三代目総大将も来るそうですよ?   作:冷龍

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お久しぶりです。

今回は短めです。
最初は暗転→ガルド戦だったのを急遽変更してこの話を入れることになりました。(下書きなんてなかったんや・・・)


正体不明とぬらりひょん

───その場に奴良リクオが現れたのは偶然だった。

 

 

"ノーネーム"の屋敷に帰ってきた後、自身の部屋を教えてもらい仮眠をとることにしたリクオは、箱庭にやってきてからのドタバタによる精神的な疲れもあり、すぐに眠ってしまった。

リクオには昼と夜、つまり人としての自分と妖怪(ぬらりひょん)としての自分が存在する。

夜明けや片方の面の消耗によっては混ざり合うことがあるほど近しい性質を持った二つの自分は、しかし、独立した二重人格の様でもある。

だからこそ、人間(リクオ)が眠ると同時に妖怪(リクオ)が目を覚まし、今まで行動できなかった分"ノーネーム"の屋敷内を何の当てなく散策することもありえる。

実際、元の世界でも夜な夜な『散歩』と称してぶらつくの日課であった。

そうして歩いていたリクオは偶々屋敷の外へ向かう十六夜を見かけすぐに声をかける・・・・・・なんてことはせずに、気付かれないように後をつけていった。

声をかけなかった理由は、本質的に自分という存在は誰かを驚かせたりすることがそこまで嫌いではないということ。

そして、もう一つは見かけたのが逆廻十六夜だったからである。

昼の自分が感じたように、夜のリクオもまた逆廻十六夜を好ましく感じていた。

好ましく感じているからこそ、十六夜との間の壁を認識していた。

 

(十六夜は馬鹿じゃない。そして、少なくともジン達"ノーネーム"っていうコミュニティを嫌ってもいねぇ。・・・だが、まだ足りないだろうな)

 

飛鳥や耀そしてリクオ自身は"ノーネーム"として活動することを決めている。

しかし、十六夜はまだ完全に決めていないようにリクオには感じられた。

十六夜は自由奔放で自分で言ったように快楽主義者だ。

故に、元最強の没落コミュニティがかつての仲間を取り戻すために強大な魔王に挑むというシュチュエーションに浪漫を感じない訳がない。

だが、同時に十六夜はどこか一歩引いた部分で冷静に物事を判断している節がある。

十六夜の行動とジンの対応によっては『もしかして』が存在している。

リクオとしては一緒に召喚された仲間として共に居たいと思うが、別の立場でいるというのも悪くはないと思っていた。

 

(まぁ、何はともあれあれだけ行動力抜群の男ならすぐに決めるだろう。・・・さて、あれだけ騒がしいのが好きな奴がこっそり出ていく・・・。意味のないことは表立って、意味のあることはこっそりと、ってとこかね)

 

十六夜が立ち止まったのを見て畏れの発動たる鬼發(はつ)を行う。

妖怪ぬらりひょんの鬼發"明鏡止水"、それはぬらりひょんの能力である「そこにいるのにいないように感じる」、視認されないようになることだ。

十六夜に近づいていきながら、懐から祖父から()()()持ち歩くようになった小奇麗なキセルを意味もなく構える。

こういったちょっとした演出は妖怪としての本能なのか、魅せて畏れさせるように自然と体が動く。(威圧のし合いである妖怪同士の戦いでは困ることもなく、むしろ助けになっている)

ある程度近づいたところで十六夜はこちらに気が付き振り返った。

まだ距離があるにも拘らずこちらに気が付く辺り十六夜の規格外差がよくわかる。

鬼發を解除して話してみれば、予想以上に面白いと感じた。

 

(まさか初見で奴良リクオだと気付くとは思わなかったな・・・。ユラはともかく優秀な陰陽師レベルの勘の良さっていうのは、なかなか。ますます組に欲しくなっちまったがこれは子分って柄じゃねーな)

 

できれば五分と五分の盃を交わしたいところだが・・・と何気なく十六夜の方を見ていると先の林から、おそらく十六夜がここに来た理由であろうモノ達の気配を見つけた。

数はそれなりだが、感じられる力はあのガルドよりも小さい。

今のこのタイミングで"ノーネーム"を襲う相手となると限られる、というかほぼ確実にガルドのコミュニティだろう。

そこまで思考し、後ろの連中にも聞こえるように声を大きくする。

 

「本当はもう少しゆっくり話したいわけだが、どうする十六夜?手伝った方がいいか?」

 

「あん?あ~、別にいらねぇよ。お前の力を見たいって気持ちも確かにあるが、明日のゲームに出るんだろう?」

 

「あぁ。けど、サウザウンドアイズで話した通り『俺』が出るかわかんないぜ?」

 

4分の1の血。

故に、夜か闇の中でしか妖怪の姿にはなれない。

その話を思い出しながら十六夜は間を開けずに答えた。

 

お前()お前()も奴良リクオなんだろ?なら間違ってないぜ。俺は『奴良リクオ』の力が見たいって言ったんだからな」

 

「・・・っは」

 

その答えにさすがのリクオも面食らったように言葉に詰まった。

ゆっくりと余裕をもって林の中に隠れた存在に近づいていく十六夜を見送り先ほどいわれた言葉を思い出す。

確かにどちらも奴良リクオではあるが他人から言われるというのはなかなか無い経験だ。

リクオは会ってそれほど経っていないにもかかわらずそう言える十六夜に素直に感心し、少しうれしく思った。

 

 

 

 

 

十六夜がわかりやすく力を揮い隠れていた存在・・・(予想通り"フォレス・ガロ"の使いであったらしい)獣の特徴を持った男たちがボロボロになりながら姿を現したところで、屋敷の方からジン・ラッセルが大慌てで走ってきた。

 

「い、いったい何があったんですか!?十六夜さん・・・と、え?」

 

ジンは息を切らせながらまるで隕石でも落ちたようにえぐれた地面と十六夜、そして膝をついた男たちの姿を見て何らかの戦闘行為があったと推測した。

そうしてその理由を十六夜に尋ねようとしたところで十六夜の隣に立つもう一人の青年に気がついた。

 

「・・・あ」

 

妖艶でどこか引き寄せられるような魅力をもったその青年にジンは目を奪われた。

呆然とした様子のジンを尻目に、リクオは「これが正しい反応だよな」と一人納得する。

放って置くといつもでも固まっていそうなジンを見て、十六夜が真面目な顔をして離しかけた。

 

「おいおいジン坊ちゃん、そりゃーないんじゃねーか!ここにいるのはお前が呼び出した相手だってのによー。なー、リクオ?」

 

「え、えぇー!!」

 

「っく・・・十六夜、お前わかっててやってるだろ」

 

「やははは」

 

ジンは正体不明の青年と十六夜のやり取りを見て、十六夜の言った『リクオ』が『良奴リクオ』のことであるとようやく理解した。

別に姿が代わることには驚くことはない。

箱庭にも姿を変え、力を解放するタイプの存在はいる。

しかし、それらの変化の大多数はそこまで内面的な変化はしない。(変化することで狂暴化する種は大きな内面的な変化をしていると言える)

今のリクオの言葉遣いや雰囲気は人間であったときと違い、まさしく『闘う者』そのものであったためリクオのイメージとのギャップにただただ驚いていた。

 

「本当に、リクオさん・・・なんですか?」

 

「あぁ、驚かせちまって悪いなジン。こんなときになんだが、これから頼むぜ」

 

「は、はい」

 

ジンは未だに驚きを引きずっていたが、それでもそう言葉を返した。

そんな混乱の中にいるジンから目を離し、十六夜は襲撃者達に『予想した答え』を確認するように質問する。

 

「で、お前らは明日のガルドのギフトゲームのために俺らにちょっかいを出しに来た、兼昼のことが本当かどうか確かめに来た・・・ってところか?」

 

「?襲撃は分かりますけど、『確める』ですか?」

 

「昼ってーと、・・・なるほどな」

 

明日ギフトゲームをする原因となったとも言えるガルドとのやり取り。

ガルドという男は、人格はともかくこの外門一帯で力を付けそれなりに影響力を持っている。

あの様子なら横暴なりで悪い意味でも有名だっただろう。

そんな男が白昼堂々揉めれば人々の注目を浴びるのは当然だ。

そして、ガルド自身が語った内容。

あの告白を直接聞いた、もしくはあの場にいた人から聞いたとすれば、被害者にして加害者であるこの男達は堪ったものではない。

当事者であるノーネームに、事実かどうか確かめようとする気持ちもわからないではない。

ジンが代表して真実を伝えると、始め呆然としていた男達は次々に膝を折った。

 

「じゃ、じゃあ!!ガルドの話は本当なのか?」

 

「俺達の仲間は・・・!」

 

「俺達のやってきたことは、・・・何だったんだ!?」

 

「・・・」

 

ジンは、男達の言葉から強い怒りと悲しみ、そして後悔を感じた。

魔王によってコミュニティを壊されたからこそ、彼らの胸の内が痛いほどわかったのだ。

感じる怒りは仲間を奪った相手(ガルド)への怒りと、仲間を守ることができなかった自分自身の無力さへの怒り。

悲しみは失った仲間達への追悼と謝罪。

彼らの失った者は決して戻ってこない。

ジンは、只々、掛ける言葉もなく立ち尽くした。

十六夜とリクオも黙って男達の思いを聞き続けた。

しかし、不意に十六夜が一歩近づいた。

 

「で、お前らはどうしたい?」

 

「俺達は、俺達だって・・・!できることならガルドの奴にこの爪と牙を突き立ててやりたいッ!!けど、腐っても奴は俺達みたいな中途半端じゃない格上のギフトを持った存在だ・・・。命を懸けたとしてもガルドには遠く及ばない。」

 

「それに旗は奪われているが俺達にはコミュニティがある。一度弓引けば終わりだ。下手すれば、魔王に目を付けられて死ぬことよりも恐ろしい目に残った仲間を合わせることになるかもしれない・・・」

 

それだけはできない、と男達は唇を噛み締めた。

そりゃそうだろうな、とリクオは呟いた。

男達が失ったのは次世代を担っていくはずだった子供達だ。

コミュニティ()にとって何よりも大切なのは途切れることなく続いていくこと。

全員ということはないだろうが、この様子ではかなり多くの子供を失ったようだ。

 

(俺が3代目を継げたのも親父が、そしてじじいが組と俺を守ってきてくれたからだしな・・・。)

 

老いた者に任され、次の世代が継ぐ。

それこそが、理想的な在り方だ。

それができなくなった時は、終わりか、新しいコミュニティに変わるかしかない。

残された仲間を今度こそ守るためにも、この男達が闘うことはできないだろう。

 

「なるほどな。・・・そういえば、お前らは俺たちノーネームが魔王に旗と仲間を奪われたのは知ってるか?」

 

「え?あ、あぁ、知っている。旧ノーネームはまさしく人種が作り上げた最強コミュニティだった。おそらく、ここらいったいを含めて、箱庭で知らない奴はほとんどいないんじゃないか・・・?」

 

「ふぅーん。なら下地は十分って感じだな」

 

「十六夜さん?」

 

話の方向が見えず、何やら怪しい雰囲気を感じたジンはつい十六夜に声をかけた。

リクオは十六夜がジンに顔を向けた一瞬、確かに見た。

口元は凶悪な曲線を描き、その眼には強い光・・・

 

(たくっ・・・。なんて顔してやがるんだコイツ。いかにもこれから何かするって笑顔()しやがって)

 

リクオはその笑顔を見て、未だに疑問符を浮かべているジンが少し同情した。

十六夜のすることだ、悪いことにはならないだろう。

立ち回りによっては、大きく今を改善することに繋がるはずだ。

しかし、楽な道ではないことだけは確実だ。

 

 

 

「俺達ジン=ラッセル率いるノーネームは奪われたモノを取り戻す!って訳で『魔王退治』が目的のノーネームは悪行を重ねる魔王配下のガルド及びコミュニティを叩き潰す!」

 

 

「は、はい?」

 

「オイオイ、わかんねぇのか?『お前らの気持ちはよくわかった!このジン=ラッセルとその仲間たちは明日のゲームでガルドを倒して、ついでに旗も取り戻してやる!』って言ってるんだぜ?」

 

「え、十六夜さん!?」

 

「お、おおおおおー!!!!」

 

ジンの驚愕の声が、男達の喜びの歓声に掻き消される。

ジンはどうにか十六夜を止めようとしているが、リクオとしては十六夜の提案はなかなか魅力的だった。

『生活基盤を支える』なんていう()()()()のことではない、明確な目標があることは組織全体にとってもいいことだからだ。

今までのノーネームなら段階的に進めていくことが最善の方法と言えたが、新たな仲間が増えた今、コミュニティの方針を決めるうえでの転換期を迎えている。

今まで通り堅実に進めていき何年かかろうと実現するか、力を最大限に使いリスクを背負って最短距離を走るかだ。

没落したコミュニティが新たな光と伴って打倒魔王を掲げる。

箱庭の情報伝達速度がどれほどかわからないが、いずれは実際に魔王と戦えるコミュニティの耳にも届くだろう。

同時に、魔王もしくは魔王の庇護下の存在に苦しんでいるコミュニティと戦い実力を示せばさらなる宣伝にもなる。

最終目標が旧ノーネームに勝った魔王を倒すことなら、ノーネームの戦力を上げるよりも、名を上げて確かな実力ある協力者を得ていく方が早い。

リクオの脳裏に浮かぶのは『安倍晴明』を倒すために、四国、九州…それこそ日本全土から集まった百鬼夜行とそられを纏める頭が一同に介したあの景色だ。

どんなに強い相手であろうとも、負けることないと思えた。

その箱庭版だと考えれば、最強コミュニティたる旧ノーネームを越えた彼の超魔王を倒せる一団が集まるに違いない。

 

(問題はやっぱり旗印か・・・。十六夜の言い様から見て、リーダーであるジン個人を旗印にする気っぽいな。頭が矢面に立つっての悪くはない、が・・・。今考えれば内の『畏れ』の代門とか、旗の役目も果たしてたのかねぇ。)

 

この箱庭では旗無しや名無しは信用されにくい。

集団同士の関わりも出てくることを思えば、何か旗印の様なモノが必要だ。

先ほどから微妙に『ジン=ラッセルのコミュニティ』であることを強調していることから、十六夜がジンをノーネームの象徴にする気であることを確信した。

リクオがそこまで考えていると、いつの間にか十六夜の所まで行っていたジンがハッとした様子でいくつか十六夜と言葉を交わし、抗議の声を止めた。

おそらく、ジンも十六夜の考えに気付いたのだろう。

 

「僕の名前でコミュニティの存在をアピールする・・・確かに有効な手段です」

 

「ああ、そして手っ取り早く名前を広める手段は『他の奴がやらないようなことをやれ』だ。何千何万とコミュニティがある中でそれだけのインパクトがある目的ってやつを考えるとそんくらいしか思い浮かばなくてな」

 

「魔王を・・・倒す、ですか」

 

「なるほど、そんなこと考えてたんだな。じゃ、明日のゲームは十六夜にとっても渡りに船ってやつか。目的掲げたところで、事実がともわなけりゃ信じられねぇだろうしな」

 

「まぁな。今回(ガルド)のことがなけりゃ黒ウサギのやつにここら辺にいる魔王の場所を聞いてたとこだぜ。何をするとは言わないが」

 

「・・・ガルドとゲームをすることになってよかったと思えるとは思いませんでした」

 

十六夜は笑っているが、少しは本気だったに違いない。

ジンには場所を聞いた十六夜が黒ウサギさえ振り切って殴り込みをかけていく様子がありありと想像できた。

魔王配下のコミュニティと魔王本人との対決、どちらがマシかと聞かれれば箱庭の一般的な住人なら間違いなく前者を選ぶだろう。

リクオとしても悪事を働くのが魔王だというのなら、戦うことに異論はない。

しかし、今までの十六夜の言動を聞いていると自分以外の者への認識に対して、胸にスッキリしない思いがあった。

 

「だがよ、それは十六夜自身ジンのコミュニティでいるって決めたってことか?」

 

「・・・へぇー、どうしてそう思うんだ?」

 

「さっきの話の分かり切ったデメリットってやつだ。魔王と戦うことを肯定するコミュニティが現れて、魔王が黙ってるわけがねぇ。活躍すればするほど俺らは狙われる。俺達が知っている魔王は元である()()()だけだが、それを基準に言わせてもらう。もし、耀や飛鳥が成長する前に白夜叉レベルの魔王と戦うことになりゃこのコミュニティが生き残れる可能性は低い。魔王と戦うことになるならお前は絶対に必要だ。・・・だが十六夜、お前はまだここでいるか決めてねーだろ。」

 

「百鬼夜行の総大将が小せぇーこというなよ。そこは、『俺一人で十分だ』ぐらい言ってほしいもんだぜ。だいたい、俺だって無責任に放り出すつもりはねぇよ。・・・・・・御チビ様しだいだがなー」

 

「なるほどな。ならまぁ・・・、ジンに頑張ってもらうか」

 

「え、えぇえええ!!」

 

リクオと十六夜のやり取りオロオロしながらも耳を傾けていたジンは、その矛先が自分に向いた瞬間、ついに声を上げてしまった。

そもそも、十六夜がノーネームに入らないかもしれないという話自体初耳だった。

リクオは十六夜が今後のノーネームに必要だと考えていたが、まだまだリーダーとして足りない部分が多いジンの下につくことを十六夜自身がどうしても許容できないというなら抜けることにも反対はしない。(例えコミュニティを抜けたとしても、魔王との戦いともなれば協力はするだろう。むしろ、来るなといっても来るに違いない)

そして、さっきの言葉の中にはノーネームに残るための条件も言っていた。

 

「で、ジンはどうすりゃいいんだ?」

 

「ヤハハハ、やっぱりわかってんじゃねーか。ま、さっきも言おうと思ってたんだが・・・・・・御チビ」

 

「は、はい!」

 

「明日のゲーム、勝て」

 

「──!」

 

ジンはまた声が出そうになるのを抑え、十六夜の目をまっすぐに見つめた。

当然、勝つつもりでいた。

十六夜の作戦の最初の一歩でもある今回のギフトゲームが余計に負けられないモノになったというだけだ。

負けるようなことがあれば、ガルドの性格からいって無事では済まないだろう。

いくら強力なギフトを持つ飛鳥や耀の協力があるといっても”もしも”があること決して忘れてはいけない。

ジンは有利な状況に油断していた心を引き締め改めて十六夜に向き直った。

 

「・・・僕は勝ちます。僕にできることは少ないかもしれませんけど、勝つことを絶対に諦めません。ですから・・・、明日のゲームに勝ったらノーネームのために一緒に戦ってください!」

 

「っへ。」

 

覚悟のこもった言葉だった。

力のないただの子供といった印象だったジンが一回り大きく見えるほど。

これから楽しそうになりそうだと思いながら、十六夜は目の前にいる精一杯の背伸びをしたリーダーの頭を滅茶苦茶に撫でまわした。

 

「ちょ、十六夜さん!?」

 

「明日は気張れよジン。なんていってもこの最強戦力になる予定の俺がノーネームに入るかどうかを決めるんだからなー」

 

「それは分かりましたからっ!手をどけてくださいー!」

 

楽しそうなやり取りを見ていたリクオは一人、明日のゲームへの思いを強くする。

もともと自分も原因の一人であったが、改めて逆廻十六夜と共にこの世界でやっていきたいと思った。

 

「悪いなガルド。明日のゲーム、万に一つもオメェが勝てる可能性はなくなったぜ。」

 

ジンは微妙なところだが、まず間違いなく自分以外の3人は戦い慣れているとは言えないだろう。

もし、リクオがいなければ一瞬の気の緩みから怪我をするぐらいは十分考えられた。

だが、今回のゲームそんなことは起こりえない。

 

(ゲームの時間的に『()』が出ることは難しいだろうが絶対に俺が3人を守る。)

 

荒事に慣れている分最大限のサポートをする。

奴良リクオはそう決意した。

 

 

 

興奮冷めやらぬ様子の男達が帰った頃、ようやくジン達は自室に戻っていった。

十六夜はベッドに横になってすぐ眠り、ジンはゲームのことやこれからのことを考え、リクオはこの世界でも東から太陽が昇るという当たり前のことを確認していた。

そして・・・

箱庭での最初の夜が明ける。

 




間が空きすぎて、いろいろとやばいです。

こうして書いてるとリクオ(夜)と十六夜の語りがごっちゃになりそう・・・。
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