ある日の放課後、奨真と輝は通学路を家に向かって歩いていた。
「はぁ〜。」
「‥‥奨真、最近ため息多いぞ?ちょっとうるさい。」
「えっ‥‥そんなにしてたか?‥‥うるさい‥‥さいですか‥‥。」
「いやいや!ごめんごめん!そんな落ち込むと思わなくて、気づいてくれればいいよ!」
輝の一言に頭を落とす奨真に驚き、輝は急いでフォローへと回る。
すると、輝の肩から戦兎の作ったロボットが顔を出す。
「‥そういやそいつ、名前決まったのか?」
「あっ、あぁ!フェニ郎って名前にしたんだ!不死鳥みたいな色してるし、かっこいいだろ?」
「あっ‥‥そうだな‥‥うん。」
輝のまさかのネーミングセンスに少し引く奨真。しかし、輝はそれに気づかず話を続ける。
「それで、どしたの奨真、なんかあった?話聞くよ?」
「うーん、最近のあのニュースあるだろ?あれが気になっちまってさ‥‥。」
「あー、あの連続失踪事件?」
「それなんだよなぁ、余りにも事件がなさすぎて、なんか関係があるんじゃないかと思ってさ。」
そう、ここ最近沢目市では失踪事件が多発している。被害者に共通点はなく、老若男女年も様々だった。
「‥‥ふふっ、変わったな奨真。」
「へ?何が?」
「ちょっと前の奨真なら絶対興味持たなかっただろうし、めんどくさいっていって忘れてただろ?」
「うーん、確かになぁ。前の俺だったら100%言ってた。」
輝の言葉に奨真はうんうんと頷く。
「でもさ。」
「うん?」
「あんなことになって、俺も片足突っ込んじゃったからさ、不本意だけど。やれるとこまではやってみようって思ってんだ。」
「なるほど‥‥ね。」
奨真の言葉に輝は空を眺める。
「じゃあ、俺もそれに協力するよ。奨真1人じゃ絶対ヘマするから。」
「当たり前だろ?お前も一応片足突っ込んでるんだからな?」
「そうだった。俺はこっちだからじゃあな奨真。」
「おう、明日またな。」
輝はからからと笑うと奨真に手を振って別れていく。それに手を振りかえして奨真は1人歩いて行った。
夜、一回家へ帰った奨真は夕食の買い出しへと行っていた。
「よーしよし、今日の晩飯はカレーだー!」
その帰り道、薄暗い道を嬉しそうにエコバッグの中を覗き、そう言いながら歩いていると、人とぶつかってしまう。
「あっ、すみません。‥‥?」
「‥‥‥。」
咄嗟に謝った奨真だが、相手の老人はどこか虚ろな目で空を見上げている。
「‥‥‥??うわっ!!」
突然老人が殴りかかってきたのを奨真は危なく避ける。
「おいおい、何なんだこの爺さん!」
そんなことを言っていると、他の道からゾロゾロと同じように虚ろな目をした人々が現れる。
「(何だ?全員死んだような目をしてる。まるで意識がないみたいだ。それにこの数、見た感じ性別も年齢もバラバラだな、なんだってんだよ)‥‥あ〜!もう!」
考え込んでいる間にも人々は奨真に襲いかかってきており、思考を止めずに買い物袋を守りながら攻撃をいなし、かわしていく奨真。余りの数の多さにうんざりして声を上げたその時、
「ん?」
ピタリと攻撃が止むと、人々は空を見上げる。
奨真も同じように空を見上げたその時、
「おいおい、餌が引っかかったと思ったらガキじゃねぇか。」
そんな声と共に漆黒の影が降りてくる。
黒マントを羽織り、紳士服を着て地に降り立ったその姿はまさに
「ドラキュラ?」
と奨真が声を出してしまうほどそっくりであり、その影は奨真の目の前に着地する。
「お前ぐらいの歳のやつは不味いんだよなぁ。」
「なんだと?お前、何者だ?」
怪人はそれには答えず西洋風の剣を抜き放つ。
「これを見たからには、死んで俺の眷属になって貰うぜ!」
そう言い放つと奨真に向け剣を振り下ろす。
「な‥‥んだと!」
それを飛び退いて避け、袋を地面に置くと、ドライバーを装着する奨真。
「?普通のやつはこの姿を見たら竦んじまうんだけどなぁ、お前の血を飲んだらもっと強くなれそうだ!」
「なっ!」
振り回される剣を避けながら逃げる奨真。しかし、広場についたその時、怪人の振るう剣が奨真のシャツの端を捉え、奨真の腹に薄く切り傷がつく。
「いって!」
「おいおいどーした!逃げたって無駄だぞ!」
怪人は大きく振りかぶると奨真の脳天目掛け振り下ろす。しかし、
「‥‥ここならやりやすいってもんだ!」
『リンゴ!』
「変身!!」
『リンゴアームズ!デザイアフォビドゥンフルーツ!!』
振り下ろされる直前にロックシードを解錠、変身と同時に紅一文字を抜き放ち剣を弾く。
「何!?‥‥なるほど‥‥お前が噂の仮面ライダーか‥‥。」
「えっ、‥‥俺も有名人になっちゃったなぁ。」
「そうと知れば、益々血が飲みたくなってきた!」
「一滴も飲ませてやるかよ!!」
そう言い放ち、刹那は紅一文字を突き出す。
それを避け、怪人は剣を横に薙ぐ、しかし刹那はそれを素早く刀を縦にして防ぎ、蹴りを入れて距離を取る。
怪人は体勢を立て直して連続で剣撃を繰り出すが、それを刹那は紅一文字でかわし、いなしながら隙を見つけて切り込んでいく。刃が怪人の服の裾を捉え、それに気を取られた相手は体勢を崩す。
「何!?」
「そこだ!」
『リンゴオーレ!!』
紅一文字を鞘に納め、すぐさま抜刀し、体勢を崩したその胴目掛けて薙ぎ払った。しかし、
その刀は胴の鎧に当たり、金属音が鳴る。
「は!?」
突然現れた鎧に驚き、固まる刹那。怪人は空いている左腕を獣のそれに変えると刹那に向けて振り下ろし、刹那は吹き飛ばされる。
「くっ‥‥なんだあれ、服の下に鎧?うわっ!!」
転がりながら体勢を整える刹那に間髪入れず怪人はいつのまにか手にした大鎌を振りかぶる。
それを紅一文字でギリギリで受け止める刹那。
「っつ!重い‥‥‥。うぉぉぉぉぉ!!」
力を目一杯込めて弾き返すと、刹那は距離を取る。
「っ‥‥‥お前!ただのドラキュラじゃねぇな!!」
「それに答える気はないなぁ!」
膝をつく刹那に距離を詰めてくる怪人、しかし、
「くっ‥‥今日はここまでか‥‥。」
突然怪人も膝をつくと、全身を無数のコウモリへと変え、空へ去っていく。
「‥‥逃げられた、か。」
刹那も刀を納め変身を解除すると、落ちている服の切れ端を拾おうとするが、それも霧のように消えてしまう。
「消えた‥‥あいつ、何もんなんだ‥‥。って、やべぇ!買い物袋!」
奨真は急いで先ほどの場所へと戻っていくのであった。
[翌日 学校]
パシン!と威勢のいい音が教室に響く。
「わっ!‥‥すみません‥‥。」
小突かれた事に驚いて起きると、目の前に担任の大野の困った顔があった。
「桐生ー、これで3度目らしいな?まだ午前中なんだから頑張ってくれ〜。」
「は、はい。」
奨真の返事と同時にチャイムが鳴る。
「はーい、じゃあ今日はここまで。みんなちゃんと復習しとけよ〜。」
そういって大野は教室から出て行った。それを合図にがくりと机に項垂れる奨真、そこに輝、真、怜の3人がやってくる。
「奨真、具合でも悪いのか?」
「‥‥昨日徹夜でゲームでもしたんじゃないのか?」
真と怜は奨真の顔を覗き込む。
「いんや、そーゆー訳じゃなくてな‥‥ちょっと考え事してたら眠れなくなって‥‥。」
「考え事‥‥恋でもしたか奨真?」
「違うわ、最近の行方不明事件の事だよ。」
怜の言葉を速攻で否定し、奨真は本題を切り出す。
「あー、それか。でも、どうして?」
「いや‥‥また昼休み話すわ、ほらチャイム鳴るぞ。」
「うわっ!まじか!じゃ、またな!」
真がそういうと3人はそれぞれの席へ戻って行った。
[昼休み 屋上]
4人はそれぞれ弁当を持ち寄り、屋上の真ん中で奨真を囲んでいた。
「それで、その理由ってなんだ?」
「実は昨日‥‥」
奨真は3人に昨日の出来事を話す。
「まじか‥‥そりゃ災難だったな奨真。それで、そのヴァンパイア?みたいな奴が事件に関係してるかもってことか?」
「さすが輝、理解が早いな。そゆこと。だから何か知ってる事ないかと思ってさ。」
「‥‥知ってる事と言っても、俺たちだって報道されてるような事しか知らないぞ。」
「俺もー。」
「横に同じく。」
「だよなぁ‥‥。」
輝、怜、真の反応にガックリと項垂れる奨真。
「なんかそう言うオカルト系に詳しい奴とかいないかね‥‥。」
うーんと腕を組み悩む奨真、そこに
「なぁ、怜。」
「?なんだ真。」
「『オカ研』に行ってみないか?」
「!?お前、本気か!?」
「ん?、なんなんだその『オカ研』って?そんなのうちの部活にあったっけ?」
真の言葉に首を傾げる奨真と輝。
「‥‥『オカルト研究部』通称『オカ研』はその名の通りオカルト系について研究している奴らの集まる部活だ。あまり部員勧誘などもしていないようだから知名度はそこまで高くはない。」
「へー、怜はそこに知り合いでもいるの?」
「‥‥一度、部活見学に行った事がある。」
思い出したくない記憶のようで顔をしかめる怜。
「‥‥あいつらは『オカルト』と名のつくものに目がない。恐らくこの話を持ち込めばとんでもない勢いで詰められ、簡単には帰してくれないだろう‥‥俺は推奨はしない。持ち込むなら部活動活動時間ギリギリまでこの学校に残るのを覚悟する事だ。」
その言葉に息を呑む奨真と輝。
「でも、それくらいで事件解決の糸口が見つかるかも知れないなら良くないか?」
「それは‥‥確かにそうだな‥‥。」
「じゃあ、行ってみる?そこ。」
「‥‥行きますかぁ。」
「そうだな。よし!」
奨真はテキパキと片付けを終え、立ち上がった。
ちょっとタイトルをネクサス風にしてみました
サブタイがつくのかっこいいなぁって思いまして
そしてまさかのネーミングセンス壊滅輝。さすがの奨真も絶句です(笑)
学校生活書くの難しい
それではまた次回!