される。

 

 『毒の娘』の弱い面を見る度に親愛が嫌悪に変換される。

 

 

 ハサンの座を継いで教主に恩を返すつもりで暗殺教団に入ったのに自分より劣った娘にハサンの座を奪われると知ったから。気楽に生きれる『毒の娘』に嫉妬したから。

 

 様々な理由が重なって、『毒の娘』に暗い感情を抱くようになった。

 

 

 


 

 

 

 『毒の娘』に俺の気持ちをはっきりと伝えてから数年が経ったある日。

 

 教主が死んだとの報告を受けた。

 

 綺麗に首を落とされていた。遺体と場には教主が抵抗した痕跡が一切遺っていなかった。

 

 抵抗する時間すらなかった?それもあるがそれだけじゃない。

 

 むしろ、安心したように…天罰を受け入れるように死んでいた。

 

 教主は皮膚と仮面が縫われていて素顔が見えなかったが長年側にいた俺にはわかる。

 

 だがどうしてそのように死んだかわからない。

 

 何故死を受け入れた?何故安心したように死ぬ?人を殺すことに疲れた?そんなわけない。()がそのような信念を曲げる行いをするわけがない。()は己の命を顧みず民を救うために死ねる人間だ。しかし犬死にを受け入れる人間ではない。

 

 わからない。わからないわからない!

 

 前世も含めて生きていて感じたことがないほどの恐怖を覚える。初めて人を殺したあの瞬間よりも強大な恐怖だ。

 

 まさか

 

 

 

 まさか、初代ハサン・サッバーハが生きているというのか?

 

 ありえない

 

 それならなんでやつら(幹部)はしんでいない?

 

 ありえない

 

 どうして()は死んだ?

 

 ありえない

 

 『毒の娘』は、彼女はどうなる?

 

 ありえない

 

 

 

ありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえない

 

 

 

 

 どれほど経ったか。

 

 もう教主で無くなった()の葬送が済み、『彼女』のハサンの就任を見届けて数刻が過ぎた頃。

 

 初代ハサン・サッバーハの実在を知った直後、脳が混乱している間に考えたことの一つに彼女の未来を考える内容があったことに気がついた。

 

 

【毒の娘は、彼女の未来はどうなる?】

 

 

 彼女を思う気持ちがまだあったことに俺自身、驚いた。そして、俺自身の罪に気付いた。

 

 彼女を暗殺教団から解放しなければと思った。彼女の明るさに、眩しさに目を焼かれ嫉妬し、彼女を突き放した。俺のことを案じた彼女を。

 

 

 馬鹿か、俺は。

 

 彼女は俺が救うべき、いや暗殺教団の一人として救うべきただの人だ。

 

 だというのに俺は彼女に酷い仕打ちをした。直に触れられる人間だからという理由でも少なからず俺のことを慕ってくれていた彼女を。

 

 

 俺は、どうしたら良い。

 

 

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