甘木瀬斗の暗殺教室   作:つがう

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45話

「あれ? 着替えるの早いな、渚」

「すぐに着替えるに決まってるじゃん……」

「そのまま行きゃあ良かったのに。暗殺者が女に化けるのは歴史上でもよくあるぞ」

「い、磯貝君まで!」

「渚君、とるなら早い方がいいらしいよ」

「とらないよ! 大事にするよ!!」

「その話はあとにしてくれるか」

「……二度としません」

 

 烏間先生の一声で、この場は収まった。相も変わらず緊張感がないな……。

 それから少し、烏間先生が歩みを止め、私たちも同じように足を止めた。

 

「この潜入も終盤だ。律」

『はい。ここからはVIPフロアです。ホテルの者だけに警備を任せず、客が個人で雇った見張りを置けるようです』

「そんで早速上への階段に見張りか。超強そう……」

「私達を脅してる奴の一味なの? それとも無関係の人が雇った警備?」

「どっちでもいーわ、倒さなきゃ通れねーのは一緒だろうが」

 

 寺坂君がパキパキと手の骨を鳴らす。

 

「その通り、寺坂君。そして倒すには、君が持ってる武器などが最適ですねぇ」

 

 武器? 何かよろしくないものでも持ってるのか、寺坂君。

 そう思っていると、寺坂君は不機嫌そうに舌打ちをした。図星か。

 

「透視能力でもあんのか、テメーは」

 

 と言いながら持っていたリュックに手を伸ばした。

 

「……出来るのか? 一瞬で2人共仕留めないと連絡されるぞ」

 

 と烏間先生が心配そうに言う。

 

「任せてくれって……おい木村」

 

 殺せんせーを持っている木村君に、寺坂君が呼びかける。

 

「テメー1人ならすぐに敵とは思われねーだろ。あいつらをちょっとここまで誘い出して来い」

 

 と、屈強なボディーガードをこちらに引き寄せるような仕草をする。

 

「俺が? どうやって?」

「知らねーよ、なんか怒らせる事言えばいい」

 

 木村君は悩むように眉を寄せた。カルマ君がそんな木村君に近づき、

 

「じゃあこう言ってみ木村」

 

 と耳に唇を寄せて言い出す。絶対録なセリフじゃないな。

 しばらくして。考えがまとまったのか、木村君はボディーガードの方へ歩き出した。そしてボディーガードの目の前で止まる。

 

「? ……何だボウズ」

 

 木村君は緊張した面持ちで、

 

「……あ」

 

 と小さい声で言い、言葉を続けた。

 

「あっれェ〜、脳みそ君がいないなァ〜、こいつらは頭の中まで筋肉だし〜」

 

 キョロキョロとわざとらしく周りを見渡し、そのまま踵を返しながら、

 

「人の形してんじゃねーよ豚肉どもが」

 

と言い放った。

 

「おい」

「待てコラ」

 

 そりゃ誰だって怒るよ……。あの一瞬でこんな言葉が思いついたのかカルマ君は、本当にヤバい子だな。

 怒りがこもった声で2人のボディーガードは追いかけてきた。木村君は全速力でこちらに走ってくる。

 

「ちょ、くっ……」

「なんだこのガキクソ速ぇ!! てかこいつもしかして……」

 

 ボディーガードが話す中、木村君が私たちの目の前を通り過ぎた。

 

「おっし今だ吉田!!」

「おう!!」

 

 通路から寺坂君と吉田君がとび出て、ボディーガード2人に食らいつく。手に持っていたのは棒状のスタンガンだ。バチバチッと音がすると、ボディーガード達は気絶する。

 

「ス……スタンガン…」

「タコに電気を試そうと思って買っといたのよ、こんな形でお披露目とは思わなかったがよ」

「買っといた…って、高かったでしょそれ」

 

 片岡さんに指摘されると、寺坂君は居心地悪そうに、

 

「ん……最近ちょっと臨時収入あったもんでよ」

 

 と言う。臨時収入? バイトとかやってなさそうだけど、なにかやったのかな。……まあ興味無いからなんでもいいけど。

 

「……いい武器です、寺坂君。ですが、その2人の胸元を探って下さい」

「あン?」

 

 言われた通りに寺坂君が男の胸元を探ると、拳銃が出てきた。

 

「そして、千葉君、速水さん。この銃は君達が持ちなさい」

 

 クラスでもトップで銃が上手い2人。それでも今回は驚いたようで、2人とも静かに先生を見つめた。

 

「烏間先生はまだ精密な射撃ができる所まで回復していない。今この中で最も『それ』を使えるのは君達2人です」

「だ、だからっていきなり……」

「ただし!」

 

 殺せんせーはいつものように顔に文字を浮かべた。その文字は『不殺』だ。

 

「先生は殺す事は許しません。君達の腕前でそれを使えば、傷つけずに倒す方法はいくらでもあるはずです」

 

 2丁、ぽんと渡された銃を2人は緊張した様子で握りしめた。無理もない。が、確かにこの場で銃を持つのならばこの2人だ。

 そうして武器を手に入れた私達は先へ、先へと進んでいく。

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