甘木瀬斗の暗殺教室   作:つがう

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28話

「さて皆さん、素晴らしい成績でした。5教科プラス総合点の6つ中、皆さんが取れたトップは3つです」

 

 すべての答案用紙が返された後、ふとカルマ君が帰ってきていた。死ぬほど不機嫌そうだけど。

 

「早速暗殺の方を始めましょうか。トップの3人はどうぞ3本ご自由に」

 

 『破壊予約済』と書かれた触手を3本こちらに見せながら殺せんせーは言う。いつもの緑と黄の横縞に表情を変える。なんだっけあれ、こっちを舐めてる時の顔色だっけ。3本はギリ許容範囲内だったってことか。

 しかしそんな殺せんせーに声をかける人が4人。

 

「おい待てよタコ。5教科のトップは3人じゃねーぞ」

「にゅ? 3人ですよ寺坂君。国・英・社・理・数、全て合わせて……」

「はぁ? アホ抜かせ。5教科っつったら国・英・社・理……あと家だろ」

 

 教卓に置かれた4人全員満点の家庭科テスト。殺せんせーに激震が走る。はぁ~~、なるほど。その手があったか……。

 

「ちょ、待って!! 家庭科のテストなんて"ついで"でしょ!! こんなの"だけ"何本気で100点取ってるんです君達は!!」

「だーれもどの5教科とは言ってねーよな」

「クックック、クラス全員でやりゃ良かった、この作戦」

 

 寺坂君たちグループの4人は嬉しそうににやにやと笑う。私の斜め前の席の千葉君が、『言ったれカルマ』と指を指す。それを受けてカルマ君は少々前のめりになってから口を開く。

 

「………ついでとか家庭科さんに失礼じゃね、殺せんせー? 5教科の中じゃ最強と言われる家庭科さんにさ」

 

 それを皮切りに一斉に殺せんせーに指を指す皆。約束守れー! と楽し気にヤジが飛ぶ。家庭科トップ4人を加えると……

 

「合計触手7ほーん!!」

 

 倉橋さんが元気な声音で言った。7本は流石に痛手のようで、殺せんせーは真っ白になる。

 

「それと殺せんせー、これは皆で相談したんですが」

 

 そう前置きして磯貝君はこう続けた。

 

「この暗殺に……今回の賭けの『戦利品』も使わせてもらいます」

 

 E組が賭けたもの。暗殺の一環として殺せんせーの触手。それともう一つ、A組と賭けた椚ヶ丘中学校特別夏季講習。沖縄離島リゾート2泊3日!!

 私たちE組はその戦利品同士を掛け合わせて使うことにしたのだ。

 

「触手7本の大ハンデでも満足せず、四方を先生の苦手な水で囲まれたこの島を使い、万全に貪欲に命を狙う。正直に認めましょう。君達は侮れない生徒になった」

 

 殺せんせーのそんな言葉にみんなは嬉しそうに笑った。

 

「親御さんに見せる通知表は先ほど渡しました。これは、先生からのあなたたちへの通知表です」

 

 殺せんせーはマッハで紙に何かを書き上げると、それをぶわっと投げた。教室いっぱいに二重丸が広がった。

 

「一学期で培った基礎を存分に活かし、夏休みも沢山遊び沢山学び、そして沢山殺しましょう!! 暗殺教室、基礎の一学期、これにて終業!!」

 

 通知表……親は疎遠になってるし、夜蛾センにでも見せようかな。




「やっがせーんせー!」
「なんだ?」
「見て見て、通知表」

 ドヤ顔で夜蛾センに通知表を見せる。すると夜蛾センはちょっと意外そうな顔をしてからふっと微笑んだ。

「よくやったな」
「でしょでしょ~! もっと褒めてくれてもいいんだよ?」

 夜蛾センはわしゃわしゃと私の頭を撫でた。私はくすぐったいような嬉しい気持ちになりながらへへと笑う。

「何か欲しいものあるか?」
「えっ! いいの!? ウサギのぬいぐるみください!」
「わかった。用意しておく」

 やったあ! と喜ぶ私を見てまた微笑む夜蛾セン。

「他のみんなにも見せに行こ~っと♪」

 スキップしながら高専の職員室を出る。廊下に出ると、ちょうど傑がいた。

「あっ! 傑~!」
「嬉しそうだね、何かいいことでもあった?」
「ふっふーん。これを見よ!」

 と、私は傑に通知表を自慢げに見せた。

「総合8位? すごいじゃないか! よく頑張ったね」

 そう言って私の頭を優しく撫でてくれる。その感触が心地良くて、思わず目を細める。
 実はこのテスト、かなり自信あったんだけど、まさかここまで取れるとは思わなかったなぁ。まあ、殺せんせーの教え方が上手かったからだろうけど。

「廊下の真ん中で何やってんの?」
「駄弁るなら共同ルーム行かね?」
「硝子! 悟! 見て見て!」

 後ろから来た2人にも通知表を見せた。2人も褒めてくれた。嬉しさで勝手に口角が上がってしまう。

「すげーじゃん!」
「ふふ~ん。もっと褒めてくれ!」

 その後、私たちは4人で共同ルームでお菓子を食べたりゲームをしたりして遊んで過ごした。ちなみに、この日のお風呂上がりには、白いモフモフのウサギのぬいぐるみを夜蛾センから渡された。

「ありがとう夜蛾センセ♪」

 私は満面の笑みを浮かべた。
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