「・・・」
その日、ブレーザーに対する尋問が始まっていた。
尋問を務めるセナは、眼前にいるこれまでにない相手に尋問を行う事にした。
「それでは、まず、名前と職業を」
「ジュワ、ジュワジュワ」
セナの言葉に対して、ブレーザーはこれまでの通りの言葉で、答える。
その言葉に対して、セナの眼鏡が僅かにズレる。
「その、もう一度、お願いします」
「ジュワ、ジュワジュワ」
再度、同じ質問を行うと、ブレーザーは先程と同じように答える。
目の前にいるブレーザーが巫山戯ているのか、そう思うように、セナは一度咳払いをする。
「・・・そうですか、では、次にあなたは故意に領主の家を破壊させたという事でしょうか」
「ジュワァ」
それに対してブレーザーは、首を横に振り、返答する。
意思の疎通が可能かどうかの為に行った質問。
それに対して、ブレーザーは問題なく答える。
「すみませんが、その、一度、嘘をついて貰ってもよろしいでしょうか」
それは、ブレーザーの言葉に嘘がないかどうかの確認。
「ジュワ」『チーン』
そう、質問し、ブレーザーが答える。
それと共に嘘を看破する魔導具は、ブレーザーの言葉に対して、嘘を言っている事が証明された。
それはつまり、魔導具からしたら、ブレーザーの言葉を認識していた。
「・・・」
だからこそ、セナはその場で頭を抱えた。
魔導具に反応がなければ、それはブレーザーの言葉が解読できない事を意味していた。
だが、ブレーザーの言葉に反応した以上、尋問を続けなければならない。
「・・・失礼しました、それでは質問を続けますね」
「ジュワ」
それと共にセナはそのまま尋問を続けた。
だが、どの問いに対しても、誠実に答えていった。
しかし、全てがセナにとっては未知の言葉であった。
尋問を初めて、一時間が経った頃には、セナとそれを記録している者は精神が完全に疲労しきっていた。
「・・・それでは、あなたは魔王軍幹部と知り合いではないと」
「ジュワ」
それに対してブレーザーは答えた。
既にブレーザーが何を言っても、セナ達は何も反応しなかった。
「・・・それでは、あなたは「そのブレーザーという者の裁判が決まった」えっ?」
そう、セナが言い終える前に、別の係の者が、部屋に入ってきた。
「いや、急に何を」
「その明らかに人間ではない容姿も相まって、裁判が決まった」
「えぇ」
その言葉に対して、あまりにも理不尽が過ぎる。
だが、既に上が決定した事に対して、セナ達は逆らう事は出来なかった。
「ぶっブレーザーさん、その、すみませんが」
「ジュワワアァァァァ」
「えっ、これって、どういう意味ですかぁ!!?」
未だに言葉によるコミュニケーションが行えない相手という事もあり、セナ達の困惑は裁判当日まで続く。