ONE PIECE 自由への革命   作:にゃあこ

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はじめまして。にゃあこと申します。
ハーメルンでワンピースのSSを読むうちに私も書きたいなぁなんて考えて、書いてみました。
学校があるので更新頻度は遅いかもしれませんが、頑張りたいと思います。


1話 大海賊時代

後の世に、悪魔の島と呼ばれる島がある。

この世に於ける不思議と厄災を煮詰めた海域と言える海、海賊の墓場と異名が付く魔の海域、偉大なる航路(グランドライン)。そしてその海域を四方に挟む4つの大洋。その中の一つ、西の海(ウエストブルー)に、一つの島があった。

『あった』との表現は正に的を射た表現と言えるかもしれない。

事実、今日において地図上に存在しない島である。無論、悪魔に滅ぼされた。という神話に彩られたような物語があるわけではない。しかし、この島は滅ぼされることによってその歴史を終息させた。

『悪魔の島』、異様な響きである。特段、この島に悪魔が存在したという事実は無い。この島の特質を一つ挙げるとすれば、海上からも見える巨大な『樹』であろう。特に、いわくのあるものでは無い。が、この『樹』には『知識』があった。

この島の名前は『オハラ』。元は高名な学者達の集う島であり、島を代表する樹は『全知の樹』と呼ばれ、樹をくり抜いて造られた内部には世界中から集められた資料があり、正に世界中の知の結晶、世界の脳とも呼ぶべき島であった。

そんな島が、滅んだ。世間から『悪魔』との誹りを受けて。

『好奇心は猫をも殺す』。人の世が幾時代かが過ぎたとしても決して変わらぬ事象がある。

それは、知り過ぎた者はやがて破滅の運命を辿るという概念に他ならない。特に、時の政権の命脈に関わる事象に知ってか知らずか踏み込んでしまえば、もう後戻りは出来ない。

まして、単なる訳知り者であれば、そもそも踏み込む事はないのだ。しかし、オハラの学者という連中は、そうではない。彼等には志があった。夢、野望、志、人間の持つ精神の中でも最も高潔な要素と言ってもいい。だがおそらくは、少なくとも人間が最低限の生命活動を維持していく中ではその3要素は必須な要素という訳では無いであろう。この世にある自然、目の前にある現実と比べれば、酷く抽象的、または観念的であり、虚構であると言える。それでも人間はこの精神をその肉体から捨て去る事は出来ない。現実から少し離れた次元に位置する志とは、正に地面から離れなければ咲くことの出来ない花であろう。人間の精神は現実からしばし離れ、花を咲かせるように顕現した志は、花がそうであるように香りがある。

精神について話が飛躍したため、しばし戻したい。

ともかくも、オハラの学者達のその志、或いは一種の正義であるかもしれないが、それがために彼等は道を突き進み、その探求の旅はやがて禁忌に触れ、『世界』の定めた法を犯すに至り、当然の帰結として、『世界』の意思により破滅した。

歴史上に於ける一個の人類文明の終焉としては実に悲劇的で、そして壮観とすら言えるものであった。

その悲劇の舞台となるオハラには、その滅亡の後も生き残った人間がいる。

生き残った人物は『2人』。一人は『悪魔の子』と呼ばれ、不条理にも世間から目の敵とされ、齢8つにして命を狙われる人生を送る事となる。そしてもう一人、奇跡としか言い様もないが、崩壊するオハラからその身を脱した者がいた。

 

 

はるか未来に語り継がれる伝説はーはるか昔に幕を開けたる物語

 

 

現在、誰もが知る伝説、物語の冒頭の一節である。

なんと美しく、勇壮、雄大な一文であることか。かの偉大なる海賊の冒険譚。後世、数多の人間により敬慕、崇拝され、空前絶後の偉人と謳われたあの『立派な海賊』。

 

この物語は、かの海賊の伝説の端に語られる謂わば外伝に過ぎぬ。とある革命家の端くれの半生についてしばしば記述し、少しばかりの時間を使い、賢明なる読者諸兄の束の間の憩いに成らんことを祈り、ペンを取った次第である。

 

さて、先に触れたオハラの生き残り、この男について語るためにも、やはり上記の海賊、『モンキー・D・ルフィ』の生きた『時代』というものに触れざるを得ないであろう。

 

『麦わらのルフィ』。

 

歴史に名を残す人物の中で、彼程男の魅力というものに富んだ人物もいないと思うのだが、どうだろう。

この底抜けに明るく、勘の良い、敢えて言えば行く道を照らす『タイヨウ』の様な一人の英雄について、筆者は書きたかった。以前、彼を主役として物語を書くため、彼を理解することを目標としていたし、今でもそう思っている。

しかし、あの方に近づけば近づくほど、その実状は朧気に霞み、遺るものは栄誉に包まれた彼の航路の跡しかない。

麦わらのルフィは『大海賊時代』の奇跡と呼ばれる。彼のみが、型破りであった。かの時代、大洋に幾万の旗を立てた海賊達の中で、一人も類例を見ない。『白ひげ』『赤髪』といった大人物ですら、幾万の類例から逸脱していない。つまり、大海賊時代というものはそういう時代である。

時代の波というものは恐ろしいものがある。それまでの常識を一変させ、人間の価値観そのものをそれ以前、以後で完全に隔ててしまう。

大海賊時代以前、以後とはそれだけ、世界規模で人間の精神を変えてしまった。火付け人は、ーーー正確に書くべきであろうーーー海賊王、『ゴール・D・ロジャー』。彼の死に際に放った一言である。

時勢に乗った男には敵わない。この、この世で最も偉大な男の発した言葉は、全世界の男達を海へ誘った。大地に縛られた人間に、『自由』を齎した。

誤解を恐れずに言うならば、これは革命であろう。それまでの常識を引き剥がし、新たな常識を民に与える、新たな意味を作り出してしまう。これは国家の政権を転覆させ、新政権を樹立するなどといった、俗で手垢の付いた仕事とは一線を画す、人類の次元を引き上げた奇跡であったと言える。

革命とは、遠い未来はいざ知らず、近々の差し当たっての勘定からいえば失うものの方が大きい。これもまた、例外ではない。

数多の海賊による暴力、略奪、殺戮。市井の民は弱くか細いものである。この弱肉強食の時代では不幸を被るばかりであったし、大海賊時代の海賊という者は力をつけて奪う側に回る事こそが正義だと考えていた。必然、海を取り締まる海軍の必要性は時代を下るに連れて増していった。この氾濫した海賊達の暴力は、ともすれば『世界政府』という絶対的な権威へのささやかな反抗であったのかもしれない。今となっては分からない。旧時代の本格の海賊から見れば鼻で笑われるような所業である。この児戯にも等しい海賊達の時代は当然好もしい時代であるとは言えない。しかし、ロジャーの望んだ時代は、この残忍で、粗暴で、悲惨な前段階を経ずして到る事は出来なかったにちがいない。

この様に、大海賊時代とは激動であった。それは、何百年も絶対的な権威と正義の名のもとに、世界170ヶ国以上が加盟し、その支配を絶対のものとした世界政府からしてみれば恐怖でしかなかった。今まで安穏と権威の椅子に座れた貴族が突如その椅子を追われ、土地を奪われるのである。海賊の狂気と暴力に対し、貴族連中というものは桜が散るように脆く、可憐であった。しかし、『天竜人』という特権者は、その限りでは無かったが。

革命の気運というものは当時、世界全土で発芽していたと言っていい。

この全世界に広がった気運は、当時を生きた者にしか分からない感覚であったに違いない。大海賊時代という時代の熱気、或いは狂気と呼べるもの。その狂気が四海を、果ては偉大なる航路を飛び回り、変革の世界精神を顕現させた。

その世界精神の依代こそ、モンキー・D・ルフィ。ロジャーの求めた時代の寵児であろう。

 

『D』。

 

時代の変革の際、必ず現れる者に共通される『名』である。

奇しくも拙作はこの名を持つ者を主題として書いていきたいと考えている。

その名は『エルネスト・D・ガルシア』。

 

誰よりも自由に憧れた一人の男の苦闘と志を描き、また大海賊時代に於ける革命に対し、一種の愛を持って見つめていきたいと思う次第である。賢明なる読者諸兄の皆様へ、暫しのお目汚しをお許し願いたいと思いながら、これより筆を進めていきたい。

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