屋敷での生活に慣れていた。
快適な暮らしに慣れ切っていた頃、それは確かに現れた。
「デストロイヤーだああああああ!機動要塞デストロイヤーが来るぞおおおおおおお!!」
アクセルの街に鳴り響く警報。その騒ぎはベルディア来襲の比ではなく、その名を聞いた市民達は我先に避難を開始する。
「おいおい、いったい何の騒ぎだ?」
例によって街の冒険者はお呼びがかかり、カズマ達を含めた皆がギルドに集められた。
「放送を聞いてご存知だとは思いますが、機動要塞デストロイヤーが現れました。真っすぐ、このアクセルに向かっています」
ザワつく冒険者達。「もうダメだ、おしまいだ…」「…天は我々を見放した」「是非も無し…」など、戸惑いの色を隠せないでいる。
「だから何だよ、機動要塞デストロイヤーって」
その状況に、ついて来れてないカズマは、思わず呟いてしまう。
「機動要塞デストロイヤーはとある大国で開発された蜘蛛型の超大型搭乗兵器。
稼働直後に暴走して制作した大国を滅ぼしたのち、各地をさ迷いながら各国に甚大な被害を与え続けている。「デストロイヤーが通った後はアクシズ教徒以外草も残らない」とされ、天災の様な扱いをされている」
「アクシズ教って一体なんだよ」
そう、思わず、隣にいるアクアを見つめながら、カズマは思わず呟く。
「強固な魔法抵抗障壁を装備しているため魔法も効果をなさず、落とし穴や壁は掘っても回避されるか落ちてもすぐに対応してしまう」
「あ、そうだアクア。お前なら結界を破れるんじゃないか?」
「う〜ん、やってみないと分かんないけど…」
そう、これまでは自信に満ち溢れていたアクアからは、考えられない程の謙虚な言葉だが、それでも冒険者達には十分な希望であった。
「あとは、破壊できるだけの魔法攻撃があれば」
「いや、それは問題ないだろ」
それと共に、見つめた先にはめぐみんとブレーザーだった。
「いるだろ、火力持ちで、やばいのは。頭がおかしい奴とその保護者が」
「いたなぁ、頭がおかしい奴とその保護者が」
その視線に感じたのか、めぐみんは気づくと。
「おい、ブレーザーさんが頭おかしいと言うんだったら、乗ってやりますよ!」
『いや、お前の方だよ』
その瞬間、全員の声が一致した。
「だが、確かに可能だ。
あのベルディアの時では厄介だったが、連発で放てる爆裂魔法ならば、十分に対抗できるはずだ」
「あぁ、あの時は厄災だったが、今は希望に見えてきた」
それと共に、冒険者達は歓声をあげていた。
「うぅ、ですが、あれにも一応弱点があるんですよ」
「弱点?一体なんだよ?」
「ブレーザーさんは、合体した後の巨大化は3分しか保てないんです。
しかも、3分間、無尽蔵ではないので、爆裂魔法を放てば、放つ程に、その制限時間は縮まるんです」
「なるほど、ある意味、時間との勝負という訳か。
街の被害も考えて、タイミングが重要になる訳か」
「だが、賭けるだけの価値はある!」
「あぁ、希望があるだけ、まだ十分だ!」
それと共に盛り上がっていく。
そうして、冒険者達は、すぐに向かって行く。
「さて、うまくいくのか」
そう考えながら、ブレーザー達の方を見る。
目的の地点が来た際に、すぐに変身できるように、構えている。
「ぶっぶっ、ぶれーざぁーさん、かっかてるのでしょうかぁ」
「うわぁ」
だが、めぐみんは明らかに自信がない状態だった。
それを見て、カズマの不安はより大きくなる。
だが、その最中でブレーザーは、めぐみんの肩を軽く叩き。
「ジュワ」
その一言だけを言う。
それに対して、めぐみんは。
「えぇ、そうですね、やりましょう!!」
すぐに強気な笑みを浮かべていた。
「どうやら、心配ないようだったな」
そうしている間にも、デストロイヤーが接近する。
「見えたぞ、アクア!!」
その叫びと共にアクアも同時に力いっぱい魔力を込める。
「任せなさい!セイクリッドブレイクスペル!!」
アクアの魔法を受け、デストロイヤーの魔法結界が剥がれた。
「あとは任せたぞ、二人共!」
「任せてください!行きますよ、ブレーザーさん!」
「ジュワァ!」
めぐみんの叫び、それと共にブレーザーの雄叫び。
同時に、二人は、そのまま、ブレーザーブレスによって、合体していく。
それと共に巨大化したブレーザー。
だが、巨大化してもなお、ブレーザーの大きさはデストロイヤーに負けていた。
しかし、そのまま地面に着地すると共に、その手に、必殺の光の槍を手に持つ。
同時に、まるでめぐみんが爆裂魔法を放つような動作を行う。
「これはっ!」
それは、連続で放つ爆裂魔法ではない。
槍を振り回す度に、その手に持つ槍はより巨大になっていく。
やがて、巨大な槍は、まるでマグマを思わせる色に変わると同時に、ブレーザーは真っすぐと、デストロイヤーに向けて、投槍する。
「おぉぉ!!!」
投げられた槍。
その威力はあまりにも強すぎた。
デスロイヤーの胴体、足の部分は槍によって、溶けていく。
それによって、デストロイヤーは完全に動きを止め、地面へと落とされる。
「これだったらっ!!」
倒したかどうかは未だに分からない。
それでも、移動手段をなくして、無防備な状態。
それならば、今後も、なんとかできるはず。
「やったか!」「俺、これが終わったら、結婚するんだ」
「はっ」
だが、その最中、聞こえたセリフ。
それは、フラグである事は、カズマは気付く。
「さぁ、帰ったら乾杯よ!報酬はおいくらかしらねぇ」
「この馬鹿ぁ!お前はそう、お約束が好きなんだぁ!!」
「えっ?」
その瞬間だった、
デストロイヤーの瞳が赤く輝き始める。
「ほら、見た事か!!」
『被害甚大につき、自爆機能を実行します。乗組員はただちに避難してください。そして、防衛目的の為、特殊戦術機甲獣を起動させます」
「えっ、なんか、今、とんでもない一言、聞こえたんですけど」
それと共に、デストロイヤーの腹部だと思われる個所が、大きく開かれる。
そこから現れたのは、まさしく機械の龍だった。
それに対して、ブレーザーもまた、ゆっくりと構える。