天才は妖精の尻尾にいる。   作:田中滅

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この作品のコンセプトは賑やかな雰囲気と時にシリアスな雰囲気を混ぜ合わせたギャグ系シリアスコメディです(コメディ:9 シリアス:1)


第八話 天才くん、潜入する

「失礼しまぁす。金髪のメイドさん募集のチラシを見てきましたぁ〜」

 

「すいませ〜ん!誰かいませんか〜!居たら返事してくださ〜い!さもないと、玄関に爆発の魔力を封入した魔水晶(ラクリマ)を投げ込みますよ〜!」

 

エバルー公爵邸の前で裏声を出しながら、メイド作戦を実行するルーシィ。そして、趣旨を理解しているとは言い難いマナツの手には魔水晶(ラクリマ)が握られていた

 

「ちょっと、マナに何を持たせてるのよ」

 

「護身用だよー。マナツに何かあると心配だからねー」

 

「流石はマキナだな!気配り上手だ!」

 

「あい!」

 

「いやぁ〜……なんたって、ボクは天才だからね〜」

 

「博士。今の何処に天才が関係あるんですか?」

 

物陰から様子を伺いながら、マナツの手にある魔水晶(ラクリマ)にリアンが難色を示すがナツには高評価だったらしく、褒められたことで照れるマキナが天才と口にする姿にデウスの突っ込みが飛ぶ

 

「聞くだけ無駄だろ。というか、マナツはよく分かってねぇのが丸わかりだがよ……ルーシィのヤツは顔に中身が出過ぎじゃねぇか?見ろよ、かなりの悪人面だぜ」

 

「女としての定義を知らないのよ。秘密を着飾るっていう定義をね」

 

「リアンはメスじゃないかなー?」

 

「引きちぎるわよ」

 

「なにを?」

 

呆れた様子のエクスはルーシィの表情から彼女の心中を感じ取り、軽いため息を吐くすると、リアンが女の定義を語り出し、マキナがメスであると突っ込みを入れるも、即座に彼女は謎文句で反論する

 

「………ルーシィ!警戒して!地面の下になんかいる!!」

 

「えっ?なんかって---ひっ!?な、なに!?」

 

刹那、何かを感じ取ったマナツに呼び掛けられ、周囲を警戒しようとしたルーシィであったが時既に遅かった。彼女の前方から地面を粉砕する様に一つの影が飛び出したのだ

 

「メイド募集?広告を見てきたのね」

 

「は……はい」

 

(スコル?あれでもスコルは男の子だよね?というかよく見たら違う気が……ああ、全然似てなかった)

 

影基巨漢メイドの問い掛けにルーシィは震えながらも返事を返すが、マナツは彼女を見ながら別の事を考えている為に動じてすらいなかった

 

「ご主人様!募集広告を見て来たそうですが!?」

 

「ボヨヨーン!我輩を呼んだかね?」

 

メイドが叫んだ瞬間、穴の下から頷く声が聞こえた。疑問符を浮かべつつも待っていると、ヒゲを生やした変人としか呼べない男が飛び出す

 

「モグラかな?と思ったら、ヒゲのおっさんかなー」

 

「あのヒゲを引きちぎってやりたいわね」

 

「ボヨボヨとうるせぇな。あの髪型も変だしよ」

 

「博士もリアンも、それにエクスも初対面の方に失礼ですよ。モグラにも敬意を払わねば」

 

「あい!モグラって喋れたんだね」

 

「すげぇんだなー!モグラって!」

 

(何処をどう見たらモグラに見えるのよ!?あれ?そういえば……マナツは?)

 

「………」

 

(なんかめっちゃ見てる!?えっ!なにやってんの!?この子は!)

 

変人基エバルーに対するマキナたちの感想に心中で突っ込みを放ちながらも、ルーシィは隣にいた筈のマナツの姿が見えない事に気付き、辺りを見回すと彼女はエバルーの顔面を凝視していた

 

「…………」

 

「なんだ?娘。我輩の偉さに見惚れているのか?ブス(・・)で寂しい乳をしておるが見る目はあるようだな」

 

初めて見る珍妙な生き物を観察していたマナツ。だが彼女の中にあった筈の好奇心は即座に聞き捨てならない禁句で怒りに変貌し、ピキッと何かが音を立てた

 

「ウルセェ!ヒゲを毟るぞ!!モグラヤローが!!誰の胸が絶壁だ!?」

 

「雇い主に喧嘩を売るメイドがいるかぁ!!趣旨をわかってんの!?アンタは!」

 

雇い主に喧嘩を売り始めるマナツは頭に突っ込みと共にチョップが放たれる

 

「だって!アタシの事を絶壁呼ばわりしたんだよっ!?」

 

「だとしてもよ!ごめんなさぁ〜い、この子は胸囲にシビアなんですぅ。許してあげてくださいね?」

 

「なんだ?お前は。ブス(・・)のくせに我輩に馴れ馴れしいな」

 

「マナツ!ヒゲ毟ってやんなさい!!こんなおっさん!!」

 

「ねぇ?ルーシィは数秒前にアタシに言った事を覚えてないの?」

 

下手に出ていた筈のルーシィまでも自分の容姿を酷評され、怒りを露わにするが側から見ていたマナツは我に帰ると彼女に数秒前の言葉を問い掛ける

 

「ケースバイケースよ」

 

「うわぁ……」

 

「帰れ!ブスども!」

 

「「んだとコラァァ!!」」

 

「帰りなさい!ブスども!!」

 

またしても容姿を酷評されたルーシィとマナツはエバルーに飛び掛かろうとするが、彼を守る様に飛び出しメイドに首根っこを捕まれ、屋敷から叩き出された

 

「全く、最近の女子は教育がなっておらん!我輩の様な偉〜〜〜〜〜い男には……彼女たちの様な美しい娘しか似合わないのだよ」

 

「全くですわ。ご主人様」

 

叩き出したマナツとルーシィを前に穴から姿を見せた明らかに美人とは呼び難いメイドを侍らせ、去っていく

 

「うぅっ……ブスって……しかも絶壁って……うわぁぁぁん!許さないもん!絶対に許してやんないだからァァァァ!!」

 

「可哀想なマナ……ほら、プリンあるわよ?食べなさい」

 

「ふみゅ……もぐもぐ…」

 

自尊心を傷付けられ、泣き喚く幼女(マナツ)。彼女を慰めていたリアンがプリンを差し出すと素早い動作で奪い取り、小動物の如く頬張り始めた

 

「えっ……なに……可愛い…」

 

「ふみゅ……はぐはぐ…」

 

「分かるわよ、ルーシィ。マナツの魅力には流石のあたしも敵わないわ…」

 

「あい!これがマナツです」

 

涙目でプリンを食べる愛らしい生物にルーシィは心の奥から、ときめきが湧き出し、気付いた時には彼女の頭を撫でていた

 

「………マナツを泣かせたあのヒゲは許せないかな。ルーシィは兎も角だけど」

 

「だな!マナツの可愛さを理解できねぇヤツはぶっ飛ばさねぇと気がすまねぇ!ルーシィは兎も角!」

 

「兎も角とはなによっ!?…まあそれはそれとして、どうするつもり?またマキナの発明で吹っ飛ばすとかは論外よ……この前のハコベ山では死に掛けたし…」

 

マナツを泣かしたエバルーに対して、怒りが込み上げるマキナとナツ。そして、自分の扱いが明らかに違う事に異議を申し立てながらもルーシィは次なる作戦についての意見を求める

 

「簡単かなー。次はその名も!PROJECT・TOTUGEKIだよー!」

 

「そうだ!略して作戦Tだ!!」

 

「……要するにノープランってわけね…」

 

「博士ですからね……」

 

「作戦ですらねぇな」

 

「ふみゅ……おいしかったー!あれ?今って、なんの時間?」

 

「何時も通りね」

 

「あい!」

 

作戦という名の強行手段に呆れ果てるルーシィを始めとした面々。然し、怒りに燃えた二人には関係等はなかった

手始めに屋上に移動したマキナが物質移動(アポーツ)で全員を屋敷の屋上に移動させ、侵入経路を作り上げる

 

「ねぇ……最初から、こうすれば良かったんじゃない?今更だけど」

 

「ボクはそのつもりだったのに、ルーシィが冗談を間に受けたんじゃないかなー。まぁ、そのおかげで侵入経路に下見とか書庫の場所とかは把握できたけどねー」

 

「アンタだけでもイケたんじゃないの……この依頼…」

 

手際の良いマキナにルーシィが今更感溢れる問いを投げかければ、彼はけらけらと笑いながら、先程のメイド作戦も無駄ではなかった事を告げる。その頭脳明晰な活躍に最初から、彼一人でも可能だったと考え、口にするが彼は首を振る

 

「それは無理かなー。ボクは前にも言ったけど、基本的に物質移動(アポーツ)以外の魔法を使えないんだよー」

 

「ああ…確かに言ってたわね。でも、その為のデウスとエクスでしょ?」

 

「それはそうだけどね、頼るだけが魔科学(・・・)じゃないよ。ボクが魔科学を生み出したのは、魔法と科学が一つになる事で新しい何かが生まれると思ったからなんだ。デウスとエクスも元を辿れば、戦力不足を補う為に発明した機械だけど……今はボクの大切な家族(・・)だよ。だから、二人が傷付くのは個人的に好きじゃないんだよね」

 

魔科学を生み出した理由、其れは彼也の考えがあった事を知り、ルーシィは自分が言った事に対しての心の無さに急に我に返った様な気分になった

 

「は、博士……」

 

「感動させやがるぜ…」

 

「マキナって…本当は良い子なのね…」

 

「まぁ、最悪の場合は誰かを囮に逃げればいいかなーと思ってるんだけど……」

 

「「「感動を返せっ!!」」」

 

「ぐもっ!?」

 

優しい心に涙を流すデウスとエクス、ルーシィ。然し、その涙は小声で放たれた彼の発言で引っ込み、蹴りと体当たりが放たれた

 

「おっ!空いた。そうだ!ついでにアイツのクローゼットに忍び込んで、スーツとか燃やしてやるか!マナツを泣かせたんだから、それくらいはしねぇとな!」

 

「わぁ!すごーい!さすがはアニキだね!アタシもなんかやりたいなぁ〜……あっ!壁に落書きしてやろぉ〜っと!」

 

「なら、あたしは壁で爪を研いでやるわ」

 

「おいらも〜」

 

「あたしはそうね……靴を隠してやるわ!」

 

「小さい…小さすぎるかなー。やるなら、出会い頭に眼球を突き刺すくらいはしないとダメだよー」

 

「「「怖いわっ!!!」」」

 

屋敷の中に忍び込み、エバルーへの仕返しを話し合っていた面々。その小さい考えに呆れた眼差しを向けるマキナであったが、何時もと変わらない笑顔で物騒な事を言い放つ彼に全員からの突っ込みが飛ぶ

 

「この依頼……成功するんですかね?エクス」

 

「さぁな」




エバルー邸に潜入したマキナたち、その前に現れたのはまさかのフライパン!?

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