オリ主の人物像も、投稿してるISのオリ主からある程度取っています。
「ふむ…」
ここはネオ童実野シティ。
そこに肩まで伸ばした黒髪で、デュエルアカデミアの制服を身に付けた少年――
突然であるが、彼は異分子である。
数年前、どこから転移して来た人間だ。
どこからかというのも、本人がどこから来たか分かっていないからだ。
ようするに彼自身、元の世界にいたことはあまり覚えていない。今でこそ、デュエリストを養成する施設であるデュエルアカデミアに通っていられるが、こうなる前は色々とあった。運が良かったとしか言いようがない出来事があったため、”この世界においての”普通の生活を送れているのだが――その辺りは後々に。
ただその普通の生活を手に入れた代償というべきなのか、元の世界の事を忘れてしまっていた。
元々覚えていることが少なかったのだろうが、”今”を生きるのに必死だったということか、はたまたそれが単純にどうでもよかったからか、今となっては自分が過去にどの程度覚えていたかすら、忘れてしまっている有様だ。――デュエルモンスターズはルールを覚えようとしていたことは、覚えているのだが。
そんな彼は歩きながら、端末を片手にディスプレイを見ている。
「…現在建設中のサテライトとシティを繋ぐ連絡橋――ネオダイダロスブリッジへの批判の声多数、か。橋を設けた際の問題点についてはどうするか対策もできてきたが、それでも納得はしない者が出ているわけか」
『というより、単純に橋を設けてほしくないんじゃない?』
彼へと声がかかる。だが、彼の近くに話しかけて来ている
その声に対しての仭の反応は驚きではなく、また返答でもなく、無視であった。
『ちょっとー無視ー?』
「…………」
不満げな声がかかるも、未だ反応はない。
持っていた端末のディスプレイを消し、今度は携帯端末を取りだした。そしてそれを耳へと付ける。
「やはりそう思うか?」
『…ああ、なるほどね』
周囲を見渡せば、近くにというわけではないものの人がある程度いる。
『面倒じゃないの?』
「仕方がないだろう。お前にとってはどうでもよくても俺にとってはある程度意味のあることだ」
世間体を守られるという意味が。
「しかし、ネオダイダロスブリッジの建設とやらはどうなるのやら。行方知れずとなった治安維持局のゴドウィン長官が薦めていたと聞くが」
『まあ、詳しいことは分からないけど、建設が進んでいる以上何とかなるんじゃない? 反対する人達とかについては難しいだろうけど』
「先の記事を見た限り、住民からも存外反対の声が多かったわけだしな」
その理由は想像は付く。少なからず、サテライトに対してのイメージからだろう。
サテライト。それはネオ童実野シティの最下層に存在する、身分の低い者の居住区である。
雰囲気としてはスラム街その物で、ネオ童実野シティの上層であるここシティから、犯罪者等がサテライトに送られているため、そこに住む者を卑下するシティの住人は多い。
だが、シティなどの繁栄を支える存在であるため、サテライトはなくてはならない存在ではある。
『ところで仭はどう思うの?』
「何が」
『シティとサテライトが繋がることについて』
ちなみにだがシティとサテライトは隔離されている。この物理的な隔離をなくすために、連絡橋を現在建設中というわけだ。どうしていきなりそんなことになったかは、分からないが。
「…無関心というのが正直な所だな」
『えっ? その割にはどうなるか気になってない?』
「言い方が悪かった。どうなるかは気になる所ではあるが、繋がろうが繋がらなかろうが、学生の身である俺には関係ないという意味だ」
『ようするに結果は気になるけど、それが良い結果だろうと悪い結果だろうとどうでもいいってことでしょ?』
「概ねそのような解釈でいい。橋の建設が進んでいようがいまいが、俺がアカデミアへ通うのに変わりはないし、完成したところでさほど影響もない筈だ」
政治に疎く、選挙権も与えられていない学生が、政治家の誰が当選しようが関係ない(どうでもいい)と思っているのと同じような感じだと付け加えながら、その指摘に同意する。
『けど、今は関係なくても未来に関係あるかもしれないじゃない?』
「そんなのはその状況になってから考えればいい」
『それもそうね。…ところで今日デュエルの定期試験だけど、大丈夫?』
「唐突に話題変えたな」
デュエルアカデミアでは一般教科による定期試験とは別にデュエルモンスターズについての定期試験がある。
「予習復習は欠かさないし、デッキも調整したから筆記も実技も問題はない。それはお前が良く知ってるだろう」
『それもそうね』
そう言って端末をしまい――横に浮いている自分以外には見えないであろう幽霊のような存在との会話を終わらせ、自分が通うデュエルアカデミアの門を通った。
筆記試験後。
『で、どうだったの?』
「少なからず、赤点はない。後は実技だけだ」
時は経ち、場所は食堂。
そこで昼食を食べ終えた仭は、茶を飲んでいる。
『というかさ、毎回テストの度に私を隔離するの止めてくれない?』
「間違ってはいないが、表現が問題だぞ。
『いくら”カードの精霊”で他の人に見えないからって、そんなことしないわよー。何度も言ってるじゃない』
それを聞いて怪訝な表情をしながら、視線の先の少女――リチュア・エリアルを見る。
澄んだ蒼い目に水色の髪をした魔法使いは、机に乗りかかって此方を上目遣いで見上げている。
男であるならば心が揺らぐであろう姿。だが、
「駄目だ。暇だからと(テスト中に)余計なことを言ってくる場面しか想像できない」
『そんな~』
悲しそうな表情をするエリアルをどうでもよさげに見ながら茶を啜る仭。ちなみにだが世間体を気にするが故に耐えているのではなく、まったくの素である。
『うう、酷いよご主人様~』
「やめろ。きもい」
『女の子にきもい!?』
もう既に察しがついているだろうが、目の前にいるリチュア・エリアルは仭の持つカードに宿っている精霊だ。精霊は種類?によっては会話をすることができる。
もちろん仭は携帯端末を耳に付けているので、ある程度誤魔化そうとしている。現在周囲は此方(仭)の声など耳に入っていないようなのだが。
(しかしネガティブな空気だなぁ。切り替えるべきだろうに)
目の前でぎゃーぎゃー騒いでいるエリアルを無視しながら、周囲を見渡す。テストの出来が悪かった人物が多いからか、かなりネガティブな空気になっており、時折『もう駄目だ』『終わった』などと声が上がる。
故に誰も近づきたくないと席が一部空いていたのだろう。
『本当に何でそんな酷いことを言うの! 普通私みたいな美少女から”ご主人様”って呼ばれたら多少は喜べるものでしょ!?』
(だって狙ってるとしか思えないんだものナルシスト。お前の性格上)
『あっ、何。その『狙ってるだけだろ。このナルシスト』って顔!』
(凄いな。ほぼ正解だよ)
『って私はナルシストじゃないわよ!』
「いや、知ってるよ」
無視を決め込んでいたというのに、思わず素で返答してしまった。それにエリアルがにやりと笑っているのを見て、しまったと思う。
『へぇー。そっかそっか。お姉さんの事本当はそう思ってくれてたのか』
やばい、面倒臭くなってきた。からかい始めたエリアルを見てそう思う。
何も知らない人が見たらどこにからかう要素があったんだと言うだろうが、そこは2人の普段の関係にある。普段からというわけではないが、彼女は自分を美少女と称しながら(間違ってはいないが)仭をからかう。そしてその度にナルシストだとかそんな風に返していたのだが。
『そうだよねぇ。やっぱり私みたいな美少女に――』
「折るぞ?」
『ごめんなさいごめんなさいごめんなさい』
何を年上ぶっているのだろうこいつは。少なからず精神面で言えば自分とそう大差はないだろうに。そんないつもよりうざったくからかってくる程に暇なのか。
周囲の雰囲気も相まって、エリアルがうざくなりそうだったのでカード(言わずもがなリチュア・エリアル)を折り曲げようとしたら、態度を一変。ひたすら謝ってきた。
これもこれで何かうざいので、筆記試験の時のように箱の中に隔離しておこうかなどと考え始めてると、
『…そういえば周囲の雰囲気、変わらないわね』
「テストの…用語やカードについてとかの”知識”である前半はある程度できたが、後半の”基礎”についてはできなかったんだろうな」
前半は言わずもがなデュエルモンスターズの公式用語やカードの効果などについて。後半はルールについてである。
『中間・期末テストとは別にやるし、そんな範囲が大きいわけでもないはずなんだけどねぇ』
「デュエルモンスターズは、一般教科で言うならば外国語と同じだ。用語やらカードやらルールやらひたすら暗記し、それによってデュエルをできるようにしていく。デュエルモンスターズのルール処理も複雑だからな」
『まあ、でも普段生徒の間で使うことのない英語とかより、デュエルモンスターズの方が皆やるし、まだ覚えやすいから、頭に入ってると思うけどね』
「それもデュエルディスクが優秀だからであってだと思うがな。幼い子供とかでもそれがあってできるわけだし。…で、裏を返せばデュエルディスクが優秀であるから、細かいルールが覚えにくいんだろうが。面倒な処理は全てやってくれるし」
デュエルディスクで優秀であるから、ルールの細かい箇所を覚えにくい。デュエルのルールやカードの効果処理が複雑であるのもあるだろうが、間違ってはいないだろう。
「――と、もう時間か。午後から俺達1年は実技だったな」
1年だけが実技をやるわけだが、これは単純に時間の関係だ。
デュエルアカデミアは3年制で1学年5クラス。1クラス約40名なので計約200名。さらに3学年あるわけだから約600名。
そして体育館で試験を行うわけだが、デュエルフィールドも多いとは言えず、故に午後の時間だけで全員を終わらせられない。そのため1学年だけが午後に実技を行うわけだ。
『ところでさ』
「ん?」
『実技で私を使ってくれない?』
「今度な」
またうるさくなる前に、リチュア・エリアルのカードを箱の中へと入れた。その際に『呪ってやる~!』という声が聞こえたが、普通に聞き流した。
「やっと俺の番か」
体育館。
自分の番が来たため、デュエルリングに立つ仭と相手の男子生徒。
「じゃ、やろうか」
お互いにデュエルディスクを起動して、デッキからカードを5枚引く。
「「デュエル!」」
仭:LP4000
男子生徒:LP4000
ちなみに試験時のデュエルでは時間の関係から幾つか規定があり、1ターンのプレイ時間やターン制限がある。前者の場合は時間を過ぎると敗北となってしまい、また後者の場合はデュエル自体が強制終了となって、その時の有利性などによって勝者と敗者を決める。
「先行は俺だ。ドロー!」
先行は男子生徒。
「カードを2枚伏せ、ターンエンドだ」
モンスターを場に出さず、カードを伏せるだけ。様子見かと思いながらカードをドローする。
「俺のターン、ドロー」
相手の表情を見るも別段焦りなどは見られないことから、手札事故ではない可能性が高い。
手札は悪くはないから、多少強引に進めてしまってもいいだろう。
「炎王獣 ヤクシャを召喚」
炎王獣 ヤクシャ
ATK:1800
夜叉の別名を持つ獣戦士が現れる。攻撃力はそこそこある方だ。
「(さすがに怪しいが…伏せカードを使わせると考えればいいか)ヤクシャでダイレクトアタック」
「くっ…」
男子生徒:LP4000→2200
伏せカードは発動しない。それに怪訝な表情をしながらも、メインフェイズ2に移行する。
「…俺はカードを2枚伏せ、さらに永続魔法 補給部隊を発動。これで「おっと待った。速攻魔法 スケープ・ゴート! 羊トークンを4体特殊召喚する!」
羊トークン
DEF:0
相手の場に今更ながら羊トークンが4体特殊召喚される。そのプレイングに周囲が少し騒めく中、仭は苦い表情を浮かべていた。
「…あー、そういうことか。ターンエンド」
仭 LP4000
手札2
・モンスター
炎王獣 バロン
・魔法・罠
補給部隊
伏せ2
男子生徒 LP2200
手札4
・モンスター
羊トークン×4
・魔法・罠
伏せ1
「俺のターン、ドロー! ロード・オブ・ドラゴン-ドラゴンの支配者-を召喚!」
ロード・オブ・ドラゴン-ドラゴンの支配者-
ATK:1200
ドラゴン族を支配する力を持った魔術師。フィールド上のドラゴン族モンスターを魔法・罠・効果モンスターの効果の対象にできなくするモンスターだ。
「そしてトラップ発動、竜の血族! エンドフェイズ時まで俺のフィールド上のモンスターは、ドラゴン族になる」
ドラゴンの支配者と羊トークンがドラゴン族へとしていくのを見ながら、やはりかと思う。
「さらに融合を発動! 手札のトライホーン・ドラゴンとフィールド上のドラゴン族となった羊トークンを素材とし、
F・G・D
ATK:5000
フィールドと手札から、合わせて5体のドラゴン族が渦に飲み込まれ、5頭の首を持つ竜が現れる。
全モンスター最大の固定ステータスを持つモンスターを前に、予想していた展開というのもあって仭はまったく驚いていない。むしろ手札事故が起こりやすいコンボだというのによく序盤で融合召喚できたなぁと、現実的な懸念をしていた。
「いくらステータスが高くてもな。トラップ発動、激流葬。フィールド上のモンスターをすべて破壊する」
「なっ!?」
激流葬のカードから激流が溢れ出て、ヤクシャとドラゴンの支配者、F・G・Dはそれに呑まれて破壊された。
「召喚に反応する罠だとは思ってたが、激流葬だったか…」
「単体除去系のカードであれば支配者で対応できたんだろうが、残念だったな。…手札の炎王獣 ガルドニクス、破壊されたヤクシャ、補給部隊の効果発動。デッキからカードを1枚ドロー、ヤクシャの効果で手札を1枚破壊、ガルドニクスをフィールドに特殊召喚」
炎王獣 ガルドニクス
DEF:1700
「で、まだお前のターンだ」
「くっ、カードを2枚伏せ、ターンエンドだ」
(また伏せカード。これで手札は0だし、モンスターがいないという意味では事故っていたのかな)
そんなことを思いながら、カードをドローする。
「スタンバイフェイズ、ヤクシャの効果で手札から破壊された炎王神獣 ガルドニクスの効果発動。フィールドに蘇り、このカード以外のモンスターを一掃する」
炎王神獣 ガルドニクス
ATK:2700
炎王獣 ガルドニクスの成体であるガルドニクスが現れ、フィールド上を炎で包み込み、自身以外の存在を許さない。
「さて、届くかな。ガルドニクスでダイレクトアタック」
「トラップ発動、和睦の使者! このターン戦闘ダメージを受けない」
「和睦か」
ガルドニクスの攻撃を使者達が止める。しかし戦士族や魔法使い族などなら和睦させるのは分かるも、鳥獣族であるガルドニクスを目で訴えかけるだけで止めていたのだから凄い。
デュエル中に思わぬものが見られたことについてはともかくとし。
「まあ、ひとまずトラップ発動、ジェネレーション・チェンジ。ガルドニクスを破壊して、デッキから同名カードを手札に加える」
「何?」
フィールド上のガルドニクスが爆発し、デッキから2体目のガルドニクスが仭の手札に加わる。
「うん、カードを1枚伏せてターンエンドだ」
仭 LP4000
手札3(炎王神獣 ガルドニクス)
・モンスター
なし
・魔法・罠
補給部隊
伏せ1
男子生徒 LP2200
手札0
・モンスター
なし
・魔法・罠
伏せ1
「俺のターン、ドロー!」
「スタンバイフェイズ。蘇れ、ガルドニクス」
炎王神獣 ガルドニクス
ATK:2700
再びガルドニクスが現れ、フィールド上を炎で包み込む。
しかし相手は手札がドローしたカード1枚の状況で攻撃力2700の壁が現れたというのに、表情には苦悶などが見られない。どうやらドローしたカードか、伏せカードが起死回生のカードであるらしい。
「墓地に闇属性モンスターが3体。よってダーク・アームド・ドラゴンを特殊召喚!」
「…この状況でダーク・アームド・ドラゴンか」
ダーク・アームド・ドラゴン
ATK:2800
そしてそれは前者であった。
黒い鎧を纏った竜が咆哮を轟かせながら、炎王獣の頂点と相対する。その効果は墓地の闇属性モンスターをコストにフィールド上のカードを破壊する起動効果。ターン制約もない。
(この状況でまさかDADとはな)
厄介なモンスターではある。あるのだが、仭は脅威というより手札0の状況での通常ドローで引いたかという方が勝っていたりする。
「墓地の闇属性のF・G・Dを除外して、その伏せカードを破壊する。ダーク・ジェノサイド・カッター!」
身体に付いている剣をカッターのように飛ばし、伏せカードを破壊しようとするが、その前にそれは発動される。
「トラップ発動、リビングデッドの呼び声。墓地のヤクシャを蘇生」
ダーク・アームド・ドラゴンの効果によってリビングデッドの呼び声が破壊され、ヤクシャも破壊される。
「補給部隊の効果で1枚ドロー…ヤクシャの効果で手札を1枚破壊」
「さらにダーク・アームド・ドラゴンの効果発動! 墓地のトライホーン・ドラゴンを除外して、炎王神獣 ガルドニクスを破壊! ダーク・ジェノサイド・カッター!」
「おお?」
再び効果が発動され、ガルドニクスは破壊される。そして相手はがら空きとなったフィールドへさらに畳みかける。
「ダーク・アームド・ドラゴンでダイレクトアタック! ダーク・アームド・ヴァニッシャー!!」
仭:LP4000→1200
「ターンエンドだ」
そして仭にターン、効果で破壊されたガルドニクスが復活する。かと思いきや、
「さて、スタンフェイズ、ネフティスの鳳凰神を蘇生」
「はぁっ!?」
ネフティスの鳳凰神
ATK:2400
蘇ったのはネフティスの名を持つ鳳凰であった。
「い、いつの間に…」
「いや、いつの間にというか、さっきのヤクシャの効果でまた手札破壊した時、ガルドニクスじゃなくネフティスの鳳凰神を破壊しただけなんだがな」
確かにいつの間にというほどではなく、ただ相手が勝手に勘違いしてだけだ。だが、ジェネレーションチェンジで2体目のガルドニクスを手札に加えたがために、ヤクシャの2度目の効果時に2体目のガルドニクスを手札から破壊したと思い込んでしまうのは無理のないことである。
「で、ネフティスの鳳凰神の効果でフィールド上の魔法・罠を一掃」
ネフティスの鳳凰神が爆風を巻き起こし、フィールド上の魔法・罠を破壊しつくす。
「ぐっ、安全地帯が…」
「なるほど。それで守れるから効果でガルドニクスを破壊したと。…効果がそれぞれチェーンを組まずに1つずつ発動するため、続いてガルドニクスも蘇生。今度はフィールド上のモンスターを一掃だ」
フィールドが炎で包み込まれ、残るはガルドニクスただ1体のみ。
「畜生……」
「ひとまず除去系に警戒するのを考える所から出直して来い。ガルドニクスでダイレクトアタック」
男子生徒:LP2200→0
決着は付いた。
誰もいない廊下で、仭はエリアルを箱から出す。うるさくなるが、放っていたら放っておいたらでまたうるさいのだ。
さて、何を言われるかと思いながら箱を開けると――
『呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる――』
「…………」
エリアルの後ろ姿が仭の前で見えるようになる。それと同時に『呪ってやる』と延々口に出してきた。
箱に
『これでデュエルの時に連続で26回、私が入ったデッキを使ってくれなかった』
(そんな使ってなかったか?)
思い起こすが―――存外間違っていないかもしれない。
ちなみにだが、仭は複数のデッキを使いまわすデュエリストである。
『私もそれなりに暇なのに…出番だって欲しいのに…』
(ああ……)
それを聞いた仭の心の内は、エリアルに対する申し訳なさなどの罪悪感――
(後何回放置してやったら、土下座する勢いでこいつ自ら頼み込んでくるだろうか)
とは果てしなく程遠かった。
(いや、だがこれ以上はまずいか? 報復をさせられる可能性があるしな…)
報復というが、エリアルは別段実体化することができるわけではない。
だというのに報復させられると思っているのは、エリアルが機嫌が悪い時には何故か腹痛が起こったり、悪夢を見るということなどが起こっているからである。
本人に確認したわけではない。エリアルが機嫌が悪い時に限って腹痛が起こったり、悪夢を見るわけではない。だが、仭はエリアルの仕業だろうと思っていた。
まあ、こんなことが起こらないようにするなら仭がエリアル(の入ったデッキ)を使ってやれば済む話なのだが、エリアルによる(かもしれない)報復を根に持って(それだけではないが)いるため、使おうとしない。よってまた報復が起こり、また使わない時期が長引く。
これが延々と続いているというわけでもないが、どっちもどっちである。
(少し様子を見るか)
ひとまず次のデュエルにエリアルの入ったデッキを使うか否かについては、今後によってで自己解決した。
(さて、とりあえず観客席に行くかな)
そしてエリアルが未だ怨念の籠った言葉を発しながら、おそらくは手帳であろう物に何か書いている音に聞こえぬふりをしながら、仭は体育館の観客席へと向かった。
色々急な気がしますが、ご容赦お願いします。
オリ主などの詳しい説明は話をかけて説明してくので。
仭「は? 今日の最強カード? いや、それ以前にまずやるのか?」
エリアル『やるみたい。一応主人公なんだからしっかり決めてよ』
仭「はいはい。んー、やっぱ炎王神獣 ガルドニクスになるのかな。最上級モンスターの中では単体の能力が極めて高い部類に入るし、除去されても大抵次のスタンバイフェイズで復活してモンスターを一掃する」
エリアル『基本的に除去カードは破壊系が多いしね。おまけに戦闘で破壊されても大抵後続を残せるという良い子よ』
仭「弱点としてはやはり破壊され、なおかつ墓地に送られなければならないから、大雑把な例としては奈落の落とし穴とか道連れには効果を発揮できない。効果を発揮したいならやられる前にチェーンして此方から破壊することになるな」
仭「そしてネフティスの鳳凰神と組み合わせれば、本編でやったように魔法・罠・モンスターを一掃できるし、ガルドニクスを2枚なら毎ターンにブラック・ホールが発動されて、攻撃力2700のアタッカーが残る。ガルドニクスとネフティスを系3枚組み合わせたりすると…まあ、さらにえらいことになったりだ」
エリアル『凶悪よね。…ところでさ』
仭「ん?」
エリアル『普通精霊持ちの主人公が最初にデュエルするんだったら、その精霊のカードが入ったデッキ使うものじゃない!?』
仭「あー、大丈夫だ。(渋々)次話は使うことになる。多分きっとおそらく」
エリアル『頼むわよ本当に』
仭「長引いたな。ではこの辺で」