愛染がレスバ強すぎる‥‥
[1日後 病院内]
「‥‥‥はっ!!‥‥ここは?」
目を覚ました輝は自分が病室のベッドに寝かされている事に気づく。
「失礼しまーす‥あっ、輝!目が覚めた?良かった〜。」
病室の扉が開くと、果物かごを抱えた小春がこちらに気付き、大きな声をあげると、ベッドの横の椅子に座る。
「小春‥‥‥俺、なんでここに?」
「なんでって‥‥自分で呼んだんでしょ!救急車!」
「ん?‥‥あっ、あれか。」
記憶を辿って、自分が意識を失う前通報していた事を思い出す輝。
「もー!丸一日寝てたんだからね!心配したんだから!」
「そうなの!?そっか‥‥心配かけてごめん。」
「本当!‥‥無事だったから良いけどね。そうだ、りんご食べる?」
「貰おうかな‥‥。」
答えを聞き、小春は棚から果物ナイフを取り出してリンゴの皮を剥き始める。
「そういえば‥奨真は?」
「奨真も一緒に搬送されたけど、特に傷もないからって返されてたよ。今は‥‥警察署かな?」
「警察!?なんでそんなところに!?まさか‥‥。」
「違う違う、正体がバレたんじゃなくてこれ!」
自分達の正体がバレたのかと青ざめる輝の背中を宥めるように小春はどこからか新聞記事を取り出し輝にみせる。
「なになに‥‥『誘拐の容疑で七里 陽平(しちりようへい)容疑者逮捕』?これ!?」
「輝が倒れてた所に一緒に気絶してた人みたい。なんか、色んな人を誘拐してたって自白したらしいよ。はい、りんご。」
りんごを剥き終わり、綺麗にカットしてお皿に盛り付け差し出す小春。
「ありがとう。」
「なんか『ガイアメモリ』?とかいうのを使ってて、遠くの風都から専門の部が来てるんだって〜。」
「へー、あっこれ美味しい。」
「でしょ!‥‥奨真はそこで事情聴取中。輝も目覚めたから後々来るよ多分。」
「まじかー‥‥ま、一応現場に居たんだもんなぁ‥‥。」
そう言って頭を抱える輝。一方奨真は‥‥
[沢目警察署外]
「はぁぁぁぁぁぁ‥‥‥疲れた‥。」
警察署から出てきた奨真は大きく伸びをする。
「まさかこんなに拘束されるとは‥‥あの刑事さんしつこかったな‥‥。」
この2日間、特に怪我のなかった奨真は取調べで絞られていた。疑われている理由としては奨真や輝が共犯者なのではないかという事。必死に否定するも、赤いレザージャケットを着た刑事に詰められ、あわや逮捕かと思いきや犯人の自白により単独犯が確定し、無事解放されたのだった。
「さてと‥‥帰るか〜〜。」
伸びをした後目を開けると、目の前の道路に白の軽が急停車する。
「へ?」
勢いよくドアが開き、中から女性がこちらへ走ってくる。
「おいおいおいおいおい!!」
「奨〜〜真!!」
そう言いながら女性は奨真に抱きついた。
「か、母さん!?なんでここに!?」
抱きついてきたのは奨真の母親である桐生 佐江(きりゅう さえ)だった。
「なんでって、あんたが搬送されたって連絡が来たから急いで駆けつけたんじゃない!もう!大丈夫なの!?」
「大丈夫大丈夫。搬送されたって言ったって倒れてただけで怪我はないよ。」
「そっか〜〜、良かった〜。」
「‥‥‥ごめん、心配かけて。」
佐江の心底嬉しそうな様子を見て突然罪悪感が湧いた奨真はぺこりと頭を下げる。
「いいわよ、無事だってわかったんだし。ほら、家に帰ろう!」
「‥‥母さん、仕事は大丈夫なの?」
「1週間の有給貰ったの、だから後何日かはこっちにいられるわ。ほら、帰るよ!」
「‥‥はーい。」
そう答え、奨真も車に乗ると車は走り去っていった。
[警察署内 同時刻]
「照井警視、事情聴取、こちらも終わりました。」
「そうか、ご苦労だった。あとは俺がやろう。」
「はっ!失礼します!」
そう言って警官が去ると、照井と呼ばれた刑事は目の前の容疑者に目を向ける。椅子に座るその男はどこか虚な顔で空を見ている。
「‥‥っ!貴様にガイアメモリを渡した人間は誰だ!貴様はどこからあれを手に入れた!」
焦りからか机を叩く照井、しかし男はなにも反応を示さずただ空を見つめている。
「‥‥話さないのならばいい、貴様を風都に護送してから必ず見つけ出す。」
そう言い放ち踵を返して部屋の扉を開ける照井。すると、
「‥‥刑事さん‥‥神様ってのはさぁいるんだなぁ‥‥。」
「何っ?」
突然喋り出した男の言葉に照井は振り返る。
「何を言っている?」
「‥‥神様がさぁ、俺に言ったんだよ。『もう直ぐ人類は滅亡する、だから生き残っていい人間を選抜する。君にはその手伝いをしてもらいたい』って!!」
「なんだと!?おい、おい!」
そこまで話し高笑いをした男はぐったりと首を落とす。照井は急いで男を揺さぶるが、男はもう気を失っており、照井は急いで部屋を出ていくのだった。
[翌日 貴虎邸]
リビングでは貴虎、光実、戦兎の3人がテーブルを囲んでいた。
「うーん!美味しい!」
「そうか、それは良かった。」
「こんなに美味しい物を食べさせてもらって、居座らせてもらってて‥‥本当にいいのかな?」
「いいんですよ、戦兎さんはもう僕たちの仲間ですから。ね、兄さん。」
「あぁ、勿論だ。」
貴虎がそう言うと、外からパン、パン、と空砲が鳴る音が聞こえる。
「おや、今日は開催するらしいな。」
「なんです?さっきの音は?」
聞き慣れない音に光実と戦兎が首を傾げる。
「さっきのは奨真君達の高校の空砲だろう。今日が体育祭らしいからな。」
「体育祭かぁ‥懐かしいな。」
「なんだ、光実も混ざってくるか?」
「兄さん!!」
貴虎に揶揄われ、光実が反論すると、邸内は笑いに包まれるのだった。
そのころ、奨真は‥‥
[同時刻 歩道]
「まずいまずいまずい!遅刻だよ遅刻!」
高校に向けひた走っていた。丁字路に差し掛かると、別の道から真が走ってくる。
「おっ!奨真。おはよう!」
「おはよう真お前も遅刻か!」
走りながら挨拶を交わすと真は奨真と並走し始める。
「まさか今日が楽しみで眠れないなんて思わなかったんだよ!」
「‥‥お前、随分子供っぽい理由だな‥‥。」
「子供っぽいって言うな!」
言い争いながら2人は速度を上げ、校門へと滑り込む。
「ふぅー、って着替えないと!」
「あっ!奨真!待てよ!!」
一息つく暇もなく2人は校舎へ駆け込み無人のクラスへ入る。
「‥‥なぁ奨真。」
「ん?どした?」
「‥‥良かったよな、体育祭。決行できて。」
「そーだな。まぁ、俺はほとんど何もしてないけど。」
結局仕事は任せきりだったな、と奨真は着替えながら思う。
「そんなわけないだろ!あの時奨真が戦ってくれなきゃ、俺たちどうなってたか‥‥。」
着替え終わり、手を止める真。
「どうしたんだよ急に。」
奨真も手を止め、真の方を見る。
「いや‥‥あの時はありがとうな。お前がいなきゃ、俺達はここに居なかったかもしれないし‥‥。」
その時のことを思いだし、真は改めて礼を言う。
「俺は、あの時俺にできる事をやっただけだからさ、、、」
「でも!もし何かあったら俺達を頼ってくれよ?」
「‥‥あぁ、勿論。真っ先に相談するに決まってるだろ!」
そう答えると、奨真は真と共に外へと出て行った。
[数時間後]
開会式を終え、奨真はトラックのレーンに立っていた。
「奨真ー!がんばれー!」
「奨真頑張ってー!」
「おー、頑張りまーす。」
輝や小春の応援に手をあげて答えると、100メートル走のためピョンと飛びながら体を動かす。
「位置について!」
「よーし。」
その声に合わせ、奨真はスタートの体制をとると、ピストルと共に走り出した。
スタートダッシュが成功し、5人いるうちの3番目で走り出す。
「(いける!このペースなら一位とは行かなくても!)』
コーナーを目前に、前の陸上部2人の背中を追いながらスピードを上げる奨真。
コーナーを曲がりきり、ゴールテープを視界に収める‥‥
[数分後 教室]
「痛い痛い!もう少し優しくさぁ‥‥。」
「しょーがないでしょ!これでも優しくしてるんだから。はい、終わり。」
あの後、ゴール前で盛大に転び膝を怪我した上ビリでゴールをした奨真は、2人きりの教室で小春に傷の消毒をしてもらっていた。
「まさかあそこで転ぶなんてね〜。みんな頭抱えてたよー。」
「‥‥返す言葉も御座いません‥‥。」
「うそうそ、そんなに気にしないで!まだ種目はあるんだし!」
「‥‥そうだな‥‥。」
そう2人が話していると、誰かが階段を登ってくる音がする。
「あっ!輝が来たんじゃない?」
2人がドアの方を向いていると、そのドアが開く。そこにはいつぞや奨真が助けた中学生くらいの女の子が立っていた。
「「??」」
突然の事態に口をポカンと上げる2人。それをよそに、女の子はキョロキョロと教室を見回す。
「な、なぁ、うちの体育祭って外部の人立ち入り禁止だよな?」
「そ、そうだね。どこから入ってきたのかな?」
「何処の子なんだ?まぁいいや、とりあえず声かけてくる。」
そう言って、奨真は女の子に近づいて行く。女の子は奨真を見つけると、奨真をじっと見つめる。奨真が後一歩の所まで近づくと、階段から突然大勢が駆け上がってくるような音がする。
「な、なんだ!?な、なぁ君。なんでここに‥‥」
「‥‥お兄さんが、桐生さんだったんだ。」
「えっ?‥‥あ、あぁ。」
先程の様子と打って変わって、静かにそう問う女の子に奨真は驚きながらもそう返す。その間にも足音は駆け上がって来ている。
「なんで俺の名前‥‥。」
「じゃあお兄さん‥‥敵だね。」
「っ!!」
少女から突然放たれる気迫に気圧され、数歩後ずさる奨真。
「敵?まさか‥‥小春逃げろ!」
「えっ!?」
「逃さないよ。」
その言葉と同時に階段の足音が止まり、黄金に塗装された機械兵士達が現れる。
「くっそ!」
奨真は小春に駆け寄ると、戦国ドライバーを懐から取り出す。しかし、
「お兄さんの相手は私がする。」
「それは‥‥!」
少女が懐から取り出したのは真紅のゲネシスドライバー。それを装着し、パチパチとスパークを纏ったロックシードを解錠。
『ライトニングエナジー!!』
『ロック‥オン!』
少女の頭上からスパーク纏う黄色いアーマーが降りてくる。
「変身」
そう言ってくるりと1回転し、シーボルコンプレッサーを押し込む。
『ソーダー!』
『ライトニングエナジーアームズ!!』
稲妻の形をしたアーマーが降下し、ライドウェアに被さり、完全に開く。
「‥‥私は紫電。お兄さん、かかって来なよ。」
稲妻を纏ったライダーは不敵に言い放った。