「お、おい!誰か出てきたぞ!」
奨真が外へと出ると、そんな声が聞こえ、大勢が集まってくる。
「桐生!?お前無事だったのか!?」
「大丈夫?なにがあったの?」
「桐生君大丈夫?」
などと声が聞こえてくるなか、奨真はその場に座り込んでしまう。
「はいはい、質問はそこまで。本人が答えられてないでしょうが。後ここからは先生が話を聞きます。」
そう言いながら人混みをかき分けてやってきたのは奨真達の担任、大野 大地(おおの だいち)。
「あ‥‥先生。ども。」
「ども、じゃないよ!全く、無事でよかったよ。」
そして2人は体育館の裏側へと移動する。
「すまんね、ここじゃないと話しができそうになかったから。それで、何があったんだい?」
「えっと‥‥。」
奨真は起こった出来事をかいつまんで話した。勿論、自分がライダーであることや、突然乱入してきた緑のライダーについては隠して。
「なるほど‥‥。ありがとう、僕は先生方のところに行くよ。君は裏門のところに救急車が来ている。そこに行ったほうがいい。一応ね。」
そう言って大地は走り去っていった。
[数日後]
学校が休校になった奨真は貴虎の家を尋ねていた。
「‥‥何故君はまたここに来たんだい?」
「もう一度、戦うためです。」
椅子に座ってこちらを見てくる貴虎の目をしっかりと見据えて、そう言う。
「あれから、いろんな事を考えました。これからどうなるのか、俺はどうしたらいいのか。いくら考えても、頭からは戦いへの恐怖が抜けません。
でも、決めたんです。とりあえずやってみるって。やってみて、それでもダメだったら、このドライバーは貴虎さんに預けます。だから、それまで、あなた方と一緒に戦わせてください!」
黙ってそれを聞いていた貴虎はゆっくりと立ち上がる。
「‥‥それが、君の決断なのか?」
「‥‥はい。」
強い眼光で貴虎の目を見つめる奨真。
「そうか‥‥それが君の答えなら、もう何もいうことはない。」
そう言って貴虎は右手を出す。
「これから、よろしく頼むよ。」
「は、はい!」
2人は握手を交わすと、向かい合って、椅子に座る。
「さて、少し私から聞きたいことがあるのだが。」
「昨日の事ですか。」
「それもあるが、私が聞きたいのは‥‥烏丸くんのことだ。」
「‥‥あいつですか。」
2人の間に緊張が走る。
「彼に一体何があった?あの日、私は彼と戦った。みたことのない姿になった彼と。彼は変わってしまった。たが‥‥そう、あの時の彼は、まるで中身が丸々違う人間になってしまったような、そのような事を感じた。」
「‥‥。」
奨真も、かつて輝と戦った時の事を思い出す。人が変わったような口ぶり、素人とは思えない戦い方。それは奨真の知る烏丸輝とは程遠いものだった。奨真にも何故そうなったのかはわからない。しかし、奨真には一つ心当たりがあった。
「俺には、わかりません。でも、一つだけ心当たりがあります。あの日、俺を助けてくれた「ビルド」って名前のライダーです。」
「ビルド?」
「はい。」
奨真はビルドと出会った時の話を貴虎にした。
「なるほど‥‥なら、まずはそのビルドと言うライダーを探すことが最優先ということかな?」
「まぁ、最優先というよりか、探すにも手がかりがないので‥‥。」
「そうだな‥‥、私も他に目撃情報がないか探してみよう。君も、よろしく頼む。」
「はい!」
[数時間後 ショッピングモール 広場]
「やっぱ、あんなことがあったばっかだから人が多いな。」
貴虎と別れた奨真は近くのショッピングモールの広場に来ていた。その目的は「ビルド」の変身者を見つける事兼、様子見である。
ポケットには先程貴虎から貰った「餞別」が入っている。
「あんなことがあった以上、どこで何があってもおかしくないからなあ。」
多くの人が行き来するなか、ぶらぶらと歩いていると、とある露店で見知った顔を見かけ、近づいていく。
「わー!これすごーい!こんな動きもできるんだ!」
「そうでしょう、お嬢さん。すごいでしょ?天才でしょ?」
「はい!これ一ついくらなんですか?」
「これはねぇ、お値段1200円!」
「えー!!安い!買おうかなぁ。」
「おいおい、なにをしてんのよ。」
奨真が背後から小突いたのは、白のキャップを被り、ボーダーTシャツとデニムを着た小春だった。
「わー!奨真!奇遇だねー!どうしたの?」
「ん、まぁ散歩。家にいてもやる事ないしな。で、それ何?」奨真は小春のもつ鳥のような機械に目を向ける。
「あ、これ?これねー、凄いんだよ!ペットロボットらしいんだけどGPSがついてて、離れててもついてきてくれるんだって!それと、目覚まし時計がついてたりとか、目的地までナビしてくれたり、色々な機能がついてるんだよ!」
「ほーん、それで1200円‥‥まぁ安いか。で、これあなたが作ったの?」
露店の店主に目を向けると、それは黒髪ショートヘア、ベージュのトレンチコートにTシャツ、ダメージジーンズを着た男だった。
「そりゃ勿論。ここにあるもんは全部俺の手作りさ。」
「へー、器用なんですねー。」
そんな事を言っていると、小春が顔を寄せてくる。
「ところでさ、学校のあれ、奨真がやったの?」
「まぁ、うん。そういやお前大丈夫だったか?」
「あの日はたまたま学校休んでてなんともなかったけど‥‥奨真こそ大丈夫?」
「俺は、全然大丈夫。」
奨真がそう言った瞬間、後ろの広場から悲鳴が聞こえてくる。
「なんだ!?」
「何!?」
2人が振り返ると、大勢の人が走っており、その背後にはXの文字が刻印されたヘルメットを被り、銃を構える兵士のような集団が人々を襲っていた。
「まじかよ‥‥こんなところにまで!小春は早く逃げろ!露店のあんたも!」
「えっ!ちょっ!奨真!」
小春を押しのけて、走りながら戦国ドライバーとロックシードを取り出す。
「変身!」『リンゴアームズ!デザイアフォビトゥンフルーツ!』
リンゴアームズへと変身すると、刹那は逃げ遅れた男性を襲っている兵士に飛び蹴りをくらわせ、男性を救出する。
「大丈夫ですか!?」
「あ、ああ。ありがとう。」
「早く逃げて!」
男性が逃げるのを見届けて、刹那は集団へ向き直る。
「随分と頭数揃えてきたな。なんだこいつら?」
そして刹那は集団へと突入、1人の兵士を切り倒す。他の兵士が銃で殴りかかってくるが、それをかわし、紅一文字で斬る。
「(なんだ?こいつら、何かおかしい。)」
銃撃をよけ、兵士の1人を殴り倒す刹那。また1人がナイフを振り下ろして来るが、それをかわし、すれ違いざまに斬る。別の兵士の撃った弾を避け、銃を蹴り、殴る。しかし、数があまりに多く周りに続々と集まってくる。
「これじゃやりずらいな。ならこれで!」
刹那は先刻、貴虎から貰った餞別、白いイチゴのロックシードを取り出した。
「貴虎さん!使わせてもらいます!」『ホワイトベリー!』
頭上にクラックが開き、純白のアーマーが降りてくる。
『ロックオン!』『ソイヤ!ホワイトベリーアームズ!雪下・朧月!」
純白のアーマーを纏った刹那は、腰から2本のダガーを抜き放つ。
「ダガーか!これなら!」
二刀のダガーを構え、銃からナイフへと持ち替えた兵士へと走り、攻撃を軽々とよけXに切り裂く。別の兵士な後ろから襲いかかってくるも、その手のナイフを後ろ回し蹴りで弾き、別の足で蹴り倒す。
「凄い、体が軽い!」
離れた場所から銃を撃つ兵士に銃弾を避けて、背中からダガーを抜き、投げて倒す。すると、残った兵士たちが一箇所に集まっていく。
「なんだ?」
一箇所に集まった兵士たちは次第に変形、合体、積み重なっていく。
「おいおい‥‥反則だろ‥‥。」
積み重なった兵士たちは巨大なロボットのような姿になり、刹那に巨大な腕を振り下ろす。
「あぶねぇ!」
刹那はそれを避けるが、その腕が振り下ろされたところの地面は陥没する。
「こりゃ、当たったらとんでもないぞ‥‥うわ!」
巨大なロボットは備えられた機関銃を撃ってくる。それを走りながらよけ、柱に隠れる刹那。しかし、
「わぁぁぁぁぁぁん!」
「なっ!まじかよ!」
刹那の背後には逃げ遅れたらしき子供がヨタヨタと歩いており、ロボットはそちらに銃口を向ける。
「まずい!」
銃が発射され、弾が子供に当たる寸前、誰かが子供を庇って横に転がる。
それはあの露店の店主だった。
「大丈夫か?」
「う、うん。」
「なら急いであっちに逃げるんだ。」
「ありがとう!お兄ちゃん!」
子供が走り去ると露店の店主は立ち上がる。
「‥‥やるしかないな。」
そう呟いて懐から取り出したのはかつて刹那が見た、ビルドがつけていたドライバーと2本のボトル。
「なっ!?」
「さぁ、実験を始めようか。」
店主は2本のボトルを振り、ドライバーに挿す。
『ラビット!タンク!ベストマッチ!』
取手を回し、ドライバーから「スナップライドビルダー」が形成され、そこに赤と青のアーマーが出来上がる。
『Are you ready?』
「変身!」
店主の声と共にアーマーが被さると、半身赤、半身青のライダーの姿になる。
『鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イェーイ!」
店主はビルドへと変身した。
解説
仮面ライダー刹那・ホワイトベリーアームズ
呉島貴虎から貰ったホワイトベリーロックシードをつかって変身した刹那の新しい姿。
アーマーの形はイチゴアームズのままだが、アーマーの色が白くなり、
背中に10本ものダガーが差し込まれた円形のユニットがついている。
普段は腰からダガーを抜いて、二刀で戦うが、背中のダガーを抜き、投げて使うこともある。背中のダガーが刺さっているユニットの中心にはボタンがついており、それを押すことで刺さっている全てのダガーの刃が剥き出しになることで、巨大な手裏剣のような投擲武器になる。