天才は妖精の尻尾にいる。   作:田中滅

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ウェンディ「前回のあらすじ、新しく妖精の尻尾に入った新人魔導士のウェンディ・マーベルことわたしは……皆さんからの優しい歓迎を受けて、遂に新しい仲間たちと打ち解けることができました。それにマナちゃんやレティちゃんのお友だちのアマノちゃんともお友だちになれちゃいました」

シャルル「ぷいっ……騒がしいだけじゃないの」

スコル「あんだよ、まーだ機嫌悪いのか?オメー」

シャルル「うっさい!このバカオス!」

スコル「誰がバカだ!!筋肉つけろや!筋肉!」

ウェンディ「あわわ…!ケンカはダメだよー!!」

マキナ「因みに今回からは少しコラボ展開が含まれたりするかな」


第八十八話 天才くん、妹弟子に依頼される

「………う〜ん……なんか…いい感じの依頼はないもんかな」

 

「うみゅ?どーしたの?マキナ」

 

ウェンディの加入から一週間が経過した頃、愛用のゴーグルに触れる白衣の少年はリクエストボードの前に佇み、頭を悩ませていた。その様子に気付いたのか、トレードマークの翡翠色の尻尾を揺らした少女が背後から抱きつき、問いを投げかける

 

「いやぁ……最近さぁ…大きめの仕事が続いてたから、研究が疎かになってるんだよね。だから研究資金でも貯めて、モチベーションをあげようと思ったんだ」

 

「へー……モチベーション?ってのはよく分かんないけど、マキナは頑張り屋さんだねー。アタシも一緒に行っていーい?」

 

「いいよー。それでナブ、なんかない?」

 

研究資金を貯める為に依頼を受けようと考えていたマキナは、マナツの同行を求める声に快く承諾した後、リクエストボードの前を彷徨くナブに声を掛けた

 

「そうだなぁ……これはどうだ?山奥に住む剣術家の行方を探してくれって依頼だ」

 

「剣術家ー?マキナみたいに剣使う人のことだね!これって……あり?どしたん?マキナ」

 

ナブが指差した依頼書を見た途端、表情が青ざめるマキナ。その変化に気付いたのか、マナツは首をこてんと傾げた

 

「………山に住む剣術家……いやいや……あの人が行方不明になんかなるワケ……でもなぁ……有り得ないことは有り得ない……。ナブ、依頼人の名前とか分かる?」

 

依頼書の剣術家に心当たりがあるのか、頭を悩ませるマキナは依頼人の名前を問う

 

「依頼人は小さい女の子だったぞ?マキナ兄」

 

「……ホントに?ロメオ」

 

その問いに答えたのは、ロメオだった。稀にギルドに顔を出す彼は意外にも周りの状況を把握していることがあり、聞き返すマキナに頷いてみせた

 

「ねーねー、なにがどうしたのー?」

 

「う〜ん………聞いたら、巻き込むよ?というか…巻き込まれるよ?それでもいーい?」

 

「うみゅ?」

 

「どーいうことだ?マキナ兄」

 

煮え切らない態度な上に腕を組むマキナ。マナツもロメオも首を傾げつつ、彼が口を開くのを今か今かと待っていた正にその時だった

 

兄弟子(・・・)……!!兄弟子ですよね!?」

 

「………やっぱりね…」

 

背後から聞こえた声、聞き慣れない声にマナツは疑問符を浮かべるも、マキナは誰であるかに心当たりがあるかのように反応し、ゆっくりと首を動かす

 

「お久しぶりです…!わたしを覚えてますか?覚えてますよね!というか覚えていてもらわないと困ります!」

 

捲し立てるように自分を覚えているかと問う声の主である少女。髪の色や縛る位置に若干の差異は見受けられるが朱色の尻尾(ポニーテール)を揺らす彼女を前にマナツの頬が膨れていく

 

「むぅ…マキナ!だれだれだぁれ!この子は!」

 

何時になく不機嫌な様子で少女が誰かを問うマナツ。その姿は浮気を見付けた妻のようだと後に関係者たちは語った

 

「兄弟子!どなたですか!?この人は!」

 

同様にマナツが誰かを問う少女。その姿は再婚相手を紹介された娘のようだと後に関係者たちは語った

 

「はいはい、顔が近いよー」

 

そして、間に挟まれたマキナは彼女たちの顔を手で押し退けた後に頭のゴーグルに触れる

 

「ん?なんだい、珍しい声がすると思ったら……サザンカ(・・・・)じゃないかい」

 

「姉弟子!お久しぶりです!」

 

少女の声に気付き、カウンターで酔い潰れていたカナが声を掛けると少女基サザンカは嬉しそうに彼女の胸に飛び込んでいく

 

「ホントにだれ!あの子!」

 

「ボクの妹弟子だよ。昔、世話になってた人が修行つけてるんだ」

 

自分の姉貴分までとも親しいサザンカに嫉妬を隠せないマナツが興奮気味に問えば、遂にマキナの口から彼女の素性が明かされた

 

「サザンカ?これは珍しいお客さんだ」

 

「ディンガのアニキもお元気そうで!」

 

「アンタ……この子にアニキって呼ばせてるの?」

 

「呼ばれているという言葉が適切だね」

 

やはりというべきか、マキナのもう一匹の関係者であるディンガとも親しい間柄にあるらしく、律儀に頭を下げたサザンカ。その呼び方に思う所がある様子のリアンがジト目を向ければ、彼は苦笑しながらも頭のガスマスクに触れた

 

「で……なにしにきたの?サザンカ」

 

気乗りしない様子のマキナは煮え切らない気持ちが表情に出る程に嫌そうに問いを投げかける

 

「なんでそんなにイヤそうな顔をするんですか!兄弟子!」

 

「だって…サザンカの頼みを引き受けると厄介ごとに巻き込まれるのがセオリーかな」

 

不機嫌な表情を指摘されても、彼女が持って来る頼み事に関しては誰よりも理解しているが故に表情は一向に変化を見せない

 

「まぁ、聞くだけ聞いてやろうじゃないかい。可愛い妹弟子の頼みだろ?マキナ」

 

「………ネエちゃんがそーいうなら……」

 

如何なる時も姉に逆らうという選択肢を持ち合わせていないマキナは、気乗りはしないがサザンカに視線を落とした

 

「では……実は一週間前に我々の師匠であるサクラ・ティプロンさまが御友人の武術家の方と出稽古に向かったのですが………帰って来ないんです……」

 

サザンカの口にした名前にギルド内が響めきを見せる。意外にも、その名は有名だったらしく、首を傾げているのは数人程度だ

 

「ししょーが?心配しすぎでしょ」

 

「ですが!サクラさまは二日で戻るとおっしゃっていたのですよ!?」

 

呑気なマキナの返しに再び詰め寄るサザンカ。それを再び手で押し退けていると、カウンターの上で胡座を掻いている少年が視界に入った

 

「どーしたの?スコルくん」

 

声を掛けようとした矢先、スコルに一人の少女が話し掛けた。それはギルドの新人であるウェンディ、今まで一人で過ごす時間の多かったスコルにとっては唯一の意味で気兼ねなく話せる存在の一人だ

 

「いや……武術家ってのになんか心当たりがあるよーな気がしてよ。おい、尻尾頭」

 

「誰が尻尾頭ですか!わたしはサザンカです!」

 

頭を掻きながら、少ない記憶を頼りに武術家に該当する人物を思い出したのか、スコルが呼び掛けると呼び方に不満があるサザンカが吠えた

 

「なんでもいーだろ。んでよ、お前ともやしの師匠の知り合いの武術家ってヤツは白くてデケェ虎(・・・・)を連れてたりしなかったか?まさか…」

 

「は、はい……ですがなぜそれを?」

 

何も教えていないのに、サザンカの話していた内容に関係する話題を切り出したスコル。それに面を食らったように彼女は両眼を見開く

 

「その武術家ってのは俺の師匠だ。タイガ・スヴィエート師範、光を纏う光武って技を使うんだ」

 

「サクラ……タイガ……どっかで聞いたよーな……あっ!!前にへーこ世界だっけ?あそこにいた二人だ!」

 

サクラ、タイガ。その名を聞いたような気がしていたマナツは遂に答えに辿り着き、並行世界の友人たちと同じ名であることを思い出す

 

「ああ…確かに似てるかも。名前もおんなじかな」

 

「言われてみりゃあ、師範の虎も名前がツバサだったな。そーいや」

 

同様に並行世界に行ったことのあるマキナとスコルも思い当たる存在が居ることに気付き、似ている部分があることを認めた

 

「なんと…!サクラさまが他の世界に!?どーすればいけるのですか!兄弟子!」

 

「何を勘違いしてるか知らないけど、それはあくまでも並行世界のししょーだから全くの別人かな。それにあっちのサクラはししょーよりも若かったよ」

 

当事者ではないが故に事情を理解してないサザンカを三度手で押し退けながらも説明を忘れないのはマキナ也の配慮だ

 

「ツバサが虎とはねぇ」

 

「やっぱりコーヒー豆とか食べるのかしらね」

 

「食べはしないんじゃないかい?さすがに…」

 

「ツバサ?誰よそれ」

 

友人のネコと同じ名の虎が存在すると知り、感慨深そうにディンガが呟けば、珍しいことにリアンが素っ頓狂なことを言い放つが苦笑気味に突っ込みを返される。その隣ではシャルルが疑問符を浮かべていた

 

「あい!並行世界にいるディンガとリアンの友だちのネコだよ」

 

「まだいるの!?」

 

ハッピー、リアン、ディンガ、トリガーの四匹が存在しているだけでも驚きだったが並行世界に更なる同族の存在を教えられたシャルルは流石に驚愕する

 

「う〜ん……ししょーにスコルのお師匠さんが帰って来ない……ちょっと気になるね」

 

「兄弟子!ということは!」

 

頭の中に浮かぶ師に何かがあったと考えたくはないが、妹弟子からの頼みを無碍にする訳にもいかず、気乗りはしないが頭のゴーグルに触れた。その動作に気付いたサザンカは興奮気味に顔を近づける

 

「受けるよ、仕方ないから……。てなワケでミラ、この依頼を受理してほしいかな」

 

「分かったわ。あら、報酬は……高級わたあめマシンになってるわね」

 

妹弟子の顔を押し退け、カウンターのミラに依頼を渡すと報酬が金銭ではないことを指摘される

 

「サクラさまが兄弟子にあげると言ってましたので、良かれと思って!」

 

「まぁ、研究資金は地道に稼ぐよ。それにちょーど、わたあめマシンの調子が悪かったんだよね」

 

「ねーねー、アタシも行きたいなぁ〜。ダメ?」

 

「いいよ」

 

「師範を助けんぞ!」

 

「スヴィエートとかいうヤツはつぇのか!?俺も連れてけ!」

 

「わたしも付いていきます!」

 

「レティも鬼キョーミあるから、一緒に行ってやんよ」

 

「なんだい、マナたちが行くんならアタイも行くよ」

 

次第に増える依頼の同行者、関係無い理由で同行しようとしている者たちも見受けられるが細かいことは気にしてはいけないとは小さな魔科学者の言葉だ

 

「おや、なんとも可愛らしい大所帯だね」

 

「正に小さな妖精たち……リトルフェアリーズね」

 

「ウェンディが行くなら私も行くわよ」

 

そして、更に同行を名乗り出たのは三人の滅竜魔導士の相棒であるネコたち。ディンガは頭のガスマスクに触れ、リアンは「良い子にお留守番してるのよ?」とハッピーに言い聞かせ、シャルルは紅茶を口に運ぶ

 

「それじゃあ、マキナバスターズ出動かな」

 

「「ふざけんな!!なんでテメェがリーダーなんだ!!」」

 

「ぐもっ!?」

 

意気揚々と出発しようと士気を高めようとしマキナ。しかし、彼がリーダー的な立ち位置にいることに不満を隠せないスコルとセイランに殴られ、何時も通りに殴り合いが始まる

 

「男ってバカだよねー…ホントに…」

 

「前途多難じゃね?これ」

 

「幸先悪いのは間違いないねぇ」

 

「あわわ……大丈夫かな……このチーム…」

 




妹弟子であるサザンカの依頼で、師の道場を訪れたマキナたち。其処には師であるサクラからの手紙があり……

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