「よくぞ参られた、勇者達よ。」
気が付くと、重々しい雰囲気でいかにも偉そうな初老の男性他ローブを来た人間に囲まれていた
いやここどこ!?私さっきまでゲームしてたのに!?
と、混乱しながら周りを見れば他にも10名ほど同じ状況の人達が居た
………うん、混乱してる人を見ると落ち着くものだね
まぁこの状況を考えると、異世界召喚でいいだろう
あれ、私ってこんなに視線低かったっけ……?
疑問に思い自分の手を見てみると……小さい
服は………うん、めっちゃ見た事ある
いわゆる女の騎士が着てそうな服と言えばいいだろう
それを見たあとは恐る恐る頭を触る
すると普通はありえないものが…そう耳である、ケモ耳である
うん、これはあれだ、ゲームのアバターだ
私の力作のアバターになってしまった……!
「この国は魔族に侵攻され、滅びに瀕している。そこでお主らにこの国を救ってもらいたいのだ、まずはお主らがどのような加護を得たのか鑑定をさせてもらおう。」
私が項垂れていると偉そうな人が勝手に話し始めた
鑑定?プライバシーは?はい、なさそうですね
少しして青い水晶が持ってこられる
「これに手を当ててステータスと言うのだ。」
順番に、私以外がステータスと言っていく
大魔道士、勇者、斥侯、魔法使い、侍、治療師、格闘家、賢者、聖女、マイホームスペース………マイホームスペース!?何それ!?
あ、でも便利そう、多分どこでも家出せるみたいな能力でしょ、めっちゃ便利そう
そしてついに私の番になった
「ステータス」
私の能力は……聖騎士
やっぱりな!ゲームのロールも聖騎士だったからそうだと思ったよ!
一応詳しくれるか確認……出来た
【聖騎士】どんな武器でも扱うことが出来、武器に魔力を纏い攻撃することが可能。亜空間にアイテムを仕舞うことが出来る。1日に1度だけ自分の好きなタイミングで生き返ることができる。
………へ〜、生き返ることが出来るのかー………生き返る!?
「よし、それでは…勇者と賢者、大魔導士はこっちへ来てくれ。後は任せる。」
「は!」
3人が連れ出され、豪華な服を来た女性3人がそれについて行く
……あれ?嫌な予感がするな
「では残った者、お前たちは使えない加護なので国外へ追放とする。衛兵!隣国への国境までお連れしてくれ。」
「はっ、了解しました!」
うわぁ…うわぁ
追放だって、ははは
嘘だろぉぉぉぉ!?
「ああ?いきなり何言ってんだオメーラ!ふざけんじゃねーぞ?コラァ!」
見た目完全にヤンキー……侍に選ばれた学生が突っかかる
「本来なら役に立たない者などこの場で処刑…と言いたいのだが、召喚された者が非業の死を遂げると、今後その地に召喚できなくなるという決まりごとがあってな、隣国への国境を越えたら処刑することにしてるんだ。せいぜい残り少ない時間を楽しんでくれたまえ。」
害悪だな!?この国!
他が簡単に死ぬと思って貰ったら困るな!抵抗するからな!剣で!
ゲームで私は亜空間に武器を閉まっている、もしそれも受け継いだなら私の愛剣があるはずだ
最悪全員を守りきれないならみんなを逃がして私が死のう
「よしお前ら俺についてこい。俺のハーレム要員になれば国境を越えた時に守ってやるぜ!俺はサムライだからよ!ああ、マイホームだかの使えそうにないおっさんは来るなよ。わかったな!」
うん、やめたやめた
あんな奴に命を使うとかもったいなすぎて泣けてくるわ
「私はこの人と行く。ハーレム?馬鹿じゃないの?」
あ、聖女に選ばれた学生がマイホームスペースの社会人かな?その男性の方に行くようだ
うん、私もそっちへ行きたいかな
「私もハーレム要員とかごめんだわ。」
次に格闘家の子…そして2人も持ってかれたと顔が赤くなっているヤンキーは私の方へ顔を向けた
「済まないが私もハーレムは御免だ、こちらへとつかせてもらう。」
心の声と喋った時の言い回しが違う?ロールプレイ癖が治らないんだよ!気にするな!
「俺は1人がいいんだけど?それが一番生存率が高そうだしね」
「ヤダ、一緒に行く。お願い」
聖女、貴方は魔生の女か?
男性の腕にしがみついてるが
そんな時、1人の兵士が袋を持ってこちらへ投げて寄こした
「その袋には国境を越えるまでの15日分の非常食が人数分入っている、くれてやるから大事に食え。それじゃこっちに来い、馬車に乗ってすぐに出発だ」
食料……絶対足りないでしょ
するとヤンキーがサッと袋を持っていった
「ハハハこれは俺が頂くぜ?俺についてくれば飯が配られるがどうすんだ?ああ?」
「全然構わない、好きにすれば?同じ事をされる覚悟があるんだろうから」
なんかこの聖女口悪くないかな?気のせいかな?気のせいだといいな、ははは
槍を持った兵士に囲まれながら移動してくと、荷馬車が4台止まっていた
「お前達はこの2台の馬車に分乗しろ。これから国境を越えるまでのおよそ15日間、大人しくしていろよ。逃げようとしても無駄だからな!」
えー、これ2台にとかつめつめになるじゃないですかやだー、いや別に慣れてるけども
ゲームの時とか密閉空間に50人ぐらいつめつめになるなんてよくあったから
ちなみにその時どさくさに紛れて私の胸を触った野郎がいたから滅多刺しにしてやった
男性が乗った方へ私も乗り込み、席に座った
少しして荷馬車は進み始めた
うわ、なにこれ乗り心地わっる
ケンタウロスが引いてるかってぐらいがたがたする
「ねぇおじさん、国境を越えたら私達を殺すって言われたけど…何か対応策を考えてる?」
おじさんて、いやまぁ確かに高校生から見たらおじさんなのだろうけれども、失礼では?
「まぁ対応策っていうか、国境に着くまでの15日間でいかに自分の加護?の力を使いこなせるかどうかって思ってるけど。とりあえず魔力ってのをうまく使えるように訓練しようと思ってるよ」
おお、おじさんと言われても動揺しないところ社会人ってことがよく伝わる
少しまゆがピクってしてたけども
「なるほど、確かに兵士の人は『召喚された者は身体能力と魔力は常人より強い』って言ってたもんね」
「どこまで本当かわからんけどな、それと向こうの馬車に乗ってる4人は助ける気は無いからな。理由はわかると思うけど」
「うん、私もそれには賛成。ハーレム要員だの与えられた食料をネタに恫喝だのありえないし、それについて行った人も同罪だと思う」
「まぁね、あれだけやらかして助けてなんて言われても困るわ。それに侍だっけ?馬車の移動中に訓練できると思わないから戦力にならないと思うしな」
「それは…武闘家の職に就いた私も役に立たないって事かしら?」
ここまで私無言、というか喋る隙がない
悲しいかな、向こうではコミュ障……ではなかったな、うん
「ん?それはやる気次第じゃないの?あのヤンキー君が真面目に訓練するタイプじゃないと思ったからの発言なんだけどな」
「……」
「…プルプル(あまりのネーミングに笑いが堪えられない私)」
ヤンキー君、ねぇ
そのまま、そのままじゃないか!
「ヤンキー君、ね…くく、まぁ彼にはそれで妥当だろう…くく」
「ヤンキー君って…まぁ名前も知らないし妥当かもしれないけど」
「でしょ?アイツはヤンキー君でいいよ、名前も聞く気ないし」
うん、ほんとにそう思う
「私美鈴。鈴木美鈴っていうの。おじさんの名前も教えて?」
「俺か?俺は来栖大樹ってんだ、ま、覚えなくてもいいよ」
「イヤ、もう覚えたから大丈夫」
「あ、あの、私は霧本霞よ…少なくともあなたたちとゴタゴタする気は無いわ」
「あーはい。どうも」
3人が名前を述べると私に顔がむく
「私か?私の名前はマリア・アルトローゼだ、マリアと呼んでくれ」
この名前はゲームでの名前だ、本名も真里亞だが
「えーと…貴方は日本人…じゃない?」
……にほん?
500年くらい前の名前じゃないか?
あ、わかったこれパラレルワールドだ
うん、ここは知らないってことにしておこう
「にほん?済まないが私はその国を知らないな、私は既に滅んだ国の騎士だから所属は無い」
ちなみにこれは本当
ゲーム開始時に自分の経歴をランダムで決めるんだけど、その時に選ばれたのが亡国の聖騎士だった
「そうだったんですか……」
「すみません、それと貴方の……」
3人の視線が私の頭上へ行く
あ、この耳か
「ふむ、やはりヒューマンにはこの耳は珍しいか」
私の種族は狐族、それも高位の
自分の戦闘力に比例して尻尾を出せるんだけれど、服に合わないからあえて消している
魔力は消費するけれど、邪魔だし
微妙な空気になった中男性が話を変えた
「さて、俺は死にたくないし、あの甲冑どもを返り討ちできるよう魔力の訓練でもするわ。俺の加護は魔力依存みたいだからな」
「ん、確かに今まで感じることの無かった何かが体にある、多分これが魔力だと思うけど…どうすれば訓練になる?」
「そう言われてもなー、ラノベとかで良く見る…循環させるとか、指先とかに集めるとか、まぁ色々試してみないとわからないよな」
小さな声でラノベとか見るんだ、って聞こえた気がする
「そういえばさ、さっきのステータス?水晶とか関係なく自分で見れるのは気づいてる?」
「え?あ、ホントだ」
「多分だけど、ステータスは本来自分のしか見れない物で水晶を通すことで他者のが見れるようになる…とかじゃないかな」
「うーん、それはありえそう」
うんうんと頷く美鈴
「それと、加護なのか職業なのかいまいち不明だけど、その部分をじっくり見てると詳細が見えてきたんだよね。そっちはどう?ああ、内容は言わなくていいよ、個人の切り札になるだろうからね」
「うん、詳細が見えた…なるほどなるほど」
「これなら鍛える方向が解っていいわね」
え、鍛える方向性まで見れたの?私生き返る以外これといった……いや、もうできてるからいいのか
「えっと、マリアさん?でいいですよね?」
「ああ」
「魔力の扱い方…とか分かりますか?」
「そうだな…この世界と私がいた世界で魔力の扱い方が同じかは分からないが…私がいたところでは血液の流れを意識するように、魔力を知覚して、あとはそれを上手く操れるように練習、だったな」
これは地味に大変だった、ゲームなのに全部覚えないといけないんだから
「私はね、この訳の分からない召喚とかされた挙句に従うなんて絶対に無理。しかも無能だの不要だの言われて殺すとか…この世界がもう嫌いになった」
美鈴が機嫌の悪そうな声で話し出した、まぁそこんところは同意しかないね
「こんな事で殺されるなんてとてもじゃないけど許容できないし死にたくない。聖女の力だときっと生き残る事は難しいと自分で思ってる、だから…私に出来る事なら何でもするから!私を助けてほしい」
「はぁ…何でもするとか簡単に言うもんじゃないと思うし、今の時点じゃ信用もへったくれもないってのは分かってると思うから今は返事しないよ。俺の事だってどんな奴なのかわかんないでしょ? なんでもするんだろ?ってアンタの事をいいように弄ぶ奴かもしれないし、今ここで判断しなくていいと思うよ」
うん、この男性はいい人だね!それと警戒心も高い
何でもすると言うところを注意したりそれとなく突き放したりするところとか
「むー、私は人を見る目はある方だよ?嫌な奴はちゃんとわかるしね。おじさんは嫌な感じしない」
「これから殺すって宣言されてて、それをどうにかしようって思ったら信用できない奴と組めないでしょ?現状俺にとって向こうの馬車の4人はダメな感じで考えてる」
「そこは同意。でもおじさんの言いたい事はわかった。打算もあるし、自分勝手な言い分だと理解してるけど…魔力の訓練して、聖女の力をつかえるようにして私の必要性を理解してもらう。国境までの間、じっくり口説くからそのつもりでよろしく」
「お手柔らかにお願いします」
わーお積極的…
私は私で周りの警戒をしておこう
「ねぇおじさん、おじさんのマイホームベースだっけ?なんとなく能力の想像がつくんだけど、すっごく期待してるからね?その名の通りだとすると…きっと家とかを呼び出すんでしょ?こんな馬車じゃ満足に寝れないだろうし、国境を越えて逃げた後もすごく重宝すると思うんだ。あんな刀を持たない侍なんかよりよほど有用だと思うんだけどね、あの王様も他の人も見る目が無いよね」
「それを言うなら聖女を無能呼ばわりする方がアホすぎるよな」
「聖騎士もそうでしょう?」
「…そうか?私としては聖女の方が重宝すると思うのだが…私のいた国では聖女は信仰の対象でもあったからな」
主に、プレイヤーの信仰の対象だが
聖女もプレイヤーで、私と同じ国出身の命からがら生き残ることが出来た亡国の聖女という肩書きだった
と、言うのは表向きで本当は聖女の遺言を聞いて聖女に化けているスライムだ
私もこれを知ってしまった時は驚いた、あまりにも聖女ロールプレイが完璧だったから
その時の彼女の慌てようは凄まじかった、そのことを秘密にするためにフレンドになることが出来たが
……だけど、彼女といる時はなんだかんだで楽しかった、また会いたいな
「その点武闘家はいいよな、手足が武器になるんだから」
大樹が話を霞に振る
「急に武闘家と言われても、はっきり言って困ってしまうわ」
「まぁそうだろうな、俺も自衛の手段を考えないとな…女の子に張り倒されて殺されるなんてないように」
「……」
うーん、大人気ない気もするが妥当か?
数時間後、あたりは暗くなり荷馬車が止まった
「今日はここで野営をする、逃げようなんて考えるなよ」
わーお、思いっきり牽制してきた
そして大樹は能力の検証をするようだ
美鈴もそれに追従
なら私は兵士が来てもいいように警戒をしておこうかな
あ、そうだ…ついでに亜空間から愛剣を取り出せるか調べないと
私は何も無いところに魔力を纏わせた手を思いっきり振るい、空間を開く
「亜空間の仕様は同じと……次だ」
そこへ手を突っ込み、愛剣をイメージする
すると手に何かが当たる感覚があり、それを掴む
掴んだそれを引っ張って出てきたのは聖剣アルテミス
良かった、私の愛剣が使えるようで
私はそれをいつでも抜けるように腰に装備した
こうして召喚1日目が終わった
( ・∇・)