ONE PIECE 自由への革命   作:にゃあこ

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何故だろう。中々話が進まないです。
しかし、なんとか主人公は出せたのでここからは巻展開で頑張ります。
2話目まで退屈な思いをさせてしまい申し訳ありません。次回はそろそろ原作キャラと絡めるはずです。


2話 オハラの水呑み百姓

オハラ。

後に悪魔の島と呼ばれるこの島は、中央に巨大な樹を世界に見せるといった事を除けば、島単体を見れば対外的には普遍的な島であり、緑豊かな、牧歌的な生活が営まれていた。

何と言ってもオハラが世界に自慢の出来る事柄といえば、その異様に発展した考古学研究に他ならない。

先述した通り、『全知の樹』の内部は全世界から津々浦々の書物が集められた図書館、謂わば最先端の考古学研究の聖地となっていて、噂を聞きつけた学者達がこぞってオハラに集まり、研究に没頭する日々を送っていた。

そのオハラの研究者達の中でも一際目を引くのは、『クローバー』という男であろう。

白髪をクローバーの葉の様に纏め、存命当時、85歳という老齢でありながらも矍鑠としていて、その頭脳は明晰であり、その眼光は歴史を鋭く貫き、その言葉は全世界の志ある学者達の熱意に火を付けた。

彼は学者であるならば、老若男女、人間であろうが、『魚人』であろうが、どんな種族であっても差別などしない。知的好奇心というものに、人種や国境の壁等無く、そこに善悪も存在しないと考えている男であった。謂わば全世界の学者が彼の同志だったと言えるだろう。

筆者の知り合いに、彼に及ばないとはいえ、考古学を専攻されたA氏という権威がいる。考古学に一日の長があるというA氏曰く、

 

「考古学の根本は、この海に連綿と続いた数千年間の生命の生み出した神秘と文明を知りたい。こういう事でしょう。何故、今世界はこんな形になっているんだと現代社会の不安を透視すべく研究に没頭する輩もまあいない事はないのでございましょうが、珍しい人種でございますな。本来はもっと切実なもの。例えば幼子が『お母さんはどんな生活をして育ったの?』と聞く家庭も少なからずあることでしょう。人間に限らず、知的生命体というものは知ってか知らずか自分のルーツ、種族のルーツというものを本能的に辿りたくなる。これは魚や鳥、海王類には見られない生命の個性とも言えるでしょう。数千年を経て命が自分の番になる。その過程で、その数千年間、言葉を残し続けた先人の思いに胸を馳せ、いつしか敬慕と愛情が生まれてしまうんです。謂わばクローバー先生は、その代表的な人物であったのではないかと私は思うのです」

 

という。A氏もまたクローバー博士の思いに胸を馳せ、彼に対する敬慕と愛情の生まれた、ごくありふれた人の様に思える。

学問に必要なものは社会正義ではなく、志と、学問に対する愛である。この2つを、クローバー博士は死ぬその日まで持っていた。つまり、学問を成就させる事の出来る人間とは、その対象に対し、謙虚に、慎まやかに取り組み、尚且つ一途で無ければならない。

この事は学問を志す人間ならば誰しもが持たねばならない意識であり、時には法律を犯すべき行為を行う、社会に対して鈍感で、或いは愚か者と蔑まれる事になろうともそれを実施する胆力と狂気を持ってせねば、学問の貫徹はならず、後世に学問の門戸を開かせることは叶わないのである。

ただ、一般の社会とはまた違う次元で、クローバー博士の心に正義が燃え輝いていた事は間違いないだろう。否、彼のみにあらず、オハラの学者達はその数千年を遡る果てしない時の旅の中で発見した『真実』と思しき物に自分達なりの仮説を立て、研究を進め、いずれは世界に告発しなければならないという思いを持っていた。これは義務感よりも敢えて使命感と呼びたくなるほど彼等は前のめりに取り組んだ。このオハラの学者連中の痛々しいばかりの正義はその滅亡後、実を結ぶ事になる。

 

さて、学者の話ばかりをしてきたものだが、このオハラにも当然、学者ではない島民がいる。むしろ多数を締めていて、島の中央で研究に没頭する彼等を見ては忌避の表情を浮かべる者もいる始末であった。

大海賊時代の始まる前になるが、そのオハラの村外れに、1つの家があった。考えられない程貧しい家であった。

気持ちばかり開墾された土地で、育ちやすいジャガイモを育てている百性の家であった。その家は藁屋根の小さな家で、冬の不作の時には、その貧乏百性一家は村に出て、少ない身銭をなんとか切りながら生活をしていた。一生、貧乏と戦う覚悟で生きていかねばならない身の上程、哀れなものはない。が、どんな世界にも捨てる神あれば拾う神ありである。

村の人間達はその水呑み百姓に優しかった。決して同情からのものではない。彼等が好きなのである。村自体も、そこまで裕福ではない。島の北東の一角に位置するこの村は、島の他の村々に比して貧しい。精々、茅葺屋根の小さな家が五、六十戸程度である。村というより集落の様相を呈している。

何故、この村の連中にこの水呑み百姓は人気であったか。少々行を費やしたい。

男の名はエルネスト・D・モンクという男であった。

貧しい家に育ち、両親の死後も、僅かばかりに残された土地を耕す事によって生計を立てていた。しかし、辛いばかりの身の上でもこの男は一風変わっている。

モンクは貧しさの苦の表情を世間に全く見せない男であった。

気は優しくて力持ち。昔から言われる言葉であるが、彼程言葉通りに、言葉から産まれたか如く生きる事の出来る男もそうはいない。端的に言えば、彼には愛嬌があった。

この愛嬌というものは、人間生活を送るに至ってはまず一番大切なものであろう。愛嬌の無い人間というものはどんなに偉大な功績を残す人物であろうと、世間からは過小に見られるものにちがいない。

一流の傑物であれば、世間の風潮などものともしないであろうが、大抵は、上手くは立ち行かないものである。人間、技量と合理性のみで生きていく事は困難である。社会の理不尽と嘆くべきであろう。そもそも、愛嬌の無い人間は人間的温かみと面白みに欠けるという事実ほど、その人間を追い込む事象もないかもしれない。

ともかくも、愛嬌のある人間はそれだけで好かれる。モンクの笑顔は、それだけで人を安心させる魅力があった。

また、この貧しい男の家は、ジャガイモも、焚物も、その他命の糧となるものが途切れがちであるにも関わらず、村の困った者に与えてしまう悪癖があった。

彼には嫁がいるのである。エルネスト・D・ナターシャ。肩まで伸びた髪を後ろで一本に結び、動きやすい農作業着を好んで身に着けるこの素朴な村娘は、納屋に入るたびに、この先どうして生きていこうと、貧乏の身の上に咽び泣く事も多かった。そんな家にも関わらず、モンクは少ない実入りも人にあげてしまう。

当然暮らしに困り、幾度も喧嘩になるのだが、その度村の若い衆が仲裁に入る事になる。また、村の豊作の年にはモンクの家に、村の連中が作物を無償で渡しに来る。口では態々必要無いと断りを入れるモンクだが、村の連中は聞かずに食べ物を渡しては帰っていくのである。実際、助かっている。

恩返しを期待して行った行動ではない為、モンクとしてはこのお菰の様な現状は恥ずかしい事この上無かったであろうが、常に家計を心配していたナターシャとしてはありがたい話であった。

この様な旦那を持ち、ナターシャとしては苦労しか無いはずである。しかし、ばかな話しに映るかもしれないが、ナターシャは心底モンクに惚れていた。この全く見返りを求めない優しさが、彼女にとって太陽の様に眩しく、温かかったにちがいない。

また、モンクは強かった。当時、偉大なる航路程では無いにしろ、西の海はならず者も当時から存在していた。

村を襲い、食物を奪おうと画策する賊共に、モンクは斧一本で立ち回り、忽ちのうちに賊を村から追い出してしまう。

その優しさと力を目の当たりにしていた村の連中は彼をオハラの英雄と讃えた。牧歌的な村の、単純な思考回路であったと言っていい。

 

そんなエルネスト家に慶事があった。なんとナターシャが子供を産んだという。貧しいばかりのこの家に、一筋の光が差し込んだような、それ一つで生活が好転する訳では無いが、ともかくも、夫婦は望外の喜びであった。

この貧しい夫婦の間に産み落とされた赤子は、母の栄養状態がそれほど迄に良くない事も手伝い、五年樽の梅干しの様に赤い肌で産まれた小さくか細い赤子だった。

 

エルネスト・D・ガルシアの数奇な人生は、貧困と苦難の痛みから始まったと言っていい。




一夜明けて小説情報を確認したら。拙作をお気に入り登録して下さった方がたくさんいらっしゃいました!本当にありがとうございます!
学校でも自慢したくなるほど(しませんでしたが)嬉しくて小躍りしたくなります。
御期待に添えられる様に、及ばずながら粉骨砕身の思いで取り組みたいと思います!
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