(親愛なる我らが祖国並びに近隣諸国にご挨拶申し上げます。私は今…所謂一つの学業に勤しんでおります)
そう、自分の状況を整理する為に、ゆっくりと自分自身に語りかけるように、ターニャ・デグレチャフは思考していた。
(文字にしたら平和そのものなのに…何だこの絵は!? 戦場でももうちょっとマシな絵面になるぞ!大体、校長先生がルーデルドルフ閣下、副校長がゼートゥーア閣下ってどんな冗談だ!担任は道化師みたいな奴だし…こんな世界、私が飛ばされたあのイカれた世界より格段に出来が悪い…!しかし)
それと共に、先日のとある会話。
それは自己紹介を終えた翌日にアクアが廊下に立たされていた。
その際に、この学園生活という状態を崩壊させる行為は厳禁である情報もまた得られた。
(そして、現状、このクラスメイトの中で最も謎の多いのはやはり奴だな)
それと共にターニャが一瞬、目を向けたのはブレーザーであった。
自己紹介を行った際にも、ブレーザーという名前しか得られなかった謎の存在。
アインズを始めとした異形の存在達に対しても謎は多いが、彼らに関してはまだ言葉が通じる事もあり、それは後日、調査を行えば良い。
だが、問題は、ブレーザーがある意味謎が多すぎる事。
(現状分かっているだけでも、知性や品位などある程度は人間と変わりない事は分かる。だが、言語能力には難があるのか、ほとんど聞き取れない)
「それでは、この問題をブレーザー君に解いて貰おうか」
「ジュワァ」
そう、ターニャが考えている間にも、ブレーザーは立ち上がる。
「ジュワァジュワァ、ジュワァ」
「うむ、正解だーよ」
(ただし、どういう訳か、先生達とあのめぐみんという少女は、その言葉を理解出来ているという事。
未だに正体が分からないが、あそこまで正体が分からないのならば、それはすなわち、奴が存在Xの可能性が高いという事)
そう、ターニャをあの世界へと転生させた未知の存在、存在X。
神と自称する存在に近い事で、ターニャは警戒していた。
「少佐、デグレチャフ少佐。配布物が回って来ました」
「んっ、あぁ」
そんな思考をしている間に、ターニャの部下であるヴィーシャから何かが届く。
「なになに?クラス内の交流を深める為に今週末にかくし芸大会を開こうと思います?何だこれは!?」
そう、思わず驚きの声を出してしまったのは無理はないだろう。
「ならば、直接、問わなければならない。
そして、それならば、纏めて」
同時にターニャが目を向けたのは、アインズだった。
ターニャにとって、彼もまた同じく、存在Xの可能性がある人物。
「話がある」
そう、ターニャは、アインズに話かけた。
(えっ、俺に?)
それに対して、アインズは口を開けて、驚く。
「放課後、学校近くにある公園で。
そこで、ブレーザー君も一緒にしたいが、良いか?」
「ジュワ?ジュワァ」
「大丈夫だ、問題ないと言っているそうです」
「そうか」
(正直に言えば、翻訳するめぐみんも連れて行きたいが、嘘をつく可能性があるからな)
そう、ターニャが考えていると。
「ここで話をしても良いんだぞ」
「いや、3人で話をしたい」
そう、ターニャの言葉に対して、立ち上がった人物がいた。
「アインズ様と…私のアインズ様とぉ!!」
その叫びと共に、立ったのはアルベドであった。
彼女から発するオーラに対して、ブレーザーが警戒する。
「お!落ち着けアルベド」
「いいえ、落ち着くことなど出来ません!アインズ様に色目を使うこの小娘は!」
「いや、普通にブレーザーもいるんだぞ」
「いいえ、関係ありません!あの存在が一緒にいろうと、アインズ様の魅力に比べれば塵に等しい!」
「おい、それは、私に喧嘩を売っているという事ですか!ブレーザーさんの魅力を言ってやりましょうか!」
それと共にアルベドとめぐみんは、そのまま対峙していた。
「・・・今からでも構わないぞ」
「では、行くか」
「じゅわぁ」
それと共にめぐみんを心配するブレーザーに対して。
「もしもの時は私が責任を取ろう」
そのアインズの言葉に対して、ブレーザーは頷くと共に、そのまま向かって行く。