高専に帰るなり、トタトタと小さい子が走る足音が聞こえる。
「高菜!」
そのまま私にダイブするようにぶつかってきたのはもちろん棘だ。私はそれを難なく受け止めて抱きしめる。
「ただいまー棘。いい子にしてた?」
「しゃけ!」
頭を撫でると、その手に擦り寄ってくる。腰抜かすほど可愛い棘をうりうりと撫で回す。すると、棘が来た方から傑がやってきた。
「面倒見てくれてありがとう傑。棘、大丈夫だった? 迷惑かけてない?」
「とても大人しかったよ。夕飯も出来ているから早く着替えておいで」
「うん」
私は一旦部屋に戻り、制服からラフな格好へと着換える。それから食堂に行くと、机の上には既に夕食が並べられていた。今日はオムライスのようだ。
「カスミさん、明日の夜までいないんだっけ」
「そう。このオムライスは私と棘君とで作ったんだよ」
「しゃけ!!」
「え~! そうなの? すごいね~棘!」
そう褒めると、照れくさそうに笑う棘。天使かな? 可愛すぎて死ぬわ。
その後、3人で手を合わせていただきますをして、オムライスを食べ始める。卵がふわトロだ。美味しい。
「美味しそうな匂い」
「ん、硝子。硝子も食べよ。隣来て座って」
「はいはい」
そうして硝子が加わり、4人でご飯を食べる。
にしても今日は冷や冷やした。ロヴロさん、表情変えずに質問してくるんだもん。私が一般人だったらあの圧で泣いてたよ。
「あ~!」
そんな騒がしい声と共に食堂に入ってきたのは悟だ。
「何俺抜きで食ってんだよ!」
「五条うるさい」
「今帰って来たのかい?」
「そー、俺も飯食う」
「報告書は?」
「別に良くね?」
「また夜蛾センに怒られるよ?」
「知らね~~」
そう言ってキッチンでオムライスの卵をささっと作り始める悟。相変わらずだなぁ、と思いながらスプーンを口に運ぶ。
「棘、美味しい?」
「しゃけしゃけ~」
満面の笑みで答える棘に癒されながら、私は食事を続けた。
夜。一緒の布団に棘を寝かせる。
「すじこ、ツナ」
「だぁめ。もう寝る時間だよ」
「ツナ~……」
ぐずるように私の胸元に顔を埋める棘。ほんと、こういう所はまだまだ子供なんだな。でも、こうして甘えてきてくれることが嬉しくもある。私は棘の頭を優しく撫で、優しくお腹辺りをとんとんと叩く。するとすぐに規則正しい呼吸音が聞こえてきた。ぴったりと私にくっついているせいか、子供特有の体温の高さを感じる。それが暖かくて心地よくて、私の瞼も次第に重くなっていく。
「ふわ……。私も寝よ。おやすみ、棘」
そして、棘の額にキスを落としてから眠りについた。